2020年12月17日
ペトル・チェフ現役復帰(十二月十四日)
ペトル・チェフといえば、サッカーのチェコ代表における史上最高の選手の一人で、長年にわたってチェコ代表のゴールを守ってきた選手である。昨年の五月にアーセナルの一員として出場したものの、古巣のチェルシーに負けてしまったヨーロッパリーグの決勝を最後の試合として、現役を引退したのは記憶に新しい。
その後チェルシーに戻ってフロントの仕事をしていたのだが、その傍らで、子供の頃からの夢だったと言いながらアイスホッケーの下部リーグのチームに所属して、ゴールキーパーとして何試合か出場したというのがニュースになっていた。去年の夏は、現役時代から続けているキーパーを目指す子供たちのためのトレーニングキャンプも実施していたから、引退してもある程度体は動かしていたようだ。
そんな、ペトル・チェフが現役復帰するというニュースが世間を騒がせたのは、すでに十月のことだっただろうか。イングランドリーグで出場可能な選手として登録されたというのである。当初は手続き上のミスだという説もあったらしいが、チェフ本人が登場して自分は準備ができていると語ったことで、ミスではなく本当に選手として登録されたことが明らかになった。どうも、現在のプロスポーツの運営にも規制がかかっている状況で、ゴールキーパーが足りなくなった場合の保険としての登録だったようだ。保険とは言っても僅かでも出場する可能性がある以上、しっかりとトレーニングを積んで試合に出場できる状態になったというのが本人の発言の真意だろうか。
その後、チェフが実際に試合に登録されたとか、出場したというニュースはなかったのだが、今日になって、残念ながらAチームではないのだが、Bチームの、リザーブリーグとでもいうのだろうかの、今日の夜の試合に出場するというニュースが入ってきた。対戦相手は同じロンドンのトッテナムで、チェフ出場を知った多くのファンが楽しみにしているらしい。
チェフが出場するに至った経緯は、感染対策でAチームのメンバーを、いくつかの少人数のグループに分けてそのグループ単位で活動しているため、例年のようにAチームの選手が、Bチームの試合に出場するのが困難になっていることが前提にあるらしい。そして本来Bチームでキーパーとして出場している選手がユース世代の選手で、週末にユースチームの試合に出たため、Bチームのキーパーがいなくなり、チェフに出番が回ってきたということのようだ。ユースの選手を出場させないのは、若い選手には必要以上に無理をさせないということらしい。
AチームBチーム合わせて、キーパーが3人しかいないなんてことはないはずだし、恐らく怪我で欠場中のキーパーもいるのだろう。いや怪我人が出てこういう事態が起こることが想定できたからこそ、チェフが選手登録されたと考えるのが正しいか。さすがにAチームで試合に出場するというところまで行くとは思えない。思えないのだけれども、チェフなら、そんな非常事態が発生したとしても見事に対処してくれるんじゃないかとちょっと期待してしまう。
試合のほうは、チェフにとっては悪夢のような始まりだったらしい。開始早々にチェフ本人のミスから失点し、前半は0−2で終了。後半にはいってチェルシーが逆転に成功して、3−2で勝利した。映像を見たわけではないのでチェフのプレーがどうだったかなんてことはわからないのだが、引退から1年半、保険として選手登録して選手としてのトレーニングを開始して2ヶ月弱で、リザーブリーグとはいえ、一試合出場して勝利に導けるところまで持ってくるんだから、やはりチェフはとんでもない人である。
チェコのサッカー界ではロゼフナルと並ぶ頭脳派だったので、将来は代表監督としてチェコに戻ってきてくれないかとか。ハシェクみたいに協会の会長になって改革を進めてくれないかなんてことを期待していたのだけど、ネドベドがイタリアに残ってフロントの要職を務めているように、チェフはイギリスに残るのだろう。チェコのサッカー協会なんて、IOCなんかと同じで腐敗しきっているから、改革のしようもないのかもしれないけどさ。
2020年12月14日23時。
タグ:サッカー
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