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2018年08月14日

十五日目、あるいは「芸術家」の話〈LŠSS2018〉(八月十日)



 金曜日は久しぶりに気温が多少下がった。下がったのは事実かもしれないが、地面も建物もこれまでの猛暑で熱くなっており、教室内の体感温度はさして下がったとも思えない。何より体が熱を溜め込んでいて、多少の気温の低下に意味があったとも思えない。予報の最高気温が28度とか30度以下になっていると、気分的には楽なのだけど、気休めの類でしかない。

 先週からペットボトルの水を凍らせてタオルを巻いて教室に持ち込むという、昔子供の頃にやっていた暑さ対策を導入している。それとは別に手ぬぐいを濡らして頭に巻いていたら、同級生達に日本人が何で鉢巻を巻いているかわかったなんて誤解されてしまい、あれとは別なんだよ、あれは敵味方を識別するための標識として巻いているので暑さ対策じゃないんだよ、手ぬぐいは昔の日本のハンカチみたいなもんなんだよ、普通のタオルだと頭に巻いても落ちてくるからこれを使っているんだよとかいう話をする羽目になった。
 それはともかく、ペットボトルの氷で手ぬぐいを冷やしたり、ほてった額やら足やらに押し当てたりして体温を下げつつ暑さに耐えて勉強しているのである。氷の融け方からいうと確かに金曜日は多少涼しかったのかもしれない。一番早い日は午後一時の授業が終わる頃には氷が融けていたのに対して、この日は午後のプログラムでパラツキー大学の理学部が設立した体験型の博物館的な施設に出かけてからも氷が残っていた。温度を感知するカメラの前に立ったら自分の体の温度が37度以上になっていたので、思わずペットボトルを当てて温度を下げてしまった。

 さて、金曜日の授業は、喧嘩の練習から始まった。口げんかでよく使う表現を勉強したあとに二人組になって、それぞれ状況を与えられて喧嘩を演じたのだけど、みんな見事な演じぶりでなかなか楽しかった。こちらの相手はスロバキア人のシモナで、口ではかなわず情けない酔っ払いの夫役としてはたじたじになるしかなかった。唯一のチャンスだったシモナがスロバキア語を使ったところでも、それにつけ込むことができずに完敗だった。休み時間にユスティナに指摘されて、思わず畜生と叫んでしまった。

 休み時間には、オロモウツに車で来ているポーランドの新聞記者ルカーシュがサマースクールの遠足のない日曜日に、シモナやユスティナたちと個人的な遠足を計画しているらしく、どこかいいところがないか聞かれた。最初はプシェロフとプロスチェヨフについて聞かれたので、自分が行くならプロスチェヨフだと答えた。タトラの博物館に行きたいと誰かが言い出し、それならコプシブニツェだよとか、コプシブニツェには、タトラの博物館以外に花にもないから、近くのシュトランベルクや、ノビー・イチーン、フクバルディなんかにも行くといいんじゃないのと推薦しておいた。月曜日にどこに行ったのか質問してみよう。

 今日の発表はフェルディナント。テーマはなんと2009年にチェコがEUの議長国を務めたときに物議をかもした「芸術家」チェルニーが制作した「作品」。あのときのチェコは何を考えていたのか、議長国を務めるにあたって芸術作品をチェルニーに発注し、世界的に有名なチェコ人を総動員してビデオクリップを制作した。他の国も議長国を勤めるとこんなことするのかねえ。議長国を務める国がビデオクリップを作製するということは、他の加盟国に対してその意思表明をするためのものだろうから、他の国も製作しているのならチェコでも見られるはずだけど、チェコ以外の議長国のものは見かけたことがないのである。
 フェルディナントは、その作品「エントロピア」の由来やら、どこが問題になったのかなどを詳しく解説した。加盟国をぞれぞれステレオタイプ化して一つのフレームの中に収めた作品だが、改めて確認すると結構ひどいものがある。ドイツは高速道路網を模したといいながら、それがカギ十字を思わせるつくりになっているし、スウェーデンはイケアの家具のダンボール、ポーランドはジャガイモ畑、EU脱退をちらつかせていたイギリスにいたっては空白になっている。一番物議を醸したのは、ブルガリアのトイレだったかな。ハンガリーもいちゃもんをつけていたような記憶があるけどフェルディナントは触れなかった。

 その代わりに、チェルニーのやらかした詐欺めいた行動について説明した。当初のふれこみではこのエントロパの各国のステレオタイプ化には当該国の芸術家が参加したことになっていて、その芸術家のリストも公表されていたらしい。しかし後に、実際にはそのリストに載った芸術家の中には、実際には存在しない名前が多く含まれ、実在の人物であったとしてプロジェクトについては何も知らなかったということが判明したのだという。
 フェルディナントはそういうところも含めて現代芸術なんだと言ってたけれども、EU的にはこれ問題なかったのだろうか。チェコ政府の議長国を勤めるための資金、つまりはEUの予算を使って制作したものなのに当初の計画、予算をとる為に提出したはずの計画から外れてもいいのか。これが他の件だったらあれこれうるさいことを言われて大変なことになったはずである。それとも、最初から架空の国際協力で制作することになっていたのだろうか。だとすれば認可したほうもしたほうである。芸術家というものははた迷惑なものなんだよなあ、やっぱり。

 先生は、フェルディナントの発表に対して、チェコが議長国を務めたときのことを、恥ずかしかったと回想していた。議長国なんて、建前で形式でしかないものを、たかが半年、問題なく務め上げる国が多いのにチェコは問題連発だったもんなあ。一番ひどかったのは、下院で内閣不信任案が可決か、信任案が否決されるかして。政権交代が起こったことだろうか。議長国で選挙をやるわけにもいかず、暫定内閣が議長国を勤め上げたのだった。バビシュ氏のANOがあれこれ批判されるけど、他の既成政党も大差ないと言うか、同じ穴の狢と言うか、目くそ鼻くそと言うか、そんな印象しか抱けないのはかつての行状と、それを反省していないことを知っているからである。
2018年8月13日18時24分。









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