アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2020年03月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2020年03月25日

安倍首相 歴代最長政権で何をして来た? 「嘘ばかり内閣」数々の愚策とお友達人事




  安倍首相 歴代最長政権で何をして来た?
 
 「嘘ばかり内閣」数々の愚策とお友達人事


              〜週刊女性PRIME 3/25(水) 11:00配信〜


       3-25-20.jpg

    2003年党幹事長時代に『週刊女性』の取材に応じた安倍首相 今と表情が全然違う

 「7年間と云う長期政権で安倍さんは権力を持ち過ぎてしまった。安倍さんを守る為に官僚も大臣も平気で嘘を着き、国民では無く安倍さんの為の政治に為って居る」

       3-25-21.jpg 山井和則衆院議員

 山井和則衆院議員は第2次安倍政権をそう批判する。通算すると歴代最長の長期政権と為り、権力を恐れる周囲は忖度をして行く。その様子をマルで戦前の日本だと評する人も居るが、この異常な状況は何時から始まったのか。アベノミクスならぬ安倍の愚策を振り返る。.

 次から次へと政策の看板を掛け替える

 「安倍さんは20年に渉るデフレからの脱却を至上命題として掲げ、コレを実現する為に金融緩和・財政出動・成長戦略と云う三本の矢を打ち出しました。株価が上昇して一見、成功して居る様に見えたアベノミクスですが、実際はそんな事はありません。株価対策として年金資金が80兆円以上も使われて居るのです」

 と、ジャーナリストの須田慎一郎さんがアベノミクス成功の目晦(めくら)ましを解説。続けてこう批判する。

           3-25-22.jpg 須田慎一郎さん

 「安倍さん同様に長期政権だった小泉(純一郎)さんは、5年半の任期中に郵政改革を、中曽根(康弘)さんは5年で国鉄民営化、佐藤栄作さんは7年半で沖縄返還を実現しました。政策の好い悪いは置いて於いて、実際に掲げた目標は夫々達成して居ます。ジャア、安倍さんは何をしたの? と云うと標語を発表するばかりで達成出来たのか検証も無いママ次から次へと政策の看板を掛け替えて居るだけ」

 これ迄安倍首相が掲げた標語は《デフレ脱却三本の矢女性活躍地方創生一億総活躍/働き方改革人生100年構想人づくり革命》等と云ったもの。

              3-25-24.jpg 有馬晴海さん

  「ドレも聞き触りの好い言葉ですが、例えば人生100年構想は定年を70歳迄延長して更に年金の普及を遅らせる狙いがあります。
 働き方改革は、電通の新入社員だった女性が長時間労働で自殺した事件や過労死が取り沙汰され急遽出て来たスローガンです。長時間労働の是正や非正規社員の待遇改善が為されるのかと思いきや、現場企業を混乱させただけで9割の企業が働き方改革に成功して居ない(クロスリバー調べ)と答えて居ます」 (政治評論家の有馬晴海さん)


 数の力で押し切り お友達は次々に出世

 「安倍さんがした事で、最も許せ無いのは憲法9条の法解釈を変えて集団的自衛権を合憲とし、自衛隊が専守防衛の枠を超えて武力行使出来る様にした事。戦争に巻き込まれる国に為ったんです。大事な事なのに審議を尽くさず数の力で押し切って行く。正に独裁政治です」

 と、前出の山井議員。そんな独裁は数々の犠牲者を生んで来た。安倍昭恵夫人の関与が囁かれ、国有地が大幅に値引きして売却された森友学園問題。

  籠池夫妻は昭恵さんと出会わ無かったら逮捕され無かった。他にも赤木俊夫さんと云う方が犠牲に。彼は財務省近畿財務局の上席国有財産管理者と云う立場で、文書改ざんを強いられ自殺されました。改ざん前の文書には昭恵夫人の名前が繰り返し出て居るのに、安倍さんが国会で私や妻が関係していると云う事に為れば、間違い無く総理大臣も国会議員も辞めると言い放った事が文書改ざんの引き金です」(山井議員)

 更に52年間どの大学も認められ無かった獣医学部を新設する『国家戦略特区』の指定に着いて官邸の働き賭けが有ったとされる加計学園問題。何れも周囲が安倍首相に忖度し起きた事。何故安倍首相の独裁が続くのか。前出の山井議員

 「安倍さんの意向に逆らう者は冷遇され、従う者は好待遇を受けると云うお友達人事があるからです。例えば、与党内でも安倍さんに批判的だった溝手顕正前参院議員は、同じ選挙区に河井案里議員をブツケられました。河井さんには1億5000万円もの選挙資金が投入され溝手さんは落選。溝手さんを落とした事で夫の河井克行さんは法務大臣に迄出世しました」

 と、お友達優遇人事を批判する。しかも案里議員は、その選挙で公職選挙法違反を疑われ夫は法相を辞任。先日遂に夫妻の秘書が逮捕された。山井議員は続けて、

 「森友問題だって、自殺された赤木さんの上司の佐川局長は出世して居ます。安倍内閣では安倍さんの方を向いて嘘を着けば出世出来るから、皆言い為りに為る。これ迄20年近く議員を務めて居ますが、コンなに嘘ばかりの内閣は初めて!
 お友達議員は、大臣に相応しく無くても次々に出世。口利き問題の甘利明さん、防衛省をアレだけ混乱させた稲田朋美議員も守りました」


 他にもお友達記者の山口敬之氏によるレイプ事件。

           3-25-23.jpg

 「山口氏に逮捕状が出たにも関わらず官邸の鶴の一声で取り下げられたと言われて居ます」(全国紙社会部記者)

 ツイッターで『#安倍辞めろ』がトレンド1位に

 昨年から今年に掛けても、公費の私物化が問題視された桜を見る会問題や、検察幹部の定年延長人事への介入問題等続々と疑惑が。何時まで国民はこの独裁に振り回されるのだろうか。

 「順調に行けば、東京五輪を花道にして来年9月の満期迄首相を務める予定だったと思います。しかしコロナでの対応が後手に廻り反感情は高まるばかり。或る婦人団体は自民党に一刻も早く総理をお辞めに為ってくださいと手紙を出したそうです」(前出の須田さん)

 ツイッターでも『安倍辞めろ』と云うハッシュタグがトレンド1位に為ったが、数時間後には圏外に為ると云う不思議な現象が起きた。「絶対的権力は絶対的に腐敗する」(イギリスの格言)忖度国家に警鐘を鳴らすのにピッタリの言葉だろう。
 
 第2次安倍政権と独裁疑惑の数々

 2012年12月 第2次安倍政権スタート

  2013年12月 特定秘密保護法を強行 国民の知る権利が脅かされる事に
  2015年3月 安倍政権を批判して居た元経産省の古賀茂明氏はレギュラー出演して居た『報道ステーション』を降板させられたとし、自身の最終出演回に「I am not ABE(私は安倍首相ではない)」と書いた手製のパネルを掲げた
      6月 安倍首相の元番記者の山口敬之・元TBSワシントン支局長に出されて居た準強姦逮捕状を握り潰す(伊藤詩織さんレイプ事件)
      9月 集団的自衛権の一部行使容認を含む安全保障関連法が成立
  2017年2月 国有地売却を巡る森友学園問題が発覚 首相の妻・安倍昭恵氏の関与が焦点に
      5月 獣医学部新設を巡る加計学園問題で「総理のご意向」文書が発覚
      6月 共謀罪法を強行
  2018年3月 森友問題で財務省の公文書改ざんが発覚
      12月 沖縄・辺野古への米軍新基地建設で埋め立てを強行
  2019年7月 衆院選で改憲勢力3分の2を割るも与党過半数を維持 安倍首相に批判的な事を言った一般人が複数の警察官に取り囲まれる事態に
      11月 桜を見る会問題が発覚 2016年当時に安倍首相の元秘書の子息とトラブルを起こした相手が暴行容疑で逮捕されて居た事が発覚(通常なら口頭注意で済む様なケンカだったと言われる)
  2020年2月 従来の法解釈を変更し、東京高検の黒川検事長の定年を半年延長 官邸に近い黒川氏を次の検事総長にする為!?
      3月 コロナで小中学校一斉休校要請 新型コロナ対策特別措置法施行


                     以上










  「8億円値引きは問題だった」森友事件 

 近畿財務局 「売買担当者」が赤木さん妻に告白


             〜文春オンライン 3/25(水) 16:00配信〜


          3-25-25.jpg

                安倍首相 コピーライトマーク共同通信社
 
 森友学園を巡る財務省の公文書改ざん事件に関連し、2018年3月7日に自ら命を絶った財務省近畿財務局管財部上席国有財産管理官・赤木俊夫さん(享年54)その直属の上司だった池田靖・同統括国有財産管理官(当時)が、森友学園への国有地の大幅値引き売却に付いて、これ迄の財務省の説明と異なる、新たな証言をして居た事が判明した。

 昨年3月、赤木俊夫さんの一周忌の直後に池田氏が赤木さん宅を訪れた際、俊夫さんの妻・昌子さん(仮名)に国有地売却の詳細を打ち明けて居た。今回、大阪日日新聞記者・相澤冬樹氏が昌子さんから詳細な記録の提供を受け、新たな重要証言を把握した。

 森友学園は2016年、評価額約9億5600万円の国有地を、約1億3400万円で購入。3メートル以深の地中から新たにゴミが見付かった為、その撤去費用等として約8億2000万円を値引きした・・・とこれ迄財務省は説明して来た。
 だが、池田氏は昌子さんに対し「ドレだけ費用が掛かって、ドレだけ売却価格から引か無ければ為ら無いかと云う事を、自分達は最後迄調べ様と努力したが、国交省の大阪航空局(問題の土地の管理者)は動か無かった」「この8億の算出に問題が有る訳なんです。確実に撤去する費用が8億に為ると云う確信と云うか、確証が取れて居ない」等と明かした。

 当時、背任容疑に付いて捜査した大阪地検特捜部は、値引きの根拠と為ったゴミ撤去費の算出が不適正だと認定するのは困難として不起訴にし捜査は終結した。
 財務省に尋ねると、広報室より「地下埋設物の撤去・処分費用に付いては、当時検証可能なアラユル材料を用いて見積りを実施したものであり、これ迄も国会で説明して居る通りです」と回答があった。
 だが、近畿財務局の売買を担当した職員も、8億円値引きに根拠が無く問題と発言して居た事が明らかに為った事で、今後、真相解明を求める声が高まりそうだ。

 3月26日(木)発売の「週刊文春」では、森友事件の核心である国有地格安払い下げに迫りつつ、赤木さんが遺して居た公文書改ざんの詳細なファイル・森友事件に関わった官僚達のその後、昌子さんの墓参の様子や俊夫さんの生前の新たな写真・各界有識者が赤木さんの手記をどう読んだか等、グラビア含め計11ページに渉って詳報する。


     「週刊文春」編集部 週刊文春 2020年4月2日号   以上










 「全て佐川局長の指示です」

 森友問題で自殺した財務省職員が遺した改ざんの経緯
 【森友スクープ全文公開】

          〜文春オンライン 3/25(水) 16:00配信〜


          3-25-26.jpg

      「私や妻が関わって居れば首相も議員も辞める」と言った安倍首相

 〜「週刊文春」2020年3月26日号 に掲載された大阪日日新聞記者・相澤冬樹氏による記事「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開 『すべて佐川局長の指示です』」が大きな反響を呼んで居る。
 「週刊文春」編集部は完売により記事が読め無い状況を鑑み、文春オンラインで全文公開する。真面目な公務員だった赤木俊夫さんに何が起きて居たのか。森友問題の「真実」が此処に有る〜


