2017年03月05日
警察馬(三月二日)
自分で書いておきながら、本日の題名をどう読むのがいいかなやんでしまう。「けいさつうま」「けいさつま」「けいさつば」、どれも音読みだから、「けいさつけん」を考えると悪くないのだろうけど、ピンと来ない。
とまれ、チェコに来てパトカーには乗せてもらったことがある。サイレンは鳴らしてもらえなかったけど。救急車で運ばれたこともある。このときは痛みで死に掛けていたから覚えていないけど、急患として病院に運び込まれたからサイレンは鳴らしていたはずだ。だから後は消防車に乗ってしまえば満足だと思っていたし、そう公言してきた。
しかし、もう一つ乗ってみたい、いや乗るためには訓練が必要で、そんなことはしたくないから、乗せてもらいたいものがあったのを思い出した。それが表題の警察馬なのである。普通の乗馬にはあまり惹かれないし、競走馬に乗るなんてもってのほかだけど、警察の人が乗っている馬にはちょっと惹かれる。子供だったら警察のイベントで乗せてもらえるのかな。
日本の警察にもいるのかどうかは知らないけれども、チェコの警察では犬だけでなく、馬も仕事をしている。初めて目にしたのは、ファン同士の対立があって危険があるとみなされるサッカーの試合の際に、よその町から電車でやってきたファンたちを警察が取り囲んで駅からスタジアムまで護送しているのを目にしたときだった。馬に乗ってファンたちと一緒に移動している警察官が何人かいたのである。
何で馬を使っているのだろうと不思議に思ったのだけど、最近プラハの警察の馬部隊に新しい馬が三頭加わったというニュースでその理由がわかった。一つは、馬に乗っている警察官は高い位置から周囲を見下ろすことができることらしい。つまり集団の外側だけでなく、内部、そして反対側で何が起こっているかまで見通せるので、緊急事態に対処しやすくなるということだ。
もう一つが、群衆を分散させるのに使いやすいということだ。自動車などを使うと、人間にぶつかった場合に、どうしても怪我人、場合によっては死人が出てしまう恐れがあるが、馬であればその危険も少ない。人間の警察官だけでは、警棒を奮っても群衆が分かれることはないが、馬の巨体が近づいてくるとついつい横に動いて避けてしまうものだという。それに動き出したり、止まったりするのが、自動車よりも急にできるというのもありそうだ。
1989年のビロード革命のときの映像を見ると、デモ行進を押しとどめようとして警官隊が、プラスチックの片手で盾を持って、警棒を振り回してデモの参加者を殴り倒しているシーンがしばしば出てくるけれども、あの時も馬が使われていれば、流血の事態は避けられたのかもしれない。いや、あそこまで集団が大きくなると馬でもダメだったのかな。当時チェコの警察で馬を使っていたのかどうか情報がないのが残念である。
サッカーのフーリガンだけでなく、移民排斥を求める右翼のデモ、それに反対する無政府主義者のデモなど、近年警察の馬部隊が活躍する場面が増えているような気がする。そんなニュースを見たときに、馬の上からデモの様子を眺めてみたいなと思ったのである。建物の上の同じ場所から見るのではなく、馬に乗ってデモと一緒に動きながら見るというのをやってみたいなと。実現はしないだろうけどさ。
3月2日
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