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2021年04月14日
社会民主党党大会(四月十一日)
昨年末に予定されていたが非常事態宣言のせいで延期されていた、社会民主党の党大会が、延期したかいもなく、オンラインで開催された。党大会では指導部の選挙が行なわれることになっており、ハマーチェク内務大臣が党首の地位を守れるかどうかに注目が集まっていた。結果次第では、現在のANOと社会民主党の連立内閣が、この総選挙まで半年という時期になって解消される可能性もでてくるのである。
党首選に出馬したのは、ハマーチェク氏と、ゼマン大統領が解任を求めている外務大臣のぺトシーチェク氏、それに元文部大臣のバラホバー氏の三人だったかな。ソボトカ内閣で文部大臣を務めスポーツ界の補助金をめぐる汚職疑惑へのかかわりも噂されたバラホバー氏が立候補したのは意外だったが、当選のチャンスがあるとは思えず、ハマーチェク氏とペトシーチェク氏の一騎打ちだと見られていた。
特に注目して追いかけていたわけではないけれども、このままでは社会民主党が秋の総選挙で議席を失う可能性が高いと考えたペトシーチェク氏がハマーチェク氏に対して反旗を翻したというのがこの党首選が行われた事情のようだ。大抵、党内に対立が存在しないときには、党首選は、事前の調整、地方支部の推薦の結果などから、信任投票に終わるものである。だから、ペトシーチェク氏にも勝ち目はあるだろうと思っていたのだけど、結果は、あっさりハマーチェク氏の再選だった。
これは、今でも社会民主党員の中にゼマン大統領を支持している人が多いことを示しているのだろう。そんなゼマン派の社会民主党員にとって、ゼマン大統領から解任を求められている外務大臣を支持することは不可能だったはずだ。ゼマン大統領自身は社会民主党の解体を狙っているようにも見えるから、皮肉ではある。
党首選で負けたペトシーチェク氏は、副党首選には出馬せず、党の指導部を離れることを決めた。そして同時に、外務大臣に関してハマーチェクしに進退伺いを出したらしい。党首選に出馬したということは、ハマーチェク氏の連立維持策に反対だということだろうから、政府を離れるというのはわからなくもない。ただ、総選挙まで半年となった今の時点で大臣を解任する意味があるのかと言う疑問は残る。厚生大臣の更迭もそうだけど、混乱を拡大するだけに終わりそうである。
ハマーチェク氏は、最初は慰留するようなことを言っていたと思うのだが、結局ペトシーチェク氏の解任を決めた。これでバビシュ内閣はまた一人大臣を失うことになった。うちのによるとバビシュ内閣で、まともな大臣と言えるのは、文部大臣のプラガ氏と、このペトシーチェク氏の二人だけだというが、そのうち一人は辞任し、もう一人には解任の噂がある。
この結果をもろ手を挙げて喜んでいるのは、三月に外務大臣と厚生大臣の解任をバビシュ首相に求めたゼマン大統領である。厚生大臣はロシア、中国製のワクチンの導入をかたくなに拒んでいたことが理由だったが、外務大臣は原子力発電所の建設に関して、ロシアと中国の業者を入札から廃止すべきだと主張したことが原因になっている。ただし外務大臣の主張は、チェコの情報部のリスク評価に基づくものなので、外務大臣が批判されるのはおかしいのだが、プーチン大統領と親密で、中華共産帝国の中心であるゼマン大統領にとって、ロシアと中国に不利になるような発言をする人間は全て敵なのである。その点では、共産党も立場を同じくしている。
市民民主党などの野党は、成立時に信任を受けた内閣のうち、過半数の大臣が姿を消している事実と、信任に票を投じた共産党が、内閣支持をやめたことを理由に、バビシュ内閣は改めて下院で信任投票を受けるべきだと主張しているが、法律や憲法に規定されていない以上、バビシュ首相がそれに応じるとは思えない。今更信任決議が否決されたとしても、ゼマン大統領が信任のない暫定内閣でそのまま選挙まで続けるように支持するに決まっているから意味はない。
いや、本気でバビシュ内閣を倒すことを望んでいるなら野党側が不信任案を提出して決議にかければいいのだ。それをしないのは、感染症対策で国中がてんてこ舞いの中、政府が倒れて混乱が大きくなった原因を作ったと非難されるのを恐れているからだろう。
2021年4月12日20時。