                     ◆ ◆ ◆

 出典「週刊文春」2020年3月26日号

 2年前の3月7日、近畿財務局職員・赤木俊夫氏(54)が自ら命を絶った。安倍昭恵夫人が関与する小学校への国有地格安払い下げが国会で問題と為る中、起きた決裁文書の改ざん事件。
 真面目な公務員は、何故公文書を改ざんし、そして死を選ば無ければ為ら無かったのか。「財務省が真実に反する虚偽の答弁を貫いて居る」「最後は下部がしっぽを切られる」A4で7枚の痛切な「手記」やメモには、その経緯が克明に綴られて居た。「隠蔽の安倍政権」の真実が遂に明らかに・・・

 文 相澤冬樹 大阪日日新聞記者

 森友問題

 佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれ程社会問題を招き、それにNOを誰れも言わ無い
これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ、手がふるえる、恐い 命 大切な命 終止府(ママ)


 ノートに走り書きされたこの短い文章は、財務省近畿財務局管財部の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(享年54)が死の直前に書き残したもの。「手がふるえる」と云う箇所に下線が引いて有る。実際、文字も震えて居る様に見える。

 闇に隠れ、世間から忘れられて行った「手記」
 
 赤木さんは、世を騒がせた森友事件の公文書改ざんを上司に強要され自ら命を絶った。2018年(平成30年)3月7日の事だ。彼が何かを書き遺した様だと云う話は当時から在った。しかし、厳しい情報統制が敷かれて詳しい内容は判らず、死を選ぶに至った事情は闇に隠れたママ、世間から忘れられて行った。

 処が実は、彼の自宅のパソコンには「手記」と題した詳細な文書が遺されて居たのだ。A4で、7枚。そこには、近畿財務局で密かに行われた驚くべき出来事が克明に綴られていた。
 私がこの「手記」を初めて目にしたのは、赤木さんが亡く為って半年余りが経った11月27日の事だった。大阪・梅田の喫茶店。そこで私は赤木俊夫さんの妻、昌子さん(仮名)と初めてお会いした。NHKで森友事件を取材して居た私が、記者を外されNHKを辞めた事を何処かの記事で知り、会いたいと云う話だった。

 「 コレ、見たいですよね?」 

 私は昌子さんを取材した事は無かったが、NHK時代に同僚記者から「取材を避けて居る」と聞いて居た。又事前に昌子さんから「質問には答えられ無いと思います。マスコミと職場(注・夫の職場、近畿財務局)がトテモ恐いです。そこを理解して下さい」と伝えられて居たので、直ぐに取材には為ら無いだろうと考えて居た。

 処が昌子さんは挨拶を交わして間も無く、カバンから数枚の紙を取り出した。 「コレ、見たいですよね?」それが俊夫さんの「手記」だった。
 存在は語られて居たが記者は誰も目にした事が無く、詳細が判って居なかった「手記」それが今、目の前に有る。コンな時、記者は興奮を抑えられ無い。少なくとも私はそうだった。

 私は声に出して文書を読みながら「この部分、凄いですねえ。こんな事が書いて有りますよ」と昌子さんに語り掛けた。昌子さんが周囲を気にして「声が大き過ぎます」と注意する程。
 ザッと読んだだけで内容の重大性は好く判った。 「これ、コピーを取らせて頂く事は出来ませんか?」「駄目です」「写真は?メモは?」「どれも駄目です。目で見て覚えてください」最後に昌子さんは「手記」を仕舞うと「コレは記事にし無いでくださいね。相澤さんに裏切られたら私は死にます」と言い残して去った。

 昌子さんは「手記」を託し、夫の後を追う積りだった
 
 大分後にご本人から聞いたのだが、実はこの時、昌子さんは夫が遺した「手記」を私に託して、そのママ夫の後を追う積りだったそうだ。処が興奮する私の様子を見て「手記」を託すのを辞め、同時に命を絶つのも辞めた。詰り私は重要文書入手と云う記者の仕事をシクジッタのだが、知らぬ間に昌子さんが自死を思い留まると云う怪我の功名をあげていた事に為る。人生何が幸いするか判らない。

 当時、私は『 安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由 』と云う本を文藝春秋から出す直前で、発売日に合わせて12月13日発売の週刊文春で関連記事を書く事に為って居た。赤木俊夫さんの「手記」の話を聞いて文春編集部は色めき立った。「それは凄い。何としても出したい。ビッグニュースに為ります」
 その通りだが、私は無理だろうと感じて居た。「出したら死ぬ」と情報提供者が話して居るものを無断で出す訳にはいか無い。そして昌子さんがそう直ぐに考えを変えて公表に同意するとも思え無かった。

 誠意の無い態度で 亡き夫の職場への気持ちが変化

 それから1年4カ月。今年3月7日に俊夫さんの3回忌を迎え法要が無事終わった。詳しくは後述するが、この間、財務省と近畿財務局は、昌子さんに誠意の無い態度を繰り返した。亡き夫の職場を大切に思って居た昌子さんの気持ちも大きく変化した。
 こうして昌子さんは俊夫さんの「手記」の公開を決意するに至った。今、初めて世に出るその内容を詳しく見て行こう。そして、俊夫さんが死に追い込まれた状況・死後に昌子さんが味わった苦しみと悲しみを多くの方に知って頂きたい。



 




 訴訟までの経緯と解説

 ・・・以下《》部分は赤木氏の手記からの抜粋 適宜省略し注釈を加えた ★リンク別記事★にて手記の全文を掲載する。

 《私は、昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し(中略)強度なストレスが蓄積し、心身に支障が生じ、平成29年7月から病気休暇(休職)に至りました。これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を賑わせている「森友学園への国有地売却問題」です。
 今も事案を長期化・複雑化させているのは、財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます》


 此処で書かれて居る「森友学園への国有地売却問題」が明るみに出たのは3年前の17年2月8日。コノ国有地だけ売却価格が明らかにされ無い事を不審に思った地元・大阪府豊中市の木村真市議が、情報公開を求め裁判を起こしたのが切っ掛けだった。コノ国有地には森友学園の新設小学校が建つ予定で、その名誉校長には、安倍晋三首相の妻、昭恵さんが就任して居た。
 翌日、朝日新聞がコノ問題を大きく報じた事で国会で火が点いた。野党の追及に財務省は、鑑定価格9億円余の土地を8億円以上も値引きして売却して居た事実を明かした。

 ターニングポイントは首相答弁

 ターニングポイントと為ったのは2月17日だ。この日、国会で昭恵夫人の国有地取引等への関与を追及された安倍首相は、こう言い切った。

 「私や妻が関係して居ると云う事に為れば、間違い無く総理大臣も国会議員も辞めると云う事は、ハッキリ申し上げて置きたい。全く関係無い」
 
 7日後の24日には、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)が国会で「交渉記録は無い」「売買契約締結をもって事案は終了、速やかに廃棄した」等と答弁。実際には、国有地取引の経緯を記した改ざん前の公文書には「安倍昭恵首相夫人」の名前が繰り返し記されて居た。

 手記が記す改ざんの経緯「全て、佐川理財局長の指示です」

 その2日後、これ等公文書の改ざんが始まった。「手記」はその状況をリアルに記して居る。◇

 《元は、すべて、佐川理財局長の指示です。(中略)学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えしました。
 第一回目は昨年2月26日(日)のことです。当日15時30分頃、出勤していた池田靖統括官(注・赤木俊夫さんの直属の上司で、問題の国有地取引の実質的責任者)から本省の指示の作業が多いので、手伝って欲しいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました》


 「池田統括が困って居るから、僕助けに行くわ」

 この日の事を妻の昌子さんは今もハッキリ覚えて居る。日曜日で、赤木さん夫婦は昌子さんの母親と共に自宅近くの梅林公園を訪れて居た。その時、俊夫さんの携帯が鳴った。通話の後、俊夫さんは「池田統括が困って居るから、僕助けに行くわ」と言い残し職場に向かった。
 昌子さんは語る。「トシくん(昌子さんは夫の俊夫さんをこう呼ぶ)は池田さんより年上だけど、池田さんの事を尊敬して居て本当に好きでした。だから『助けに行く』と聞いても疑問に思いませんでした。正かあんな事をさせられる為に呼ばれたとは・・・トシくんも職場に行く迄知ら無かったんでしょうね」
 
 この日、俊夫さんは割と早く帰って来たと云う。後に改ざんが発覚した時、俊夫さんは昌子さんに「あの日は(抵抗する)時間が無いから遣ってしまったんや」と話して居たそうだ。しかし俊夫さんが亡く為った後、弔問に訪れた池田靖統括国有財産管理官は「彼は一回目から(改ざんに)抵抗して居た」と明かし「自分が遣ろうと思ったけど手が回ら無かった。自分が遣れば好かった」と悔やんだと云う。処が、改ざんは一回では済ま無かった。


 《あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行った》
 《その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。(注・近畿財務局の)楠管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村(注・嘉啓)国有財産審理室長などから楠部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。
 美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと楠部長から聞きました。(中略)本省からの出向組の(注・管財部の)小西次長は「元の調書が書き過ぎているんだよ」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省杉田補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)》


 この記載から以下の事が判る。

 現場の赤木俊夫さんは不正な改ざんに反対した。
 それに上司の楠敏志管財部長も一旦は同調した。
 しかし財務省理財局の中村稔総務課長(現・イギリス公使)らが圧力を掛け覆した。
 最後は近畿財務局トップの美並義人局長(現・東京国税局長)が「全責任を負う」と述べゴーサインを出した。
 大阪地検特捜部は全てを知って居たが全員不起訴にした。


 「公務員として最低の人間や」
 
 又、此処で批判的に書かれて居る近畿財務局管財部の小西眞次長に付いて、昌子さんには忘れられ無いエピソードがある。17年5月14日、日曜日。俊夫さんはこの日も休日出勤。昌子さんも偶々近くで用事があり、近畿財務局の最寄りの大阪メトロ谷町四丁目駅で降りて、職場迄の坂道を連れだって歩いて居た。
 すると前方に、同じ様に休日出勤する小西次長の後ろ姿があった。俊夫さんは「アッ、次長や。アノ人、こんな時にもスポーツジムに通ってる。体力あるんや」と話した。そこで昌子さんが「声を掛けたら?」と言うと、俊夫さんは不機嫌な顔に成って「公務員として最低の人間や」と呟いたと云う。この日の俊夫さんのメモ帳には「小西次長も同時刻出勤されていた 話しはせず」と書かれて居る。

 《これが財務官僚機構の実態なのです。パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。(中略)杉田補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています》

 俊夫さんは一人で不正な改ざんの可成りの部分を担わされた

 俊夫さんの直属の上司だった池田氏は改ざんに付いて「自分が遣れば好かった」と昌子さんに話して居る。一方、俊夫さんは生前、若い部下二人には「やらせていない。そこはよかった」と話して居たと云う。とすれば、俊夫さんは一人で不正な改ざんの可成りの部分を担った(担わされた)のだろう。
 その若い二人と俊夫さんは、改ざんに涙を流して抵抗したと、彼等の上司だった池田氏は後に昌子さんに話したそうだ。

 財務省の情報隠蔽はこれに留まら無い。森友学園への国有地売却問題を受けて近畿財務局が会計検査院の特別検査を二度に渉り受けた際、財務省は次の様に対応したと云う。

 《決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料の範囲内のみで説明する。(中略)応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示がありました》

