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2019年07月15日

ウィンブルドンのチェコ選手@(七月十三日)



 七月に入って、自転車のツール・ド・フランスとテニスのウィンブルドンが始まった。ツールのほうは、来年からNTTになるらしい南アフリカのチームのダイメンションデータからロマン・クロイツィグルが出場しているだけで、数年前に二人、三人出場するのが普通だったことを考えると、寂しさを禁じえない。ツールで毎日のように逃げて名前を売ったバールタもチェコのチームに戻ってきたし、ケーニックは怪我から復帰する気配も見えず、期待の若手がドーピングに手を出して発覚するなど、チェコの自転車界はちょっと停滞気味である。

 停滞気味といえば、自転車よりひどいのがテニスの男子で、長年チェコの屋台骨を背負ってきたシュテパーネクが引退し、ベルディフが年齢からか怪我がちになってランキングを落としてしまったことで、100位以内に定着した選手が消えてしまった。以前はロソルとベセリーが、50位前後を上下していたのだけど、二人とも調子を落としてなかなか上がってこられていない。超のつくベテランの域に入ったロソルはともかく、ベセリーはまだまだ老け込む年ではないはずなのだけど。
 最大の問題は、この三人の調子が上がらないことではなく、三人に続く選手が出てこないことにある。2000年代に入ってから、ランキングの一桁に入ったのは、ノバーク、シュテパーネク、ベルディフの三人しかいないが、100位以内なら三人以外にも常に誰かいたような気がする。女子ほどの数ではなくても、若手選手が少しずつ成績を上げて100位以内に入ってきていたことを考えると、これから先が心配である。デビスカップも優勝どころか本大会に出場できれば御の字ということになりそうだし。

 今回のウィンブルドンも、本選に出場できたのは、ベルディフと予選から勝ち上がったベセリーの二人だけ。怪我が治っているのかどうかも怪しいベルディフには、期待できないと思っていたら、初戦であっさり0-3で負けてしまった。ここ二、三年怪我が多くて出場している時期よりも欠場している時期のほうが長い(印象を受ける)ことを考えると、最近選手寿命が延びているとはいえ、引退の時期が近づいているのかもしれない。
 もう一人のベセリーは、今年はあまり調子がよさそうではないので、本選に出られただけで御の字だと思っていたら、意外なことに初戦、二回戦をそれぞれ3-1で勝って、三回戦まで進出した。三回戦ではフランスのペール選手に1-3で負けたけど、大健闘だといっていい。これで、100位以内復帰かなと思ったのだけど、去年のウィンブルドンではもう一つ上の四回戦まで進出したらしいから、ランキングは上がらないかな。

 それに対して女子のほうは、次々に若手選手が出てきて、ランキング100位以内に数人のチェコ人選手がいるのが普通のことになっている。安定して上位にいるのは、一桁に定着しているプリーシュコバーとクビトバー、それに20位台から50位台を行き来しているベテランのストリーツォバーの三人だが、入れ替わり立ち替わり、上位に上がってくる選手がいるので、グランドスラムの大会には、予選を勝ち抜いた選手も含めて、毎回10人近いチェコ選手が出場する。
 今回のウィンブルドンでも、9人のチェコの女子選手が出場している。初戦で敗退したのは、三人だけで、六人が二回戦に進出した。残念だったのは、全仏で大番狂わせで準優勝を遂げたマルケータ・ボンドロウショバーが、あっさりと負けてしまったことだが、その後の病院での検査で手首に怪我を負っていたことが明らかになっている。現時点ではチェコ最大の期待の若手で、しかも左利きなので、怪我が取り返しのつかないところまで悪化しなくてよかったと考えておこう。

 三回戦まで進出したのは、プリーシュコバー、クビトバー、ストリーツォバーに、ムホバーを加えた4人で、4人とも勝って4回戦に進んだ。クビトバーはこの4回戦で負けてしまったのだが、全仏以降手首の怪我で、欠場が続き、ぎりぎりまで出場が危ぶまれていたことを考えれば期待以上の結果が出たといってもよかろう。ただ、ウィンブルドンと相性がよく、二度の優勝を誇るクビトバーには、優勝して、押し込み強盗に利き手の左手を切られた事件からの完全復活を果たしてほしかった。

 期待以上の結果といえば、4回戦でプリーシュコバーと対戦して、試合時間3時間15分、第三セット13−11というスコアで勝ったムホバーである。ムホバーはウィンブルドンの本選初出場で、準々決勝進出を果たした。準々決勝では負けてしまったけど、誰も予想していなかった活躍だった。ちなみに、プリーシュコバーはウィンブルドンとは相性がよくないことを自他共に認めていて4回戦でも去年と並んで過去最高の結果である。
 ムホバーは、今年の春のプラハでの大会にワイルドカードで出場して、予想外の準優勝を遂げて、世界ランキングで、100位以内に入ったのだけど、それまではあまり知られた存在ではなかった。ただ、以前、父親がかつてシグマ・オロモウツなどで活躍したサッカー選手で、現在はどこかのチームの監督かコーチを務めているヨゼフ・ムハだというので話題になったことはあると思う。オロモウツ出身のテニス選手というのは珍しいから、応援しなければなるまい。
以下次号。
2019年7月14日23時。














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