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2019年09月12日

チェコ代表一勝一敗(九月十日)



 先週の金曜日に行われたヨーロッパ選手権の予選で、チェコ代表がコソボ代表に負けたことはすでにちらっとふれた。今日はバルカン連戦でモンテネグロでの試合だった。チェコでの試合はオロモウツで行われ、チェコが3−0で完勝しているのだが、この試合で勝てないようだと、代表の監督として信頼を獲得しつつあったシルハビーへの風当たりが強くなって、解任なんて騒ぎになりかねない。なんてことを考えながら見ていたら、前半は苦戦したものの、きっちりまた3−0で勝って、一安心である。

 今回の予選の初戦でイングランドに0−5と手も足も出ない感じで惨敗した後、六月のブルガリアとモンテネグロとの試合に連勝して、評価を挙げたシルハビーの率いる代表だが、コソボでの出来は最低だった。気温の高さとか、グラウンドの芝の状態とか、久しぶりの代表選とか言い訳になりそうなことはいくつかあるけど、浮足立ったというか、気が抜けたというか、見ていてイライラするようなシーンが多かった。失点の場面が一番ひどかったけど。
 選ばれたメンバーで、6月の時点と比べて大きく違うのは、ダリダが怪我から復帰したことぐらい。キーパーのバツリークも欠場していたかな。ソウチェクやクラールなどスラビアの選手を軸に据えてのチーム作りを考えているのか、サイドハーフのマソプストと、サイドバックのボジルも先発で出場していた。出場選手などはこちらから。

 前半は開始直後からチェコが攻め込む展開だったのだけど、あんまり点が取れそうな雰囲気はなかった。それなのに、15分ぐらいにボジルとヤンクトのサイドから攻め込んで、最後は真ん中のシクがディフェンスの足の間を抜くようなシュートをゴールポストぎりぎりに決めて先制。これで嫌な予感は、予感に終わると思ったのだけど、甘かった。
 チェコの得点の3分後ぐらいに、相手陣内に攻め込んでいたところからパスミスでボールを失ってカウンターを食らって同点に追いつかれた。パスをミスしたチェルーストカのボールを持った選手へのディフェンスも、得点を決めた選手をマークしていたスヒーのディフェンスも、アリバイ的について行っているだけで、チェコ代表の問題が攻撃よりも守備にあることを改めて見せつけていた。ブリュックネルの時代も、どちらかというと守備が問題だったけど、ここまで軽い守備はしていなかったと思う。
 失点してからは、やることなすことうまくいかなくなって、ボールは保持して相手陣内に攻め込んではいるけど、攻撃は手詰まりという印象だった。実況のボサーク師匠も指摘していたけど、最悪だったのはセットプレーで、フリーキックもコーナーキックも、何の脅威にもなっていなかったからコソボとしては楽だっただろう。

 後半に入って、またカウンターから攻め込まれて、コーナーキックを与えたら、チェコ側が守備位置の確認をしているすきをついて、ボールが蹴られ、マークする選手から目を離していたヤンクトが気づいたときにはもう遅く、守備が間に合わずに失点。キーパーの前にいた二人が止められていてもおかしくはないシュートだったのだが、絶妙な位置に飛んで触れず、バツリークも視界を遮られて反応が遅れていた。チェコの出来も悪かったけど、運もなかったのである。
 監督のシルハビーの選手交代も遅く、ブリュックネルだったら、前半からまったく機能していなかったマソプストは前半のうちに交代させられていただろうなんてことを考えてしまった。前半から出来が悪かったのはマソプストだけじゃないけどね。とまれ交替出てきたクルメンチークもドレジャルもフシュバウエルも、決定的な仕事はできず、あっさりと負けてしまった。その負けっぷりが、現在世界選手権で大健闘中のバスケットのチェコ代表と比較するとあまりにも情けないというので、強烈な批判が飛んでいた。

 今日の試合は何人か先発メンバーを変えてくるのではないかと予想されたのだが、コソボでの試合からの変更はカデジャーベクに代わって、ツォウファルがサイドバックに入っただけ。試合前のシルハビーの話では、前のマソプストとスラビア選手立て並びで、オートマチックなコンビネーションに期待しているのだとか。これ前半は完全に期待はずれだった。試合の情報はこちらから。

 試合のほうは、前半はコソボ戦に続いて低調。守備はしっかり相手選手に当たって反則を取られても止めるという意識が見えたような気がしたけど、攻撃があまりうまく行っていなかった。ただ、セットプレーのヤンクトとダリダが送り出すボールが大幅に改善されていて、惜しいチャンスをいくつか作り出せていた。中でもソウチェクがコーナーキックから二度、フリーでヘディングに持ち込んだのは、何で外すかと頭を抱えてしまった。ほかにもいくつか惜しいシーンはあって、いずれも詰めが甘くて得点にはいたらなかった。相手にチャンスを作られてバツリークのおかげで失点しなかったというシーンもあったので互角だったといっていいのかな。
 後半も、怪我のスヒーに代わってブラベツが出場した以外は、前半と同じメンバーで開始。50分過ぎにヤンクトのフリーキックから、ソウチェクが三度目の正直で頭でゴールを決め、その少し後には同じくヤンクトのコーナーキックからマソプストがボレーシュートを決めて2−0。これでチェコの選手たちのプレーが一気に落ち着いて、危なげなく試合をコントロールできるようになった。最後にボールを持ってペナルティエリアに入ったクラールが倒されてPKを獲得したのはおまけのようなもの。ダリダが確実に決めて、オロモウツでの試合と同様3−0で勝った。

 この試合で最悪だったのは、オフサイドラインぎりぎりでヤンクトがボールをもらった際に、審判以外の笛が吹かれて、プレーを止めるというシーンが二度も発生したことだ。一回目は何事もなかったかのように試合を進めた審判も、二回目には試合をとめてアシスタントがモンテネグロのベンチで笛を持っている人がいないか確認していた。こういうのが起こるのもやっぱバルカンの国なのだよ。チェコのチームが対戦を避けたがる理由はこんなところにもある。

 とまれ、コソボがイングランドで打ち合いの末に3−5で負けたおかげで、チェコは勝ち点9でグループ2位に復帰した。3位のコソボとの差は1しかないけど、ホームでのコソボ戦に負けなければ本選出場はほぼ確定である。ただ、この予選でのコソボは、妙にツキがあるように見えるから油断は大敵だろうけど。
2019年9月10日24時。











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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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