今日の東京は雨模様。千葉も大雨予想となっております。心配です。
さて、昨日の館山の件につき、詳細をUPしたいと思います。
まず結論としては、発電所の地域開放は空振りしたものの、現地の状況等を踏まえた効果的な展開についてのノウハウを得ることができ、現地の方の切実さを知ることができたという感じでございました。経緯を追って詳しく書いてみたいと思います。
まず、14日(土)の早朝に本ブログにて以下の周知を行いました。
千葉県でのボランティアを考察してみる
するとその日のうちに、千葉県館山市に発電所を2基所有されているSさんと、電気技術の資格をお持ちのYさんからご賛同の連絡を頂きました。
翌15日(日)の早朝より、3人で電話やメールで作戦会議。まずは以下の情報収集に時間を費やしました。
・物件住所
・物件の座標(グーグルマップ)
・物件の設備ID
・パワーコンディショナーのメーカー名、製品名、型番
・フェンスの開け方(カギや暗証番号)
・施工業者名、連絡先
・施工の際にかかわった地元の人(不動産屋、造成屋、仲介者)のお名前、連絡先
・現在停電しているか、していないかの情報
で、一番最後の停電しているか、していないかの情報については、以下の記事の通り、
千葉県に行ってきます!
東電発表の停電状況を鑑みるに、コレはどうやら停電してそうだ、という判断で、GOしましょう!ということになり、発電所オーナー、電気技術者、太陽光コンサルという布陣で、ひとまず当方の家に集合いただき、そこから3人で車でGOすることになります。オーナーのSさんはお子さんとの予定を延期してまで、私も行きます!と表明いただいちゃいました。そして、電気技術者のYさんははるばる群馬県から機材一式をお持ちになりお越しいただきました。本当にお2人には頭が下がるばかりでございます。
で、3人そろったのが15日(日)の午後3時ということで、そこから高速を飛ばしてアクアライン〜館山道を通って館山に向かいます。
途中コンビニに寄り、食料と買えるだけの飲料水を詰め込みました。今回は発電所の開放が目的ですが、何があるのか分かりませんからね。一応できる限りの物資も持っていくことにしました。
道中3人でイロイロな話が飛び交いました。本来であれば、こういう時は個人レベルでむやみやたらに行くべきではなく、ボランティアセンターに登録して活動を展開すべき、というお話かもですが、発電所のオーナー自身、被災者とも取れますので、被災者が自分の所有物を現地に確認に行くアクティビティは別に変なお話じゃないですよね、というオチに、無理やり落ち着かせた次第でございますw
ということで、東京から1時間弱でアクアラインを越えて千葉県に突入します。
やはり、高速道路沿いから見る家屋は、ブルーシートが被されているものが点在しており、ビニールハウス等の建物が崩壊している場面もチラホラ。逆にもちろん無傷の建物も多くあり、全体的に被災している、というよりは局所的に被災がある、という感じです。
ということで館山市に到着しました。東京から1.5h。かなり近い、という印象です。
まず目に飛び込んできたのは自衛隊車両。こういう時に頼りになる存在ですよね。本当にご苦労様です。
インター出口のコンビニは完全休業状態。
ただ、被災はしているものの、営業中のコンビニも多くありました。カインズホームもユニクロも、回転ずし屋も100円ショップもDVDレンタル屋も車の販売会社も一応、しっかり営業中でございました。当方の視野に入ったモノ限定の感触ですが、町の機能が完全マヒしている、という感じではなかったです。すでにかなり復旧が進んでいる、というお話なのかもしれません。また、ガソリンスタンドも普通に営業していて車列は無かったですし、信号も問題なく稼働しておりました。当方が見た範囲では。
偶然通りかかった東電の電柱置き場。真新しい電柱がかなりの数、ストックされておりました。館山では電柱が倒れているという絵姿には遭遇しませんでした。これは復旧したからなのか、もともと倒れなかったのかは分かりませんが。
そんなこんなんで、館山市水岡にある1基目の発電所に到着!検針メータも動いているようで、発電所全体的にも全く問題ないようです。
オーナーも胸をなでおろしていたところ、地元の方にお声がけを頂きました。どうやらこの発電所の造成に関わった方ということで、なんという偶然!ということで、「この発電所を地域の皆さんにお使いいただきたく、東京から来ました!」という感じで、イロイロお聞きしたところ、、、
