その台風が来る前日、都内某所で開催された、「Lexus international President 澤 氏&モータージャーナリスト渡辺氏によるトークショー」に参加してきました。
内容については以下の2部構成で、1時間程度の凝縮された時間でした。
・レクサスの歴史と今後の展開等
・渡辺氏(もとCG編集長)を迎えてのトークショー
概要は記憶の限り、概ね以下のとおりでした。(多少違っているかも・・・)
■レクサスの歴史
30周年を迎えるレクサスにおいて、いくつかのターニングポイントがあったとのことで、以下が紹介されました。
・1989年 初代LS(日本ではセルシオ)の発売
→驚異的な静粛性やスムーズなエンジンで静と動を両立する「二律双生」を実現
・1998年 初代RX(日本ではハリアー)の発売
→クベースのSUVではなく、オフロード・オンロード走行を可能とした乗用車ベースのSUVで爆発的人気に
・2004年 RXハイブリッドの発売
→高級車は燃費が悪いという方に訴求。レクサスハイブリッドのスタート。
・2009年 LFA の発表
→レクサスが世界に通用するスーパーカーをつくれることを証明した、伝説の1台
・2011年 ペブルビーチでの屈辱
→新型GSのプレゼンでのレクサス車は「Boring」(たいくつ、つまらない)等発言による転換
・2012年 レクサスインターナショナルの立ち上げ
→ブランド改革のスタート
・2017年 LCの発売
→ブランド改革第1弾。
プラットフォーム、パワートレーン、デザイン、生産方法を一新した新世代レクサス。世界各地で数多くの賞を受賞。
■保有ビジネスからの変革について
→所有からシェアリング、サブスクリプション(KINTなど)のニーズが高まっている。
近年のラグジュアリー層は購入が目的ではなく、ラグジュアリーな体験をすることのニーズが高い。そのための価値を提供していく。その象徴として「LY650」の発表やオーナーズラウンジの改装、各種「食」のイベント、「匠」ものづくり支援、スポーツ活動支援などを行っている。
■EVカーの開発について
→現在のEVはバッテリーに依存による「劣化」の問題があり、それをクリアするため過大なバッテリーを搭載しイニシャルコストが嵩んでしまう。総合的なCO2排出量も考慮すると、現時点ではHV、PHVに比重を置いている。EVの開発は当然行っている。
■EV時代のインフラ整備について
→今後多くの方がEVを利用することになった際のインフラ面は課題。例えば真夏に一斉に充電をするとどうなるか?電気をどうやって作り出すかということも考慮する必要があり、自動車メーカーのみでは解決ができないことも多い。
■今後の車種構成について
→ワゴンは出したいが採算性の面で問題がある。世界的な需要も減少傾向にある。(おそらく出ない・・・)
■テスラについて
→アメリカでは「イーロン・マスク」だから売れている側面がある。よってアメリカでは「EV」が売れているとはいいにくい。
■ライバル社との差別化
→(基本スペックは満たした上で)ライバル車と同じことはしないことを肝に命じている。わずか30年のブランドを選んでもらうためにはオリジナリティが必要。一定の方には嫌われてもリスクととってオリジナリティを追求していく。
■レクサスNXの衝撃について
→2年前の(CG誌)ジャイアントテストでついにレクサス車がカテゴリNo1になった。それまではドイツ車がトップの定番だったが、現在のレクサス車はライバルに肩を並べるか凌駕するモデルも出てきている。
■2019年 東京モーターショーについて
・モーターショーの地盤沈下が激しい。あのデトロイトモーターショーもなくなってしまう(!)車を展示するだけのショーは限界にある。
・クルマはあまり多くは並べず、体験、体感、未来の夢(五感に訴える)等を重視したイベントとしたい
ということで、かつてのモーターショーのように既存の車の展示というよりは、新たなエクスペリエンスを体験できる場になっているようですね。
----------------------------------------------------------
さて東京モーターショーでも出展予定のレクサスの「EVコンセプト」が発表されましたね。
https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/30067209.html?padid=ag478_from_kv
現在のEVカーは「航続可能距離」と「バッテリーサイズ」そして「価格」、「パフォーマンス」のバランスがとてもむずかしく、万人に受け入れられるEVカーは非常に少ないですね。(日本で購入できる車では、テスラ「モデル3」が唯一でしょうか?)
確かに現在のEVはリチウムイオン電池のさらなる進化がない限り、航続容量を大きくするためには大容量の電池を搭載せねばならなく、結果的にボディも大きく、重量もかさんでしまい、最終的な販売コストが高くなってしまうという欠点があります。かつての日産リーフで問題となったように、3年後、5年後の電池の劣化(容量減少)具合にも課題が残ります。
また、欧州のフルサイズEVはどれもフラッグシップ的な位置づけで快適性も、パフォーマンスも高いため、価格は軒並み1000万〜2000万円級の価格で現実的なものではありません。(ポルシェ「タイカン」の価格には期待していたのですが・・・高価〜!)
https://www.porsche.com/japan/jp/
基調講演の話を聞く限りでは、レクサスは大型のフルサイズEVの市場投入にはまだまだ懐疑的な印象を受けました。
ラグジュアリーである程度の大きさをもつ車にはEVではなく、「FCV」など別のパワートレーンを投入し、EVは比較的コンパクトサイズで、航続可能距離もそこそこの範囲(4〜500km以内?)
そのため、レクサスのEVコンセプトも、現実的な小型サイズなのではないでしょうか。
▼2015年のモーターショーで公開された「LF-SA」
https://lexus.jp/models/concept-cars/
・・・となると長い間モデルチェンジせずにしかし、そのサイズ感から後継車種が求められている「CT200h」これがEVモデルとして登場するという可能性もあるかもしれません。レクサスUXでもボディサイズが大きいという方は多数いらっしゃいます。ぜひ期待したいところです。
-
no image
-
no image