2019年03月05日
サーブリーコバー復活(三月三日)
二月の終わりになって、ウィンタースポーツの世界選手権があちこちで開催されるようになっている。日本でもジャンプの小林選手の活躍で注目を集めただろうノルディックスキーの世界選手権は、チェコでもテレビで放送されたのだけど、距離でもジャンプでも複合でもチェコ選手は活躍できなかった。唯一ジャンプのノーマルヒルの一回目で6位に若手のサカラが入ったけど、コンディションが滅茶苦茶になった2回目は代失速だったしって、普段のワールドカップで開催されていないノマールヒルが世界選手権とオリンピックでだけ開催されるというのも何だか変な話である。
アルペンスキーやスノーボードの世界選手権も行なわれてチェコ選手も出ていたようだし、スノーボードではいい成績も収めたようだけど、こちらがあまり興味がないこともあってあまり意識していなかった。次ぎはバイアスロンかなあ、今年は去年のオリンピックよりは期待できるかななどと思っていたら、スピードスケートの世界選手権の放送が行なわれていた。
スピードスケートもいろいろ世界選手権があってよくわからないのだけど、昨日、今日と放送されたのは、4種目総合の世界選手権の女子の部だった。これは、500メートル、1500メートル、3000メートル、5000メートルという短距離から長距離までの4種目を二日間で滑るというもので、サーブルーコバーを筆頭に、ドイツやオランダなどの長距離が専門の選手が優勝することの多かった大会である。だから去年日本の高木選手が、どちらかというと短距離を専門とする選手なのに、総合優勝を飾ったのはとんでもない偉業だったのだ。
今年も高木選手は好調なようで、サーブリーコバーが昨年から続く怪我の影響での不調で今シーズンも最盛期と比べると成績が上がっていないことを考えると、高木選手の二連覇かなあなんてのが開始前の、いや一種目目の500メートルが終わった時点での感想だった。距離別の世界選手権の5000メートルで優勝はしたけど一か八かの賭けが当たっただけだなんてコメントを残していたしね。
サーブリーコバーは500メートルでは13位、1位は一人だけ別世界のタイムを出した高木選手。2位の選手に1秒以上の差をつけていて、サーブリーコバーと2位の選手の差は1秒ないといえば一人旅っぷりがよくわかる。カナダのカルガリーで行なわれたこの大会、会場が記録の出やすいところらしく、出場者の多くが自己記録を更新していた。だから、サーブリーコバーのタイムがほぼ自己ベストと同じと聞いてもそこまで期待は高まらなかった。
二種目目の3000メートルでは、サーブリーコバーが圧倒した。予想どころか、期待をも超えるようなすべりで、世界記録を更新してしまったのだ。これまでの記録は13年前にカナダの選手が出したもので、スピードスケートの世界では一番古い世界記録だったらしい。それを0.03秒更新したというから、これは行けるかと期待は高まった。ライバルとなる高木選手はほぼ7秒差で8位。二種目終了した時点で1位高木選手と2位のサーブリーコバーの二人に優勝争いは完全に絞られた。
三種目目は予想通り高木選手が制し、サーブリーコバーは4位。総合順位で1位と2位は変わらず、その差は5000メートル換算で約15秒。相手が長距離専門の選手だったら大きすぎるさだけど、高木選手が短距離が強い選手であることを考えると微妙な差である。中継のアナウンサーは、サーブリーコバーがまた世界記録を出せば期待が持てるなんてことを言っていた。
5000メートルでもサーブリーコバーが世界記録を更新した。こちらは過去の自分の記録を更新したものらしいが、3000と5000の長距離二種目の世界記録を、24時間で両方更新してしまうという偉業に、サーブリーコバーの復活を、怪我からの復活を強く印象付けられた。怪我で出場が危ぶまれている状態で表彰台争いをする時点でサーブリーコバーのすごさは際立っていたのだけど、怪我がなければ、調子さえ維持できていれば長距離では敵なしの存在であることを改めて見せ付けることになった。
これで、最終組の高木選手は5000メートルを7分以下で滑りきらなければならなくなった。記録の出やすいリンクとはいえ、さすがに短距離が強い選手には不可能なタイムで、最終的には7分3秒弱で、サーブリーコバーに逆転を許してしまった。5000メートルには上位8人しか進出できないから、最下位には終わったけれども、決して悪いタイムではなかったはずだ。
サーブリーコバーはこの4種目総合世界選手権で五度目の優勝、距離別などのほかの世界選手権の優勝をあわせると、20回目の優勝ということになるらしい。久しぶりに背中の痛みなしにすべることができたとレース後に語っていたから、痛みさえなければしばらくはサーブリーコバーの王座は揺るぎそうもない。
ただ、日本の高木選手が500で37秒前半のタイムを普通に出すくせに、5000も7分ちょっとのタイムを出せるようになっていることを考えると、今後はとんでもないオールラウンドの選手になりそうな期待もある。この人、出てきた頃は日本のスピードスケートの停滞期で、話題先行の感があったけど、完全に話題性を超える実力を身につけた感じである。となるとこの大会は来年以降もしばらくは、サーブリーコバー対高木選手という構図になりそうだ。
2019年3月4日22時。
タグ:スピードスケート
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