2018年01月29日
六位(正月廿六日)
今日金曜日で、ハンドボールチェコ代表のヨーロッパ選手権が終わった。今日もリアルタイムで得点経過を追うことはできなかったのだが、地元クロアチアとの五位決定戦が行われ、チェコ代表は、一点差で惜しくも破れ、六位に終わった。これは1996年に一度だけ記録したことがある過去最高の成績と同じだという。
大会前には、監督たちも含めて誰一人ここまでの好成績を残すことは、願望はしていても、予想はしてなかっただろうし、初戦のスペイン戦での惨敗のあとは、グループステージ全敗で終わるのが関の山だと思った人のほうが多かっただろう。あのときは、残り二試合せめて惜敗してくれればと思ったから人のことは言えないけどさ。
六チームからなる二次グループから準決勝と五位決定戦に進出したチームを見ると、チェコのグループでは、スペイン、デンマーク、チェコと、グループDから二次グループに進出したチームとまったく同じである。やはりあのグループは文字通り死の組だったのだ。敗退したハンガリーも別の組に入っていたら二次グループまでは行けていたかもしれない。
そんなグループで勝ち点は一位と同じで得失点差で三位に入ったのだけでもすばらしいのに、二次グループでも一敗しかせずに、五位決定戦までたどり着いたのだから、監督選手たちの頑張りには、もう賞賛の言葉しかない。本当に強豪と言われるチームになると、負けたドイツとの試合を引き分けに持ち込み、引き分けたスロベニアとの試合はきっちり勝ちきって準決勝に進出しているのだろうけど、今のチェコのチームはまだまだこれからのチームである。
今度の韓国での冬のオリンピックをめぐる茶番で、オリンピックの価値と言うものはますます低下している中、ハンドボールのチェコ代表が東京オリンピック出場とかなったら、通訳の売り込みかけてみようかなあなんて妄想が実現してしまうかもしれない。どうせ出られないだろうからってんで気楽に語っていたけど、どうするか本気で考える必要が出てきそうである。こういうもの嬉しい悲鳴なんて言えるのか。
クロアチア戦の試合展開も、これまでの試合に負けず劣らず劇的だったようだ。スペインとの初戦と同様に前半の入り方に失敗して、二次グループの会場からの移動の疲れもあったのかもしれないけれども、チェコは先制点をとった以外はほとんどいいところがなく、すぐに逆転された後は点差が徐々に広がって行って前半終了時点で、10−16と六点負けていた。スペインとの試合よりはましだった、と言っても一点しか変わらないけどさ。
後半に入ってからは、スペインとの試合とは違って差を広げられることなく、かと言って差を詰められたわけでもなく、点差は五点前後で推移していたようだ。そして試合終盤に急激に追い上げたものの同点すすることはできず、一点差に詰め寄るのが精一杯だったようだ。大会が始まって七試合目、クロアチアの選手もそうだっただろうけど体力的には限界に近かったんじゃなかろうか。二日に一試合のペースでやってきてるわけだしさ。
それでも、前半の六点差を後半で一点差にまで詰め寄るなんてことは、最近のチェコ代表ではちょっと考えられなかったことだ。デンマークやマケドニアのような強豪相手に、終始リードを許す展開でありながら終盤に逆転してそのまま勝つなんて思わずほっぺたをつねってしまいそうになる。一点差巻け、二点差負けの大接戦までは想定できたんだけどね。イーハの言うように、一点差巻けと一点差勝ちの間には、単なる二点差以上の大きな壁が立ちはだかっている。今大会のチェコ代表は打ち破ったのだ。
それはともかく、決勝と三位決定戦を残した状態で、チェコのズドラーハラが55ゴールで得点王である。二位との差が14点とかなりあることを考えるとこのままいきそうである。大きな大会での個人賞をチェコの選手がとるのはイーハ以来ということになるだろうか。最優秀選手も狙えるかもしれない。まあ優勝チームから出るだろうけど。このズドラーハラももうベテランだけど、動きを見ているとまだしばらくは中心戦力として計算できそうである。
もう一人特筆すべきは、若手のカシュパーレクも七試合で33得点を挙げていることだ。待望の若手の大型センターの台頭で、ズドラーハラやババークなどの体格よりもスピードと横への動きで勝負するタイプの選手の活躍の余地も広がるだろうし、今後のチェコ代表は楽しみである。これにもう一人の期待の大型選手カサルも覚醒してくれたら言うことないんだけどなあ。
ベテランのホラークも20点以上取る活躍を見せたが、これはもう計算外の出来事で、ホラークには今後も選手生活晩年のクベシュのようにディフェンスの要を担ってもらい、調子のいいときだけ攻撃でも大活躍するというのを期待したいところである。いや、でもこの選手が点を取るとチームが盛り上がるような気がするのは気のせいかな。
気がかりなのは、ポストのペトロフスキーと左利きのステフリークの得点が少ないこと。ステフリークはもともと一試合に一本か二本だけ目の覚めるようなシュートを決めるというイメージの選手だけど、攻撃の組み立てでは重要な役割を果たしている。ただ、最初からシュートを打たないのが見え見えのプレーになってしまうと、組み立ても何も亡くなってしまうからなあ。
ペトロフスキーのほうは、予選での大活躍で警戒されてあまりボールがもらえなかったというのならいいのだけど。センターのカシュパーレク、ポストのペトロフスキーという二人の大型選手がそろって活躍できれば、もう一つ上を狙えるようになるのかもしれない。実際に試合を見ていない人間が、何を言っても説得力がないのは重々承知で、そんなことを予言しておく。
2018年1月27日24時。
次の目標はロシアとのプレーオフに勝って世界選手権に進出だ。1月28日追記。
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