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2019年05月31日

EU議会選挙結果(五月廿九日)



 ビールの話に戻る前に、これを片付けておこう。スポーツを先にしたのは、注目度の差である。チェコでは、投票率28パーセントが語るように、EU議会選挙はそれほど注目を集めていなかったのである。ハンドボールは個人的な注目度の高さの問題である。

 例によって、このEU議会選挙に先行した政治状況の変化を概説しておくと、2017年の社会民主党のソボトカ政権の迷走と崩壊が最大の出来事である。連立政権を組んでいたANOのバビシュ氏を追い落とそうとしてあれこれ画策した結果自滅したという印象を与えたのが、すでに始まっていた社会民主党の凋落を確定的にした。2009年のトポラーネク内閣、2013年のネチャス内閣に続いて、三つ目の内閣が、閣内の与党同士の主導権争いが原因となって倒れたことになる。
 2009年の緑の党、2013年のVV党は市民民主党と相討ちの形になって、その後の下院の選挙では議席を獲得できなかったが、ANOはしぶとかった。2017年秋に行われた選挙で、「コウノトリの巣」事件のスキャンダルにもかかわらず、30%近い票で78議席を獲得して第一党になったのである。第二党になった市民民主党の三倍の票と議席を獲得したが、単独過半数には届かなかった。社会民主党は大きく減らして共産党よりも下だったのである。

 その後、バビシュ氏はまず、ANO単独での少数与党での政権の樹立を画策したが失敗。改めて社会民主党と連立を組み、共産党の閣外協力を取り付けて、下院で承認を得たときには、次の重要な選挙である大統領選挙が終了していた。その大統領選挙では、ANO、社会民主党、共産党にオカムラ党が、大なり小なり支援したゼマン大統領が、他の政党の支持を集めたドラホシュ氏を破って当選している。
 去年の大統領選挙でゼマン大統領が当選したとはいえ、社会民主党とゼマン大統領の関係は、とくに党の指導部との関係はあまりうまくいっていないから、これが社会民主党の党勢の回復につながるとは思えなかった。市民民主党は、一時の壊滅状態からは下院の選挙で回復したとはいえ、創設者の息子のクラウス氏を追放するなど内紛を起こしていたから、ここも議席を増やすことはなかろうと踏んでいた。

 投票は金曜日の午後と、土曜日の午前中から2時までという時間帯に行われたのに、結果は他国の選挙に影響を与えないようにということか、日曜日の午後11時まで発表されなかった。その結果選挙番組も臨場感を欠いて全く盛り上がらなかった。この盛り上がらなさもEU議会の選挙の投票率が低い原因になっているのかもしれない。日本もそうだけれども、チェコなどのヨーロッパでも、選挙が半ばショーと化してしまっていて、民主主義だどうこういうのに疑問符を付けたくなることがある。

 とまれ結果は以下の通り。

  ANO        6(21.2)
  市民民主党     4(14.5)
  海賊党       3(13.9)
  TOP09+市長連合   3(11.6)
  オカムラ党     2(9.1)
  キリスト教民主同盟 2(7.2)
  共産党       1(6.9)

 一番の驚きは社会民主党が、5パーセントを越えるどころか、4パーセント弱の得票率に終わり、議席を失ったことである。党首のハマーチェク氏は、ANOと連立内閣を結成していなかったら、さらに得票率が下がっていたはずだと主張しているがどうだろうか。連立するならするで最初から、下院の選挙の直後から連立すればいいものを、一度ANO単独で組閣させて失敗させたうえで、連立交渉を始めた中途半端さが有権者の信頼を失ったものとみる。先日の内閣不信任案の際にも、退場して賛成も反対もしないというざまで、何も決められない政党というイメージを自ら作り出してしまった。
 二つ目の驚きは市民民主党が、海賊党を押させえて第二党になったことである。これは前回の下院選挙と同じだとはいえ、海賊党が意外なまともさを発揮している中、市民民主党では内紛が起こっていたことを考えると、驚きである。この辺りは、ANOの得票率がそれほど高くなかったこと、共産党をはじめとした組織票をもつ既存の政党が議席を確保していることから考えて、投票率の低さが影響していると考えてよさそうだ。
 共産党が得票率を減らして議席を失ったのは、共産党支持者の一部がオカムラ党に流れたことを意味するのだろう。極右と極左は親和性が高いのである。

 この結果から、日本のマスコミのよくわかっていない人たちは、反EU、反難民受け入れの政党が躍進したとか言い出すのだろうが、大まちがいである。
 議席を獲得した7つの政党のうち、はっきりとEU離脱を主張しているのはオカムラ党だけである。共産党もEUに批判的だが、離脱を主張するところまでは来ていない。他の政党はすべてEUはチェコにとって必要な存在で、チェコがEUを脱退することはありえないと主張している。同時に、どの党も(海賊党は違うかも)、議席を失った社会民主党も含めて、現在のEUの運営の在り方を変えなければいけないと主張しているのである。もちろん党によって重点を置くところは違うが、EUそのものではなく、その運営を批判し改善を求めている点では全く同じなのである。
 難民の受け入れに関しても、オカムラ党、ANOに限らず、ほぼすべての国政政党が受け入れに反対している。海賊党ですら積極的な受け入れの主張はしていないのである。それに難民受け入れ反対とレッテルを張られているが、正規の手続きを踏んでチェコへの受け入れを希望する難民に関してまで、受け入れ拒否といっているわけではない。数は少ないが、チェコで難民申請中の人や申請が通った人もいるのだ。オカムラ党はこの辺の正規の手続きを踏んだ難民の受け入れも拒否することを主張しているようだが、他の党は受け入れ制度を本来のEUのルールとチェコの法律に基づいて運用することを主張しているだけである。

 だから、今回のチェコに於けるEU議会の選挙について何か言うなら、真っ先に言うべきことは投票率の低さである。ブレグジットというEUを揺さぶる問題、バビシュ首相のEU助成金をめぐる疑惑が解決されない状態で、ゼマン大統領がEUに批判的な言動を繰り返す中でさえ、EU議会選挙の投票率が30パーセントにも届かなかったのである。
 議席数の少ないチェコでどんな結果が出ようとEUは変わらないと考えたのか、どの政党がEU議会に議席を持とうが変わらないと考えたのか。いずれにせよ、この投票率の低さにつながっているのは単なる無関心というよりは、諦めの気持ちのように思われる。これこそ民主主義の危機ではないのか。幸いチェコでは下院の選挙だけは投票率が比較的高いけど、投票率28パーセントで出た結果をもとに、国民の意志がどうこう言われてもなあ。
2019年5月29日20時30分。





共通欧州売買法〈草案〉 共通欧州売買法に関する欧州議会および欧州理事会規則のための提案 (別冊NBL) (単行本・ムック) / 内田貴/監訳 石川博康/訳 石田京子/訳 大澤彩/訳 角田美穂子/訳









タグ:EU議会 選挙
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