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2020年11月15日

24時間コメンスキー朗読マラソン(十一月十二日)



 今年は、モラビアが生んだチェコの偉人の一人、ヤン・アーモス・コメンスキーが、祖国を終われ、流浪の果てに見つけた安住の地、オランダで亡くなって、ちょうど350年目に当たるらしい。それで、プラハでは大々的な国際学会が計画されていたらしく、知り合いのコメンスキー研究者も何人か、日本から来られることになっていた。

 一人の先生からは、春の時点で、これでは学会もなさそうでチェコには行けそうもないという連絡を頂いたのだが、そのときには、チェコのことなので多少の感染者は出ていても、遠隔地からの参加をオンラインにするだけで、学会自体は開催するだろうと予想していた。それが夏場の政府の怠慢で、感染者の数が多少どころではすまないことになり、学会なんぞできるような状態ではなくなってしまった。
 当然、コメンスキーの学会も中止になったのだろうし、日本から来ても、プラハに入ることはできても、それ以上にできることはないから、あまり意味がないよなあなどと考えていたら、別の先生から、チェコの科学アカデミーの哲学研究所が企画したオンラインイベントの紹介が届いた。350年前にコメンスキーが亡くなった11月15日の午前0時から、24時間朗読マラソンを、Zoom上でやるらしいのである。もちろんコメンスキーの作品の朗読である。

 実は参加を誘われたのだけど、週末だったのと、チェコ語でコメンスキーを読む自身がなかったのとで諦めた。自宅のネットの状況はあまり安定しておらず、Zoomを使っていると問題が起こることがあるし、コメンスキーの古いチェコ語をぱっと見で読めるほど、チェコ語に堪能ではないのである。つづり方が今とは違う部分もあるし、練習する時間もない。
 ただ、実際にどのように行うかを、哲学研究所の当該のページで確認したら、日本人は日本語に訳されたものを読めばいいようである。でも、日本にいたらそれでいいのだろうけど、チェコにいる人間がそれをやるのはなんだか負けたような気がする。

 とまれ、イベントの概要を説明しておくと、イベント名は日本語っぽく訳すと「世界中でコメンスキーを読む」で、14日の深夜、つまりは15日の午前0時にプラハで始まり、それぞれの参加者が15分ずつ、コメンスキーの作品を、自分の選んだ言葉で読んでいく。ヨーロッパが中心だけれども、アメリカや、オーストラリア、そして日本からも京都、東京、横浜に参加者がいるようである。
 朗読に使われる言葉としては、チェコ語、ラテン語というコメンスキーが執筆に使った言葉はもちろん、英語やドイツ語、日本語などの想定できる言葉に加えて、エスペラントとカシューブ語までが挙げられている。エスペラント訳は、かつてのチェコスロバキアが一時はエスペラントに力を入れていたこともあって存在してもおかしくないと思うのだけど、ポーランド(ドイツにもいるかも)の少数民族の言語であるカシューブ語訳なんて存在するのか? カシューブ語が出来るコメンスキー研究者が自ら翻訳してこのイベントに臨むという可能性もあるなあ。この二つの言葉での朗読は、さっぱりわからないだろうけど、こわいもの見たさで聞いてみたいような気もする。

 参加差者以外でも、朗読の様子がユーチューブでライブストリームが行われるらしいので、聞くことは可能なようである。哲学研究所がこのイベントのために開設したチャンネルがこれ。一つ目のビデオは科学アカデミーの建物内のコメンスキー関係の展示を紹介したもの。二つ目が15日の朗読マラソン用のもので、木曜日の夜中の時点ですでに数人の人が待機中になっている。当日ネットの状況がよかったら覗いてみようかな。でも、最近、チェコテレビのネット上の中継もまともに見られたことがないんだよなあ。
2020年11月12日24時。










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