 「絶対うまくいかない。絶対(検査に)合格しない」

 会計検査院の一回目の特別検査は17年4月11日から13日に掛けて実施された。俊夫さんの手帳にはこの3日間に「会計検査(森友事案)」と云う記載がある。マメな俊夫さんは退庁時間も手帳に書いて居た。
 11日と12日は22時50分・3日は午前3時10分、タクシーで帰宅して居る。メモ帳の別の欄には、13日に「検査院応答録 修正作業」と記されて居る。昌子さんは語る。 「アノ頃、朝晩最寄り駅迄車で送り迎えして居たんです。トシくんは車内で何時も零して居ました。『絶対上手く行か無い。絶対(検査に)合格し無い。絶対もう一度有る』って」
 実際、検査は6月にもう一度行われた。この頃から俊夫さんは目に見えて元気が無く為って行った。以前はドンなに仕事が忙しくても残業が続いても平気だったのに。明るくて好く笑い、昌子さんに優しく、喧嘩をした事も殆ど無かったのに。昌子さんはこの年の4月に淡路島に行った時の写真を見せて呉れた。

 「ホラ、トシくん、笑って無いでしょ。何時もはニコニコして居たんですよ。超明るい人で。それが笑う事も喋る事も減って。会計検査の頃は本当に辛そうで、仕事への意欲も薄れて居たんじゃないかと思います」

 俊夫さん以外全員異動・・・一人だけポツンと残された

 当時、俊夫さんの心の支えは、7月の人事異動で担当部署が変わる事だった。そうすれば森友関連の苦行から逃れられる。直属上司の池田氏からは内々に「動かして貰えるよ。大丈夫だよ」と言われたと、昌子さんに話して居た。処が蓋を開けて見ると、6月23日の内示の日、俊夫さんは異動し無かった。
 それ処か、同じ部署の他の職員は上司の池田氏も含め全員異動が決まり、彼だけがこの職場に残される形に為ったのである。しかも更に追い打ちを掛ける出来事があった。問題の国有地の売買に関する資料が全て処分されて職場から消えて居たのだ。

 「それが兎に角ショックやった」と俊夫さんは話したと云う。昌子さんは語る。「ムッチャ落ち込んでました。一人だけポツンと残されて、資料は全て処分されて・・・アンマリですよね」
 勿論、アンマリだ。俊夫さんは問題の国有地が売却された後に担当に為ったから、実際の売買交渉の経緯は何も知ら無い。知って居るのは上司の池田氏だが、池田氏は居なくなり資料は無い。と為ったら、後を引き継いだ人間はどうすれば好いのか?
 俊夫さんのメモには、内示の5日後、6月28日の処に「18:30特捜部来庁」とある。コレが資料の任意提出を受けに来たのだとしたら、その直前に関係資料が無く為って居た事は、どう捉えたら好いのだろう?

 俊夫さんを更に追い詰めた検察の捜査

 この後、俊夫さんの精神状態は悪化する。7月15日に精神科を受診、うつ病と診断される。7月19日、夫婦一緒に外出先で昼ご飯を食べた時は、震えが凄く顔は真っ青だった。その時、俊夫さんは「森友の事だけや無いんや」と気に為る言葉を残して居る。そして翌20日から病気休暇に入る。結局、そのママ職場に戻る事は無かった。
 病気休暇に入って90日が経つと、その後は休職扱いと為り給与が減る。俊夫さんは好くお金の事を心配して居たと云う。「(職場に)戻れるかナア。森友のとこじゃ無いとこに」と口にして居た。だが職場からは「問題事案の担当は外すが、部署は異動させ無い」と告げられたと云う。

 異動が無かった事に輪を掛けて俊夫さんの心を乱したターニングポイントがある。検察の捜査だ。問題の国有地の値引きに付いて、この年の3月22日と7月13日に市民団体や弁護士等の団体から「国に損害を与えた背任だ」と告発が出て居た。同時に「取引記録は廃棄した」と繰り返し答弁する佐川氏等に対する証拠隠滅での告発も出て、何れも大阪地検特捜部が捜査して居た。

 「内閣が吹っ飛ぶ様な事」

 俊夫さんは国有地の売買には関与して居ないから背任は関係無い。だが証拠隠滅は?この頃は未だ公文書の改ざんは明らかに為って居なかったが、心為らずも改ざんをさせられる事に為った俊夫さんは、自分も罪に問われる事を恐れて居た。事有る毎に「大変な事をさせられた」「内閣が吹っ飛ぶ様な事を命じられた」「最後は下っ端が責任を取らされる」「僕は検察に狙われて居る」と怯えて居た事を昌子さんは好く覚えて居る。

 その検察による最初の接触は11月17日に訪れた。職場を通しての事情聴取の要請だ。事情聴取は、容疑者扱いの取り調べとは違うのだが、不正な改ざんに関わった自覚の有る俊夫さんには同じ様に感じられただろう。昌子さんは当時の様子に付いて「震え上がって居ました。怖くて怖くてしょうが無い感じでした」と話して居る。そして12月25日、俊夫さんは震える小声で昌子さんに告げた。

 「ドクターストップが掛かってるのに、電話が来た」「今日、滔々電話有ったわ。医師は止めて居た筈なのに。こんな辛いのに、ドクターストップが掛かってるのに電話が来た」

 この日のメモ帳には「久保田検事より受電」とある。実はそれに先立って検事が俊夫さんの主治医に、事情聴取が可能か尋ねて居た事が主治医の話で判った。主治医は「病状が悪化する」と聴取を止めた上で「手紙かメールでご挨拶程度に様子を伺ったらどうですか?」と話した。
 だが検事は直ぐに俊夫さんの携帯に電話を掛けて20分間も話したのだと云う。20分は挨拶のレベルを超えて居る。事実上の聴取と言われても仕方無いだろう。これを切っ掛けに俊夫さんの病状は極端に悪化した。

 「ぼくは職場に復帰したら検察に呼ばれる。検察は恐ろしいとこや。何を言っても思い通りの供述を取る。検察はもう近畿財務局が主導して改ざんしたと云う絵を描いて居る。そのストーリーから逃げられ無い。ぼくが何を言っても無理や。本省の指示なのに最終的には自分の所為にされる。僕は犯罪者や」

 妄想も現れる様に為った。「玄関の外に検察が居る!」と繰り返し叫んでいたと云う。昌子さんも辛かった。「壊れたみたいにズッと同じ事を繰り返して居るんです。職場に復帰し無いとお金が無い。でも復帰したら検察に呼ばれる。その板挟みが本当に辛かったんだと思います」

 「正に生き地獄」

 この頃、俊夫さんは「苦しくて辛い症状の記録」と云う文書を書いた。ソコには次の様に記されている。

 「これまでのキャリア、大学すべて積み上げたものが消える怖さと、自身の愚かさ」「家内や、家内の家族・親戚の皆様にも迷惑をかけることが本当に苦しい」「まさに生き地獄」「家内にそのまま気持ちをぶつけて、彼女の心身を壊している自分は最低の生き物、人間失格」
 
 アレ程尊敬して居た上司の池田氏に付いても批判を口にする様に為る。

 「池田さんは仕事が雑や。池田さんがちゃんと(国有地を)売っていたらこんなことにならんかった。大学に売っとったらよかったんや」
 
 大学とは大阪音楽大学のこと。問題の国有地の隣接地にあり、森友学園より先にこの国有地の購入を希望して7億円以上の金額を提示したとされるが、近畿財務局は売ら無かった。それを森友学園には1億3400万円で売って居る。そして遂に改ざんが明るみに出る日が来た。

 朝日新聞の第一報 2018年3月2日、朝日新聞に記事が出たのだ。 「森友文書 書き換えの疑い」「財務省、問題発覚後か」「交渉経緯など複数箇所」の見出しが躍った。昌子さんはこの日のこともよく覚えている。

 「朝、スマホで記事を見て『この人の遣った事、これ遣ったんや』と直ぐ判りました。本人に見せたく無かったけど、結局、見てしまった。物凄く落ち込んで『死ぬ、死ぬ』と繰り返してました。夜中にロープを持って出て行こうとしたので止めたんです」

 翌3日、俊夫さんは外出中の昌子さんに「もうぼくは山におるからメールもしてこんで」とメールを送って来た。この時は昌子さんが探しに行って連れ帰る事が出来た。6日には「死ぬ所を決めて居る」と言って再び山に向かおうとした。
 そんな状況で彼はこの「手記」を書き上げた。何故自分が追い詰められ無ければ為ら無いのか? この不条理に対し最後の力を振り絞って、真実を書き残して置く為に。

 《役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。森友事案は、すべて本省の指示、本省が処理方針を決め(中略)嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。
 この事案は、当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう。怖いい無責任な組織です》


 「いってらっしゃい」では無く「ありがとう」

 手記の文面から、最後に書き上げたのは死の当日の3月7日と見られる。改ざん発覚の5日後だ。この日、昌子さんが出勤する際、何時もはグッタリして居る俊夫さんが玄関迄見送りに来て言った。「ありがと」・・・「いってらっしゃい」では無く「ありがとう」アレは死ぬ決意の表れだったのだろうと、今、昌子さんは思う。
 職場から昌子さんはショートメールを送った。最初は11時45分「大丈夫かな?」と云うメッセージに直ぐ「はい」と云う返事が返って来た。処が16時6分「疲れるほど悩んでる?悩んだらだめよ」と云うメッセージには何時までも返事が来無い。不安に為った昌子さんは職場を早退し急いで自宅に戻った。すると・・・昌子さんは自宅の部屋の窓を指しながら語った。

 「アソコの手擦りに紐を掛けて首を吊って居たんです。普通なら先ず119番しますよね。でも私は『財務局に殺された』って思いが有るから、遂110番に電話しちゃったんです」

 俊夫さんの「手記」は次の言葉で締め括られて居る。これは彼が命を絶つ直前に渾身の思いで書き残した“遺書”であり、不正の告発文書なのだ。

 《◯刑事罰、懲戒処分を受けるべき者 佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)
 この事実を知り、抵抗したとは云え関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)
 家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。さようなら》


 これとは別に、妻に宛てた手書きの遺書もある。

 《「昌子へ これまで本当にありがとう ゴメンなさい 恐いよ、心身ともに滅いりました」》

 俊夫さんは死の前日、仲が良かった昌子さんの母に「明日は検察なんです」と話して居たと云う。しかし今と為っては、それが事実だったのかどうかは判らない。命日は3月7日。俊夫さんの誕生日は3週間後の3月28日。「手記」に有る通り、彼が55歳の春を迎える事は無かった。

 「ぼくの契約相手は国民です」

 私が初めてご自宅に伺った時、昌子さんは俊夫さんの書斎を見せて呉れた。今も生前のママ残されて居るその部屋には、本棚にハードカバーの書籍がビッシリ並んで居る。哲学や思想などの本が多い。趣味も多彩だった。中でも書道は一生続けたいと考え、筆や墨等の高価な道具を多数買い揃えて居た。棚にキチンと分類され整理されて並んで居る様は、几帳面な性格を表して居る様だ。
 音楽や建築、落語にも造詣が深かった。仕事から帰宅すると、この書斎で本を読んだり落語を聞いたりコンサートのチケットを取ったり。土日は部屋に籠って書道に集中した。

 建築家の安藤忠雄さんや、音楽家の坂本龍一さんの事が取り分け大好きだった。1993年、未だ若い頃、近畿財務時報と云う部内誌に寄稿して居る。題は「坂本龍一探究序説」その中に「逃避することのできない社会現象の不合理性や構造の矛盾」と云う言葉がある。今に為ってみると将来を暗示して居るかの様だ。彼の人と為りを昌子さんは懐かしそうに語る。

