2013年02月20日
カレー、ネギ焼き、そしてうどん
母の作ってくれた料理は、何を食ってもうまい。
好きな味が、母の味になっているからだろうが、
唯一まずかったのが、トマト味のカレーだった。
誰が作っても美味いはずのカレーを、
こうまで不味く作ってしまうのは、
これもある意味才能なのかもしれないと、
無駄口を叩きながら、お代りをしたのだが、
調度母が心筋梗塞で救急車を呼んだ日、
その日の夕食に食べたのがそれだった。
母は、救急病院に運ばれたのだが、
その診察中に、カレーを全部吐いてしまい、
手術の間中、部屋の中はカレー臭が漂い、
母は、手術の間中とても恥ずかしかったそうだ。
そんな母だが、亡くなった私の父も好きで、
ちょっと小腹がすくと、母に作ってもらっていたのが、
ネギ焼きだ。
作り方はいたって簡単で、
私も作り方を習って、たまに作っている。
九条ネギが売ってある時は買ってきて、
いそいそとネギ焼きを作り置きし、今も冷凍庫に入れてある。
@まず、小麦粉を水で薄く溶く(サラサラに)。
Aネギを小口切りにする(結構大量に切る)。
B角天を薄くスライスする(丸天でも可)。
C天かすを用意する。
D味付けは醤油。
ではまず、フライパンにサラダ油を薄く引き、
@を薄く広げる(クレープのように)。
その上から切ったネギを大量に入れる(しかしほどほどに)。
スライスした角天、天かすを適量入れ、
ひっくり返す。
上からヘラで押さえる。
醤油を塗る。
半分に折ってまた醤油を塗る。
お好みで七味を振りかける。
以上である。
ソースでやるところもあるみたいだが、
ちょっとくどくなるので、私は醤油の方が好みだ。
ところで、福岡の人にとっては、
「角天(かくてん)」「丸天(まるてん)」と言うと、
すぐに、「あ〜あれか」と分かるが、
他県の人にとっては何それ、というものかもしれない。
福岡には天ぷらが2種類ある。
全国共通の天ぷらと、魚の練り物である天ぷらだ。
福岡人は頭が良いのか悪いのか、
天ぷらを使い分けている。
だから福岡では、丸い、魚の練り物である天ぷらの事を
「丸天」と呼んでいる。
おでんの具とかによく使われている、さつまあげの様なものだ。
例えば福岡で、「天ぷらうどん」というと、
ほとんどが丸天が入った、「丸天うどん」になり、
何だこれは?ということになる。
そして福岡人は、この「丸天うどん」を愛してやまない。
そして、「丸天うどん」と双璧をなすものとして、
「ごぼ天うどん」がある。
この、ごぼ天だが、ごぼう(牛蒡)の天ぷらのことだ。
しかし、このごぼ天だが、ごぼうを練り物で包んだ、
おでんとかに入ってあるものとは違う。
ちゃんとした、ごぼうの天ぷらである。
丸天うどんと、同じように考えてはいけないのだ。
そしてもし、全国共通の、あの天ぷらが入った
「天ぷらうどん」が食べたい時は、
ちゃんと、「かき揚げうどん」、「海老天うどん」
と言う風に注文しないといけない。
ところで、「たぬきうどん」と「きつねうどん」。
福岡では、たぬきは天かす、きつねは油揚げが入っているが、
そもそも、「たぬきうどん」はあまり福岡では見かけない。
天かすはテーブルの上にあり、入れ放題だからだ。
ネギも入れ放題の店も多い。
だから、ほとんどの店では「きつねうどん」ならあるが、
「たぬきうどん」は無い店が多い。
もし「たぬきうどん」がメニューにあれば、
その店は、天かすが入れ放題ではないという事になり、
けちな店、ということになる。