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令和3年度防衛予算案が12月21日に決定して、令和2年度補正予算案も同時に登場しました。
概算要求から、いろいろ削られたと思ったらASM-3の改良型調達開始とは驚いた!
この時期には、思わぬ時間差で情報が飛んでくるので面白い時期ですね〜!
今回の予算の見どころは何なのかな?
(前回記事):『【尋ね人】keenedge1999さんどこですか?』
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(1)2021年度予算案登場!
令和3年度防衛予算案と、令和2年度第3次補正予算案が閣議決定いたしました。
総額5兆3千億円に上る予算となり、概算要求とは色々違う内容となりました。
1.1 補正予算でC-2輸送機買ってるよ〜!
今回、令和2年度第3次補正予算の特徴は、C-2輸送機1機の調達が前倒しになりました。
令和3年度本予算案で、1機分削減した埋め合わせでしょう。
図1 C-2輸送機
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/yusouki/C-2/images/gallery/photo05.jpg
ホントならば、令和2年度予算では調達が無かったはずでした。
色々と予算の兼ね合いは難しいものです。
1.2 歳出化経費で前倒し払い込み
令和2年度第3次補正予算では、コロナ禍による企業支援のため次年度分の払い込み分を前倒しで計上しています。
図2 補正予算
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/yusouki/C-2/images/gallery/photo05.jpg
歳出化経費だと、令和2年度(令和3年3月31日)までに使い切るため企業への支援となるでしょう。
何とか企業の方には、頑張ってほしいものです。
1.3 補正予算と本予算で大混乱!
防衛装備庁や調達の現場だと、補正予算が付くのはありがたいのですがなかなか大変なところがあります。
現職時代に、同じ品目なのに本予算・第1次補予算・第3次補正予算での調達を行ったことがあります。
製造は一緒なのに、契約が3つに分かれるため3契約分の書類を作成する必要に迫られました。
『検査合格書類3本に分けるのって無駄じゃない?』
検査合格書類は、支払いに必要なものですのでまとめてできません。
なかなか本予算と補正予算の苦労をしたことがあります。
そんな令和3年度の防衛予算案の目玉は何でしょうか?
(参考記事):『【防衛省】本予算と補正予算でめっちゃ忙しい!』
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(2)F-15JSI落選!ミサイル一杯にASM-3A?!
令和3年度予算案について、最初に目を引いたのがF-15J戦闘機能力向上改修事業の落選です。
その他、12式地対艦誘導弾延伸予算にASM-3A調達経費計上?!
2.1 悲痛!F-15JSI改修費用が見送られた!
F-15J戦闘機について、スタンドオフ能力を確保するための改修費用が令和3年度予算では見送られました。
図3 F-15JSI
引用URL:https://datacdn.btimesonline.com/data/images/full/113259/japanese-f-15jsi.jpg
概算要求では、231億円の要求が行われていました初度費の膨張により見送られました。
初度費だけで1018億円となるため、分割で支払っていましたが12式SSM(改)に予算を回すために削られたのでしょう。
2019年度予算では、2機分の改修費用が計上されていますのでちょっと配備が遅れるかもしれません。
JSMを搭載したF-15JSIを見るのは、もう少し先でしょうか?
2.2 12式SSMのスタンドオフ化推進!
概算要求では計上されていなかったものの、陸自の12式地対艦誘導弾改良型についてさらに射程延伸開発予算が計上されました。
図4 12式SSM射程延伸
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2021/yosan_20201218.pdf
335億円の費用を計上して、12式(改)をさらに長射程化してスタンド・オフ・ミサイルとして運用することになります。
射程は1000kmになるといわれており、相当な射程延伸です。
政治の要求として盛り込んできたといえます。
2.3 ASM-3A量産化開始!
12月25日に、防衛省から「新たな重要装備品等の選定結果について」が発表されました。
参考文書『新たな重要装備品等の選定結果について』(防衛省)
突然の発表で、ASM-3対艦ミサイルの射程延伸型「ASM-3A」の調達を公表しています。
概算要求や予算概要でも広報されていませんでしたので、結構な驚きです。
図5 ASM-3
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/img/soubi_system/img2019_soubi_system07.png
本来であれば、ASM-3(改)の開発完了後に量産型が登場すると思われていました。
XASM-3の開発の長期化により、射程が世界標準から立ち遅れていました。
それでも射程延伸をしながらとりあえず調達優先となったようです。
現状として、超音速対艦ミサイルの配備を優先したといえます。
ASM-3(改)の開発は継続されるため、ASM-3A・ASM-3Bといった形になるのでしょう。
海自のFCS-3とFCS-3A(ひゅうが型に装備)のような前例もあるため、装備品調達としてよい傾向かもしれません。
(参考記事):『【防衛省】油槽船は結構デカい船になるようだね?!』
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(3)完成品主義からの変革を!
