アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2020年03月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2020年03月09日

女優シム・ウンギョンの日本アカデミー賞受賞を韓国メディアはどう報じたか?




 





 女優シム・ウンギョンの日本アカデミー賞受賞を
 
 韓国メディアはどう報じたか?


             〜文春オンライン 3/9(月) 19:27配信〜


            3-9-34.jpg

 日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、授賞式でスピーチするシム・ウンギョン コピーライトマーク日本アカデミー賞協会

 3月5日、日本政府が韓国に対する入国制限措置を電撃発表すると、韓国政府が翌日対抗措置を発表する等、日韓関係が再び凍り付いて居る。しかし、少なくとも両国の映画シーンには春風のムードが続いて居る様だ。
 米国のアカデミー授賞式で4冠を達成したポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」が日本で大ヒットして居る中、日本映画「新聞記者」に出演した韓国人女優のシム・ウンギョンが日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した。シム・ウンギョンの受賞は韓国でも「可成り異例な事件」として報道されて居る。

 彼女の出演映画「新聞記者」は、2019年10月に韓国でも公開されたが、観客1万人と云う低調な成績で公開一週間で幕を閉じた。当時の「新聞記者」の興行成績の不振に付いて、映画関係者は次の様に分析して居る。

 「当時盛んだったボイコット・ジャパンの影響で“生け贄”に為ったと云う意見もあるが、映画的な面白さにおいて韓国の映画ファンの期待に応えられ無かった点は大きいだろう。韓国では社会派映画でもエンターテイメント的な要素が強く無ければ成功出来ない。『新聞記者』は正にその点で物足り無い感じがした。しかも、映画の結末に空しさを感じたと云う映画ファンの評価も多かった」

 「政権批判」映画での受賞を強調する現地メディア

 シム・ウンギョンの快挙を契機に、この映画が再び韓国メディアから注目を集めて居る。彼女の受賞ニュースを伝える韓国メディアは「新聞記者」が安倍政権を批判する映画である事を強調した。京郷新聞系列のスポーツ日刊紙「スポーツ京郷」は、韓国人女優が安倍政権を批判した映画で日本で受賞した事は非常に異例だと報道した。

 「映画『新聞記者』は、安倍政権のデリケートなスキャンダルを真正面から扱い、昨年も日本国内公開の際には見え無い圧力に苦しんだ。自国でも苦労の末、ヤッと公開された映画に出演した韓国人女優が日本の有数の映画祭で最高の栄誉を獲得した事は、単に記録を超え、一つの象徴とも言うべきだ。
 特に、日本軍の慰安婦問題と関連した日本政府の貿易報復等で、韓日関係が友好的で無い状況で成し遂げた快挙として更に意味が深い」

 
 朝鮮日報系列の女性誌「女性朝鮮」のインターネット版は、映画のモチーフに為った加計学園問題に注目した。

 「映画『新聞記者』は安倍政権を揺るがした加計学園スキャンダル(安倍政権が特定の私立の学校法人に獣医学部の新設に関する特別の便宜を図ったと云う疑惑)をモチーフにした。
 シム・ウンギョンは日本国内のフェイク・ニュースからコメント操作迄、政府が隠そうとする真実を執拗に追う社会部記者の吉岡を演じた。最近、同学園は又別の話題を作った。獣医学科を受験した韓国人受験生8人の面接点数を0点として処理し全員不合格にしたのだ。コノ問題も、最近、韓日のネット民達から議論を呼んで居る」

 
 一方、SNS等では、シム・ウンギョンの快挙を祝う書き込みが溢れた。特に印象的なのは、韓国人女優に偏見無く最優秀主演女優賞を受賞させた日本に対する好意的な反応が多かった点だ。

