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2019年06月18日

所有形容詞C(六月十六日)



 所有形容詞の作り方と格変化の説明は終わったので、今回は使い方である。まず、所有形容詞が使えない場合から説明しよう。

 女性名詞から作る所有形容詞のところでも少し触れたが、形容詞型の名詞からは、所有形容詞を作ることができない。だから、カレル大学、マサリク大学は、それぞれ所有形容詞を使って、「Karlova Univerzita」「Masarykova Univerzita」となるが、形容詞型の名字を使ったパラツキー大学とコメンスキー大学は、「Univerzita Palackého」「Univerzita Komenského」と2格にして後からかけなければならないのである。ただし、他の名詞が2格にすると必ず対象となる名詞の後ろに持っていかなければならないのに対して、形容詞型の名詞の場合には前で使うことも可能である。オロモウツのパラツキー大学の建物のひとつには、「Palackého Univerzita」という表示がついているものがある。
 これは、ちょっと古風な言葉遣いだという話だが、スポーツ新聞でサッカーの記事を読んでいたら「Poborského 何とか」という表現を見つけてびっくりしたことがある。サッカーの選手が書いた記事ではなかったけど、スポーツ選手って口語的なチェコ語の中にときどきこんな古めかしい表現を混ぜてくることがあるので油断がならない。そのスポーツで伝統的に使われている表現だったりするのかもしれない。「krom toho」とかさ。

 この形容詞型の名詞から所有形容詞が作れないと言うのは、日本人の名前にも関係する。基本的に母音で終わる日本語の名前のうち、ア段、ウ段、オ段で終わるものに関しては、母音を取り去って、男性か女性かによって「ův」か「in」をつければ、所有形容詞を作ることができる。ただし、女性の名字から所有形容詞が作れないのは、チェコ語の場合と同様である。
 それに対して、イ段とエ段で終わる名前の場合には、形容詞扱いになるので、所有形容詞は使えず、男性の場合には「ho」をつけて2格にして使用する。女性の名前がイ段、エ段で終わる場合には、女性形は2格が1格と変わらなくなってしまうので、名前だけでなく名字も一緒に使って2格であることをはっきりさせたほうがいいかもしれない。
 現在チェコで行なわれているソフトボールの世界選手権のチェコとの試合で大活躍した投手のマツダ選手からは、所有形容詞が作れて、中継のアナウンサーと解説者がしきりに「Macudův」というのを使っていた。ときどき間違えて「Macův」になっていたけど。それに対してチェコでも知られている作家村上春樹の名字からは、所有形容詞は作れず「Murakamiho」と2格にして名詞につなぐのである。

 それから、人を表すのに2語以上使う場合には、所有形容詞にはできない。だから、プラハのルジニェの空港がバーツラフ・ハベル空港と名前を変えたとき、「Letiště Václava Havla」となったのである。もし単にハベル空港だったら「Havlovo letiště」という名称になる可能性もあったのだけど。同様にチェコ各地にあるマサリク広場は、「MasarykovaMasarykovo náměstí」という名称のことが多いが、スロバキアのブラチスラバで新たに名付けられたT. G. マサリク広場は、略されているとはいえ一語ではないので、「Náměstí T. G. Masaryka」と呼ばれるのである。
 これは、名前と名字の組み合わせにとどまらず、「安倍首相」「ゼマン大統領」などと人名に肩書を付けたものも使えないし、「日本の国会議員」「チェコの大臣」のように形容詞を付けた場合も所有形容詞にすることはできない。このことから、固有名詞と化したカルロビ・バリなどの地名はともかく、普通の人のものの場合には、文章の最初から所有形容詞で表すことはできないということが想像できるだろう。つまり、「チェコのミロシュ・ゼマン大統領は」云々という文を受けて、「ゼマン氏の何々」というときに、「Zemanův」という所有形容詞が使われるのである。

 複数の人を所有者にする所有形容詞も作ることはできない。オロモウツの交通の要所である英雄広場は、「Náměstí hrdinů」と複数2格となっていることから、一人の英雄を記念した広場ではなく、たくさんの英雄たちを記念した広場だということがわかる。だから、一人の英雄のものになる「Hrdinovo náměstí」という名称にはできないのである。さらに言えば、この共産主義の時代に根差す英雄には、本来「無名の」という形容詞がついたはずなので、仮に単数であっても、具体的な英雄と称された人物をさすわけではない。これも「英雄」が、この場合に所有形容詞の形で使えない理由である。

 これまで、例として使ってきたのは、人名、名字などの固有名詞ばかりだったが、一般の名詞でも人を表わすものであれば所有形容詞の形で使うことができる。ただし、具体的な個人をさすことがはっきりしている文脈の中でしか使えない。これは固有名詞でも同じで、チェコにも同じ名前の人、同じ名字の人はたくさんいるが、どのカレルなのか、どのゼマンなのかがはっきりわかるような形で使うのである。
 だから、同じ「先生の仕事」という日本語でも、チェコ語に訳す場合に、一般に先生全体に関わるものであれば、「učitelská práce」という一般的な形容詞を使った形、もしくは複数2格をつかって「práce učitelů」とするのだが、直前に出てきた具体的な先生を受けての「先生(個人)の仕事」であれば、所有形容詞を使って「učitelova práce」とすることができる。もちろん、単数2格を使うことも可能だが、その場合は、「práce tohoto učitele」と指示代名詞を一緒に使ったほうがわかりやすくなる。まあ、簡単に「jeho práce」で済ませるという手もあるから、この手の所有形容詞の使用は必須ではない。
 それで覚えなくても何とかなると言うのだけど、使ってみると、実は意外と簡単で、ものすごく難しい文法を使っているように、見えたり聞こえたりするから試してみる価値は十分にあると思う。
2019年6月17日21時。













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