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2018年01月25日
分かりやすい文を書くこつ
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本日は、わかりやすい文を書くこつについて書きます。
結局は、毎日書く練習をして少しずつ身につけていくしかありません。
ただ、急にすべてのことをお伝えしても吸収できないでしょうから、折に触れて少しずつご紹介します。
今回は、一つのポイントに絞ります。
文を短くしてみましょう。
これを心がけるだけでかなり作文が上達すると思います。
例として、次の文章を読んでください。2004年3月に発行された金沢星稜大学論集第37巻第3号の藤則雄さんによる「縄文時代における自然環境」という論文です。たまたまネットで検索したら出てきた論文です。http://www.seiryo-u.ac.jp/u/education/gakkai/e_ronsyu_pdf/No96/p001-026_fuji.pdf
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定されるが、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
私は縄文時代の自然について素人です。この論文は、先ほども書いたように、さっき偶然見つけました。「大学 論文集」と検索したら一番上に金沢星稜大学の論文集がヒットしました。
専門家の文章にしては分かりやすいとは思います。後でも書きますが、学術論文としては問題ありません。しかし、新聞記事の基準で考えれば長すぎます。一文で約190文字。こんな長い文を入社試験で書くと評価が下がるでしょう。
まず、注意していただきたいのは「が」。「が」は、逆接(「しかし」など)の意味でも使えるし、前置きを書く場合も使えるので、頭を悩ませずに文と文をつなげられます。特に話し言葉ではよく使うので、文章でも多用しがちです。
例に挙げた文章でいえば、「冷涼帯的気候のように推定されるが、」の部分です。ここはいったん、「推定される」で切ると分かりやすくなります。
すると、次のようになります。
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
それでも、まだ二つ目の文が長いですね。それでは、どうすれば良いでしょうか。自分で考えた上で、次の例を見てください。
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉はCryptomeria(スギ)だ。この種は湿地性環境に多産する。このことを勘案すると、この帯の気候が冷涼だからCryptomeria(スギ)が多産したと推測するのは適切ではない。むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
どうでしょうか。元は一つだった文が、五つになりました。表現も少しだけ手直ししました。特に、注目していただきたいのは、「(スギ)であり」を「(スギ)だ」に変えた点です。この部分で句点(。)を打つことで、文が短くなります。
専門性の高い内容なので、すぐに頭に入るわけではないでしょう。それでも、五つの文に区切れば、句点が出てくるたびに読み手は頭を整理できます。
また、原文には、一文の比較的近い場所に「こと」という言葉があります。これも便利な言葉ですね。でも、使いすぎると分かりにくくなります。特に、「冷涼であったことの理由によって」はぎこちない印象を与えます。
皆さんが大学などで目にする専門書には、今回の例文のような理解しづらい文章が多く見られます。皆さんの頭脳が悪いから分からないのではなく、たいていは一般の読者を想定せずに書いているので理解できないのです。
専門家の文章は、同じ分野を研究する人を対象に書かれています。分かりやすさよりも、厳密であることが優先されます。だから、一般人に理解しづらくても当然かもしれません。私はたまたま「長い文」を探して、この論文の該当箇所に目が行っただけです。素人の私が改変したことによって、筆者の藤さんから「主旨が違う」というお叱りを受けるかもしれません。その場合は、謝罪します。
実は、科学記事でよく新聞が間違うのは、こういうことなのです。記者の多くは大学で文系分野を専攻していました。たまたま配属された科学部で一生懸命勉強しても理解には限界があったり、最先端分野なのでそもそも理解することが困難な場合があったりします。そういう中で、理解しづらい内容(記者が理解できていない内容)を分かりやすく表現しようとすると、専門家が見ると「明らかな事実誤認」となることがよくあります。
1月23日の朝日新聞デジタルには「21日配信の『地球に磁場、まだまだ謎』の記事で、地磁気反転のきっかけが『外核の流れの一部が逆流』とあるのは、『外核を流れる電流の一部が逆流』の誤りでした」とあります。私もこれと同じような間違いは過去にしていただろうなという気がします。
https://digital.asahi.com/articles/ASL1Q65TWL1QUEHF01V.html
さて、話を元に戻します。
少なくとも新聞は一般の読者を対象にしています。しかも、入社試験の担当者は大量の課題作文を短時間で読んで採点しなければいけません。いくら真剣に皆さんが書いたものを理解しようとしても、人間ですから一文が長過ぎると読む気をなくしてしまいます。必然的に点数は下がります。
自分が試験を突破するために一文を短くしましょう。
今回のおさらいです。
要点は「が」と「であり」。この二つを書きそうになったら、そこで句点を打ってください。ぐっと分かりやすくなります。
