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2016年11月08日

強いぞチェコ代表(十一月五日)



 チェコ代表はチェコ代表でも、今日はハンドボールの代表の話である。2018年にクロアチアで行われるらしいヨーロッパ選手権の予選が始まり、チェコはアイスランド、マケドニア、ウクライナと同じグループに入った。またマケドニアだよと、世界選手権のプレイオフでの嫌な、不快な、腹の立つ記憶が頭をよぎるが、グループなのであそこまでひどいことにはならないことを期待しておく。
 今週の水曜日のアイスランドでの試合と、今日のプルゼニュでのマケドニアとの試合には、久しぶりに大砲フィリップ・イーハとパベル・ホラークが招集されており、イーハのプレーが見られると非常に楽しみにしていた。ホラークも見たいけど、イーハへの期待のほうが大きくなるのはしかたがないというものである。

 最初の誤算は、アイスランドとの試合がチェコテレビで中継されなかったことだ。サッカー代表の試合と違って国外での試合は中継されないことが多いけどさ、イーハの復帰戦だよ、ちょっと期待してしまったのだ。放映権を追加で購入して臨時に中継することを。
 その試合の得点の推移はテレテキストで確認していたのだが、一点差、二点差で負けている状態が続いて、なかなか同点、逆転ということにはならなかった。結局、惜しくも一点差で負けてしまって、勝ち点を手にすることはできなかった。格上と見られている相手に善戦したと言ってもいいのだろうが、勝てそうな、勝てる試合だっただけに、せめて引き分けておきたかったとは選手たちのコメントである。

 本日土曜日の二時半からマケドニアとの試合が西ボヘミアのプルゼニュで行われたのだが、イーハの姿は、観客席にあった。アイスランドでの試合で膝を痛めて欠場ということになってしまったのだ。残念は残念だが、今のチェコ代表は、イーハがいなくてもヨーロッパの強豪相手に手も足も出ないなんてことはあるまいと気を取り直してテレビの前に座った。マケドニアには今年の六月のホームでの試合でも六点差で勝っているのだ。期待はできる。
 いやあ、チェコ代表強くなったわ。クベシュとフィリップの二人が代表監督に就任したときには、チェコの国内リーグのチームの監督から、監督経験のないことを危惧し、どうせイーハが決めるんだからイーハを監督にすればいいのになんて揶揄する声が上がっていたが、まったくの杞憂だった。国内リーグで調子のいい選手を積極的に招集し、経験をつませて成長させている。その最大の成功例がレオシュ・ペトロフスキーだろう。プルゼニュ時代に召集されたときには頼りない印象だったのに、いつの間にか、フランスで活躍したユジーチェク以来の信頼できるポストに成長している。

 試合のほうは、六月のとは違って、試合開始直後からチェコが、固いディフェンスを基礎にしてリードを築き、安心して見ていることができた。選手たちも六月に圧勝したことから自信を持ってプレーできていたのかもしれない。試合開始から十五分ぐらいの時点で六点差をつけたときに、これはこのままいけると確信した。
 一時、退場者が出たときにキーパーを引っ込めてフィールドプレーヤーを代わりに出したときに、二回連続して攻撃に失敗してキーパーのいないゴールにシュートを決められて四点差にまで迫られたけれども、ふたたび突き放し最大で七点差、前半終了時には六点差で勝っていた。前半で活躍が目立ったのは、サイドのフルストカで打ったシュートが全部決まったんじゃないかな。最終的には二桁十点取るなど、攻撃面ではイーハの穴を埋めて余りある活躍だった。
 残念だったのはホラークが、ほとんど最初のシュートに行くプレーで、シュートしようとしたところを腕を押さえ込まれる危険な反則を受けたことで、以後痛みがあったのか、後半に入るまで守備時だけの出場となってしまったことだ。後半も同じような反則を受けて、守備専門に戻ったから、一点も取っていないんじゃないかな。守備ではものすごく効いていたけど。

 後半が開始されてしばらくはマケドニアが流れに乗って、三点差にまで詰め寄られたけれども、チェコが押し返して、点差を広げ終了直前には九点差まで行ったのだけど、最後の最後でミスが出て七点差まで詰め寄られてしまった。って贅沢なのはわかってるけど、マケドニアでの試合は何が起こるかわからないから、できれば十点差をつけておきたかった。審判が今日のスペイン人の審判のようにまともであることを祈っておこう。
 後半に活躍したのは、ポストのペトロフスキーで、前半に出てきたときから何か印象が違うと思ったのだが、以前は上体の大きさに下半身がついていけていない感じだったのに、上半身がきれいに絞れて下半身が強化されて、ドッシリ型の安定感のある体つきになっていた。これまでチェコに欠けていた重量級のディフェンスとの押し合いに負けないポストの誕生である。面白いぐらいポストプレーが決まり次々にゴールを重ね最終的にはチームで二番目の七得点を挙げている。

 もちろんキーパーのガリアの活躍も忘れてはいけない。六月の試合に続いて信じられないようなセーブを連発していた。圧巻だったのは、後半、正面からのシュートを止め、床に倒れこみ、跳ね返ったボールを確保したマケドニアのサイドが打ったシュートを、倒れこんだまま足ではじき出したシーンだ。一瞬何が起こったのかわからなかった。チェコテレビのアナウンサーも解説者も、興奮のあまり何言ってるかわかんなかったし。
 そうなんだよ。チェコ代表の結果ってキーパー次第のところがあるんだよ。もう一人のエースキーパーであるシュトフルが怪我なのか、調子が上がらないのか召集されていないのが心配である。でもムルクバもいるから大丈夫。

 かつてのチェコ代表は、特定の選手に依存するところのあるチームだった。それが、かつての代表の中心選手二人が引退して監督となり、もう一人のノツァルがマネージャーとなったことで、誰かが調子を崩しても、別の好調な選手が穴埋めできるチームになった。このままチーム全体で成長して、いずれは世界選手権、ヨーロッパ選手権でメダルを争えるところまで行ってほしいなあ。オリンピックなんかなくてもいいけど、チェコ代表が出るなら東京に行こうかなあなんてことを考えてしまうのである。

11月5日23時30分。



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