2017年12月02日
理解しがたいことども2(十一月廿九日)
前回書こうとしてたどり着けなかったアメリカとロシアの話である。
未だに去年のアメリカの大統領選挙でトランプ氏が勝ったことを認めない頑迷な人たちが特にマスコミの世界にたくさんいるようである。それが、ロシアがアメリカの大統領選挙に干渉したという批判につながっている。ロシアのおかげで当選したトランプ大統領は、正当な大統領ではないと言いたいのだろう。
仮にロシアがアメリカの大統領選挙に何らかの形で干渉したのが事実だったとしても(事実だろうけど)、それを批判する資格がアメリカにあるのか。70年代のチリに干渉して、アジェンデ政権を倒すためにピノチェトのクーデターを支援したというのは有名な話だし、実はイスラエルのモサドもかかわっていて、犠牲になったチェコスロバキアのオストラバ出身の人物の子孫が、最近イスラエルの裁判所に軍事機密を公開するように裁判を起こしたというニュースが流れたなあ。
選挙に関してなら、冷戦下の日本では、自民党はアメリカから、社会党はソ連から、それぞれ政治資金を得ているというのが、公然の秘密のようなものだった。共産党はソ連だっただろうか、中国だっただろうか。
今回ロシアが批判されているのは、ロシア政府が雇った連中がクリントン氏が落選し、トランプ氏が当選するような工作をインターネット上で行ったということのようなのだが、こんなのって証拠をつかめるものなのかね。やった、やらないの水掛け論に終わって、何の成果もないまま時間だけが過ぎていくのが目に見えている。
そもそも、ネット上であれこれありもしない情報を流すのと、選挙資金として多額の現金を提供するのとどちらが、内政干渉として悪質がといえば、どう考えても現金であろう。ロシアとウクライナに限っても、アメリカから反プーチン勢力、反ロシア派勢力にかなりの金が流れているのも公然の秘密である。アメリカがロシアの反プーチン、つまりは反政府組織にお金の出すのは問題にせず、ロシアが反クリントンの、決して反アメリカ政府ではない活動をするのを問題にする。この辺がアメリカの傲慢さの表れなのであろう。
仮にアメリカが出している資金が、秘密の資金で表ざたになっていないからと言うのなら、ロシアの反クリントン、親トランプ活動も、ロシア政府自体は否定をしているわけだから、こちらも表ざたにはしない、もしくはできない活動である。結局自分のことは棚に挙げて、他者を批判していることには変わらない。
アメリカからロシアの反政府のNPOだかNGOだかにお金が流れているということに関しては、知人のロシア専門の政治学者から次のような話を聞いたことがある。ロシアの何とか研究所で、所長と研究について話していたら、電話がかかってきた。所長の知人のアメリカの研究者からの電話で英語でしゃべっていた。もれ聞こえる話だけでも、結構やばそうで聞かないほうがいいと思わされたらしいのだが、電話を切った後の所長の説明が凄かった。
何でも、アメリカの研究者は、政府の依頼で、民間の資金(どこぞの大金持ちがありがたいことに善意で提供したらしい)を、反政府のNPOに届けるために持ち込んだのだが、ロシアに入国してからすぐに秘密警察に尾行されていることに気づいたらしい。このまま届けると自分にも届け先の団体にも、大きな問題が起こるので、尾行をまく、もしくは一時金を預けるために協力してほしいという電話だったのだという。
所長はその依頼について、引き受けたけれども、当然のように報酬を要求したのだとか。研究所の所長なんて薄給だから、こんな役得でもなければやっていられないということだろうか。知人はきれいごとではない国際政治の最前線に巻き込まれそうな気がして恐ろしくなったと言っていた。こういうアメリカからの、銀行振り込みとは違って、記録の残らない現金の持ち込みによる反政府派のNPO支援が繰り返されることに腹に据えかねたプーチン大統領がやったのが、NPO、確か外国と関係のあるNPOの活動を禁止することだったのだ。
国際的な関係なんて、どちらかが一方的に100パーセント悪いということはありえない。それぞれの国が、合法非合法を問わず、直接間接、さまざまな形で、他国に対して有形無形の干渉を行なっているのだ。それを批判したところで、不毛な議論にしかならない。いや、駆け引きのネタにはなるのか。
それでも、このロシアの選挙への干渉疑惑ではトランプ大統領を追い詰めることはできまい。アメリカの大統領が任期を全うしないなんてことは滅多にないのだから、本気でトランプ大統領の解任、辞任を目指しているのなら、もっと工夫したほうがいいんじゃなかろうか。せめてウォーターゲート事件レベルの芸は見せてほしいところである。
とここまで書いて、理解しがたいことってなんだったんだろうと自分でもわからなくなってしまった。風邪気味で頭が朦朧としているから仕方がないのである。久しぶりに大失敗作だな。
2017年11月30日25時。
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