 「趣味が幅広くって、自分の為に投資を惜しま無い人です。私にも、私が何かを買おうとすると『最高の物を買って』と言って呉れました」
 「自分の考えが確り在って、自分の生きる道を筋道立てて前に進んで行く。好い加減には生きて居ない人でした。誠実で優しくて、喧嘩は殆どした事が有りません。相談したら何でも答えて呉れる、包容力もある、何でも一生懸命でした」


 赤木俊夫さんは1963年、岡山県の出身。高校卒業後、当時の国鉄に就職したが、1987年の分割民営化で中国財務局に採用され、鳥取財務事務所に勤めた。
 その時、私がNHKから転職した大阪日日新聞の経営母体である鳥取の地元紙「日本海新聞」を愛読して居たと云うから、意外なご縁がある。その後、立命館大学法学部(当時在った夜間コース)に進学する為近畿財務局京都財務事務所に移り、以後は関西各地で勤務した。口癖は「ぼくの契約相手は国民です」真面目で明るい公務員だった。

 近畿財務局の上司が「遺書が有るなら見せて欲しい」

 しかし俊夫さんの死後、近畿財務局の振る舞いは昌子さんを大きく傷着けた。俊夫さんが亡く為った翌日、近畿財務局の上司に当たる楠管財部長が自宅を訪れ「遺書が有るなら見せて欲しい」と昌子さんに求めたと云う。「私は物凄く怒りました。だって森友の事で死んだのは間違い無いじゃないですか。ハッキリ断りました」
 昌子さんの目の前で「赤木を殺したのは朝日新聞や!」と叫んだ職員も居た。でも昌子さんは「殺したのは財務省でしょ」と冷ややかに見て居た。「財務局で働きませんか?」とも持ち掛けられたと云う。昌子さんは「佐川さんの秘書にして呉れるなら好いですよ。お茶に毒盛りますから」と答えた。痛烈な皮肉に相手は沈黙した。

 麻生太郎財務大臣を巡る対応に唖然
 
 更に納得が行か無いのは、麻生太郎財務大臣を巡る対応だ。俊夫さんが亡く為って3カ月が経った6月、俊夫さんと親しかった財務省職員Fさんから電話が在った。
 「麻生大臣が墓参に来たいと言って居るが如何か?」と聞いて来たのだ。昌子さんは「来て欲しい」と答えた。処がFさんは、昌子さんに黙って昌子さんの兄に電話を掛け「妹さんは大臣に来て欲しいと言って居ますが、マスコミ対応が大変だから断りますよ」と一方的に告げたのだと云う。昌子さんは次の日、Fさんからその事を告げられて唖然とした。

 暫らくして麻生大臣が国会で「遺族が来て欲しく無いと云う事だったので伺って居ない」と答弁して居るのを見た。翌年にも同じ様に答弁して居る。それから間も無く、近畿財務局の美並局長(当時)がお供の人達と自宅を訪れた。その際、美並局長は「大臣の墓参を断って呉れて有難う」と述べたと云う。昌子さんは「私、そんな事言って無いのに」と憤った。
 翌年19年2月、財務省の岡本薫明事務次官が自宅に弔問に訪れた際は、同行して居た近畿財務局の職員から「一番偉い人ですよ。判ってます?」と言われた。こうした積み重ねが、昌子さんの心を財務省から引き離して行った。

 「元々夫の勤め先だから悪く云う積りは無かったんですけど、アンマリ酷いじゃ無いですか」「トシくんは亡く為って、財務局は救われた。可笑しく有りませんか?」
 
 俊夫さんの話題に為ると、昌子さんは毎回「トシくんが可哀想」と涙ぐむ。夫はなぜ亡く為ら無ければ為ら無かったのか? それを知りたくて昌子さんは、俊夫さんの同僚だった人達から話を聞こうとした。
 しかしナカナカ会って呉れ無い。俊夫さんが心から信頼して居た上司の池田氏は2回、自宅に来て呉れた。だが全てを正直に話して呉れたとは思え無い。

 去年の暮れの或る朝、昌子さんから電話が掛かって来た「酷いんです」と。池田氏「もう二度と会え無い」と伝えて来たのだ「酷くありませんか?話が聞きたいだけなのに。トシくんが可哀想で・・・」
 時折声を詰まらせ乍ら訴えるその口調は、抑え様が無い憤りの気持ちを表して居た。数十分間の通話で私は「昌子さんの言う通りです」と答えるしか無かった。親友だったFさんは「近財(近畿財務局)は赤木に救われた」と話した事が有ると云う。昌子さんは思う。

 「それって如何云う事ですか? トシくんは亡く為って財務局は救われた。それって可笑しく有りませんか?」

 無論、可笑しい。その癖池田氏を初め近畿財務局の人達は皆昌子さんの周辺から遠ざかって行く。「もうこれ以上関わりたく無い」と云う気持ちが如実に表れている。
 昌子さんは、俊夫さんが「手記」で改ざんの責任者と指摘して居る佐川氏に付いても弔問に来て欲しいと願って居る。トシくんの仏壇の前で謝罪し説明して欲しいと。だから弁護士を通じて去年2回、佐川氏の自宅に手紙を送り来訪を求めたが返事は来無い。財務省の関係者から人伝に、佐川氏が手紙を「確りと読ませて頂いた」と話して居ると聞いた。でも、読んでどう感じたかの話は無い。

 こうして次第に昌子さんの中で「真相を知るには裁判しか無い」と云う気持ちが芽生えて行った。夫の死には佐川氏も相当の責任が有るだろう。だから裁判を起こすとしたら佐川氏も訴えたい。そうすれば法廷で佐川氏に問い質す事が出来るかも知れない。

 弁護士と相談を重ね、佐川氏個人も被告に

 通常、この手の事件では「国家公務員の行為は国が責任を負う」と云う国家賠償法の規定に基づき国だけを相手に裁判を起こす。だがこのケースは、到底通常の公務とは言え無い違法な改ざん行為をさせた責任を問うのだ。
 公務と言え無いなら個人の責任だろう。しかも佐川氏は当然、謝罪と説明を行うべきだが、遺族の求めに全く応じて居ない。これは正に佐川氏個人の責任だ。昌子さんは弁護士と相談を重ね、佐川氏個人も被告に加える事にした。

 裁判の目的はお金では無く真相究明

 昌子さんとしては、お金の為では無く真相究明の為の裁判だから、賠償金額は幾らでも好いと考えて居た。しかし弁護士に依ると、安い金額では国が「認諾」と言ってコチラの主張を丸呑みして認めてしまう。請求額を支払う事で裁判を直ぐに終わらせ、それに依って遺族側に原因追及をさせ無い事が狙いだ。
 そうさせ無い為には、丸呑み出来ない金額で訴えるしか無い。佐川氏と国に対し、総額1億1000万円余の賠償を求める積りだ。

 裁判は飽く迄佐川氏を法廷に呼び出し、謝罪を求め真相を追究するのが目的だ。訴状の冒頭にも「本件訴訟の目的は、第一に、何故亡俊夫が本件自殺に追い込まれ無ければ為ら無かったのか、その原因と経過を明らかにする点にある」と明記されて居る。
 だから勝訴して得られた賠償金は、何等かの形で世の為人の為に役立てたいと考えて居る。特に、二度と公文書改ざん等と云う不正が起き無い様にする為に。

 佐川氏の自宅を訪れると・・・
 
 3月15日、私は東京都内の佐川氏の自宅を訪れた。室内に灯りが点いて居る。誰かが居る事は間違い無い。インターホンを押した。一度・二度。反応は無い。三度目、私はインターホンの前に俊夫さんの手記を掲げて言った。
 「佐川さん、コレは近畿財務局の亡く為った赤木さんが遺した手記です。コレを読んで頂けませんか?」 
 それでも反応は無い。家の中で聞いて居るのか見て居るのかも解ら無い。最後に私は「手紙を郵便受けに入れて置きますのでお読みください」と言い残しその場を立ち去った。

 これを昌子さんに伝えると「私も何度もピンポンされる恐怖を味わったので、少し気の毒です」と話した。夫を追い詰めた佐川氏にも同情を寄せる心優しい人なのだ。現在62歳の佐川氏。2年前に国税庁長官を辞任した後は再就職もせず、財務省OBの集まり等にも顔を出して居ないと云う。
 「全責任を負う」と言ったとされる美並氏にも取材を申し入れると「決裁文書の改ざんに付いては、平成30年6月4日に調査報告書を公表して居る通りです。お亡く為りに為られた職員に点いては、誠に残念な事であり、深く哀悼の意を表したいと思います」と財務省の広報室を通じて回答があった。

 3月18日、昌子さんは大阪地裁に提訴する。被告と為る国と佐川氏は、どの様に応じるだろうか? 更に、責任が有ると名指しされた財務官僚達は? 彼等を統率する責任が有る安倍首相と麻生財務大臣は? そしてソモソモの発端と為った森友学園の小学校の名誉校長だった首相夫人の安倍昭恵さんは? 皆、赤木俊夫さんと昌子さんの訴えをどの様に受け留めるだろうか?











 手記 平成30年2月(作成中)

 〇はじめに

 私は、昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し、その対応に、連日の深夜残業や休日出勤を余儀なくされ、その結果、強度なストレスが蓄積し、心身に支障が生じ、平成29年7月から病気休暇(休職)に至りました。
 これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を賑わせている「森友学園への国有地売却問題」(以下「本件事案」と云う)です。

 本件事案は、今も事案を長期化・複雑化させているのは、財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます。この手記は、本件事案に関する真実を書き記しておく必要があると考え、作成したものです。以下に、本件事案に関する真実等の詳細を書き記します。

 1.森友学園問題

 私は、今も連日のように国会やマスコミで政治問題として取り上げられ、世間を騒がせている「森友学園への国有地売却問題」(以下「本件事案」と云う)を、昨年(平成29年)2月から担当していました。本件事案が社会問題化することとなった端緒は、平成29年2月9日、朝日新聞がこの問題を取り上げたことです。
 (朝日新聞が取り上げた日の前日の平成29年2月8日、豊中市議が国を相手に、森友学園に売却した国有地の売買金額の公表を求める訴えを提起)

 近畿財務局が、豊中市に所在する国有地を学校法人森友学園(以下「学園」と云う)に売却(売買契約締結)したのは平成28年6月20日です。私は、この時点では、本件事案を担当していませんので、学園との売買契約に向けた金額の交渉等に関して、どのような経緯があったのかについてはその事実を承知していません。

 2.全ては本省主導
 
 本件事案の財務省(以下「本省」と云う)の担当窓口は、理財局国有財産審理室(主に担当の杉田補佐、担当係長等)です。杉田補佐や担当係長から、現場である財務局の担当者に、国会議員からの質問等の内容に応じて、昼夜を問わず資料の提出や回答案作成の指示(メール及び電話)があります。
 財務局は本省の指示に従い、資料等を提出するのですが、実は、既に提出済みのものも多くあります。通常、本件事案に関わらず、財務局が現場として対応中の個別の事案は、動きがあった都度、本省と情報共有するために報告するのが通常のルール(仕事のやり方)です。

 本件事案は、この通常のルールに加えて、国有地の管理処分等業務の長い歴史の中で、強烈な個性を持ち国会議員や有力者と思われる人物に接触するなどのあらゆる行動をとるような特異な相手方で、これほどまで長期間、国会で取り上げられ、今もなお収束する見込みがない前代未聞の事案です。
 その為、社会問題化する以前から、当時の担当者は、事案の動きがあった際、その都度本省の担当課に応接記録(面談等交渉記録)などの資料を提出して報告しています。したがって、近畿財務局が、本省の了解なしに勝手に学園と交渉を進めることはありえないのです。本省は近畿財務局から事案の動きの都度、報告を受けているので、詳細な事実関係を十分に承知しているのです。

