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2019年09月18日

プラハと中国の愚行(九月十六日)



 姉妹都市の協定を結んだプラハと北京がもめている。いや正確に言うと、プラハと中国政府というのが正しいか。チェコ側も政府が口を出していないわけではないが、主体はプラハ市で、三年前に結んだばかりの協定を破棄することを考えているようである。

 話はANOを主体とする連立政権がプラハ市政を握っていたころにさかのぼる。中国の経済力に媚を売りたい勢力が与野党を問わず存在しているのは当時も同じで、どちらから申し出たのかは知らないが、プラハが北京と姉妹都市の協定を結ぶこと自体に反対の声は上がらなかった。中国側も最初からすべての条件を提示していたわけではないようだし。
 ちょっと話がおかしくなったのは、中国側の出してきた条件が明らかになったあとのことだ。その中には、例の悪名高き「一つの中国」条項が含まれていた。中国は世界に一つしかなく、台湾が中国の領土の一部であることを認めることを求めたものだが、政治ではなく文化交流のための姉妹都市協定に、こんな政治的な条項を入れるというのは正気の沙汰だとは思えないのだが、こういうのをごり押しするのが中国の文化交流、経済支援というやつである。

 本来国政とはかかわりのないはずの自治体同士の交流協定に、本来政府レベルで云々されるべき「一つの中国」条項が入ったことで、協定の締結に反対したプラハの市会議員もいた。ただ、ANOをはじめ、当時国政の政権与党だった社会民主党、市民民主党などは、「一つの中国」というのはチェコの政府でも認めていることだから構わないとして、賛成に回った。
 その結果、市議会で可決されて協定が締結されたのだが、それに収まりがつかなかったのが、すでに首都台北がプラハと姉妹都市協定を結んでいた台湾で、プラハ市に対して激しい抗議をするとともに、姉妹都市の協定の見直しをするなんてことも言っていた記憶がある。中国側も台北との協定を破棄するような要求を出したなんて話も聞いたけれども、結局どうなったのかはわからない。

 とまれ、このプラハと北京の姉妹都市協定の締結も一つの理由となって、チェコから、プラハから多くの文化団体が中国に出かけて公演をするようになった。特に演奏技術に定評のあるわりに安価に呼べるらしいチェコのオーケストラに人気があったようである。
 プラハと北京の「(中国にとって)良好な」関係に影が差したのが、昨年の地方選挙でANOがプラハを失い、海賊党などを中心とした市政府が誕生してからのことである。新しく市長になった海賊党のフジープ氏は、文化交流協定に極めて政治的な条項が入っていることを問題にし、北京側に協定の内容の見直し、具体的には「一つの中国」条項の排除を求めた。北京が、いや中国政府が、そんな要求をすんなりのむわけがなく、プラハ市側では、中国側の譲歩がなければ協定は破棄すると発言している。

 中国側は、このプラハ市の態度を外交問題にしたがっているようで、外務省に抗議を入れたという話もある。それで、外務大臣が中国のチェコ大使と会談するとかしないとかいう話もあったのだが、どうなったのだろう。中国側が譲歩するはずはないし、外務大臣がプラハを指導するというのも変な話だから、会談が行われたとしても何ももたらさなかったに違いない。
 それで、今回、夏前から問題になっているのが、中国側の報復である。オーケストラや劇団などが本拠地を離れて、海外などで客演するのは、シーズンオフの夏休みの時期が多い。今年もプラハからいくつかのオーストラやアンサンブルが中国側の招きを受けて、コンサートツアーを行うことが決まっていた。その公演が、中国側のプロモーターに対して必要な許可が下りなかったという理由で、軒並み中止になっているのである。

 現時点では、英名にプラハがついている団体だけのようだが、それでも三つ、四つの団体の公演がキャンセルされ、外交問題になりつつある。ようやく後任が決まった文化大臣と外務大臣が、中国大使館に喚問したところ、公演が中止になったのは中国側が許可を出さなかったからではなく、チェコの団体側の都合だと聞いていると主張したらしい。チェコ側では当然行くつもりで、夏の予定を立てていたわけだから、明らかな嘘である。その自分たちでも信じていない嘘をつき続けるのもまた中国の交渉のやり方である。公演が中止になった団体の代表に、「一つの中国」を認めるという書類にサインすれば許可を出すと交渉を持ちかけたなんて話もあったなあ。
 笑えるのが、プラジャーク・カルテットという演奏団体の中国公演も中止になったことで、チェコ語の「プラジャーク」には、プラハ人という意味もあるけれども、この団体の場合には、「プラハジャーク」は創設者の名字でプラハの町とは何の関係もないのである。団体の人は、あいつら「プラ」と付いている時点で、プラハだと思って禁止したんだろと笑っていた。そして、自分たちは団体の名前に誇りを持っており、その名前が理由で禁止されるなら、中国なんて行かなくていいなんてことを付け加えていた。

 チェコ国内の大勢は、プラハ市と公演の中止をくらった音楽団体を支持しているようだが、ゼマン大統領だけは違った。状況を理解していないフジープ市長のスタンドプレーだとしてプラハ市のやり方を批判したのである。ネドビェットやヤーグルなどチェコの誇る大物スポーツ選手や、モグラのクルテクなんかを中国に売り渡した商売人大統領の面目躍如である。フジープ市長のやり口にはあれこれ問題がないとは言わないけど、これまでの市長たちに比べればはるかにましだし、中国とは比べてはいけないレベルの違いがあると思うけどね。
 バビシュ首相は、社会民主党の文化大臣と外務大臣の管轄だとして、われ関せず的な態度をとっている。この政府、政府ANO部門と政府社会民主党部門に分かれていて、協力関係ができていないどころか、責任の押し付け合いをしている印象である。

 今回の件は、友好とか、経済協力の美名のもとに中国に譲歩しているとこんな困ったことになるという事例とも言えそうだ。その意味ではトランプ大統領には、頑張って中国との対決を続けてほしいものである。
2019年9月16日22時。












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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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