 「シム・ウンギョンさんの演技は本当に上手かった! 日本がそれを認めて呉れた事に感謝したい」
 「シム・ウンギョンさんも好く遣ったけど、日本映画界も大きな決断だったと思う。現政権を批判する映画に出演した韓国人俳優の受賞は大した事だ」
 「驚いた、シム・ウンギョンさんにも日本映画界にも・・・良心的で客観的な思考を持って居る日本の芸術家達に尊敬と喝采を送る」
 「シム・ウンギョンさんの受賞を機に、金大中政権の時の様な韓日関係に修復されれば好いと思います。岩井俊二監督の映画『Love Letter』の『お元気ですか?』と云うセリフが大流行したアノ頃が懐かしいです。今はトテモ辛いです」


 「のだめ」リメイク版での挫折

 1994年5月31日生まれのシム・ウンギョンは、2003年の9歳の時、アジア全域で韓流ドラマの旋風を巻き起こした「宮廷女官チャングムの誓い」の端役でデビューして以降、現在迄計40本余りのドラマや映画に出演して居る若手実力派女優だ。

 少女時代のシム・ウンギョンは、可愛いイメージと大人顔負けの演技力で多くの韓流ドラマに出演した。韓流ドラマファン達に高い人気を誇る「グンちゃん」こと、チャン・グンソクの出演作「黄眞伊」(2006年)ではタイトルロールの黄眞伊(ハ・ジウォン)の子役で出演しドラマ序盤の人気を牽引した。
 ヨン様ことペ・ヨンジュンの出演作である「太王四神記」(2007年)では、ヨン様の相手役のスジニ(イ・ジア)の子役を演じ、ヨン様の子役のユ・スンホと共に胸を時めかせるロマンスを披露してドラマ・ファンたちに深い印象を残した。

 シム・ウンギョンは、デビュー以来、映画シーンでも活発な活動を見せて居る。中でも、2011年に彼女が主演を務めた映画「サニー 永遠の仲間たち」は、次世代スターの仲間入りを果たす為に決定的な役割を果たした。「サニー」のカン・ヒョンチョル監督は、筆者のインタビューに、シム・ウンギョンの魅力を次の様に語った。

  「良い俳優には『テクニカルな演技力に優れた役者』と『芸術的な感受性に優れた役者』の2種類が居ると思います。シム・ウンギョンは後者だと思います。
 初めて会った瞬間から、彼女の俳優としての感受性に圧倒されました。最初は私と目も合わせられ無い程恥ずかしがる少女だったですが、台本を読ませた瞬間、マルで彼女の内部から何かが爆発する様な感じを受けました。
 『サニー』の主人公・ナミは、自分だけの世界に閉じ込められて居た大人しい少女ですが、仲間達に出会って変わって行くキャラクターです。ナミを演じるのは、シム・ウンギョンがピッタリだと直ぐに分かりました」

 
 「サニー 永遠の仲間たち」は韓国内で740万人の観客を動員した他、日本等の外国でリメーク版が製作される程の大ヒット作と為った。その後も彼女は、2014年の主演作「怪しい彼女」で870万人の興行を記録する等、韓国映画界の代表的な人気女優として位置付けられる様に為る。
 華やかなシム・ウンギョンの役者人生にも挫折は在った。2014年10月、彼女が主演を務めたドラマ「のだめカンタービレ 〜ネイル カンタービレ」が低調な視聴率で幕を下ろして以来、彼女は暫らくドラマシーンと距離を置く様に為った。この作品は韓国でも人気の高い日本のドラマ「のだめカンタービレ」の韓国版リメークだ。

 制作プロダクションは「花より男子」の韓国版リメークで知られる韓流ドラマの老舗グループ・エイト。このドラマは当初、シム・ウンギョンでは無い別の女優が主演候補に挙がって居た。だが原作ファンの間で「のだめ役はシム・ウンギョン以外には在り得無い」との反発が強く、オンラインでは視聴ボイコット運動まで起こった。
 結局グループエイド側は、多忙なスケジュールで既に出演を断ったシム・ウンギョンを再び説得し、のだめ役を任せた。キャスティング段階でファンの抗議によってヒロインが変わったと云う前代未聞の事件は、韓国メディアで大々的に報道され大きな関心を集めた。
 しかし、予想外にドラマは平均5%台の低調な視聴率で幕を閉じる事に為り、シム・ウンギョンは暫らくの間、映画に専念する様に為る。