 出来るだけ後送りとする様指示

 (1)国会対応

 平成29年2月以降ほとんど連日のように、衆・参議院予算委員会等で、本件事案について主に野党議員から追及(質問)されます。世間を騒がせ、今も頻繁に取り上げられる佐川(前)理財局長が一貫して「面談交渉記録(の文書)は廃棄した」などの答弁が国民に違和感を与え、野党の追及が収まらないことの原因の一つとなっています。
 一般的に、行政上の記録を応接記録として作成された文書の保存期間は、文書管理規則上1年未満とされていますので、その点において違法性はないと思いますが、実際には、執務参考資料として保管されているのが一般的です。
 この資料(応接記録)を文書管理規則に従って、終始「廃棄した」との説明(答弁)は、財務省が判断したことです。その理由は、応接記録は、細かい内容が記されていますので、財務省が学園に特別の厚遇を図ったと思われる、あるいはそのように誤解を与えることを避けるために、当時の佐川局長が判断したものと思われます。

 (2)国会議員への説明
 
 本件事案に関して、野党議員を中心に財務省に対して、様々な資料を要求されます。本省は、本件事案が取り上げられた当初の平成29年3月の時点では、全ての資料を議員に示して事実を説明するという姿勢であったのです。
 ところが、(当時)佐川理財局長の指示により、野党議員からの様々な追及を避けるために原則として資料はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りとするよう指示があったと聞いています。(現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできませんが、本省(国有財産審理室)杉田補佐からは局長に怒られたとよく言っていました)

 また、野党に資料を提出する前には、国会対応のために、必ず与党(自民党)に事前に説明(本省では「与党レク」と呼称)した上で、与党の了承を得た後に提出するというルールにより対応されていました(杉田補佐、近畿財務局楠管財部長などの話)

 (3)会計検査院への対応

 国会(参議院)の要請を受けて、近畿財務局が本件事案に関して会計検査院の特別検査を、昨年平成29年4月と、6月の2回受検しました。受検時には、佐川理財局長の指示を受け、本省理財局から幹部職員(田村国有財産審理室長、国有財産業務課福地補佐ほか、企画課係長)が派遣され、検査会場に同席し、近畿財務局からの説明を本省幹部職員が補足する対応がとられました。その際、本省の検査院への対応の基本姿勢は、次のとおりです。

 @ 決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料(2〜3分冊のドッチファイルを持参)の範囲内のみで説明する
 A 現実問題として、上記@のみでは検査院からの質問等に説明(対応)出来ないとして、田村審理室長が、近畿財務局に保管されている決裁文書等を使用して説明することはやむを得ないと判断して@の対応が修正された
 B 応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示がありました(誰から誰に指示がされたかは不明確ですが、近畿財務局が作成した回答案のチェックを本省内関係課で分担され、その際資料は提示しないとの基本姿勢が取られていました)

 (注)この時、法律相談の記録等の内部検討資料が保管されていることは、近畿財務局の文書所管課等(統括法務監査官、訟務課、統括国有財産管理官(1))の全ての責任者(統括法務監査官、訟務課長、統括国有財産管理官)は承知して居ました。
 したがって、平成30年2月の国会(衆・予算委員会等)で、財務省が新たに議員に開示した行政文書の存在について、麻生財務大臣や、太田理財局長の説明「行政文書の開示請求の中で、改めて近畿財務局で確認したところ、法律相談に関する文書の存在が確認された」(答弁)は、明らかに虚偽答弁なのです。

 さらに、新聞紙上に掲載された本年1月以降に新たに発覚したとして開示した「省内で法的に論点を検討した新文書」について、本年2月19日の衆院予算委員会で、太田理財局長が「当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気付く状況に至らなかった。法務担当に聞いていれば(文書の存在)に気付いていたはずだ」との答弁も全くの虚偽である。
 それは、検査の際、この文書の存在は、法務担当に聞かなくても、法務担当以外の訟務課・統括国有財産管理官は作成されていることを当然認識しています。これも近畿財務局は本省主導で資料として提示しないとの基本的な対応の指示に従っただけなのです。
 また、本省にも報告され保管されていることは、上記2に記載している本省と財務局との情報共有の基本ルールから明らかです。

 詭弁を通り越した虚偽答弁が続けられた

 (4)財務省の虚偽答弁

 本省が虚偽の答弁を繰り返していることを再掲しますと、

 上記(1)国会対応(2)国会議員(3)会計検査院への対応の全ては、本省で基本的な対応のスタンスが決められました。特に(3)では、本省から財務局に以下の対応の指示がありました。

  資料は最小限とする
  できるだけ資料を示さない
  検査院には法律相談関係の検討資料は「ない」と説明する

 この事案の対応で、先の国会で連日のように取り上げられた佐川(当時)理財局長の国会答弁の内容と整合性を図るよう、佐川局長や局長の意向を受けた本省幹部(理財局次長、総務課長、国有財産企画課長など)による基本的な対応姿勢が全てを物語っています。

 (疑問)

 財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか。当初、佐川理財局長の答弁がどこまでダメージコントロールを意識して対応されていたかといえば、当面の国会対応を凌ぐことだけしか念頭になかったのは明らかです。

 3.財務省は前代未聞の「虚偽」を貫く

 平成30年1月28日から始まった通常国会では、太田(現)理財局長が、前任の佐川理財局長の答弁を踏襲することに終始し、国民の誰もが納得できないような詭弁を通り越した虚偽答弁が続けられているのです。現在、近畿財務局内で本件事案に携わる職員の誰もが虚偽答弁を承知し違和感を持ち続けて居ます。
 しかしながら、近畿財務局の幹部をはじめ、誰一人として本省に対して、事実に反するなどと反論(異論)を示すこともしないし、それができないのが本省と地方(現場)である財務局との関係であり、キャリア制度を中心とした組織体制のそのもの(実態)なのです。
 本件事例を通じて、財務省理財局(国有財産担当部門)には、組織としてのコンプライアンスが機能する責任ある体制にはないのです。

 4.決裁文書の修正(差し替え)
 
 本年3月2日の朝日新聞の報道、その後本日(3月7日現在)国会を空転させている決裁文書の調書の差し替えは事実です。元は、すべて、佐川理財局長の指示です。局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。
 佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えしました。

 第一回目は昨年2月26日(日)のことです。当日15時30分頃、出勤していた池田靖統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝って欲しいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました。その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。
 楠管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村国有財産審理室長などから楠部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと楠部長から聞きました。楠部長以外にも、松本管財部次長、小西次長の管財部幹部はこの事実をすべて知っています。

 本省からの出向組の小西次長は「元の調書が書き過ぎているんだよ」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省杉田補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)これが財務官僚機構の実態なのです。パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。
 佐川局長は、修正する箇所を事細かく指示したのかどうかはわかりませんが、杉田補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。

 役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さ 森友事案は、すべて本省の指示、本省が処理方針を決め、国会対応、検査院対応すべて本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。
 この事案は、当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて近畿財務局の責任とするのでしょう。怖い無責任な組織です。

 〇刑事罰、懲戒処分を受けるべき者

 佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。
 事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。
 私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。さようなら


 編集部注 明らかな誤字・脱字に限り修正 その他は全て原文のまま掲載しました・・・

                        以上




























   










首相会見の異常さ放置して 何がジャーナリズムか「東京新聞」記事転載と追加の議論





 首相会見の異常さ放置して 何がジャーナリズムか
 
 「東京新聞」記事転載と追加の議論


  〜武蔵大教授・米ジョージワシントン大客員研究員 ジャーナリスト 奥村信幸 3/25(水) 7:31〜


3-25-12.jpg

      武蔵大教授・米ジョージワシントン大客員研究員 ジャーナリスト 奥村信幸

 〜安倍首相の記者会見が、国民の「知る権利」に応えて居ないと議論に為って居ます。この問題に付いて東京新聞の2020年3月18日(水)夕刊文化面(5面)「ウイルス禍と文化」と云う特集でタイトルと同じ見出しの評論記事を書きました。
 この文章はウェブ版に掲載され無かった為、同紙のご厚意により転載の許可を得て以下に全文を公開し、若干の追加の議論をして置こうと思います〜


 <「東京新聞」2020年3月18日(水)夕刊文化面(5面)記事>

 記事では漢数字で表記されて居ましたが、読み易い様に算用数字に変換して掲載します。

        3-25-15.jpg

 首相会見の異常さ放置して何がジャーナリズムか

 この問題にメディアは見無い振りをして来た。2月29日の安倍晋三首相の新型コロナウイルス感染拡大に付いての緊急記者会見が、子供達の教育と親の生活を直撃した小中高校の臨時休業の根拠を問うと云う切迫したテーマだった事、それにも関わらず「回答は事前に準備され、当てる順番まで決まって居た」とフリーランスの記者達が反発し、俄かに注目を集めただけだ。
 3月14日の会見では、質問打ち切りに記者が抗議、約8分だけ延長された。記事やソーシャルメディアで「メディアは頑張った」と云う意見もあるが、ソモソモ安倍首相が就任した7年前に、嫌その前から遣って居無ければ為ら無い事だ。

 7日に首相が福島県を視察した際には、官邸記者クラブ以外を排除してブラ下がり(簡略な会見)を行おうとして居た。他紙の福島駐在記者が紛れ込み、形式的な一問一答で帰ろうとした首相に「地元、福島の記者です」と果敢に質問したとツイッター等で賞賛された。
 メディア内での足の引っ張り合いは、記者クラブだけが問題では無い。その様な体質を放置して来たメディア全体に対する不信感が広がって居るのに、危機感は共有出来て居ない様だ。ネット署名等に動いて居るのは新聞労連など組合だけだ。

 首相会見とは、国民の命や生活に最大の権限を持つ人が公正に判断して居るか、直接本人の説明を得て検証する為のものだ。私達に最も重要な問題を選び、効率的に回答を引き出せると云う前提で記者に代表して貰って居る。
 首相が正面から答えず、充分な説明時間を取ら無ければ、毅然と抗議し納得の行く答えを引き出す行動を私達は当然期待して好い。

 権力者は都合の悪い事を詳しく話したがら無い。取材と洞察力でソコを突き、真実を明らかにする事を期待して居る。質問内容を事前に知らせて好いのは、正確を期してデータを参照する場合等だけなのは小学生でも判る。
 苦しい弁明には「はぐらかし」も増える。二の矢・三の矢の質問で迫る事は「権力の監視」に不可欠な条件だ。コレが無いので「桜を見る会」では国会論戦の方が好い仕事をして居る様に見えて居る。

 常識的な時間の確保が前提だ。29日は36分の内冒頭発言が19分もあり質疑は僅か17分だった。予てから安倍氏の冒頭発言は長い割に情報に乏しいのに「ユーチューブででも遣って呉れ」と云う抗議も見た事が無い。
 14日の会見も含め官邸側から「全体で20分」との通告が在った。新型コロナウィルスに纏わる様々な不安の解消に充分とは到底思え無い。「20分」の通告自体ニュースにするべきだ。

 14日の会見は記者が食い下がって52分に伸びた。それでも首相が「悪夢」と言う民主党政権並みに近付いただけだ。2010年5月に鳩山首相が普天間の代替基地を沖縄県外に求めるのを諦めると発表した時は、冒頭発言が約19分、その後14人が質問・・・1時間7分だった。
 リーダーがメモを読まず、自分の言葉で私達に説得を試みる会見を見たい。私達の心配事なのに勉強不足で答えに詰まるとか、反対に意地悪な質問に絶妙の切り返しで知性を見せるのも重要な情報だ。そして記者も追及が甘いと批判される様な緊張感のある場だ。

