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国境の南、月の西

 Los Texmaniacsの新作がリリースされました。
 今作は、09年にSmithonian / Folkwaysに移籍してリリースした"Border Y Bailes"の路線を継承したスタイルのアルバムになっています。 
 "Border Y Bailes"は、全編スペイン語の曲で構成したメキシカン・ルーツを探求したアルバムで、グラミーを獲得しました。

 Los Texmaniacsは、デビューから2作目までは、リズム&ブルース、カントリー、テックスメックスなど、ロック・サイドでいうルーツ・ミュージックのミクスチャー・バンドでした。
 
 ただ、当初から、バホ・セストとアコーディオンを核とする、コンフント・スタイルを頑固に貫いていたため、メキシコ伝統音楽の探求へとベクトルを絞ったのは、さほどサプライズではありませんでした。


Texas Towns & Tex-Mex Sounds
Los Texmaniacs

1. Ay te dejo en San Antonio (I Leave You in San Antonio)[cancion-polca] (Santiago Jimenez Sr.)
2. Amor bonito (Pretty Love) [cancion-polca](Lydia Mendoza)
3. El Paso / San Antonio Rose [western ballad] (Marty Robbins / Bob Wills)
4. Viva Seguin (Long Live Seguin)[polca] (Santiago Jimenez Sr.)
5. Si quieres verme llorar (If You Want to See Me Cry)[bolero] (Johnny Herrera)
6. Ana mia (My Ana) [cancion-polca] (Max Baca)
7. Los barandales del puente (The Railings of the Bridge) [cancion mexicana]
8. Atotonilco [Cancion-Polca] (inst.)
9. Waltz Across Texas [waltz-song] (Talmadge Tubb)
10. El buque de mas potencia (The Most Powerful Ship)
11. El aeroplanito (The Little Airplane) [redova] (Pedro Ayala)
12. Mojado sin licencia (Wetback without a License) [cancion-polca] (Santiago Jimenez Sr.)
13. Mil Besos (A Thousand Kisses) [bolero] (Emma E. Valdelamar)
14. La Lamparita (The Little Lamp) (Freddie Martinez)
15. The Eyes of Texas / Deep in the Heart of Texas (John Sinclair, June Hershey / Don Swander)
16. El Contrabando del Paso (El Paso Contraband) [corrido] (Gabriel Jara Franco)
17. Por una mujer casada (Because of a Married Woman) [cancion ranchera] (Felipe Valdes Leal)
18. Salvador [waltz]

 Los Texmaniacsのこれまでの歩みは、以下のとおりです。

04年 A Tex-Mex Groove (Maniax Records)
XX年 A Blue Cat Christmas (会社名の記載なし)
07年 About Time (Maniax Records)
09年 Border Y Bailes (Smithonian / Folkways)
12年 Live In Texas (Maniax Records)
12年 Texas Towns & Tex-Mex Sounds (Smithonian / Folkways)

 このうち、"A Blue Cat Christmas"は発売年の記載がなく、参加メンバーの顔触れから、とりあえず04年作と07年作の間に入れてみました。

 メンバーの変遷も記します。

第一期(04年 "A Tex-Mex Groove"の頃)
Max Baca : bajo sexto
Micheal Guerra : accordion
Speedy Vee : bass
…当初はトリオ編成でした。1stには、Flaco Jimenez(acc)、Augie Meyers(org)、Los Lobos(g)、Shown Sahm(g)、Ruben Ramos(vo)ら豪華なゲストが参加。(Micheal Guerraは、イーストLAのバンドへのゲスト参加が多い、アコのスタジオ・エース的な人)

(A Blue Cat Christmasのセッション)
第一期のメンツに加え、Danny Martinezという人がドラムスを叩いています。
Augie Meyers(Key)が参加。

第二期(07年 "About Time"の頃)
Max Baca : bajo sexto
David Farias : accordion
Speedy Vee : bass
Lorenzo Martinez : drums
…現在の中心メンバーである、MaxとDavidのコンピが揃いました。また、ドラムスが正式メンバーになりました。(ただし、間に合わなかったのか、ジャケ写はトリオのままです。)
David Hidalgo(g)、Bobby Flores(st.g)、Augie Meyers(org)他がゲスト参加。

第三期(09年 "Border Y Bailes"〜現在)
Max Baca : bajo sexto
David Farias :accordion
Oscar Garcia : bass
Lorenzo Martinez :drums
…ベースが交代して、現在のメンツになりました。
09年作には、Flaco Jimenez(acc)がゲスト参加。

