2019年05月25日
迷惑なサッカー(五月廿三日)
昨日の夕方職場から自宅に戻る途中、異様にパトカーの姿が多いのが目についた。何か事件でも起こったのかと思ったら、サッカーの試合が行われるだけの話だった。問題は、国内のカップ戦の決勝であることと、出場チームの一つがバニーク・オストラバだということだった。バニークというチームは、特に批判する気もないのだが、その「応援」と称してチェコ各地まで押し寄せて、迷惑を振りまいている「ファン」連中には、全部とっ捕まえて刑務所放り込めとしか思えない。その悪行に関してはすでに何度か書いたので繰り返さない。
対戦相手のスラビア・プラハのファンも、以前は、初めてチャンピオンズリーグに出場した10年ちょっと前は、その振る舞いを称賛してくれる日本の人がいるなど、比較的マシだったのだが、二部落ちを覚悟するような低迷を経て、中華資本の手先トブルディークの元で復活を遂げた後は、中国の影響か過激化が進んで、バニークファン並にたちが悪くなっている。
先日も、試合があったわけでもないのに、リーグの優勝を争っていた相手のプルゼニュのスタジアムまで出向いて、設備を破壊するという事件を起こしている。ホームのエデンのスタジアムはもちろんのこと、チェコ国内であればどのスタジアムでも、禁止されているはずの発煙筒を持ち込んで、火をつけて大騒ぎをして、試合の進行を妨げ、何度かクラブに罰金を負わせている。
そんな二チームのロクでもないファン共が来るというので、オロモウツでは警察が、厳しい警備態勢を敷いていたわけだ。ファンたちはプラハからもオストラバからも電車で運ばれてきたわけだが、オロモウツの駅でぶつかるのを避けるために、オストラバのファンの乗った電車は、隣駅のグリゴフにしばらく停車して時間調整をしていたという話もある。
両チームのファンは、試合中に、案の定、持ち込んだ発煙筒を炊いていた。風が強かったおかげで煙がすぐに拡散し、視界が悪くて試合が中断するということはなかったが、運営側の発煙筒に対する対処が以前よりも甘くなっているのが気になる。以前は、スタジアムで待機している消防隊の人たちが、発煙筒に向けて放水して火を消していたはずなのだが、最近は燃え尽きるまで放置している。
それどころか、サッカー協会の「ファン」連中に対する対応が、一体に甘くなっているような気さえする。教育省のスポーツに関する助成金の不正支給疑惑で逮捕されて退任を余儀なくされたペルタ氏が会長のころは、たちの悪いファン対策をあれこれ提出して、クラブ側から反発を買っていたような気がするのだけど、最近は、問題が起こってからクラブに罰金を科したり、観客席を一部閉鎖させたりするだけで、抜本的な対策をしようという意志は見えてこない。
ペルタの時代には、問題を起こしたファンに対して、その場で対処できるように警察や裁判所なんかとも連携していた。現行犯で警察が捕まえて、何年間かサッカーの試合への入場を禁止する命令をその場で出せる体制になっていたのかな。最近はそんな話も聞かないし、かつて盛んに議論されていた、入場券購入の際に身分証明書を提示させて登録することで座席がわかれば購入者もわかるようなシステムの導入も、いつのまにかうやむやになってしまった。
ペルタという人は、あれこれ問題もある人ではあったけれども、スタジアムの安全対策に関しては、まじめに取り組んでいたようなイメージがある。チェコなので、会長が変わると前の会長がやったことはすべてなかったことにされるんだよなあ。特にスキャンダルで失脚したりするとさ。
この試合での問題行動は、当然発煙筒だけにとどまらず、オストラバのファンがビデオ審判を襲撃するという事件を起こしている。これは恐らく前半終了間際に、スラビアにPKが与えられたシーンで、ビデオ審判が介入して判定を変えさせなかったことを恨んでのものであろう。このPKは、ちょっと厳しいかなという判定ではあったけど、誤審と言うほどのものではなかったので、ビデオ審判が介入する余地はなかったのだが、ビデオに対する期待をあおりすぎたからこんなことになるのだ。ハンドボールもそうだが、ビデオがあっても微妙な判定、微妙な誤審は残り続けるはずである。
もう一つの事件は、観客席ではなく、グラウンドで、正確にはそのわきで起こった。控え選手としてベンチに座っていたオストラバの英雄ミラン・バロシュが、出場していないのにレッドカードをもらうという珍事を起こしたのである。最初は、審判に対して暴言を吐き続けたのが原因だろうと思われていたのだが、実際には判定に対する怒りで、ベンチの椅子を殴りつけて破壊してしまったのが、出場していないのに退場させられた理由らしい。弁償はするよな?
試合のほうは、割とどうでもいいのだけど、スラビアが勝ってリーグとカップ戦と両方を制覇した。スラビアにとっては77年ぶりとかいう快挙らしい。でも、そんなのを自慢する前に、毎回毎回発煙筒を持ち込むファンを何とかしろと、オーナーを務めるトブルディークには言いたい。観客席の一部閉鎖の処罰を科されるたびに異議申し立てをして撤回させるのもやめるべきだろう。ファンが発煙筒を集団で炊くような事態が起こったら、そのチームの次のホームでの試合は、無観客で行うぐらいのことをしないと、状況は改善されないだろう。もちろん、一回目は一試合、二回目は二試合と無観客試合の回数を増やしていけば、さすがにまずいと気付くんじゃないのかねえ。
それから、中継のチェコテレビのアナウンサーも、発煙筒がたかれた場合には、どんなに素晴らしい応援をしたとしてもファンを褒めてはいけない。発煙筒を使った以上は、すべては全く意味がないという対応を、できれば選手たちもするようになれば、多少はましになると思うのだけど。今のチェコのスタジアムの様子を見ると、わざわざ出かけて行って見ようという気にはなれない。チェコも昔の日本と同じで、金の使い方を知らない小金持ちが増えているのである。発煙筒買うぐらいなら、どこかに寄付したほうがマシである。
オロモウツでこういうサッカーの試合があるのは悪いことではないのだけど、バニークとスラビアが来るのは正直いい迷惑である。
2019年5月23日23時。
商品名の日本語がおかしい。
このミュージカルは断じて「プラハ!」などではない。
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