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2017年06月28日

U21ヨーロッパ選手権(六月廿五日)



 当初の予定では昨日の記事の末尾にちょっとだけ触れて終わるつもりだったのだけど、そうも言っていられなくなったので、頑張って一本分書くことにする。

 この世代のサッカーのヨーロッパ選手権は、二年に一回奇数年に開催されており、オリンピックの前年の大会はオリンピック予選を兼ねている。二年前の2015年にはチェコで開催され、オロモウツも会場の一つとなっていた。チェコ代表は地元の利を生かすことができず、グループステージで敗退してしまった。一試合で三得点を決めただけのクレメントが得点王になって、そのままドイツのチームに買われていくというのはあったけれども、予選免除の弊害か全体的には期待はずれに終わった選手が多かった。長年この世代を率いてきた監督のドバリルも退任しちゃったし。
 今年の大会は隣国ポーランドで行なわれているのだが、チェコ代表を率いるのはスパルタ、リベレツで優勝経験を誇り、オーストラリアで監督を務めたこともあるラビチカである。この大会から出場国数が12に増え、出場しやすくなったこともあって、チェコ代表は危なげなく出場権を獲得した。選手を見ると、イタリアで主力として活躍するシク、ヤンクトを擁し、前回の大会にも出場したトラーブニークなど、国内のチームに所属している選手たちも多くは主力として試合に出場しているので、8チームの出場枠でも問題なく勝ちぬけていた可能性は高い。とまれ2011年の大会以来、久しぶりに好成績が期待できそうだった。

 12のチームを3グループに分け、準決勝に進出するのは各グループの勝者と、二位のチームの中で最も成績のいいチームという変則的なフォーマットは、どのグループの二位が勝ち残るのかを巡って熾烈な争いが繰り広げられることを予想させ、この手の大会に付きものの引き分けでOK的な戦い方が減ることが期待されていたらしい。
 チェコが入ったCグループは、ポーランドでもチェコとの国境近くの町が会場となっている。対戦相手はドイツ、イタリア、デンマーク。監督や選手たちは準決勝進出を目指していると言っていたけれども、全敗してもおかしくない。監督がドバリルだったら、相手がどこであっても一勝は確実に期待できたかな。ラビチカだとよくわからない。

 初日の開催国ポーランドとスロバキアの試合を見て、スロバキアが出ていることにも驚いたけれども、スロバキア代表が意外といいチームで強いことに驚いた。監督を務めるのは現役時代にオロモウツでも活躍したチェコ人のハパルである。チェコだけでなく、スロバキアやポーランドでも監督をしていることは知っていたが、U21とはいえ代表の監督になっているとは思わなかった。

 チェコは大会三日目に、ドイツとの初戦を迎えた。ぼろ負けするかなと思って見ていたら、意外といい試合になっていた。ただ、負傷で欠場したサイドバックのマテユーの代わりに起用された中盤が本職のサーチェクをはじめ、ディフェンス陣がドイツのスピードに翻弄されていて、ミスからの失点を重ねて0−2で、負けてしまった。
 攻撃陣は、期待のヤンクトもシクも、長いシーズンの疲れが出ているのか、いまいちぱっとせず、チャンスめいたものはあっても、得点が生まれる気配はあまり感じられなかった。シクは、ユベントスへの移籍が秒読みに入っていた時期で、それもプレーに影響を与えていたようだ。
 最大の期待外れは、アヤックスでAチームから外されて不平たらたらだったバーツラフ・チェルニーである。インタビューでは、試合に出ている同年代の選手たちに劣っているとは思えないのにチャンスがもらえないと言っていたが、この試合でのプレーを見て、試合に出られない理由がわかったとコメントをしている人が多かった。

 中二日で迎えたイタリアとの試合は、勝たなければ準決勝進出の望みが断たれるという重要な試合だった。前半に先制したものの後半に入って早い時間にしょうもないミスから失点して同点に追いつかれる。この時点で、ダメかと思ったのだが、この試合のU21代表は、今の劣勢になるとずるずると落ちていくチェコ代表ではなく、かつての強かったころのチェコ代表だった。
 途中出場したオロモウツのホリーのパスを受けたこれも地中出場のハブリークが決めて勝ち越し。さらに、あまりいいところがなかったセンターバックのリュフトネルが、30メートルぐらいのところから、解説者によれば一生に一度レベルの強烈なシュートを見事に決めて二点差にして、そのまま3−1で勝利した。
 各チーム二試合を終えて、ドイツが勝ち点6、チェコとイタリアが勝ち点3で並ぶという状況だった。三試合目でイタリアがドイツに勝ち、チェコがデンマークに勝ったら、三チームが勝ち点6で並び、順位は三チーム間の得失点差で決まるというややこしい状況になっていた。チェコが負けた場合には、イタリアとドイツの試合の勝者が一位ということになる。

 Aグループで2位に入ったのは、ポーランドに逆転勝ち、イングランドに逆転負け、スウェーデンに大勝して、勝ち点6、得失点差+3のスロバキアだった。Bグループは、ポルトガルで勝ち点は同じく6、得失点差は+2だったかな。この時点で、チェコがスロバキアを上回って準決勝に進出するためには、デンマークに3点差で勝つことが求められていた。
 デンマークとの試合、チェコは頑張った、頑張ったけれども、キーパーも含めたディフェンスが崩壊して2−4で負けてしまった。二度同点に追いついたのだが、三回目にリードされた後は、もう追いつくだけの力は残っていなかった。この結果、チェコの敗退が決まり、準決勝進出の最後の二チームは、同時進行のドイツとイタリアの試合次第ということになったのだけど……。

 イタリアが、1−0で勝利し、勝ち点ではドイツと並んだものの、直接対決で勝っているのでイタリアが一位、二位のドイツは得失点差が+4になり、スロバキアを上回ったため、ドイツも準決勝進出が決まった。この談合のような結果に、スロバキアの監督のハパルは、記者会見で涙を流しながら、サッカーの恥だとコメントしたらしい。
 仮にチェコとデンマークの試合で、チェコが一点差か二点差で勝っていたら、ドイツが一位、チェコが二位となり、得失点差の関係でスロバキアが準決勝に進出できていたのに……。チェコは敗戦によって自らのチャンスだけでなく、スロバキアのチャンスもつぶしてしまったのである。

 チェコもスロバキアも敗退してしまった今、U21ヨーロッパ選手権を見る理由もなくなってしまった。ロシアで行われているワールドカップの準備のための大会(名前知らん)も放送されているけれども、縁のある国が出ていないので見る気にならないし。復活を遂げつつあるクビトバーの出るウィンブルドンと、ツール・ド・フランスの開幕を待つのみである。いや、ってことはもう七月なのか。山と積もったやるべきことを、いかにやらずに済ませるか頭を悩ますことになりそうだ。
6月26日18時。






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