 「日本での活動は幼い頃からの夢」
 
 彼女は2017年に、電撃的に日本進出を発表し韓国のファンを驚かせた。当時のインタビューによると日本進出は彼女の幼い頃からの夢だったと云う。

 「日本での活動は幼い頃から持って居た夢でした。日本の映画や日本文化が好きで、何時か日本で活動をしてみたいと云う考えをズッと持って居ましたが、今回とても好いチャンスに巡り合う事が出来ました。日本では新人なので未だ私の事を知ら無い人も沢山居ると思います。
 日本のマネージメント会社と日本でドンな活動をするか、ドンな作品に出演したいかに付いて、沢山話をして居ます。お互いの意見を好く調整し、ドンな活動が出来るか好く考えたいと思います」
 (「エックススポーツニュース」2017年4月21日のインタビューにて)

 是枝裕和監督や岩井俊二監督の作品を中学生の頃から観て居たと云うシム・ウンギョン。数多くのヒット作を出して韓国映画界のトップ女優に上り詰めた彼女だが、それに満足する事無く再び初心に返り、日本での挑戦を選択した。そして、その結果が今回の歴史的な快挙に繋がったのだ。
 日本でも大好評の映画「パラサイト」やシム・ウンギョンの活躍を観ながら、政治的な対立や国民感情の悪化を乗り越えられる映画の力を信じてみたい。


          金 敬哲 週刊文春デジタル     以上










 賛否両論の映画「新聞記者」が悪い意味で虚実ナイマゼだった件
 
 都合の良い実在・非実在の使い分けに呆れた


             〜文春オンライン 石動 竜仁  2019/07/21〜

       3-9-36.png

                   石動 竜仁氏

 筆者のSNS上で、映画「新聞記者」が話題に為って居た。色々な意味で。Twitterを検索してみると、矢張り2つの世界が広がって居た。現政権と絡めて権力とメディアの葛藤を描いた作品として称賛する人、物語の根幹を成す設定に否定的な意見を出す人ナドナド、意見は真っ二つに割れて居た。
 コレを見て筆者は「ア、これ絶対面白いヤツだ」と勝手に決め付けた。映画そのものより現象が。こうなったら、映画も見て観るべきだろう。筆者は映画館に向かった。これはその一部始終、詰まり「新聞記者」の映画評に為る。尚、本稿に置いては、その性質上映画「新聞記者」の核心部分を含むネタバレが多数登場する。予めその点をご承知の上、この先を読むかどうかご判断頂きたい。

 物語が始まる前から驚かされる

 筆者は特に映画の前情報も調べず映画館に向かった。上映されて居たのは比較的小さいスクリーンだったものの、座席の半数は中高年の男女で埋まって居て、平日上映の、ソレも社会派の映画としては可成り健闘して居る部類に入ると思う。予告の長さにブツブツ文句を言って居る隣の老齢男性を気にしつつ、映画が始まった。

 本編が始まる直前で行き成り驚かされた事がある。映画の配給としてイオンエンターテイメントがクレジットされたのだ。イオングループと言えば、言わずと知れた旧民主党・民進党代表で、現在は立憲民主党会派の岡田克也氏の実家の一族企業である。そう云う背景で政治や報道題材の映画を出されてもな・・・と云う気分は拭え無い。
 映画の内容と資金・配給は関係無いと云う反論も有るだろうが、仮に麻生グループが関与する政治エンターテイメント映画が在ったとしたら、自分だったら眉に唾を着けて観るし、皆さんはどうだろうか?それと同じ事だ。そう云う訳で身構えて観る事にした。

