日本でも近年「孤独」の問題に焦点が当たっている。
大きな問題となってくるのが「孤独死」だ。
只孤独と言っても、その様相は男女で違う様だ。
本書によると米国では、男性は孤独になり易く、又女性に比べ自殺率が高いと言う。
男性が孤立し易い原因として、著者は@甘やかされている事
A自立に価値を置き過ぎている事
Bお金や地位を過度に追い求めている事、を指摘する。
例えば「甘やかされている」とは如何言う事か。
地位や権力、お金があれば、人がそれに引かれ集まってくる。
だが男性の中には、それに甘えて普段から人間関係を作って維持する努力を怠ってしまう人がいる。
立場がなくなった途端、構われなくなる、と言うロジックである。
日本でも、定年退職して地位を失うと孤立すると言う話はよく聞く。
著者が最大の問題と捉えるのは、男性自身が自分の孤独に中々気付かず、気付いても如何していいか分からないと言う事だ。
本書で提示される解決法は極めて現実的だ。
いきなり「男らしさを捨てろ」と無理な事は言わない。
毎日誰かに電話を掛けたり、規則正しく睡眠を取ったり、自然に触れたりと、少しずつ人間関係を結ぶ努力を重ね、生活習慣を変えていく事を推奨している。
評・山田 昌弘=中央大教授 トーマス・ジョイナー著、宮家 あゆみ訳 晶文社・2420円。
愛媛新聞 読書から
孤立や孤独を如何考え、如何対処していくか。
何故我々は休まないのか。
要因には「休む事」に否定的な学校教育があるのではないか。
「皆勤賞」はその一例らしい。
皆勤を称賛する事は事実上、欠席を否定する事になる為らしい。
勤務先の休み方のルールに無知な者が多い事は、教育の表れらしい。
「休む事は悪い事」と言う価値観も又我々に深く浸透しているらしい。