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2018年03月10日

ロマ人のホロコースト(三月七日)



 下院議員として二期目に入り、第四の政党を率いるトミオ・オカムラ氏は、国会の数の論理、政党の順位の論理に基づいて、下院に数人存在する副議長の座に座っているのだが、中道から右寄りの既存政党に解任動議を起こそうという動きがあった。政治の世界に進出して以来問題発言を繰り返しているオカムラ氏だが、今回問題にされたのは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人虐殺のための強制収容所と同様に運営していたロマ人に対する強制収容所に関する発言である。
 南ボヘミアのレティと呼ばれる地にチェコでは最も大きなロマ人用の強制収容所が設置され、多くのロマ人たちが犠牲となったのだが、その跡地をどうするかというのがここ十年ほどのチェコの政治問題の一つとなっている。そこにオカムラ氏がくちばしを突っ込んで、既存の政党からすればありえない発言をしたのである。

 ユダヤ人に対するホロコーストほどは知られていないが、ナチス・ドイツがユダヤ人と並ぶ撲滅の対象としてロマ人を選び、ドイツ本国、占領地だけでなく、ドイツと同盟を結んでいたいわゆる枢軸国でもロマ人に対する迫害と虐殺が行われた。ドイツの保護領となっていた現在のチェコでも事情は同様で、虐殺のための強制収容所の一つがレティという場所に置かれた。
 かつての東側の共産主義諸国の高官には、実はナチスの高官が変名でなんて話がまことしやかにささやかれていたのは冷戦の時代だが、そのせいでなのかどうかはともかく、共産主義の時代にはナチスによるロマ人虐殺はなかったことにされていたようだ。そして、強制収容所の痕跡を無くすため(と断言できるかどうかは不明だが)、跡地に養豚場が建設された。

 最初の問題は確か、ビロード革命後に民営化された養豚所にロマ人強制収容所の記念碑を設置するかどうかという問題だったはずだ。養豚所のオーナーと政府の話し合いが政治問題化したりしてややこしいことになっていたのだが、最終的には国が養豚所を買収した上で記念碑を設置するということになった。恐らく養豚所は廃止して記念館のようなものを建てる計画があるはずである。
 遺族のロマの人たちにとっては、養豚所に記念碑というのもあまり歓迎できることではなかったようだし、養豚所のオーナーも政治問題化したことで大変だったようだから、一番いい形で落ち着いたはずなのだが、そこに余計なくちばしを挟んだのがオカムラ氏だった。

 オカムラ氏の最初の発言によれば、レティの強制収容所には、周囲に柵がめぐらされていなかったのだという。後にその発言は誤りだったと謝罪していたが、それでも出入りを監視する者はいなかったのだという。つまり、強制収容所とはいっても、監視されていなかったのだから出入りは自由で、ロマ人たちは自分たちの意志で収容所にいたのだと主張しているのだろうか。批判を受けた結果、ロマ人に対するナチスのホロコーストを記念する日を制定して、この事実を知らしめる一助にしようなとと提案していたが、実はすでにそういう趣旨の日は存在していることを指摘されるという恥をさらしていた。
 オカムラ氏の政党SPDは反移民政策を掲げていて、チェコ国内では少数民族になるロマ人に対しても排斥を訴えているようである。反ロマ人的な風潮はチェコにも存在するけれども、すでに何世紀にもわたって定住している人たちを、難民だとか不法移民だとかと同列に扱うのは無理がって、この件に関しては、難民問題でオカムラ氏を支持する人たちの中にも批判は存在するようである。

 レティのロマ人強制収容所の問題に関しては、かかった経費をドイツに請求するように主張するぐらいにしておけばよかったのに。ユダヤ人とは違って、ロマ人に対するドイツ政府の対応は、西ドイツの時代から冷淡なもので、まともな補償など、特に旧共産圏のロマ人の遺族たちに対して補償などされたはずはないのだから、そこを指摘するのが反EU、反ドイツのオカムラ党の取るべき道だと思うのだけど。ロマ人を支援してドイツに補償を求める運動を起こすとなると、オカムラ党のカラーからは大きく外れてしまうけれども、ドイツの戦後処理の不備を言い立てて経済的な負担を迫るぐらいだったら支持者の許容範囲内じゃないかな。
 オカムラ下院副議長の解任動議は、与党のANOと共産党の画策でうやむやのうちに提案さえされないままに終わってしまったらしい。どうしてそんなことになったのかはニュースを見ていてもさっぱりわからなかった。
2018年3月9日14時。








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