2018年02月22日
スパルタとスラビア(二月十九日)
チェコリーグ開設以来最悪のシーズン前半となったスパルタ・プラハは、それでもイタリア人監督のストラマッチョーニを解任しなかった。その代わりに元監督のシュチャストニーをGMに迎えてチーム編成や補強の責任者とした。確かに秋の低迷の原因は、監督がどうこういう以前に、場当たり的に大量の外国人選手を獲得した結果、チームがチームとして機能できていなかったところにもあるから、悪い手ではないのだろう。引退したロシツキーも補佐的なことをするようだし。
シュチャストニーの最初の仕事は、増えすぎた選手を整理することだった。夏に獲得した大物外国人選手たちの中で放出候補になったのが、オーストリアのコレルという評判の片鱗さえ見せられなかったヤンコと最後の最後に獲得したビアビアーニだった。二人とも放出候補になってからのスパルタの扱いに対して不満を漏らしていたから、いまさらスパルタに残りたいと言う気もないだろう。
他にもサイドバックでザフステルの控えに回されそうだったロシア人のカラバエフ、昨シーズンのチーム崩壊の原因のひとつとなったコナテー、すでに秋にはレンタルでドゥクラに言っていたホレクなんかがスパルタを出て行くことが決まっている。ゴールキーパーのドゥーブラフカがイングランドに買い取られていったのも忘れてはいけないか。これらの放出でいくらかの収入はあったはずだけど、シーズン前とこの中断期間とで使った金額に比べたら微々たる物である。
獲得したほうは、ロシツキーの代役候補としてルーマニア代表でベルギーのアンデルレヒトにいたステンツィウ(読み方がわからん)。うわさによると一億コルナほどの移籍金でチェコリーグでは過去最高になるのだとか。うーんこの手の高額で獲得した選手ははずれに終わることが多いような気がするんだけど、スパルタ大丈夫か。キーパーのドゥブラーフカの代役には、これもルーマニア人のミトゥをステアウア・ブカレストから獲得している。最近になって、更に二人中盤の選手を獲得したようだが、一人はアフリカの選手だし実際に試合に出てくるのは、もう少したってからになりそうである。
現在の問題は、なかなか才能が開花しないV.カドレツと並んで攻撃の柱になるはずだったシュラルが怪我でリーグ再開に間に合いそうにないことである。そうなると、頼りになるエースであると同時に不満分子になりやすいところのあるラファタをどうするか監督としても頭が痛いところだろう。秋の時点では、新しいスパルタを作るために若手選手を優先して、ラファタは保険扱いするというのが監督の方針だったようだけど。
一方、ライバルのスラビアのほうは、リーグ戦では大差をつけられているとはいえ、二位にはいってスパルタよりははるかにましなのだが、ヨーロッパリーグのグループステージでの敗退を受けて、監督が交代した。GMのネズマルと同様、リベレツからトルピショフスキーを譲ってもらったのだ。ネズマルの仕事も最初は、多すぎる選手たちの整理だった。こちらも鳴り物入りで加入したアルティントップとロタニュの二人が放出候補となり、怪我から復帰し切れなかったかつての貢献者シュベントは引退を決めた。ラシュトゥーフカが放出されバニークに復帰したのはすでに書いた通りである。
加入のほうは今回は比較的おとなしかった。ラシュトゥーフカの代役としては、またまたリベレツからコラーシュを獲得。以前はスラビアの若手選手が、リベレツに移籍して成長しスパルタに飼い取れれるというパターンも含めて、リベレツはスパルタに選手を提供することが多かったのだけど、中国資金で裕福になったスラビアが取って代わったというところか。スパルタが外国から取る方向に舵を切ったというのもあるのだろうけど。
リベレツからフランスのモンペリエに移籍して、移籍直後はポジションを獲得して活躍していたものの次第にジリ貧になっていたディフェンスのポコルニーも獲得。試合終盤に出てきて決定的ナゴールを決めることが多かったフォワードのメシャノビッチが怪我をした代役としては、レンタルでヤブロネツに行っていたテツルを引き戻している。
今シーズンは無敗を続けるプルゼニュの優勝はほぼ決まりだから、この二チームには來シーズンのヨーロッパリーグで活躍することを目標にチーム作りをしてもらいたいところである。スラビアが最低でもヨーロッパリーグの予選出場権を獲得するのはほぼ確実だけど、スパルタの場合はリベレツ、オロモウツあたりとこれから争うことになるのか。面白いと言う意味ではスパルタが下位に低迷して出場権を獲得できないほうがいいのだろうけど、チェコのサッカー界にとっては、スパルタのような大クラブには、常にヨーロッパの舞台で活躍してもらわないと困るのである。
ちなみに、監督とGMをスラビアに売り渡したリベレツは、昨シーズン暫定監督としてスパルタを一時は立て直すことに成功したホロウベクを招聘している。この人も、オロモウツのイーレクと同じで、毀誉褒貶のある理論派の監督フジェビークの影響を受けているんじゃなかったかな。何はともあれお手並み拝見といこう。
とまれ、地元チームが快調だと、シーズン再開が待ち遠しいものであるなあ。こんな気持ちで春のリーグ再開を待ち受けるのは本当に久しぶりである。
2018年2月19日23時。
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