引き続き質問をお待ちしています。
下のコメント欄にお書きください。
日中、気になったニュースをリツイートしたり、つぶやいたりしています。
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今回は、一つのポイントに絞ります。
文を短くしてみましょう。
これを心がけるだけでかなり作文が上達すると思います。
例として、次の文章を読んでください。2004年3月に発行された金沢星稜大学論集第37巻第3号の藤則雄さんによる「縄文時代における自然環境」という論文です。たまたまネットで検索したら出てきた論文です。http://www.seiryo-u.ac.jp/u/education/gakkai/e_ronsyu_pdf/No96/p001-026_fuji.pdf
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定されるが、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
私は縄文時代の自然について素人です。この論文は、先ほども書いたように、さっき偶然見つけました。「大学 論文集」と検索したら一番上に金沢星稜大学の論文集がヒットしました。
専門家の文章にしては分かりやすいとは思います。後でも書きますが、学術論文としては問題ありません。しかし、新聞記事の基準で考えれば長すぎます。一文で約190文字。こんな長い文を入社試験で書くと評価が下がるでしょう。
まず、注意していただきたいのは「が」。「が」は、逆接(「しかし」など)の意味でも使えるし、前置きを書く場合も使えるので、頭を悩ませずに文と文をつなげられます。特に話し言葉ではよく使うので、文章でも多用しがちです。
例に挙げた文章でいえば、「冷涼帯的気候のように推定されるが、」の部分です。ここはいったん、「推定される」で切ると分かりやすくなります。
すると、次のようになります。
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
それでも、まだ二つ目の文が長いですね。それでは、どうすれば良いでしょうか。自分で考えた上で、次の例を見てください。
この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉はCryptomeria(スギ)だ。この種は湿地性環境に多産する。このことを勘案すると、この帯の気候が冷涼だからCryptomeria(スギ)が多産したと推測するのは適切ではない。むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。
どうでしょうか。元は一つだった文が、五つになりました。表現も少しだけ手直ししました。特に、注目していただきたいのは、「(スギ)であり」を「(スギ)だ」に変えた点です。この部分で句点(。)を打つことで、文が短くなります。
専門性の高い内容なので、すぐに頭に入るわけではないでしょう。それでも、五つの文に区切れば、句点が出てくるたびに読み手は頭を整理できます。
また、原文には、一文の比較的近い場所に「こと」という言葉があります。これも便利な言葉ですね。でも、使いすぎると分かりにくくなります。特に、「冷涼であったことの理由によって」はぎこちない印象を与えます。
皆さんが大学などで目にする専門書には、今回の例文のような理解しづらい文章が多く見られます。皆さんの頭脳が悪いから分からないのではなく、たいていは一般の読者を想定せずに書いているので理解できないのです。
専門家の文章は、同じ分野を研究する人を対象に書かれています。分かりやすさよりも、厳密であることが優先されます。だから、一般人に理解しづらくても当然かもしれません。私はたまたま「長い文」を探して、この論文の該当箇所に目が行っただけです。素人の私が改変したことによって、筆者の藤さんから「主旨が違う」というお叱りを受けるかもしれません。その場合は、謝罪します。
実は、科学記事でよく新聞が間違うのは、こういうことなのです。記者の多くは大学で文系分野を専攻していました。たまたま配属された科学部で一生懸命勉強しても理解には限界があったり、最先端分野なのでそもそも理解することが困難な場合があったりします。そういう中で、理解しづらい内容(記者が理解できていない内容)を分かりやすく表現しようとすると、専門家が見ると「明らかな事実誤認」となることがよくあります。
1月23日の朝日新聞デジタルには「21日配信の『地球に磁場、まだまだ謎』の記事で、地磁気反転のきっかけが『外核の流れの一部が逆流』とあるのは、『外核を流れる電流の一部が逆流』の誤りでした」とあります。私もこれと同じような間違いは過去にしていただろうなという気がします。
https://digital.asahi.com/articles/ASL1Q65TWL1QUEHF01V.html
さて、話を元に戻します。
少なくとも新聞は一般の読者を対象にしています。しかも、入社試験の担当者は大量の課題作文を短時間で読んで採点しなければいけません。いくら真剣に皆さんが書いたものを理解しようとしても、人間ですから一文が長過ぎると読む気をなくしてしまいます。必然的に点数は下がります。
自分が試験を突破するために一文を短くしましょう。
今回のおさらいです。
要点は「が」と「であり」。この二つを書きそうになったら、そこで句点を打ってください。ぐっと分かりやすくなります。
引き続き質問をお待ちしています。
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