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2020年08月22日

関係代名詞4「který」前置詞付2(八月十九日)



 六月末に関係代名詞「který」について書き始めながら、長らく中断してしまったのは、前置詞を付けて使う例文を考えるのが面倒だったからである。面倒な理由は、以前も書いたが、日本語では語順の関係もあって連体修飾節を使わないような文でも、チェコ語では関係代名詞が使えるところにある。「使える」であって、「使わなければならない」ではないところが重要で、日本語の文をそのまま関係代名詞を使わずに訳しても、全く問題ない。だから、例文を考えようとすると、普段自分では関係代名詞を使わないような文しか思い浮かばず、にっちもさっちもいかなくなったのである。前回の時点ですでにダメダメだったんだけど。

 それで、今回は前回から一歩進んで、関係代名詞を使った文を自然な日本語に訳して、それをさらにチェコ語にしてそれでも問題はないんだということを示そうと思う。昨日、次のような文を見かけた。細部には違いがあると思うけれども気にしても仕方がない。

・Dnes jsme měli dlouhé jednání, během kterého jsme se na tom dohodli.

 関係代名詞について解説すれば、中性単数の「jednání」を受けて、2格を取る前置詞「během」の後だから、中性単数2格で「kterého」になっているのは問題なかろう。強引に連体修飾節を使って訳すと「我々は今日、それについて合意に達した長い交渉を持った」とでもなるだろうか。意味は分からなくはないが個人的には、「我々は今日長い交渉の末、それについて合意に達した」としたいところである。これをチェコ語にすると、以下のようになるだろうか。

・Dnes jsme měli dlouhé jednání a na tom jsme se dohodli.

 日本人というよりは、日本語人にはこちらの方が精神衛生上楽なのである。だから前回、自然な日本語で訳してみた文、「日本のお米がないと生きていけないのだが、両親が送ってくれた」「そのパーティーで美しい女性と出会い、すぐに恋に落ちた」も次のように訳してかまわない。

・Nedokázal bych žít bez japonské rýže, ale rodiče mi ji na štěstí poslali.

 「na štěstí」はなくてもいいけれども、嬉しい気持ちを強調するために入れてみた。

・Seznámil se v tomto večírku s krásnou ženou a hned se do ní zamiloval.


 次は逆に日本語から始めてみよう。例えば「仕事を探すのを手伝ってくれた友達を夕食に招待した」という文は、日本人なら次のように訳すだろう。

・Pozval jsem ne večeři kamaráda, který mi pomáhal při hledání práce.

 最後の部分がなんだか怪しいなあとか、これでは仕事が見つかったのかどうかわからないとか不安になった場合には、仕事を見つけたことがはっきりするようにちょっと変えてもいい。

・Pozval jsem ne večeři kamaráda, který mi pomáhal, abych našel práci.

 短いのに無駄に複雑な文になったのが気に食わない。「私が仕事を見つけられるように手伝ってくれた」ということは、「友達のおかげで仕事が見つかった」ということなので、というところまで考えがたどり着くと、多分チェコの人がよく使うと思われる文が出来上がる。

・Pozval jsem ne večeři kamaráda, díky kterému jsem našel práci.

 日本人としては、「見つけることができた」と可能を入れたくなるけれども、チェコ語では要らないはず。ちゃんとしたチェコ語の文を書かなければいけないときには、こんな手順であれこれ考えて、自然なチェコ語だと思われる文を作り上げるのである。もっとも、わかるけど変だと言われることの方が多いのだけど、同じことを、いろいろな方法で表現する練習をするというのも、やはり語学の勉強には重要で、関係代名詞は日本語に直訳すると、なんか変な文になるのでその練習にうってつけだといってもいい。

 ちなみに、あんまり難しく考えたくないときは次のような文にしてしまう。

・Když jsem hledal práci, kamarád mi pomáhal, a proto jsem ho pozval na večeři.

 直訳すると「仕事を探していたとき友達が手伝ってくれたから、夕食に招待した」となって微妙に違うけれども、言いたいことは十分に伝わるはず。そもそも、同じ文でも言い方によって微妙に違うニュアンスがこめられたり、文脈によって微妙に捕らえられれかたが変わったりするものだから、ごく単純な文ならともかく、チェコ語と日本語の文が常に一対一で対応するなんてことはありえない。
 だから、いろいろな表現の仕方を覚える意味があるのだけど、その分、文脈まで考えなければらない作文のときに、どの表現を使うのがいいのかで悩むことになる。それもまた外国語を勉強する醍醐味なのかもしれないけど、日本語で文章を書くときの何倍も、下手すれば何十倍も時間をかけた挙句に、お馬鹿な文章になってしまうから泣きたくなる。
 どうにもこうにも中途半端だけど、「který」の話はひとまずこれでお仕舞いにして、次に進むことにする。
2020年8月19日24時30分。













タグ:関係代名詞
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