 反政権的な人物にスキャンダルをデッチ上げる

 主人公の吉岡は東都新聞の記者。優秀な新聞記者だった父親は、政治スキャンダルの誤報を切っ掛けに自殺した経緯を持つ。或る日、社内に送られて来た大学新設計画に関するFAXを切っ掛けに、この大学新設計画の背景を追って居る。
 もう一人の主人公である杉原は、外務省から内閣官房の内閣情報調査室(内調)に出向して居る官僚だ。杉原の内調での主な仕事は、反政権的なメディアに対する批判・揶揄をTwitterに投稿したり、反政権的な人物をコジツケでスキャンダルをデッチ上げたりして信用を失墜させる仕事をして居るが、その仕事内容には疑問を抱いて居る。

 杉原の元上司である神崎の自殺を切っ掛けにして2人は出会い、大学新設計画を巡る政府の真の目的を探る事に為る。
 物語の大筋は上述の通りで「総理のお友達」が関与して居る大学新設計画は、明らかに加計学園の獣医学部新設問題を下敷きにして居る。この他にも、文部科学省の一連のスキャンダルや、ジャーナリスト・伊藤詩織氏への暴行事件と云った、実際に起きたものを連想させる様な事件が多数登場し、その背後には政権が関わって居る事が示唆されて居る。

 物語が始まってから最初に驚いたのは、劇中のテレビ番組に「新聞記者」原案の東京新聞記者・望月衣塑子氏と前川喜平元文部科学事務次官が出演して居た事だ。前述した様に、劇中に実際に起きたのを想起させる事件が多数登場して居るが、それらは実際の事件そのものでは無い。
 だが、此処に来て実在の人物に解説役を遣らせるのは予想外だった。創作と現実をシャッフルする意図とは何だろうか? 此処で抱いた違和感は終始付き纏う事に為るが、それに付いては後に譲る。

 内調がネット工作の実行主体に為り得るか

 ネット上で批判が大きい内調のネット工作描写だが、筆者は政府や政治組織によるネット工作自体は可笑しな話では無いと思って居る。しかし、内調がその実行主体に為り得るかに付いては可成り疑わしい。内調は各省庁からの出向者が大半を占める組織で、ヤガテ外部に戻る事が確定して居るスタッフにコンな工作をさせるだろうか。ソモソモ、世論工作に付いて、外部から出向して来た官僚達は素人だ。

 世界各国で明らかに為って居る世論工作に付いても、その実行主体は民間企業によるもので、企業が絡む事で工作がバレても真のクライアントは誰かを隠匿する事も出来る。劇中の討論番組で前川喜平元次官が「内調は何を遣って居るのか分から無い」と云う趣旨の事を語って居る。詰まり、内調のネット工作の部分は制作者の完全な想像によるもので、この辺りの描写に想像力の限界が見え隠れして居る。

 大学新設は生物兵器の為?

 物語の核心部分である大学新設問題は、結論から言うと、政府が生物兵器開発に転用し得る研究施設として構想して居た事が終盤明らかにされる。この点に付いて、昔から有る都市伝説レベルのネタを話の根幹に持って行くのはどうなのかと云う批判を多く見掛けた。
 「新聞記者」劇中では実際の政治事件に好く似た事件が登場すると言っても、この根幹の設定だけは加計学園問題のそれに明らかに盛ったものだ。ネット上では加計学園絡みの疑惑に付いて、モリカケと揶揄してマスコミのデッチ上げの様に言う論調が一部に見られるが、筆者は政府が言って居る部分だけでも相当ヤバイと認識して居る。

 例えば、自民党が政権に返り咲いた後、民主党時代に首相官邸への入館パスが乱発される等、素性の怪しい人間迄出入り出来る様に為って居た事を飯島勲内閣官房参与がテレビで明らかにして民主党批判をして居たものだが、加計問題で官邸への出入りが問われると、政府は官邸への入館記録は存在しないと調査を拒んで居る。
 これが事実なら、入館者の素性を後年に検証する事が不能に為るレベル迄官邸のセキュリティが落ちたと云う事で、あれ程民主党時代の官邸セキュリティを批判して居たのは何だったのかと云う話に為り、俄かには信じ難い。

