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2017年04月05日

プラハダービー(四月二日)



 チェコ語風に「デルビ」と言った方が気分が出るのだけど、永遠のライバルチーム、サッカーのスパルタ・プラハとスラビア・プラハのすでに287回目だという公式戦が行なわれた。この二チームのファンはライバル意識が強く、特にウルトラスなどと自称する連中のたちの悪さは、オストラバのバニークファンに引けを取らない。ダービーのたびに試合中に発煙筒がたかれ、ひどいときには発煙筒や爆竹がグラウンドに投げ込まれるため、試合が中断することもしばしばである。持ち込ませないような警備体制をとればいいのだろうけれども、クラブとファン団体の一部がずぶずぶの関係だから難しいのだろう。サッカーを見に集まる人の大部分が普通のファンであることを考えると、公共の安全を脅かすということで国、警察が手を出して、ファンの入場の際に厳重なチェックを行ってもいいような気がする。このままでは、いずれ惨事が起こっても不思議はない。

 プラハダービーは、同じプラハにあるチーム同士の試合であるため、ファンたちの動きにも特徴がある。相手ホームの試合でも、まず自チームの本拠地に集合して、プラハ市内を集団で行進して試合会場に向かうのだ。今回はスラビアのホーム、エデンでの試合なので、スパルタファンがレトナーに集合して、ブルタバ川を渡ってブルショビツェ地区にあるエデンのスタジアムに向かった。
 試合開始は、17時30分。その四時間前の13時30分ぐらいには、スパルタのホーム、レトナーのスタジアムの前にファンが集まり始め、約五百人ほどで14時ごろに出発。この時点で、最低でも一名のファンが警察に拘束されたらしい。
 レトナーの丘を降りてブルタバ川を渡った後、はた迷惑なことに、旧市街の中心、旧市街広場とバーツラフ広場を通っていた。警察の車両に厳重に包囲された状態だとは言え、旧市街の細い道になると、車の通れないところもあるし、長蛇の列になってしまうから、プラハ市民や観光客にとっては、危険を感じることもあっただろうし、何よりも通行の邪魔だっただろう。
 その後、なぜか、地下鉄に乗りやがった。ニュースを見てひよるな、歩けよと思ったのは俺だけか。とまれ、国立博物館の下にあるムゼウム駅から、四つ目のジェリフスケーホまでたいした距離ではないはずなのだが、地下鉄で移動した。その後地上に出てからも、発炎筒を焚いて投げるなどの行動を取って、周辺の交通を完全に遮断してしまった。地下鉄では被害は出ていないと思ったら、駅の構内で発煙筒を炊きやがったバカがいた。
 プラハを横断する行進の間に数人のファンが警察に拘束されたというけれども、もっと捕まえろとよ言いたくなる。捕まえても入れておくところがないということか。エデンのスタジアムについたのは、試合開始の二時間前の15時30分前後。スラビアのファンもすでに終結しており、一触即発の雰囲気だったようだが、警察が何とか二つのグループを分断することに成功した。それにしても試合開始の二時間も前に会場に到着して何するつもりなんだろうって、すきあらば乱闘をしようというのだろうなあ。

 現在、チェコのサッカーの一部リーグの一次放映権を持っているのは、O2というスペインの通信会社テレフォニカの子会社が始めた有料テレビ局である。チェコテレビは、O2が選んだ二試合以外の中から二試合選んで放送することになっている。当然プラハ・ダービーの放映権はO2TVが握っていた。
 幸いなことに最近O2TVフリーというのが、地上波デジタルで見られるようになっていて、このダービーも番組表の中に入っていた。不安は、テニスやバスケットなどの生中継の場合に、有料放送だからということで、ちゃんと見られない時間帯が長いことだった。画面の下にタイマーがついていて、そのタイマーが0になると、スポーツの画面は小さくなって音が消え、テレビ局の番組の予告編がそのわきで放送されるのである。翌日の再放送の場合にはそんなことはないのだけど、プラハ・ダービーも有料視聴者を増やすためのダシにされるかと心配していたのだ。
 実際は、そんなことはなく、番組の説明には有料ゾーンの放送だとか書かれていたけれども、普通に一試合ずっと見られるような形で放送されていた。チェコ中の注目を集めるプラハ・ダービーで、見たければ金払えなんて態度をとったら、O2に対するボイコットが起こりかねないと考えたのだろうか。

 試合のほうは、ちょっと別件で忙しくてちゃんと見ていないのだが、試合終了間際にスパルタが先制して、スラビアがロスタイムのペナルティで同点に追いついて引き分けに終わった。PKの判定にスパルタの監督のラダは怒り狂っていたけれども、O2TVのコメンテーターは、この試合の審判はほぼミスなく笛を吹いていたと言っていた。ただし、あれはPKではなかったという意見が多いようである。
 とまれ、試合そのものよりも、試合前後の騒ぎのほうが大きなニュースになってしまうのが、チェコサッカーの最大の問題である。今回はおとなしかったと言ってもいいのだけど。
4月3日23時。

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