沖縄県で米兵による性犯罪が相次いで発覚した。
岸田首相は全てを知っていて、「慰霊の日」挨拶で「基地負担の軽減」を語っていたのである。
県民の生活と安全を蔑ろにし、著しく誠実さを欠く姿勢だ。
抑々日米地位協定が、刑事裁判権を巡って日本側に著しく不利な立て付けになっている事が問題だ。
日本では1960年の発効から60年以上、一度も改定されていない。
他方、ドイツでは、90年代に NATO 軍地位協定が改定され、容疑者段階で米軍人の身柄拘束が可能となっている。
日本政府は不平等な協定の改定交渉をする事もなく、強制力のない「運用の改善」と、米側の「好意的配慮」に委ねている。
「日米同盟」オンリーの思考の惰性から脱すべき時である。
自民党だけでなく、野党にも憲法改正に前のめりな姿勢が目立つが、こう言う「憲法論戯」をする暇があったら、不平等極まる日米地位協定の改定に真剣に取り組むべきではないか。
早稲田大名誉教授 水島 朝穂 1953年東京都生まれ。 専門は憲法・法政策論。
近著に「憲法の動態的探究」。 公式サイト「平和憲法のメッセージ」を運営。
愛媛新聞 寄稿から
変える事のできない憲法改正に前のめりになるより地位協定を改定すべきだ。
してもしなくても良い事よりやらなければならない事をやるべきだ。
自民党政権では埒が明かない。