2019年07月16日
ウィンブルドンのチェコ選手A(七月十四日)
承前
準々決勝で、二回戦でチェコのシニアコバーを破ったイギリスのコンタ選手に勝って、四大大会で初めての準決勝進出を決めたのが、ベテランのストリーツォバーである。この人、思ったことをずけずけと口にしてしまうタイプで、歯に衣着せぬ物言いで物議を醸してしまうこともある。プリーシュコバーにコーチをとられたといって泣き言めいたことを言っていたこともあるし、ウィリアムス選手のことを真っ向から辛辣に批判したこともある。
準決勝での対戦相手が、そのウィリアムズ選手だったのは、皮肉というかなんと言うか。日本のマスコミだと因縁の対決めいたあおり方をするのだろうが、ごく普通に試合をして、普通にあっさり負けてしまった。ストリーツォバーは、自分のプレーもいまいちだったけど、相手がよすぎたと完敗を認めていた。
男子はまとめるまでもないけど、女子の結果をまとめておくと、ベスト16にチェコの選手が4人、ベスト8に2人、ベスト4に1人というのは、なかなかの好成績と言ってもいいのではないだろうか。しかも、上位に進出したのは33歳のストリーツォバーから22歳のムホバーまで、年齢もばらけているし、全仏で準優勝して、ランキング1桁が見えてきたボンドロウショバーが20歳であることを考えると、チェコの女子テニスは、これからもしばらくは安泰である。
さて、これでチェコの選手のウィンブルドンが終わったかというと、そんなことはなく、ダブルスでも、チェコの女子選手は大活躍している。昨年のこの大会で優勝してダブルスのランキング1位まで駆け上がったシニアコバーとクレイチーコバーのペアこそ、準決勝で負けてしまったが、ストリーツォバーが台湾の選手と組んで優勝したのだ。グランドスラムの大会でシングルスで準決勝進出、ダブルスで優勝というのは、そんなにあることではなかろう。
本来この決勝は土曜日に予定されていたのだが、日曜日に延期され、日曜日の試合も、男子シングルスの決勝が長引いたため、予定時間よりも大きく遅れて始まった。それでも動じないのが調子のいいときのベテランというものなのだろう。あっさり2-0で優勝を決めて、ダブルスのランキングで1位になることが決まっている。
いいときのストリーツォバーのテニスは、技術的なことはわからないが、相手の意表をつくプレーが多くて、素人が見ていても楽しい。チェコテレビで確実に放送されるテニスの大会というと、デビス・カップとフェド・カップしかないのだが。ストリーツォバーはフェド・カップの代表を引退することを発表しているから、中継で見る機会は残念ながら今後はほとんどなくなりそうである。東京オリンピック出場に期待するしかない。
とまれ、フェド・カップでは、第三の選手として、クビトバー、シャファージョバー、プリーシュコバーの陰に隠れて目立たないことが多かったけど、ストリーツォバーが最後のダブルスで試合を決めたこともある。ただ、フェド・カップもデビス・カップと同じで、フォーマットを変えるという話だし、チェコの選手たちの注ぐエネルギーも減っていきそうだから、これまでほど熱心に応援はできなくなる。
チェコの女子選手は、ストリーツォバーのようにシングルスでかなり上位に上がってきても、ダブルスに力を入れている選手が多い。そしてナブラーティロバーのように(この人は一度引退してからの復帰だったけど)、シングルスでは活躍できなくなってからも、ダブルスで息長く活躍を続ける選手もいる。現時点でのその手のダブルス専門になったベテラン選手の筆頭が、クビェタ・ペシュケオバーで、この選手、十年以上前、まだチェコの成績が上がりきらないころ、初めてフェド・カップの試合を見たときに、すでにチーム最年長のベテランとして紹介されていたと記憶する。
その後代表に呼ばれなくなったから、とっくに引退しているものと思っていたら、そんなことはなかった。今回のウィンブルドンでは、女子ダブルスでアメリカの選手と組んで出場し準々決勝まで進出し、混合ダブルスではオランダ選手とのペアで準決勝まで進出している。気になって確認したら1975年生まれだという。この人もチェコのスポーツにしばしば現れる選手生命が長い、鉄人とか言いたくなる選手の一人である。
男子はダブルスもイェバビーがオーストリア選手と組んで出場して三回戦まで進出しただけ。ダブルスでも若手が出てきていない。デビス・カップもつまらなくなったし、まあいいか。数年後に誰か活躍し始めるのを気長に待つことにしよう。そういえばジュニアの男子ダブルスで、チェコ人ペアが優勝したんじゃなかったかな。
2019年7月15日10時。
タグ:テニス
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