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2016年01月20日

チェコ語のtiは、「チ」か「ティ」か(昔書いたもの)



 チェコ語を知らない人のために説明しておくと、このチェコ語のtiの発音は、日本語の「チ」とも「ティ」とも違っていて、あえて言えばこの二つの中間にある音である。そのため、チェコ語学習者は固有名詞を日本語に音写する時に、どちらの表記を使うのかで悩むことになる。悩まないという人もいるかもしれないが、一度はしっかり考えておく必要のある問題である。この問題を通して、チェコ語と日本語の音韻体系、表記体系の全体を見つめなおすことは、正しい発音を身に付けるためにも有用なはずである。
 ここで、先に結論から言ってしまえば、表記に関しては、どちらでもかまわないと思う。個人個人が自分の考えに基づいて正しいと思うほうを使えば、それで何の問題もないというのが、四捨五入すれば廿年になんなんとする日本語とチェコ語のあわいでの苦闘の果てに得た結論である。
 では、筆者個人が現在どちらを使っているかというと、原則として「ティ」である。それにはいくつかの理由があるのだが、その一つは、日本のチェコ語関係者のほとんどが「チ」の表記を使っており、それを当然とする風潮に対する危惧からである。日本語での表記が「チ」で固定化されてしまうと、発音も固定化され、実際にチェコ語で話す時にも、日本語の「チ」で発音するようになってしまうのを恐れているのである。それを防ぐためには、表記はゆれていた方がいい。
 日本人が外国語の言葉を発音する時に、カタカナの表記に引かれて発音してしまうというのは、よく知られた事実である。「チ」と「ティ」の問題なら、「チーム」を例に挙げておけば充分であろう。「ティ」という表記の一般的でなかった時代に日本語に入ったこの言葉は、直音化されて「チーム」と表記されるようになり、一般にはカタカナ通りに「チーム」と発音されてきた。その後、1980年代に、より英語の発音に近い「ティーム」を使おうと考えた人々が現れて、一時はかなりの勢力を誇ったが、結局は日本語の表記として根付いていた「チーム」に引き戻されて、現在では「ティーム」を使う人はほとんどいない。そして、語学の専門家ではない多くの日本人は、日本語でのカタカナ表記につられて外国語で話す時にも、「チーム」と発音してしまうのである。
 次に、考えなければいけないのは、チェコ語には「ティ」「チ」に相当するtyとčiという音があるという点である。つまりtiをどう表記するかという問題は、tiとtyの二つの音の間で考えるのではなく、čiも加えた三つの間で考えなければならないのである。よく使われるtiとtyは発音が違うのだからtiは「チ」と書くべきだというのでは、半分しか理由になっていない。tiとčiの発音の違いを無視しているのだから。
 ならば、tiの発音が「チ」と「ティ」のどちらに近いかで決めればいいと言う人もいるかもしれないが、その判定が難しい。同じtiでも言葉によって微妙に違って聞こえることもあるし、人によっても違うこともある。自分自身が発音する時はどうかというと、舌の位置は「チ」に近く、使い方は「ティ」に近い。発音自体は「ティ」に近いのではないかと思うが、これは「チ」と発音したくないという筆者の意識が働いている面もあるので参考にはならない。
 もう少し、考察の対象を広げてみよう。tiと子音を同じくする音節には、ťa、ťu、tě、ťoがある。このうち、ťa、ťu、ťoは、「テャ」「テュ」「テョ」と表記すれば、チェコ語の発音とほぼ同じになる。つまり、「テ」にヤ行の仮名を書き添えているわけだから、奈良時代以前に消えてしまったヤ行の「イ・エ」が残っていれば話は簡単だったのだ。しかし、今更それは無理な話だだから、「テュィ」「テュェ」とでも書くのがいいのかもしれないが、これでは、煩雑に過ぎるし、ぱっと見ただけでは読めそうにない。それに、ドイツ語での発音の違いを意識するあまり、ゲーテを「ギョエテ」と表記してしまった独文学者たちの二の舞になりかねない。
 話を戻すと、ここで考えなければならないのは、těも含めて、「テャ・ティ・テュ・テ・テョ」と書くのか、「テャ・チ・テュ・チェ・テョ」と書くのかということなのである。どうだろうか。このように並べてみると、前者のほうがよさそうに見えないだろうか。ただし「チャ・チ・チュ・チェ・チョ」という表記を選ぶ人もいて、それはそれで見識である。
 さらに厄介なのは、濁音のďa、di、ďu、dě、ďoの場合である。「ヂャ・ヂ・ヂュ・ヂェ・ヂョ」という表記を使う人も多いようだが、チェコ語を生業としている方ならともかく、日本語稼業の人間としては、このような日本語の表記体系から外れるものを使うわけにはいかないのである。歴史的仮名遣いで文章を書く場合であれば考慮に値すると思うが、そんな機会はないだろう。とまれ、ここでも「デャ・ディ・デュ・デ・デョ」「ジャ・ジ・ジュ・ジェ・ジョ」のどちらを選ぶかという問題になるわけである。
 さて、ここまで書いておいて何だが、この問題はどちらの表記を使っても問題はないのだと改めて言っておきたい。駄目なのはこちらでなければならないと断定する意見である。筆者個人の表記法についていっておけば、ゆれている、否、意図的にゆれたままにしてある。プロステヨフとプロスチェヨフ、ブデヨビツェとブジェヨビツェ、ディビショフとジビショフ、ティシュノフとチシュノフ、該当する固有名詞は他にもいろいろあるわけだが、いつでも前者の表記を選ぶというわけではないのである。
 クロイツィグルをクルージガー、シャファージョバーをサファロワと表記して恥じない一部のマスコミ連中には何も言う気にならないが、チェコが好きでチェコ語を勉強している人たちには、以上のようなことを考えた上で自分なりの表記をしてほしいと切に思う。先生に言われたからという安易な理由でではなく、自分で考えて選ぶことは、今後のチェコ語の学習に必ず役に立つはずである。



 去年、今年と同じように毎日書こうと考えた計画の一環として書き始めたいくつかの記事の中で、珍しくけりをつけることのできたもの。一つ前の記事と関連しそうなので、一緒に投稿することにした。1月19日追記。



 お世話になった辞書を発見。こちらの大学書林版より、もともとの京産大版のほうがよく使ったけれども、どちらもチェコの我が家の床の上に転がっている。1月19日追記。


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