 米国のジャーナリズムの教科書的名著「ジャーナリズムの原則」に記されて居る10原則の2番目は「市民に忠実」だ。記者は誰の方を向いて居るのか。私達は「当たり前」の事を求めて居る。


 以上「東京新聞」2020年3月18日夕刊の筆者の記事
 
 この記事には書き切れませんでしたが、関連して非常に重要だと思われる点を幾つか指摘して置きます。首相会見に限らず、コレは日本の政治ジャーナリズムが長年に渉って積み重ねて来た、構造的な問題だからです。

 民主主義の「共通の価値」
 
 記者会見が真面に行われると云う事は、情報公開が真っ当に行われて居る事であり、或いはリーダーが国民に対して説明を尽くして居ると云う事です。その前提に為るのは政治信条等に関係無く、民主主義と云う共通の価値です。
 この価値が共有されて居れば、首相会見で不都合が起きたら、記者達は一致団結して激しい抗議を行い、改善を求めるのが当然です。しかし、この問題に付いてメディア側が「一致団結した」公式な抗議を首相や官邸に対して行ったと云う情報は、この原稿を書いて居る2020年3月24日現在では確認出来ません。

 「アコスタ記者事件」の意味とは

           3-25-16.jpg

 2018年11月から12月に掛けてアメリカで起きた、CNNホワイトハウス担当アコスタ記者の取材証停止(詳しい顛末に付いては拙稿「アコスタ記者騒動から考えるトランプ政権取材の方法」を参照してください)を巡って、普段はトランプ大統領に味方してCNNを批判して居るFOXニュースも抗議に回り、ホワイトハウスに処分を撤回させたのは、メディア各社がジャーナリズムの価値を共有し一致して行動したからです。

 アコスタ記者は、中間選挙後の記者会見でトランプ大統領と激しい応酬を繰り広げ、その後ホワイトハウスのインターンの女性とマイクの取り合いと為りました。後にその模様を撮影した映像に悪意の編集が施され、恰も彼が女性に乱暴をした様に加工されたものを、サンダース報道官(当時)が記者資格停止の根拠としたのです。
 メディアは、ホワイトハウスが客観的なエビデンスに基づか無い取材資格の制限を行った事で「公平な取材の機会を確保して居ない」と判断、理不尽な仕打ちを受けた記者の立場を回復しようとしたのです。

 音無しの「公式チャンネル」

             3-25-19.jpg

 もし日本のメディアが、記者会見の「正常化」を首相官邸に迫るなら、単発の記事や社説では無く、各社の編集局長や報道局長等幹部が社を代表して「民主主義的な価値」の実現を要求すべきものだと思います。
 しかし、筆者の知る限りはその様な公式の見解が発表された形跡は、2020年3月24日現在、確認する事が出来ません。各社のバラバラな要求では動か無いかも知れません。何らかの一致団結した動きが必要に為る筈です。
 恐らくメディア業界全体として動ける組織は、日本新聞協会しか在りません。しかし、何等かの組織的な要望が首相官邸側に為された形跡も、この原稿を執筆して居る2020年3月24日現在で確認出来ません。

 だから東京新聞のコラムには「新聞労連等の首相会見の時間確保等を求める署名活動等の方が目立ってしまう」と書いたのです。

 首相会見だけの問題では無い

 首相の記者会見だけがクローズアップされて居ますが、ソモソモ日本の政治ジャーナリズムが抱える構造的な問題として理解する必要があると思います。悪名高き「記者クラブ」は大きな要因の一つです。
 記者クラブの制度がいけ無いのでは無く、20社足らずの報道機関だけが政治や中央官庁での取材機会を独占して来た「仕組み」に問題が在ります。

 2009年に民主党政権が誕生した頃に「記者会見のオープン化」と云う言葉が飛び交い、首相官邸や政党・省庁等の記者会見に今迄入れ無かったフリーランスや外国報道機関等の参加が進みました。
 大きな前進ではありましたが不十分でも有りました。真に実現すべきは、記者会見のオープン化では無く、記者クラブそのもののオープン化だったからです。

 記者クラブの「うまみ」

 政治取材で記者クラブの大きなメリットは、非公式な情報収集の場である「懇談」の機会が提供される事です。
 能力の有る記者は、個人的な取材力で個人的に連絡が取れる様な関係を開拓して行きますが、その様な記者は極一部に留まります。しかし、記者クラブの常駐記者に為れば、兎も角定期的に「懇談」のオファーが舞い込むシステムに為って居ます。
 政治家等も又、メインストリームのメディアの記者と或る程度の個人的な関係を築き、多くの人にリーチするニュースに取り上げて貰うと云うメリットも在るからです。

     3-25-17.jpg

 政治取材とは、詰る処「コレから何処に取材に行けば好いか」を知る事だと思います。明日誰と誰とが会って何を決めるか、或いは与党は国会の戦略をどう定めて、どの様に審議を進めようとして居るのか。
 次の展開の可能性をいち早くキャッチし、先回りして取材する事が必要に為る為、特にキーマンと為る人物が何を考えて居るか等、非公式な情報をキャッチする必要があるからです。

 フリーランスの記者等は、記者クラブの懇談の場には入れませんから、自力で非公式のネットワークを開拓する必要があり非常に厳しい戦いです。記者会見場に座れるかどうかが問題では無く、その記者達の一部は会見前に大体どんな発言が為されるか予想が付いて居る様な事態も有り得る状態での取材と云う事に為ります。
 そうすると記者会見は、乱暴な言い方をしてしまえば、記者クラブに所属するメディアに取っては「大体言う事は判って居るが、ニュースにそのママ使える様な形の発言を提供して貰う場」と云う消極的な意味しか無く為ってしまって居る恐れもあります。
 質問を事前に伝えて調整する事が問題に為りましたが、その事に抵抗を感じて居ないとすれば、単なる前例を踏襲して居るだけで無く、この様な構造も影響して居ると思われます。

 「記者クラブ主催」の意味とは
 
 記者会見の大部分は「記者クラブ主催」です。「記者クラブの開いて居る内輪の講演会での質疑」と云う位置付けに為ります。
 「政治家等が会見を拒否してもクラブが独自の判断で会見を開ける」と云うのが理由だと聞いた事があります。しかし、当の政治家等が拒否すれば会見は成立しませんし、問題と為った一連の報道では、官邸側から意向が伝達されて会見が行われて居ると云う経緯を見ても、主導権を握って居る様には見えません。

 記者クラブに所属して居る記者の心理としては、内輪で突出した行動を取って仲間外れに為るよりも、インナーサークルで情報を得続ける「安全策」を選択する方向に引っ張られてしまう事は容易に想像出来ます。
 又、外部のジャーナリストが取材の機会を得様と記者会見の出席等を求めると、お役所や政党等が「会見は記者クラブの主催だから、そっちに聞いて下さい」と言われ、記者クラブにリクエストを出すと「スペースが限られて居る」「記者クラブ全体の承認が必要だが、総会を開いて居る時間が無いから今回は遠慮して欲しい」等と言われ、結局取材が出来ない様な「たらい回しの構図」も生まれる事もシバシバ有ります。

 会見をする人物も記者クラブのメンバーも「空気を読ま無いヨソ者の質問」を避ける方向で利害が一致してしまいます。記者クラブの一番の弊害は、外部の人間を排除する仕組みとして機能してしまう事です。

 質問の「質」に関わる問題

 記者クラブ所属記者の全てが外部のフリーランス記者等に意識的に意地悪をしようとして居ると云う事ではありません。独自の情報源を開拓しようと動き回ったり、或いは記者クラブの同調圧力に心を痛め、幹事社として外部のジャーナリストを受け入れる為に奔走して居る記者も知って居ます。
 しかし、どんな人でも社内での自分に与えられた業務を放棄して迄は動け無いと云う物理的制約が有るのも事実です。「構造的に」記者クラブの情報独占の仕組みを守る方向に引っ張られてしまうのも事実なのです。その結果、記者会見でも波風を立て無い様な「ソフトボール・クエスチョン」を繰り出す様な形に為り兼ねません。

 2月29日の安倍首相の会見で質問した記者5人の質問は「オリンピックは予定通り行われるか」とか「トイレットペーパーや日用品不足にどの様な対策を取るか」等、その前の首相の冒頭発言を聞く限り、決意表明以上のものは期待出来無い様な漠とした質問に終始してしまいました。
 私達が聞きたかったのは、首相が全国の小中学校の一斉臨時休校を迫ると云う重大な判断をした「根拠」であり、突然学校が閉まってしまう事で深刻な影響を受ける可能性が有る、シングルマザー家庭や経済活動の自粛に依り大きなダメージを受ける個人業者等にどの様な支援をするのか・・・と云う「個別具体的な対策(の有無)」でした。

 これからどうすれば好いのか?
 
 これはメディアだけの問題ではありません。ニュースを消費して居る私達の問題でもあります。何が可笑しいのかを理解し、メディアに改善を促し続ける必要があります。印刷やテレビ・ラジオが中心の時代とは異なり、現代のインターネット・スマホの時代には、ソーシャルメディア等を含め、ニュースの消費者からメディアに働き掛け、意思表示を伝える方法が豊富にあります。

 私が好く引き合いに出す『The Elements of Journalism・ジャーナリズムの原則』 の中に示されて居る10の原則は、2001年に初版が刊行された時(最新は第3版)は9つでした。2007年に第2版発行の際に1つ増えて10に為りました。インターネットの普及に即して加えられたものです。

 '''10. Citizens, too, have rights and responsibilities when it comes to the news. ・・・市民の側も、ニュースをより良いものにして行く事に付いて、権利と責任がある。(訳は筆者)'''

 私達がもっと記者会見の内容を注視して行く事しかありません。新型コロナウィルス対策や、自殺した財務省職員の手記が公開された森友問題も新たな局面に為って居ます。
 記者達が、どの様な質問を発し私達の問題意識に応えようとして居るのか、役に立つ情報を引き出す行為には応援を、生温い質疑にはブーイングを送ると云う行為の輪を拡げて行くと云う「当たり前」の解決策しか私は思い着く事が出来ません。特効薬が無い以上、地道で遠回りの方法を執るしかジャーナリズムの回復は望め無いのです。
 

          3-25-13.jpg

 奥村信幸 武蔵大教授 米ジョージワシントン大客員研究員 ジャーナリスト 1964年生まれ 上智大院修了 テレビ朝日で「ニュースステーション」ディレクター等を務める 2002〜3年フルブライト・ジャーナリストプログラムでジョンズホプキンス大研究員 イラク戦争報道を取材 2005年より立命館大准教授 2008年ジョージワシントン大研究員 オバマ大統領を生んだ選挙報道を取材 2011年立命館大教授 2013年より現職 専門はジャーナリズム ゼミでは学生が自ら撮影・編集するビデオジャーナリズムを指導し作品を「ニュースの卵」newstamago.comにアップ 民放連研究員 ファクトチェック・イニシアチブ・FIJ理事としてデジタル映像表現やニュースの信頼向上に付いて考えて居る