 陰謀論は、現実にも結構有る

 だが、幾ら何でも加計問題をベースにして、生物兵器開発を突っ込んで来るのは無理筋だろう。又、その理由として「テロ・外圧」への対応が文書に明記されて居たと記憶して居る。外圧への対応と云うと、恫喝を受けた際の抑止力として使うのだろうか。
 生物兵器が抑止力としては不完全なもので在る事は、北朝鮮が核とその運搬手段である弾道ミサイル・弾道ミサイル潜水艦の開発に行き着いた事からも分かるだろうし、ソモソモ生物兵器を含む大量破壊兵器の保有疑惑(それも明らかに誤って居たもの)から国が一つ消滅したのは今世紀の話であり正気の沙汰では無い。
 第一、テロに生物兵器でどう対抗出来るのか全く分から無い。これは単に「新聞記者」世界の政府が狂って居る事を表現したいのか、制作陣が現実味の有る設定だと本気で考えたのかは定かでは無い。

 しかし、加計問題を生物兵器開発に絡める陰謀論は、創作の世界だけでは無く、現実にも結構有るものだと云う。ググってみると「加計の獣医学部設置は生物兵器開発の為だ」と主張して居るサイトが出て来たが、その他にも「予防接種は国民に有毒物質を注射する為だ」等と書いて有る典型的な陰謀論サイトもあった。
 ここ迄頭を抱えるレベルで無くても、著名人の論考では軍学共同研究に批判的な池内了名古屋大学名誉教授が「加計学園の獣医学部は生物兵器研究に使われるのではないか」とハフィントンポストに書いて居る。

 これは、既に畜産大学とも行われて居る生物兵器対処研究の一環を批判的に見て居るもので、池内名誉教授自身も「マスコミも書いて居ない仮説」と但し書きを着けて居る。しかし「新聞記者」での描かれ方は、明らかにそれよりも踏み込んだものだ。
 「劇中で描かれたのは加計学園そのもので無く創作の大学に過ぎ無いのだから、それを批判するのは間違いだ」と云う意見も出て来るだろう。だが「新聞記者」劇中における現実と創作の境目は、恣意的に曖昧・混同されて居る。

 都合の良い実在・非実在の使い分け

 筆者が呆れたのは、都合の良い実在・非実在の使い分けだ。「新聞記者」劇中では政権リークを横並びで伝える新聞社や、政権の意を受け記者を攻撃する週刊誌、遺族に殺到する取材陣等、マスメディアの汚い面も描かれて居るが、登場するメディアは何処かで聞いた事が有る様な名前(週刊文春と週刊新潮を合体させたみたいな)をして居るが何れも非実在だ。
 だが、これ自体に何ら問題は無い。映画の話なのだし非実在のメディアを登場させるのは極普通だ。創作常連の「毎朝新聞社」を見れば判るだろう。

 だが、終盤。吉岡達東都新聞がスクープを報じ、政権側の意を汲むカウンター報道も行われる中、東都新聞に追随して報道するメディアが現れた。東都新聞社内では喜びを持ってそのメディア名が伝えられる「読売・朝日・毎日」と・・・それ迄劇中に登場した覚えが無いのだが、行き成り実在メディアが出て来てズッコケた。
 メディアの悪い処は非実在メディアのもので、良い処は実在メディアと云う、余りに都合の良い使い分けが行われて居たのだ。

 新聞メディアのプロパガンダではないか

 奇しくも7月9日、朝日新聞朝刊でハンセン病患者家族への賠償を命じた熊本地裁判決に付いて、国が控訴する方針である事が一面スクープとして載ったが、その日の内に控訴断念が発表され、朝日新聞は誤報としてお詫びする事態に為ったばかりだ。
 これに付いて、SNS上では、朝日新聞が官邸にハメられたと云う趣旨の陰謀説がメディア関係者に見られた。朝日新聞が官邸に偽情報を掴まされたのは事実かも知れないが、それを声高に主張する事は、政府関係者のリークを鵜呑みにして報道したと喧伝するのと同じであり、調査・検証能力の欠如を宣言するに等しい。

