2016年08月05日
チェコにおけるビールの消費について――モラビア編(八月二日)
承前
記事によるとモラビアでは一般的にレジャークの割合が高いが、その中でもレジャークが一番飲まれているのがブルノだという。ただし、ブルノはレジャークはレジャークでも、一般的な12度ではなく、11度の消費量のほうがが多く、レジャーク全体で69パーセントだが、11度が40パーセントだというから、残りの29パーセントが12度の消費量ということになる。そうすると10度と12度はどっこいどこいの数字になりそうだ。
ブルノで11度の割合が高い原因としては、ブルノ人の愛郷心が挙げられている。ブルノにあるビール会社のスタロブルノでは、11度の生産販売に力を入れているため、ブルノを愛するブルノ人はスタロブルノの11度を飲むということらしい。ただ、ブルノ人でスタロブルノを愛飲している人なんて見かけたことはないしスタロブルノの11度なんて飲んだことないんだけどなあ。そこまでディープなブルノ人の世界に足を踏み入れたことはないから仕方がないか。
実は、最初にこの部分を読んだときに、11度の消費量を押し上げているのはスタロブルノではなく、ブルノの誇る(らしい)ミニ醸造所つき飲み屋のぺガスじゃないかと疑ったのだけど、ぺガスでは11度は生産していないみたいだから、間違いだった。
では、レジャークの中でも12度の比率が高いところはというと、オストラバである。オストラバでは12度だけで62パーセントである。レジャーク全体で67パーセントだから、11度はわずか5パーセントということになる。オストラバのビール会社であるオストラバルが12度に力を入れているという話は聞いたことがないんだけどなあ。最近オロモウツでは見かけないんだけど、スタロプラメンの子会社になっているんだったかな。
記事の説明では、共産主義時代にオストラバの中心産業だった炭鉱の労働者は、給与の面で優遇されており、普通の人には手を出しにくかった値段の高い12度のビールを飲むことができ、12度を飲むことが習慣となったのではないかという。そして、12度という強めの高いビールを飲むのは炭鉱夫たちにとっての誇りでもあったので、経済状況が悪化してお酒にお金を無駄にかけられる状況ではなくなってからも、12度を飲み続けているのではないかとも書かれていた。
そうすると、モラビア地方の主要都市では唯一レジャークの消費が49パーセントに留まっているズリーンは、共産主義の時代にバチャの城下町であることが嫌われて冷遇された結果レジャークを飲む習慣がなくなったということだろうか。昔ズリーンに行ったときに、ズリーンのビールはないのかと聞いたらないと言う答えが返ってきた。そして一番近いところにあるのは、スルショビツェだと言っていたけど、ズリーンでも見つけることができなかった。
ラデガストの本拠地であるノショビツェでレジャークの消費が49パーセントと半数以下なのはわかる気がする。ラデガストにはあんまりレジャークのイメージがないし。一番有名なのはノンアルコールのビレルだろうけど、これは基本的には瓶だから、集計に入っているのかどうかわからない。
では、我らがオロモウツはというと、モラビアの主要都市ではブルノとオストラバについでレジャークの割合が高く64パーセント。ただ記事の中では取り上げられていないので11度と12度の割合はわからない。チェコ人の知り合いと飲みに行くと、こっちが12度を頼むのに、10度を飲んでいることが多いような気がするんだけど、気のせいか。いや、そいつが10度が好きなだけか。
モリッツなんかの自分の店で醸造したビールを飲ませるお店や、ピルスナー・ウルクエルを扱っているお店が増えているのもレジャークの割合が高くなっている理由の一端かもしれない。まだ飲んだことはないのだけど、オロモウツの郊外にあるホモウトフという地区にもホモウトという地ビールがあって、オロモウツ市内に飲める店があるらしい。手を出すべきか、出さざるべきか、それが問題である。
ムラダー・フロンタの記事についているグラフによると、チェコ全体のビールの消費におけるレジャークの割合は年々増えているようだ。10度の割合が2009年には60パーセント近くだったのに、2015年には50パーセント弱まで下がっている。この変化の仕方から考えると、それ以前には10度の割合が70パーセントとかいう時代もあったのだろう。社会がささやかに豊かになった証拠と言っていいのだろうか。
他にもいくつかのグラフが付いていて、ビールの出荷量が2000万ヘクトリットル、だから200万キロリットルを超えたとか、人口一人当たりのビールの消費量が、143リットルだったとかいうことが確認できる。143リットルということは、普通の500mlのジョッキで286杯ということになるのか。一日一杯飲めば平均を超えられると考えれば、大したことのない数字のようにも思えるし、この数字がお酒を飲めない18歳以下も含めた上での平均であることを考えると大きな数字にも思える。比較対象として日本の数値が知りたいところである。
輸出と輸入の量のグラフも興味深い。チェコで普通に飲める外国ブランドのビールというとスタロプラメンでライセンス生産しているステラアルトワか、モラビア東部で飲めるスロバキアのズラティー・バジャントぐらいだし、輸出が圧倒的に多いのは当然であるが、2010年だけ輸入ビールの量が飛び抜けて多いのが気になる。何があったのだろうか。調べてみたいような気もするが、時間もないので今回はここまで。
8月3日23時。
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日本に輸入されているこれがスタロプラメンでのライセンス生産だとは思えないけど、モラビアのビールが発見できなかったので。8月4日追記。
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