2017年06月27日
土曜日のスポーツ(六月廿四日)
六月最終の土曜日は、オロモウツでハーフマラソンが行なわれる。今年で八回目となり、この時期の風物詩として定着しつつある。それを示すかのように国際陸上連盟か何かの制定するハーフマラソンのカテゴリーではゴールドとかいうのに認定されているらしいし(その意味はよくわからんけど)、今年はプラハのマラソン、ハーフマラソン以外では初めてチェコテレビが実況中継することになっていた。
とりあえず、スタートだけはテレビで見て、それから沿道の観客になりに出かけることにした。だからというわけでもないのだけど、昼食後チャンネルをチェコテレビのスポーツ専門局に合わせていたら、奇妙な競技の中継が始まった。いや、競技自体は陸上競技だから奇妙でも何でもなかったのだけど、何の大会なのかわからなかった。
見るともなく見ていて理解できたのは、フランスのリールで開かれている国対抗のヨーロッパ選手権であること、各国とも一つの種目には一人しか出場させられないこと、十一カ国が出場し各種目で順位によって、一位11点から、十一位1点まで、ポイントを獲得し、ポイントの合計で順位を争うということだった。十一カ国しか出ていないのは、これが一部に当たり、下に二部があって、大会の結果によって下位二国と上位二国が入れ替えになるからだという。
出場選手がいないと1点も加点されないので、選手層の薄い国の中には、専門外の選手をエントリせざるを得ないなんてことも起こるようだ。ドイツやイギリス何かの陸上強国の場合にはどの種目にもそれなりの選手をエントリーできるのだろうけど、チェコの場合には、全部で41種目とか言っていたから、全員ヨーロッパの舞台で戦えるレベルの選手を揃えるのは難しそうだ。故障者がでたらお手上げと言う種目もありそうだし。チェコチームは、一日目を終えて七位に付けている。残り20種目で36点差をひっくり返されなければ残留である。
陸上の国別対抗戦の中継が終わって、サッカーの中継をはさんで午後7時からハーフマラソンの中継が始まったのだけど、中継開始と同時にスタートという余裕のない中継スケジュールだった。先頭集団がテレビの画面に現れてオロモウツ市内のどのあたりを走っているかは大体わかっても、何Km地点なのかはわからず、見ていても仕方がないので、すぐに近くの公園に出かけることにした。
午後七時という遅い時間のスタートとはいえ、気温が下がらない中で走ることが多いので、あまりタイムには期待できない。涼しくなる年もないわけではないのだけど、今年も日中は気温が上がって心配だった。日が落ちてから気温も落ち始め去年よりは過ごしやすい感じになっていたから、去年のように救急車が走り回るようなレースにはならないだろう。
去年と同じ場所に陣取ったのだが、観客がコース内に入らないように、去年は自転車レースなんかでも見かける柵のようなものが設置されていたのに、今年は経費削減のためかテープが張られているだけだった。そのため、テープを引っ張ってほとんどコースに入っている観客や、テープの前に立っている観客、さらにランナーが走っている最中にコースを横断する観客がたくさんいて、去年の方がましだったかな。去年はコースを横断できる場所が決まっていて、係員が指示を出していたし。
そうそう新しいチェコ語を聞いてしまった。ミネラルウォーターのマトニ社が、スポンサーになっているのか、社名の入った蛇腹に折ってハリセンのようにして叩いて落とを出して応援するの使える紙を配っていた。選手が走って来たら、机の上に立ってチアガールのような応援をしていた女性たちが、その前に配っていたのだけど、その紙のことを「ファンディートコ」と呼んでいたのだ。「ファンディット」は応援するという意味の動詞だから、それから応援のためのグッズということで、作り出された言葉なのだろう。うちのはそんな言葉はないとお怒りだったけれども。
レースのほうは、去年よりも人数が少ない感じのするアフリカの選手たちが走りぬけ優勝していた。数が少なかったのは去年の熱さで出場者を集めにくかったのだろうか。去年はいた日本の実業団っぽい選手もいなかったし。いや一人「shiga」と書かれた日本人っぽい選手が結構上の順位で通過していったけど、一般参加のゼッケンをつけていたような気もする。隣にいた家族連れがどんどん前に出て行って視界を遮ってくれたために、目の前に現れる選手を見るので精一杯でゼッケンの確認なんてできる状態ではなかったのだ。
出場していた知人たちは、去年と同様に一時間半と二時間半を目指す選手たちとともに通過していった。二人目の知人が通過してしばらくしたところで、サイレンを鳴らさずに救急車がやってきた。コースの中央の植え込みに人が倒れていて係員がそばに立っているのが見えた。最初は、選手なのか、コースを横切ろうとして選手にぶつかって倒れた観客なのかは、わからなかったが、コースを走る選手の姿が途切れたところで、救助隊員がコース内に入って救助活動を始め、ゼッケンをつけた人を担架に乗せるのが見えた。毎年遠藤の観客をやっていて、初めての経験だった。
オロモウツ地方から選出で国会議員になっている農務大臣のユレチカ氏が、ほとんど最後尾を、走ると言うよりは、同行者とにこやかに話しながら歩いて通過していった。練習も何もなしで出場したらしい。政治家が選挙運動のつもりだか何だか知らんけど、こんなマラソンを冒涜するような真似するなよな。仮に走るだけ走って走れなくなって、へろへろの状態で歩いていたのだったら、文句を言う気にはならないのだが……。突然出るとか言い出して主催者に政治家の権力を使って出場を認めさせたんじゃないかとさえ疑ってしまう。真面目に走らない政治家の出場は禁止してしまえ。
当初の予定では、もう一件この日のスポーツについて書く予定だったのだけど、長くなったので日曜日の分にまわすことにする。
6月25日21時30分。
陸上の国対抗ヨーロッパ選手権の二日目もチェコ代表は頑張って、8位で残留を決めた。降格したのはベラルーシとオランダだったかな。6月26日追記。
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