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2019年03月01日

ボサーク師匠(二月廿七日)



 気が付けば二月もすでに廿七日、明後日はもう三月である。いやまったく時間が経つのが早すぎる。このブログも体感時間の加速に一役買っているのかもしれない。毎日毎日、いやほぼ毎日多少の増減はあっても一定量の文章を書いていると今日が何月何日なのかの意識がはっきりしなくなる。これは、名目上の日付と実際に書いている日がずれているというこちらの書き方もよくないのだろうけど。
 何でこんなことを書き始めたかというと、たしか初年度のかなりはじめのほうで、我がチェコ語における目標であるカンボジアの国王についての記事を書いて、そのうちにもう一人の目標チェコテレビのスポーツアナウンサーのヤロミール・ボサークについても書くつもりだったのだけど、そのうちにと思っているうちに三年もたってしまったことに気づいたからである。

 ボサーク師匠はチェコテレビではサッカーの中継を担当することが多いのだが、オリンピックの際には特設スタジオに選手を向かえてインタビューをする番組を担当することもある。最近はゴルフに手を出して、ゴルフの中継も担当するようになっている。考えてみれば、これがボサーク師匠を、以前ほど師匠と感じられなくなっている原因で、ここまで記事にするのが遅れた理由かもしれない。ゴルフ大嫌いだし、環境団体には、自然破壊云々言うならゴルフ廃止運動やれよなんてことを思ってしまうしさ。
 ボサーク師匠を師匠とした理由は、そのチェコ語における多彩な表現にある。自分自身でもこのぐらい多彩で、ユニークで、しかも笑いを取れるようなチェコ語の表現を自由自在に使えるようになりたいというのが目標だった。カンボジアの国王陛下は、そのチェコ語の言葉遣いだけでなく音の響きの美しさに感動してのことだったから、昔は外国人として正確で美しいチェコ語ではなしつつ、チェコ人以上に多彩表現を使えるようになりたいと思って勉強していたのだ。

 その目標が達成できたとは思えないが、師匠が中継の最初の言葉として使う「Zdravím vám všem fanynkám a fanouškům fotbale z Kavčích hor(女性も男性もすべてのサッカーファンの皆様にカフチー・ホリからご挨拶申し上げます)」なんて表現をもじって、人前で日本について話すときに「Zdravím vám všem fanynkám a fanouškům Japonska z Olomouce(女性も男性もすべての日本好きの皆様にオロモウツからご挨拶申し上げます)」なんてことを言えたこともある。わかってもらえたかどうかはわからないけど。
 そのボサーク師匠ならではの多彩な表現を駆使したコメントを集めたサイトがあったはずなので、これを書くのにどんな発言があったのか確認しようとしたのだけど、姿を消していた。移転したのか削除されたのか、ちょっと残念である。冒頭の挨拶以外に、覚えている師匠のよく使う表現って「アイ、アイ、アイ」ぐらいしかないんだよなあ。これはチェコ代表が負けが決まるような失点をした時によく師匠の口から出てくる言葉である。「アイヤイヤイ」と聞こえるかもしれない。日本の中継アナウンサーはこんなとき何て言うんだろう。

 ボサーク師匠も含めたチェコテレビのアナウンサー達は、民放の連中とは違って、中継の際に文法的に正しいチェコ語を使って、小汚いプラハ方言(一般チェコ語とも言うが言いたくない)や汚い言葉を使うことはないのだが、普段の生活ではそうではないことを知らしめたのが、以前書いたハーフタイムの雑談で「vole」を連発していたのが放送されてしまった事件だった。つまり、状況に応じて完全に言葉遣いを変えているのである。これは多かれ少なかれみんなやっていることではあるが、外国人にはなかなか難しいところでもある。

 先日、最近地上波で放送を始めたチェコのポータルサイトのセズナムのテレビ局が放送しているサッカー番組に、ボサーク師匠が登場して驚いた。セズナムTVではサッカーの専門家チームにボサークを迎え入れたなんてことも言っていたから、完全に移籍したのだろうと思ったら、そんなこともなく、以後もときどきチェコテレビでサッカーの中継を担当している。セズナムでは中継の担当はしないでハーフタイムと試合後のスタジオで解説をする役だったのかなあ。
 チェコテレビのサッカーの中継といえばボサーク師匠だったのだけど、以後は変わっていくのかもしれない。チェコテレビのアイスホッケー中継の顔ザールバも一時期民放のノバに移籍していたことがあるというから、ボサーク師匠のセズナム移籍も一時的なものであることを願っておこう。そして師匠の印象的なコメントを聞いたらメモに残しておこう。これまで何度も考えながら実行したことのない決意を新たにするのであった。
 酒飲んで書くと迷走するなあ。
2019年2月28日23時45分。




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