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2019年10月12日

試験を採点しながら

「あらら、全然できていないな…。」
試験を採点しながら、そんな思いが徐々に大きくなった。

「んー。定着していないな。これはまずいまずい…。」
生徒の不勉強ということもあるが、要は、「私の授業の仕方、そしてその定着のさせ方に問題がある」ということだ。

答案返却時に、生徒には、「勉強したのか?」、などと訴えることはできるが、心の奥底では、自分の不甲斐なさを感じている訳だ。

「定着させるには、もう何度か演習を重ねないとだめだな…。」
などなど、採点をしながら、次々と思いが湧いてくる。

低学年の生徒は、
「丹澤先生、採点しましたか? 僕、何点でしたか?」
などと聞いてくるが、学年が上がっていくと、そうした質問はしない。

私の顔を見るや否や、にっこりするか、目をそらすのである。

試験の出来、不出来は、その試験を受けた生徒がよく分かっている。
だから、できなかったときには、答案返却が恐怖であり、さまざまな苦悩が、彼等の心を揺さぶってしまうことになる。

古来、学校の定期テストとはそういうものだ。
そういうプレッシャーと戦いながら、今の大人たちも育ってきたのだ。
中には、どんな点数でも動じない強者もいるが、たいていの者は、点数を気にする。
進級がかかっていれば、落第点ではないかが気になるし、習熟度クラスに分かれていれば、クラスが下がってしまうことを不安を感じることになる。

「D君、どうした。」
という私の励ましの言葉も虚しく、彼等の落ち込み様は、私たちが想定している以上のものがある。

「成功して得意にならず、失敗して落ち込みすぎず…。」
というバランス感覚は、大人でも習得するのが難しいことだ。

教員たちは、採点しながら傷つき、生徒たちは、試験結果を見て傷つくわけだ。

お互いがハッピーになることは、恐らくはあるまい。

教員は、生徒の言動に振り回されつつ、喜び、悩み、苦しみ、励まし続ける存在であるからだ。

そうしたことを十分承知した上で、私たちは教職の道を歩んでいる…。
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