「この場所はさ、海底ケーブルの中継地だったり、自衛隊の基地が近くにあったりするからさ、復旧早いのよ。台風直撃後は停電したけどさ、翌日の午後には復旧済みなんだよさ」
な、な、な、なるほどぉぉぉ。
ということで、一瞬たじろいでしまった3人だったのですが、何がともあれ結果オーライ!よくよく考えると発電所の自立運転機能などを使うシチュエーションに無いことの方が使わざるを得ないケースより百万倍良いわけですからね。それにしても、そのような情報は実際に行ってみるか、事前に現地の方に電話でもして確認するしかないですねぇ。このあたり、当方たちにとってはとても教訓になった次第でございます。
とはいえ、せっかく来たので自立運転モードの切り替えについて模擬的にエア切り替えをしてみることにしました。
まず、このパワコンは三菱パワコン(PSM55L2)というものでして、この手順にて、自立運転モードへの切り替えが可能となります。まず最初に、パワコンの下の切り替えスイッチを自立モードに切り替えます。
そしてパワコンの蓋をドライバーを使って開けます。
開けるとこんな感じ。これはシロートはちんぷんかんぷんになっちゃいますよね。
見えますかね。この奥の方にAC電源の接続器具がございまして、この器具に電線を接続して、コンセント化。そのコンセントに一般的な延長ケーブルやタコ足などを接続して、日中限定ですが、一般的な家庭用電気機器が使えるようになる、ということになります。また、接続後も防水性を担保する必要がありますので、ケーブルの出口を作り、パテ埋め作業も必要とのこと。そして本発電所はパワコンは9台ありますので、その台数分、この作業が必要になります。
ということで、エア切り替えを行ってみたのですが、コレはやはり、家庭用のパワコンと違い、野立てのパワコンは素人でも簡単に切り替え作業ができる、という代物ではございません。有資格者にお願いするしか手は無いのですが、平常時に業者に依頼して、素人でもポンっと使えるように下準備をしておく、ということはどうやら出来そうです。本件、別途記事にしてみたいと思います。
ということで、いわゆる空振り、という形になってしまったのですが、結果オーライ!他の地元の方ともコミュニケーションができ、なんていうんでしょうか、「この発電所を今後の災害時に地域の人に使ってもらいたい」という、我々の思いは十分に伝えることができたのかな、と思っております。こういうお話は地域の間で広がっていくと思いますし、オーナーの顔や熱い思いが伝わることで、地域の方のコノ発電所の印象や見方は変わっていくのではないでしょうか。20年間ものお付き合いとなりますからね。イロイロ問題視されがちな太陽光発電所でございますが、小さなところからコツコツと地元の方との共生を図っていきたいと思った次第でございます。非常に価値のある結果でございました。
次に、館山市船形にある2基目の発電所に行ってみました。両発電所は車で10分ほどの位置にございます。
まず目についたのは、発電所の隣にある家屋です。御覧の通り、屋根が完全に吹き飛んで骨組みだけになってます。その瓦礫が右下の庭に集積されておりますが、この地域一帯はかなりの突風が吹いたことが見て取れました。オーナーの発電所は大丈夫なんでしょうか。
ということで、一通り見て回りましたが、若干水を吸っているものの、しっかり発電中で、風災の影響も特にございませんでした。オーナーさんも一安心、という感じです。で、この発電所でもエア切り替え?という節もあるんですが、実はこの発電所はそう簡単には自立運転モードにできないことがわかっておりました。オムロンの型式KPV-A55-J4というパワコンなのですが、オムロンのHPによると、、、
うおっ!このパワコンのみ自立運転モードに対応してないじゃないですか。このモデルは最新モデルでして、多くの野立て発電家が採用しているパワコンのはずです。しかも旧モデルはしっかり自立運転モードに対応しておりました。オ、オ、オムロンさん、コストカットは分かりますが、この大事な機能を外しちゃうなんて、再エネ関連企業として超絶にイケてないんですケド。。。
(※本件、業者による工事により対応可能というお話もあり、詳細分かり次第UPしたいと思います)
ということで、発電所の無事が確認できたということで、ソロソロ帰還しましょう、という感じになったんですが、この地域は他にも複数の発電所が設置されてましたので、イロイロ歩いて見て回ることにしました。
