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2018年01月01日
元旦紙面の読み方
新年あけましておめでとうございます。
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本日は元旦紙面を私なりに分析してみます(私は日本経済新聞、朝日新聞、産経新聞を定期購読しています。この3紙について短く感想を述べます)。
1月1日の一面に新聞各紙は大きな特ダネを掲載するのが常でした。私の記憶に残るのは1995年の読売新聞。山梨県の山麓でサリン残留物が検出されたというもので、前年に起きた松本サリン事件の謎を解く手がかりとなりました。残念ながら地下鉄サリン事件を阻止できませんでしたが、報道史に残る「抜き」でした。
最近は、このような大きな特ダネはないように思いますが、今年も各紙は1月1日を意識しているようです。
まずは日本経済新聞。「銀行間振り込み夜も休日も」「電子攻撃機の導入検討」という独自だねを一面に据えています。ただし、ニュース価値としては、新年用の企画記事を押しのけるほどのパワーはないと判断されたようで、それぞれ脇の方に置かれています。
特に「検討」という言葉は非常に弱い印象を与えます。新聞で使われる用語として、最終的に書いた通りにならない可能性があるとき、少し自信がないときに「検討」が使われます。文中にあるように「18年中期防衛力整備計画盛り込みへ」という形でしっかりと見出しを取ることができれば、さらに大きな扱いだったのかもしれません。
朝日新聞は、ビットコインに代表される仮想通貨の売却益に対する課税のために、国税当局が多額の売却益を得た投資家に関する調査を始めたと伝えています。仮想通貨は今後の世界の在り方を変える可能性があり、新年の紙面を飾るのにふさわしいものだと思います。投資家に対する取材も行っており力の入れようが分かります。ただ、「本格的な情報収集への着手は、初めてとみられる」というのは、あいまいな表現ですね。おそらく当局による「情報収集」はこれまでも行われてきたでしょう。だから、「本格的な」ということなのでしょう。「初めてとみられる」というのははっきりしませんね。ガードの堅い取材先にきちんと認めさせることができなかったのが残念です。
産経新聞は「中国、2030年までに空母4隻」という大見出しで、グラフィック(記事に関連した解説図)を配置し、中面に「受け」と呼ばれる関連記事「電磁カタパルト採用へ」「『強軍路線』習氏、建造へ転換」を載せています。
ただし、この記事は新年企画と言って良い代物です。読み物であって、ニュース性はありません。
まず「中国軍事筋」という情報提供者(「ニュースソース」と呼ばれます)が誰なのかが重要です。現役の中国海軍中枢幹部なら問題ありませんが、中国共産党が警戒する産経新聞の記者が軍中枢幹部に接触できるとは思えません。
この記事の筆者は、12月26日に取り上げた、南シナ海の埋め立てに関する疑わしい記事を書いたのと同一人物です。余談ながら、中国に詳しい知人に聞くと、あの産経記事の元になっている中国サイトの記事はすでに削除されているそうです。「『29万平方メートル』は中国の公式データではなく、米国のシンクタンクの情報が根拠だったため削除された」という見方が出ているそうです。
さらに、本日の産経新聞の中身をよく読むと「ニュースではない」ことがはっきり分かります。記事は「2030年までに(国産の)4隻の空母打撃群を運用する計画があることが分かった」と伝えています。しかし、すでに1隻は進水式が行われ、2隻目も進水が近く、3隻目については「すでに建造が始まったという情報もある」と指摘しています。そうであれば、あと1隻だけ建造に着手すれば、「中国は空母4隻保有の実現にめどをつけた」と言えます。
2030年まで10年以上あります。中国が国産空母の建造ペースのピッチを上げていることはこれまで各種の報道が出ています。30年までなら、4隻の保有は確実。5〜6隻の空母を保有していることも十分に考えられるわけです。「30年までに4隻」であれば、これまでの予想よりも少しペースダウンしていると言った方がいいかもしれません。https://digital.asahi.com/articles/ASK2V7FX4K2VUHBI01W.html http://www.recordchina.co.jp/b146068-s0-c10.html
それから産経記事では、空母が「南海艦隊に重点配備される可能性が高い」と指摘しているのですが、すぐ後ろに初の国産空母が「(『山東』と命名されれば)北海艦隊の所属となる」と書いています。また、空母打撃群というのは、空母3席程度をローテーションで運用するのですから、少しおかしな言葉遣いです。たった4隻の空母でいくつの空母打撃群を編成するというのでしょうか?あるいは中国は米国とは全く異なる空母打撃軍の運用方式を計画しているのでしょうか。
さて、ざっと元旦紙面を見たところ、これからの日本の方向性を左右するのは、「中国」「人工知能」のように思いました。このことを、就活生の皆さんがどのように考えれば良いのか、明日以降に記したいと思います。