       3-25-14.jpg

                  以上






















処理水放出、最長20〜30年 海洋か水蒸気処分時 素案を公表・東京電力




 処理水放出 最長20〜30年 海洋か水蒸気処分時
 
 素案を公表・東京電力


              〜時事通信 3/24(火) 18:58配信〜


          3-25-11.jpg

 東京電力福島第1原発で発生して居る汚染水を浄化した処理水に付いて、東電は24日、薄めて海に流す「海洋放出」か大気に放つ「水蒸気放出」で処分する場合を想定した検討素案を発表した。一度に大量の放出は避け、最長で20〜30年掛けて放出する可能性もあるとして居る。

 処理水を巡っては政府の小委員会が2月、海洋放出と水蒸気放出を「現実的な選択肢」とした報告書を公表。政府は方針決定に向けて4月から地元住民等の意見聴取を行う予定で、東電に参考と為る技術的な素案を求めて居た。
 発表によると、放出前の段階で、取り除く事が出来無いトリチウム以外の放射性物質濃度を基準値以下にする「二次処理」を実施。2020年度後半に浄化装置を使った除去作業を試行する。
 
 二次処理後、海洋放出の場合は、水1リットル当たり1500ベクレル未満を目安に海水と混ぜて希釈し放出する。水蒸気放出の場合はボイラーで加熱し、蒸発させ空気と混ぜて希釈。排気筒を使って高い所から放出する。
 風評被害を抑える為、インターネット交流サイト・SNSを使った情報発信を強化する等の対策を進めるとして居る。

 トリチウムが残る処理水に付いて、東電は保管を継続。これ迄に約119万トンが敷地内のタンクに溜って居る。


                   以上









 福島第一原発の汚染処理水の 海洋放出の知られざるリスク

 「サンデーモーニング」が指摘した不都合な真実


  〜上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 水島宏明 3/9(月) 12:12〜


        3-25-31.jpg

                 水島宏明 上智大学教授

 2011年に原発事故を起こして廃炉作業が続く東京電力・福島第一原発。その後も処理した水を貯めるタンクが溜り続けて敷地が一杯に為り、今後の課題として「海洋放出」するのかどうかと云う検討が行われて居る事は筆者もその後の報道で知っては居た。
 但し、その場合に「海洋放出」されるのは、飽く迄処理がキチンと進んで「無害化された水」だとばかり思い込んで居た。処が本当に「無害化された水」ばかりなのか如何か疑わしいのでは無いか?

 そう考えたのは3月8日(日)のTBS「サンデーモーニング」の東日本大震災特集を見てからである。東日本大震災と原発事故から9年経ち、第一原発の処理に付いての報道は可成り断片的なものに為って居る。それ故、細かい状況に付いて知って居る積りで知ら無い事が多い。

 廃炉作業が高線量区域の存在等で難航して居る事

 これに付いてはニュース等で断片的に知って居た事なので驚きは無かった。 驚いたのは以下の点だった。

 海洋放出が検討されて居る福島第一原発の汚染処理水が 現在は規制基準を超えるものが多い事

 2019年9月 原田義昭環境相(当時)が記者会見で「他に余り選択は無い」と述べた事や今年2月10日に国の専門家会議が海洋放出を優先する提言を行って居て今は政府が何時決断するかと云う段階だと云う。
 福島第一原発には1000基の巨大なタンクが並ぶが、デブリ・溶けた核燃料等の冷却で毎日発生する汚染水を「浄化処理」して溜めて居たが、2020年夏には満杯に為ると試算して居る。
 汚染水処理は事故後に開発されたALPS・アルプスと云う多核種除去設備で行う。特殊なフィルターで殆どの放射性物質・・・詰り62種類の放射性物質を除去する・・・と云うのが東京電力の触れ込みで、筆者自身も何度か実際に取材で見た事がある。処がこの日の「サンデーモーニング」は筆者が知ら無かった事実を伝えて居た。

 タンクに貯蔵された処理水の汚染度には「大きなバラ着き」がある

 1000基のタンクの内「J1−D」と呼ばれる9基のタンク群の中に有る処理水は、ストロンチウム等が排水基準を1万4000倍も超過して居ると云うのだ。人体の骨等に残り易い有害なストロンチウム等がフィルターの不具合で残った為だと云う。
 断片的な新聞記事や日々のテレビニュースでは偶にストロンチウムが処理出来無い事迄は報道しても、それが「フィルターの不具合」によるものだったと云う事はこの「サンデーモーニング」の報道で初めて知った。 東京電力の担当者は番組の取材に以下の様に答えて居る。

 東京電力 廃炉コミュニケーションセンター・木元崇宏副所長 「最初の頃、ALPSを稼働させて色々トラブルが在りましたけど、トラブルが在った頃の水も溜って居るので綺麗に為り切れ無かった水が溜って居るものもあります」

 規制基準を上回る汚染処理水は今も全体の7割 

 番組では処理された汚染水が規制基準の内に有るかどうかをグラフ化して示した。すると処理後も基準の100倍以上と云うものも有り、全体で7割が規制基準を超えて居る事が分かった。 これに対して、国や東京電力の説明は以下の通りだ。

 (国・東京電力)

 「ALPSではトリチウム以外の放射性物質は除去出来る」
 「トリチウムは生物への影響も小さく国内外の原子力発電所でも海洋放出はして居る」


 こうして説明されて来たので、筆者の認識もそうした程度に留まって居た。トリチウム以外は問題は無いのだろうと。処が番組では「(汚染処理水に)トリチウム以外の物質が含まれて居る事が明らかに為ったのは一昨年に為ってからでした」と説明して、2018年8月に東京で行われた専門家会議の公聴会のVTRを映し出した。

 (公聴会で発言した女性)

 「トリチウムだと思ったら、トリチウムじゃ無い水だった。そう云う事でもう・・・この公聴会、前提が可笑しいです。遣り直して下さい。以上です」

 この発言の後で「そうだ!」と云う同意する声と拍手が聞こえたのでそう考えたのは彼女だけでは無いのだろう。VTRのナレーションは「こうした事態は国の専門家会議でも問題に為りました」と説明し、専門家会議での発言も紹介された。

 森田貴巳氏(水産研究・教育機構 中央水産研究所)記事録より

 「国民を騙そうとして居るんじゃないかと一般の人に思わせてしまった」

 東京電力の廃炉責任者は番組の取材に対して、説明不足を謝罪したものの処理水を再浄化する事は出来ると話す。

 (東京電力 福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント)

 「そう云う事(海洋放出)が国の方向性として出て来るなら、それがそれで我々は環境に出す為の基準を満足する遣り方を執る必要が有ると思って居ますし、それは十分、これ迄のALPSの実力からしても十分出来る事だと思って居ます」
 
 この後、VTRは風評被害の打撃を受けて居る漁業関係者の不安な声を紹介して終わって居た。

 ALPSが除去する実力が無かった事で溜ってしまった 基準以上の危険が残ったママの汚染処理水 それでもALPSは基準を満たす除去の実力が有るとする東電・国
 
 海洋に流してしまう前にモッと検証して議論すべき事が有ると、この日の「サンデーモーニング」の特集は教えて呉れた。 日本人にはどうも「細かい話」に目を瞑ってしまう癖がある。 スタジオに出演した鈴木達治郎氏(長崎大学教授・元原子力委員会委員長代理)が以下の様にコメントして居た。この言葉は肝に銘じたい。


 「透明性と信頼性と云う事を言いたい。データで本当は処理されて居る筈だったのが処理されて居ない事が後で判った。これが信頼を無くして居る。だから常に第三者機関を作って監視するシステムを作って欲しいと私も言って来たが、それが実現して居ない」  

 水島宏明 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。2016年から上智大学文学部新聞学科教授(報道論)。放送批評誌「GALAC」編集長。近著に「内側から見たテレビーやらせ・捏造・情報操作の構造ー」(朝日新書)「想像力欠如社会」(弘文堂)

          以上









  「原発の闇」を利用した 関西電力首脳の罪と罰

             〜東洋経済オンライン 3/25(水) 5:10配信〜


        3-25-27.jpg

  前代未聞のスキャンダルの舞台と為った福井県の関西電力高浜原子力発電所(写真 時事)

 〜関西電力の原子力発電事業での夥しい不正行為が、同社の第三者委員会の報告書(3月14日付)で明らかに為った。
 同報告書に依れば、原子力発電所が立地する福井県高浜町の助役に対し、関電が長年に渉って不祥事の揉み消しや原発反対派の切り崩し工作を委ねて来た。そして助役が退任した1987年以降は、元助役と緊密な関係にある業者を工事案件の発注で優遇。その見返りとして関電や子会社の幹部が、元助役本人や元助役の関係する企業から多額の現金等の金品を受け取って来た。
 報告書に依れば、金品受領者の総数は75人総額は約3億6000万円に上る。電力業界のみ為らず、日本の経済界でも前代未聞の不祥事は何故起きたのか。原子力事業のコスト問題に詳しい龍谷大学の大島堅一教授に、同事業特有の「不正の構図」に付いて聞いた〜


             3-25-29.jpg

                 龍谷大学の大島堅一教授

 読み応えがある調査報告書

 ・・・報告書を読んでどの様な印象をお持ちに為りましたか。

 関西電力と高浜町元助役の森山栄治氏との間で、原発の立地や増設時点に迄さかのぼって不正な関係が築かれて居た事実の一端が明らかにされた。
 第三者委員会が実施したデジタル・フォレンジック調査によって、関電社内の電子メールの中身等が解析され、特に原発再稼働の為の新規工事に森山氏の息の掛かった業者が群がって居る事や、そうした企業に関電が受注出来る様に約束したり、随意契約等の便宜供与が繰り返し行われて来た事が判明した。
 又、関電の豊松秀己・元副社長を初めとする原子力事業の上層部3人に集中的に金が流れて居り、社内のルールを曲げて受注を得られる様に森山氏と親密な企業に便宜を図って来た実態も明るみに出た。調査結果は相当踏み込んだ内容で、読み応えがある。

 他方、国(経済産業省)や政治家・福井県・地元自治体・県内外の有力企業との金の遣り取りや口利きの実態はホボ調査対象外と為って居る。福井県や高浜町の職員も森山氏から金品を受け取って居た事が判明したが、今回の報告書ではそれ等の不正の実態は解明されて居ない。又、電気料金を原資とした電源三法交付金に関わる公共事業に付いても調査の範囲外と為って居る。

 ・・・不正の構造をどの様に捉えますか。

 関電は地元対策と称して、森山氏と親密な工事会社に多額の発注をして居る。その原資は電気料金だ。その一部が業者や森山氏を経由して関電の首脳や幹部に還流して居た。電気料金から滲み出た甘い汁を皆で吸って居る構図だ。
 関電の社内調査報告書では、過去の原発立地に纏わる「闇の部分」を材料に、関電の幹部等が森山氏の恫喝に苦しめられて来た被害者で有るかの書き振りに為って居るが、今回の第三者委員会の報告書で共犯関係と記述されて居る事が注目される。

 ・・・こうした癒着の構図は、原子力事業に特有のものだと言えますか。
 
 電力業界に於いて、原子力事業程多額の金が落ちる分野は無い。工事単価を高めに設定したり、地元対策と称して特定の企業を優遇して居ると言われて来た。こうした仕組みそのものが不正の温床に為って居る。関電に限った問題では無い。

 ・・・関電の役員は、会社に損害を与えて居る事に為りませんか。

 役員や幹部に原発マネーが還流して居ると云う事は、不必要な金が払われて居ると云う観点で捉えると、会社に損害を与えて居る事に等しい。

 原発ビジネスは成り立た無く為る
 
 金品授受と云う不祥事が社内で発覚した後、森詳介相談役・八木誠会長・岩根茂樹社長・・・何れも不祥事が社内で発覚した2018年当時の肩書・・・は、社内調査の内容を隠蔽する事を取り決め、取締役会や翌2019年の株主総会でも報告され無かった。
 これは株主や電力の消費者・一般社会に対する重大な背信行為だ。関電にはコーポレートガバナンスそのものが存在して居らず、コンプライアンスよりも原発事業を優先して居る。不正が蔓延し責任感が欠如して居る。関電は、重大事故の危険の防止が何よりも求められる原子力運営を担う企業としての資質を欠いて居り、社内処分だけでは不十分で、電気事業法に基づく厳正な処分が必要だ。

 ・・・今回の不祥事は今後、原発事業の推進にどんな影響を与えるのでしょうか。.