 こう云うリーク頼りのメディアも「新聞記者」では描かれて居るが、何れも非実在メディアの報道として描かれて居る。実際はこう云う問題が有るのに、キレイなとこだけ実在メディアの名を行き成り登場させるのは、新聞メディアのプロパガンダではないか。

 マイネームイズ東都新聞記者

 新聞メディアのプロパガンダと云う表現を用いたが、この映画の主人公たる吉岡は、新聞記者と云う職業に余りにノメリ込み過ぎて居るのもその理由だ。それが窺えるのが、劇中に登場する吉岡のTwitterアカウントだ。

 吉岡が自身のTwitterアカウントに登録して有る名前は「東都新聞記者」これを見た時、最初は「東都新聞記者吉岡」が長過ぎて表示が省略されて居るのかと思ったが、後に登場したブラウザ上の画面にも「東都新聞記者」と云う名前が表示されて居るのを見た。
 筆者の見間違いかと思いTwitterで検索してみると、ソコに突っ込んで居るアカウントが複数あり見間違いでは無い様だし、Twitterの仕様では50文字迄表示可能で省略の線も無さそうだ。Twitterアカウントを持つ記者は数有れど、所属組織の名だけを前面に押し出して来る記者アカウントは記憶に無い。
 仮に「週刊文春」の記者個人がTwitterアカウントを公開したとして、名前に「週刊文春記者」としか書いて無かったら、多くの人は「此奴ヤベェ」と思うだろう。SNS上のアイデンティティを、自身の属する組織と肩書に委ねる感覚は理解出来なかった。この表記が逆に「新聞記者」と云う題を表して居るのかも知れない。

 この新聞にしてこの政府有り

 映画が終わり、劇場から出て来た時、筆者は暗澹たる想いに囚われて居た。結局の処、政府の問題も新聞の問題も「この政府にしてこの新聞有り」に過ぎ無いのでは無いのかと。今の政府が大きな問題を抱えて居るのも分かるし、権力とマスコミの関係、そして映画の問題意識は分かる。だが、その結果として出力されたのがこの作品なのかと思うと正直頭を抱えざるを得ない。

 この映画での役者達の演技は素晴らしい。松坂桃李は揺れ動く内心を好く表現して居たし、シム・ウンギョンの嗚咽は一寸引く位鬼気迫って居た。演出やカメラワークも良く、素晴らしい仕事であるのは間違い無いのだが、現実と創作を都合好く混ぜ合わせる手法を多用した本作を、筆者は素直に称賛する事は出来なかった。

 尚、この原稿を書いて居る丁度今、CBCテレビ報道部公式Twitterアカウントが、与党候補者に対する暴力・妨害を肯定・揶揄する様なリプライをした事に付いて謝罪した。
 「弊社報道部の意思に基づくものでは無い」として調査を行うそうだが、CBCテレビと言えば親会社の中部日本放送の筆頭株主は中日新聞で、東都新聞社のモデルと思われる東京新聞の発行元である。「新聞記者」と逆パターンであるが、これも内調によるハッキング工作とでも言うのだろうか? 何れにせよ調査報告を待ちたい。


               3-9-35.jpg

                   石動 竜仁  以上







              ■□■□■□■□■□■□■□■

            IT専門転職エージェント@PRO人

              □■□■□■□■□■□■□■□
            ----------------------------------------------------------------------
        IT分野専門の転職エージェントとして、「IT分野特化」「担当者あたりの担当
        数10名様」「ご相談者の満足の追求」を掲げ、首都圏でサービス展開中です。