現職時代に、開発品が量産化されるときには陳腐化していることを何度も味わいました。
FCS-3しかり、S-10水中航走式機雷掃討具(04式機雷掃討システム)でも同じことがありました。
図6 S-10
引用wiki
3.1 完成品主義という呪縛
艦艇開発隊に勤めていた時、上司がよく言っていたのが「完成品主義の呪縛」です。
仕様書にて調達される装備品は、その時点で完成されており「改良=欠陥品」とされてしまう風潮です。
改良要求を出しても財務省に、
『改良するのは元々が欠陥品だったということだ。ならば調達をやめるべきだ。』
そんなことをよく聞かされました。
最近の調達では、完成品主義の呪縛が解けてきたといえます。
米軍のようなスパイラル開発が、今後目指すべき方向でしょう。
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3.2 予算話は色々面白い!
防衛予算は、補正予算と併せてみるとなかなか面白いところがあります。
以前にあった、海自輸送機としてC-130Rを6機補正予算で購入するなど無茶なこともしています。
図7 C-130R
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/aircraft/transport/c-130r/img/c-130R_02l.jpg
歳出や、後年度負担(国債)での購入などなかなか面白いですよ〜!
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新SSMについてK社さんが乗り込んできたのは驚きました。
棲み分けにて、誘導弾の開発リスクを回避しようとしているのかもしれまんね〜。
しかし96式多目的誘導弾システムの二の舞いにならないことを祈ります。
ハープーンについても、戦闘機用と哨戒機用では細部が異なっていると聞いています。
一応キット化により、ある程度の共用性はあるもの戦闘機用をそのまま哨戒機に搭載して発射するのは難しいと聞いています。
やはり哨戒機に乗せるときにかなり仕様変更を行うのですね。
エジェクターラックや発射管制装置など大掛かりになり、戦闘機と哨戒機にて誘導弾の共用はかなりきつそうです。
対艦誘導弾のGPS受信装置も空のASM-2Bでは軍用型が使われているのに対して、陸の12式SSMでは民生品が搭載されています。かつてASM-1では能力向上の一環としてSSM-1の誘導部へ換装することをECPで提案しましたが、これは実現せずに終わっています。
まさに自衛隊の開発の問題として、部分最適化をしすぎて転用を考えていないところがあります。
海自の「91式空対艦誘導弾(ASM-1C)」「哨戒機用新空対艦誘導弾(SSM-2C?)」も、派生元から特化しすぎて戦闘機搭載などを考慮していないところがあります。
今までの開発思想として、「派生型に汎用性を持たせるのは悪である」というのが装備品開発に根強く残っています。
汎用性を持たせると、財務省に開発予算を減らされてしまうという慣習もあります。
今後改善すべき事項でしょうね〜。
確かにハープン(AGM-84D,84F,84J)といった空対艦ミサイルだと戦闘機用を哨戒機に搭載できそうな気がしますね。
MIL-STD-1553デジタルデータバスを搭載していても、発射機側に発射プログラムが無いと発射ができまません。
哨戒機だとAGM-84Dは打てても、戦闘機に搭載しているブロックUのAGM-84Jが打てないなど結構細かい差異があります。
米軍はその辺しっかりしているのですが、自衛隊だとプログラム更新が遅れていたりします。
発射プログラムは米軍のブラックボックスになっているので、防衛省側であんまりいじれないんですよね〜。
さらに、搭載しても細かい事前動作チェックが必要で戦闘機用ハープーンをすぐに哨戒機に転用することができません。
SFでの自衛隊統合演習にて、いやというほど対艦ミサイルの不足を味わいました。
対艦誘導弾の搭載については、対艦ミサイルの備蓄数を増やして飽和攻撃を行うためにあります。
哨戒機の場合、ハープーン(AGM-84)とASM-1C(91式空対艦誘導弾)があります。
戦闘機搭載用の場合は、第1撃の主力として使用するものが多いです。
哨戒機搭載の場合、対艦攻撃ミサイルはかく乱用として側面支援として使用します。
F-2戦闘機部隊の支援が望めない地理関係の場合、哨戒機の対艦攻撃も行います。
戦闘機用と哨戒機用は、派生型で似通っていますが戦闘機用誘導弾をそのまま哨戒機に搭載はできません。
海空自衛隊の作戦運用次第といったところです。
F-15JSIについては、本気で雲行きが怪しくなってきてますね〜。
F-15EXとの兼ね合いもあるので、どうにか進めてほしいものです。
次期戦闘機を急ぐか、F-35・P-1への搭載に切り替える方策も考えているでしょう。
F-15JSI改修に関してはボーイング側が「必要なパーツ再生産するの必要があるのでその分コスト跳ね上がるぞ!」
とか後出しで言い出したとの話があるのでぶっちゃけこのまま続行するかも怪しい情勢なようで(
さすがに空自の欧州嫌いの発端となったともいわれるアドーアの悲劇レベルではないとはいえ、
多少遅れようとも国産で開発しないとアカンという風潮が
出てきてるのは良い事なのかアカン事なのか……