 原子力事業が不透明で不正な金に依って支えられて居る事が認識され信頼は根底から崩れた。一方、事業の透明性を高め無ければ為ら無く為ると、原発の新設やリプレース・建て替えは一層困難に為る。と云うのも、これ迄の様な不透明な金の流れが断ち切られると、地元としても新たに原発を受け入れるメリットが無く為るからだ。
 今後、原発は普通のビジネスと同様の扱いをすべきだが、その事により原発はビジネスとして成り立た無く為るだろう。


             3-25-30.jpg

               龍谷大学の大島堅一教授

               聞き手 東洋経済記者 岡田 広行  以上



 スポンサーからのお知らせ・・・

 



 










日本が石炭火力依存続けば2流国に落ちる根拠




 日本が石炭火力依存続けば 2流国に落ちる根拠

      〜東洋経済オンライン 文明評論家 ジェレミー・リフキン 3/24(火) 7:55配信〜


       3-25-20.jpg

     自然は人間が制御出来ないものに為りつつあります(写真 m.Taira PIXTA)

    3-25-4.jpg

             文明評論家 ジェレミー・リフキン

 私は今、日本の状況を大変憂えて居ます。液化天然ガスの最大の輸入国で、石炭と石油に付いても世界のトップ4の輸入国。そして、発電の3分の1を石炭火力に依存して居る。
 拙著『グローバル・グリーン・ニューディール』にも詳述しましたが、気候変動の問題が危機的状況に有る現在、大胆な経済政策の転換「グリーン・ニューディール」・スマートでデジタル化されたインフラの整備・社会の脱炭素化・グリーン経済部門に於ける雇用創出等・・・を地球規模で実現する事が人類の急務です。
 日本では今、約100基の石炭火力発電所が稼働して居ます。そして、新たに建設中又は建設予定のものが22基ある。この22基が排出する二酸化炭素の量は、全米で売られて居る全ての自動車が排出する量に相当します。日本は、グリーン・ニューディール処か、その逆の方向に進んで居るのです。

               3-25-6.jpg

 「座礁資産」に気を着けろ

 問題は排出する二酸化炭素の量だけではありません。新しく建設される石炭火力発電所は、全て座礁資産に為ってしまいます。座礁資産と云うのは、市場や社会の状況が急激に変化する事で価値が大きく下落する資産の事です。
 再生可能エネルギー技術が安価に為れば、需要の下落により地下に埋蔵されたママに為る化石燃料や、石炭火力発電の為に開発されたパイプラインや海洋プラットフォーム・貯蔵施設・発電所等、関連するアラユル資産が放棄される事に為ります。

 原子力発電は問題外です。原子力発電のコストは1キロワット/時当たり112セント程度ですが、天然ガスと石炭は40〜50セントです。太陽光・風力発電の発電コストは30〜40セントなので、日本が原子力発電や石炭火力発電を続ける事は更に座礁資産を増やす事に為ります。
 私は過去20年間に渉ってEU、そして最近では中国に対してゼロ炭素社会への移行に向けてアドバイスを行って来ました。中国は直ぐに行動に移し、太陽光・風力発電への投資額と設備容量で世界のトップに為りました。現在はリアルタイムで国全体の送電網・グリッドをデジタル化して居ます。

 グリーン・ニューディールへの移行の中心と為るのは、第2次産業革命のインフラを構成する以下の4部門です

 1) ICT/通信
 2) エネルギーと電力
 3) 内燃機関による移動/ロジスティクス(物流)
 4) 居住用・商業用・工業用及び公共機関の建物群
 
 
 注目すべき事に、日本はエネルギーと電力以外の部門では世界のリーダーです。エネルギー部門だけが中国やEUの後塵を拝して居る。その原因と為って居るのが、TEPCO・東京電力ホールディングスです。しかし、好い兆候も有ります。
 東電は、株に比べて変動が少なく安全で、利益が予測し易いグリーンボンド・温暖化対策や環境プロジェクト等の資金を調達する為に発行される債券の発行を検討して居ます。

 注) 発行体は再生可能エネルギー発電事業を手掛ける全額出資子会社の東京電力リニューアブルパワー

    3-25-7.jpg

 ドイツの取り組みから学ぶこと
 
 ドイツの例からも、日本が学ぶべき事は沢山有ります。2005年頃、ドイツに於ける太陽光・風力発電の割合は足った4%で、残りは石油・石炭等の化石燃料と原子力に依るものでした。しかし、太陽光・風力発電のコストが可成り安く為った事もあり、2018年には、再生可能エネルギーが全エネルギー源の35.2%を占める迄に為りました。

 オーストリアの偉大な経済学者シュンペーター「創造的破壊」に付いて説明しましたが、それは新しいビジネスが古いビジネスを駆逐すると云うもので、インフラの移行コソが歴史上最も大きな破壊で有る事は理解して居ませんでした。
 およそ100年前に電灯が発明されると、アッと云う間にガス灯に取って代わりましたがそれが好例です。インフラが移行する際には、ビジネスモデルを変え無ければ為ら無いのです。

 3-25-8.gif

 ドイツは新しいビジネスモデルを創りました。再生可能エネルギーの割合が大きく為った事で、ドイツを含むヨーロッパは2010〜2015年の間に1800億ドル相当の金額を失いました。日本も同様の「創造的破壊」をこの2・3年の間に経験するでしょう。
 大手電力会社は、石油・石炭・天然ガスと云う中央集権型のエネルギー源による発電に強みを発揮します。これ等は、採掘から輸送・電力への転換に多額の資本を必要とするからです。しかし、再生可能エネルギーに依る発電は分散ネットワーク型です。太陽光パネルや風力タービンは、小規模な発電施設として無数に建設され、企業や地域・個人が、自分で使うエネルギーの生産者に為る事が出来ます。

 ドイツ連邦政府は固定価格買取制度・FITを導入し、再生可能エネルギーに依って発電した電気を送電網に逆流させ、市場価格よりも高く電力会社に買い取って貰う事を可能にしました。今では太陽光・風力発電の内、96%の電力が個人や中小の企業に依って発電されて居ます。
 電力会社の役割は、電力を売る事から、プロバイダー・ユーザーネットワークとしての送電網を用いてエネルギーを管理する事に移行します。
 ロジスティクスとディストリビューション・チェーンを通してエネルギー効率と生産性を高めるサービスこそが、これからの電力会社のビジネスと為るでしょう。ドイツの大手4電力会社は、私が提示したこのビジネスモデルを実行して居ます。これは東電に取って大きな教訓です。

 日本のポテンシャル

 エネルギー部門以外で日本が世界をリードして居る事は先に述べた通りですが、日本政府が行動して今直ぐにエネルギー部門でグリーン革命を実行しないと、20年もすれば日本は2流国に成り下がります。化石燃料の為に開発されたパイプラインや施設が全て座礁資産に為ってしまうからです。

 化石燃料由来のグレー水素を、再生可能エネルギー由来のグリーン水素に移行すれば、従来のパイプラインを少し改良するだけで使える様に為るので、日本はゼロ炭素社会を達成出来ます。
 過剰に発電した分を水素に変換すれば、太陽が輝いて居ない時・風が吹いて居ない時でも、パイプラインをグリーンエネルギーの貯蔵に活用出来ます。ヨーロッパでは既に実行されて居ますが、スマートな送電網を構築する事が出来れば、燃料電池やEV車に貯蔵した電気を需要のピーク時・電気価格が高く為った時に送電網に戻す事で利益を得る事も可能に為ります。

 日本は平野が少なく、ソーラーパネルや風力タービンを設置する場所が少無いと云う説を聞いた事がある人も居るでしょう。実際、2018年の時点で、再生可能エネルギーの割合は、ヨーロッパでは既に30%に達して居るのに対し、日本では全体の17.4%に留まって居ます。太陽光・風力発電は足ったの7%に過ぎません。
 しかし、スタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレー校の共同研究の調査結果に依れば、日本は電力の86%を太陽光・9%を風力・・・陸上と海上・4.4%を水素エネルギー・0.7%を波エネルギー・0.5%を地熱エネルギーで賄う事が可能です。日本には非常に大きなポテンシャルが有るのです。

 日本に今必要な事は政治的意思・political willです。そしてICT/通信と電力会社が、輸送/ロジスティクス企業と膝を交えて話し合い、建設業と協力し無ければ為りません。日本が建設業で世界のトップクラスに位置する事は余り知られて居ませんが、IoTのインフラを充実させて、気候変動に対してレジリエントな建物を建設する事が出来る技術力を持って居ます。
 もし私が安倍首相にアドバイスする立場に在れば、日本の座礁資産、及びヨーロッパと中国のグリーン・ニューディールに関する状況の説明をして、政治的意思を喚起するでしょう。
 今私達が居るのは、進歩の時代では無くレジリエンスの時代です。気候変動がどれ程危機的状況に在るか多くの人が気付いて居ます。自然は我々の理解を超え、人間が制御出来ないものに為りつつ在ります。

 グリーン・ニューディールが最重要と気付いた若い世代

 私は楽観主義でも無く・悲観主義でも無く・guarded hope・用心深い希望を持って居ます。Z世代・・・1990年代後半から2000年生まれの世代でインターネットや携帯電話の環境に生まれ育った世代やミレニアル世代・・・1980年代から1990年代半ば生まれの世代の様な若い世代が、昨年140カ国で大規模なデモに参加しました。
 脱炭素社会への転換を地球全体で進める必要性を訴え、各国政府へ早急に気候変動対策を執る様要求したのです。これは宗教や民族の違い・イデオロギーの違いを超えた、歴史上類を見無いデモです。この若い世代は、自分達を「絶滅危惧種」と見做し始めたのです。

            3-25-9.jpg

        アレクサンドリア・オカシオ゠コルテス アメリカ下院議員

 彼等はグリーン・ニューディールが最も重要な優先事項で在る事に気付いたのです。この事を理解して居ない古い政党を権力の座から一掃するには、アレクサンドリア・オカシオ゠コルテス・・・30歳 アメリカ下院議員で活動家やグレタ・トゥーンベリ、サンナ・マリン・・・最近フィンランドで首相に為った34歳の女性の様な人が何百万人も必要です。

            3-25-10.png

             サンナ・マリン フィンランド首相

 アメリカは、これからの4年間で古い政治権力を一掃し無ければ為りません。その為には、政府がグリーン・ニューディールに移行する迄のロードマップを作ら無ければ為りません。日本にはこのグリーン・ニューディールを達成出来る全ての技術が揃って居ます。
 このレジリエンスの時代に人類が絶滅し無い為には、全ての人・産業が関わる必要が在ります。後は政治的意思だけです。政治的意思が無ければそれを実行する事は出来無いのです。


           3-25-5.jpg

         文明評論家 ジェレミー・リフキン  以上











              頭金0円
              ボーナス払い0
              完全定額


   全国何処でもご自宅まで納車 ネットだから便利で安い「マイカー賃貸カルモ」はこちら

        https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35F7BX+9ERNZM+46P0+5YZ77



×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。