 このあと、今年リリースしたライヴ盤、"Live In Texas"は、久々に1st、2ndと同じManiax Recordsから出されました。
 ただ、広く流通していないようで、本邦アマゾンはもちろん、アマゾンUSでもラインナップにさえ上がっていません。 

 そして、再びスミソニアン/フォークウェイズから、今回の最新作です。



 今作には、Ray Benson(vo)、Jason Roberts(fid. 共にAsleep At The Wheel)、Bobby Flores(fid)がゲスト参加しています。

 "Border Y Bailes"の音楽は、テハーノ、ラティーノの間ではどのように受け止められたのでしょうか。
 私は、メキシカン・ルーツを探求したアカデミックなアルバムだと思いましたが、スパニュッシュ・コミュニティでは、単純に懐かしの流行歌集、あるいは踊れる懐メロ集として聴いた人もいたと思います。

 古い良い曲を蒐集して、いい音で再現記録した資料的価値の側面、そして古びない踊れるパーティ・ソングの楽しさを若い世代に伝えた側面、両方正解だと思います。

 今回の新作は、その路線を継承したアルバムです。
 なおかつ、一部英語曲(カントリー、トラッド)を含んでいて、その意味では少しとっつきやすくなっています。
 サウンドとしては、Max Bacaのバホ・セストのリズム、ベース・ランでのメロディ弾きが特に耳に残ります。

 スペイン語曲では、フラコのお父さん、サンチャゴ・シニアの曲が複数入っていて、親しみがわきます。
 フラコは、親父さんの曲をいくつもカバーしているので、すぐに特定できなくとも、どこかで聴いたメロディがあるかも知れません。

 アルバム1曲目の"Ay te dejo en San Antonio"は、フラコがソロ・アルバムのタイトル曲にしている曲で、本盤のテーマともいうべき曲だと思います。
 邦題「サンアントニオをあとにして」です。
 Los Lobosも、あの「オオカミのアルバム」の前に、最初のミニ・アルバムのラストでやっていました。

 このあたりの曲が、本盤では、Cancion-Polcaと注記されているんですが、私の認識ではランチェラでした。
 Cancion Polca(Polka)は、歌ものポルカくらいの意味でしょう。
 全く無知なんですが、ポルカって、基本はインストなんですかね。

 "Viva Seguin"も、フラコを聴いていればお馴染みの曲ですね。
 この曲は、単にPolcaと注記されています。

 他にも、ボレロ、コリードなんて注記が出てきます。
 以前、ボレロがバラードのスペイン表記だと思っていたと書きましたが、どうやらコリードがそれに当たるらしいです。



 私は、今作もアカデミックなアルバムだと思っていますが、シンプルに楽しい流行歌集であることも確かです。
 どうしても英語曲に触れてしまいますが、Ray Benson、Bobby Floresが参加した"El Paso / San Antonio Rose"は、なかなかの聴きものです。

 Marty Robbins得意のカウボーイ・ソング、"El Paso"は、美しいメキシコ娘に恋をした若者が、恋敵を手にかけてしまい、町を去ろうとしながらも、恋する娘への想いが断ち切れず、追手の集結する町へときびすを返そうとする物語曲(サーガ)です。
 この異国情緒漂う名曲に続き、これまた名曲中の名曲、Bob Willsの"San Antonio Rose"が歌われます。
 こちらも、アラモとサンアントニオの美しい少女の想い出を懐かしむ歌です。
 このメドレーはいいです。

 Jason Robertsがフィドルを弾く、アーネスト・タブの"Waltz Across Texas"もまた、隠れた(?)名曲でしょう。
 タブは、もちろん"Walking Floor Over You"だけじゃないんです。

 そして、最後まで英語曲で申し訳ないですが、"The Eyes of Texas / Deep in the Heart of Texas"は、問答無用で郷愁を誘う曲です。
 "The Eyes of Texas"は、日本ではなぜか「線路は続くよどこまでも」の歌詞で知られている曲です。
 これは、鼻歌がでてきちゃいます。
 「テキサスの心に深く」とのメドレーでフィドルを弾くのは、Bobby Floresです。

 正直いって、私は1stや2ndのようなカオスなアルバムが好きです。

 グラミー・アワード・ウイナーになっても、この路線ばかりというのはどうでしょう。
 初心に戻って、思い切ってはっちゃけてくれたら嬉しいのですが…。




Si quieres verme llorar by Los Texmaniacs


これは、ボレロだそうです。



関係記事はこちら

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ごきげんメックス・テックス
テキサス熱中時代
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フェリース・ナビダ
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