近くにあった発電所の検針メータの支柱。これ分かりますかね?風の影響で倒れかけているんですが、電柱との接続ケーブルによってかろうじて倒壊を免れているようです。通電はしっかりしているようでした。
その発電所をよくよく見てみると、、、
コレは確実に飛来物による衝突ですね。パネル1枚で済んだのは不幸中の幸いでしょうか。動産保険に入って入れば確実に保証対象、というお話になろうかと思います。
家屋の屋根や外壁でしょうか。このような飛散物があちらこちらに散らばっておりました。これが人に直撃したら本当にヤバイと思います。
ということで、暗くなってきたしソロソロ帰りましょうか、となった時に、上述した崩壊した家屋に何やら車が集まっています。
行ってみたところ、どうやらその家屋に一人でお住いのおばあちゃんに親族の方が物資を届けている、という場面に遭遇いたしました。すると、発電所のオーナーが、「アントレさん、持ってきた物資をあのおばあちゃんに差し上げてもいいですか?」っと。もちろんOK!ということで、オーナーさんが物資を渡したところ、、、いやー、なんていうんでしょうか。人生において人からこんなに感謝されることってなかなかないですね。。。タオルで涙を何度も拭いながら感謝のお言葉を頂きました。
詳しくお話を聞くと、この一帯は昨日停電が復旧されたものの、このおばあちゃんの一軒家のみ、屋根が電線ごと吹き飛んでしまって、まだ電気が通っておらず、親族が持ってきたガソリン発電機で何とかしのいでいる状況とのこと。ブルーシートをかけるにも、屋根ごと飛んでしまっているのでまずは大工を呼んで工事しないといけないものの、大工がすべてで払っていて、いない。完全野ざらし状態のまま何もできずに我慢されているとのこと。発電機で電気面は改善しているようですが、台風直後の停電状態はさぞ辛かったことが容易に想像できました。そんな時にこの隣にある発電所が開放できてたら。。。
いやー、ということで、ソロソロまとめに入ります。
今回は割と素早くアクションしたつもりだったんですが、この発電所の自立運転モードのお話は、災害発生後のアクション、では、どうやらなかなか効果を十分に発揮することはできない様です。事前に設備の工事を済ませておき、災害発生時において、地域の方への具体的な展開方法や実際の使い方を周知する等、事前に下準備する重要性を痛烈に感じました。1基目の発電所の例ではないですが、事前にそう言ったコミュニケーションを取っておくこと自体、地域の皆さんにとっても、いざとなった時に頼れる発電所、として認知され、発電所の地位向上にダイレクトにつながるのではないでしょうか。
今回、結果としては空振りとなった取り組みだったんですが、実際に現地に行って、地域の方とお話して、こういった”気づき”を得ることができたこと自体、そしてこのようなお話を本ブログをお読みいただいている皆さんに展開できること自体、当方的には十分に価値があったのかな、と感じている次第でございます。
もし千葉県に発電所を所有されているかたがいらっしゃいましたら、よろしければ時間を作って現地に行ってみてはいかがでしょうか。上述しましたとおり、オーナーの皆さん自身が被災者とも取れますので、現地に行くこと自体はまったく違和感のないお話です。そしてチャンスがあれば地域の方とコミュニケーションしてみてはいかがでしょうか。今回のような災害発生時に自立運転モードを検討している、というお話をされるだけでも全然違いますし、困っていらっしゃるようでしたら簡単な物資をお渡ししても良いかと思います。
当方も引き続きアンテナを立てつつ、皆さんと一緒に活動していきたいと思います。
まだ多くの停電中の家屋もあると思いますし、事後的アクションでも効果が出せる場所もあるやもしれませんのでね。また、下準備の件についても少し検討して別途記事にしてみたいと思います。
そして、千葉県の皆さん!頑張ってください!!!
以上、長々と失礼しました。
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温暖化が進んで台風がどこに行ってもおかしくない状況の中、災害に備えておく事が必要だという事、仕組みさえ整えておけば太陽光発電は災害にとても強い事がわかりました
千葉県の皆さん
頑張れ
応援しています
ちばりよー
関西でも同様に活動していますので、一緒に頑張りましょう!!