        年収向上、携わりたい技術、長期キャリアの実現など、まずはご希望をお聞か
        せいただき、その実現へのアドバイス、支援を提供させて頂きます。
        お気軽に無料相談へお越しください。


           https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3B7J3J+FZQ6R6+4GWI+5YZ77
            ----------------------------------------------------------------------








世界が想定すべき新型コロナの最悪シナリオ 他の国々がこれから経験する3つの問題




 




 世界が想定すべき新型コロナの最悪シナリオ 

 他の国々が コレから経験する3つの問題


       〜ニューズウィーク日本版 ジェームズ・パーマー 3/9(月) 17:00配信〜


 3-9-32.jpg
                 文 ジェームズ・パーマー

       3-9-30.jpg

        イタリア北部の感染拡大地域は事実上封鎖された AP/AFLO

 〜グローバル化が新型コロナウイルス肺炎の経済的・社会的リスクを倍増させて居る。「もしも」への備えが過剰な反応とは言え無い段階が来た。中国が既に直面し、他国がコレから経験するだろう問題には何が有るか。本誌「新型肺炎・何を恐れるべきか」特集より〜

 COVID-19・2019年型コロナウイルス感染症が世界経済に齎す影響は、当初の予想より深刻そうだと云う見方が広まって居る。2月24日には世界各地の市場で株価が急落した。
 WHO・世界保健機関は27日、パンデミック・世界的な大流行に発展する可能性は高いと述べた。韓国やイラン・イタリア等複数の国でアウトブレイクの段階に達したと観られ、震源地の中国との関係が確認出来ない感染例も増えて居る。
 更に、感染の報告が少ない国でも死者が出て居り、未だ明らかに為って居ない感染パターンが広がって居る事も考えられる。その場合、新型コロナウイルスの大流行は2020年の最重要課題と為るだろう。

 世界が、これ程の規模の感染症に直面する事は久しく無かった。1968年に流行した香港風邪は世界で約100万人が命を落としたが、今回に比べると致死率は可成り低いと考えられる。新型コロナウイルスの致死率・感染者が死亡する率は確定して居ないが、1918年に5000万人超の死者を出したスペイン風邪と同じ程度に為りそうだ。
 医療技術は当時より遥かに進歩して居るが、グローバル化と人口増加が進んだ事を考えると、感染症のリスクが減ったとは言え無い。

 世界的に感染が拡大して居る今、中国が既に直面し、コレから世界の他の国々も経験するだろう問題にはどの様なものがあるだろうか。

 1つ目は封鎖社会だ。中国政府は7億人以上の移動を制限し、この内1億5000万人に自宅待機を命じた。しかし経済が崩壊し兼ねない状況と為り、現在は措置を緩和して人々を仕事に復帰させようとして居るが、当局も社会も混乱して居る。
 湖北省武漢市では封鎖の緩和が発表されてから、僅か3時間後に撤回された。北京や上海の街頭も、今尚閑散として居る。小規模の企業は破綻寸前で、各業界の売り上げは大幅に落ち込んで居る。中国の港を出る貨物船は殆ど空っぽだ。
 外国企業も、既にサプライチェーンの混乱に直面して居る。2月24日の世界的な株安は感染拡大のリスクを完全には織り込んで居ない可能性があり、更なる下落の恐れも有る。

 渡航制限は更に広がるか

 中国では春節・旧正月の直前に感染拡大が始まり、多くの人が帰省したママ職場に復帰出来無く為った事で、経済への打撃は深刻化した。企業や工場の閉鎖は暫らく続く可能性が高い。理論上は自宅等からのリモートワークで或る程度補える筈だが、システム導入や通信インフラが追い付いて居ない。
 この様な事態が、これから世界を待ち受けて居るのだ。とは言え、民主主義国では、中国の様に国内の経済活動に対する強権的な制限は無いかも知れ無い。

              3-9-31.jpg

         資料 MDPI  VIRUSES; REUTERS REPORTING/REUTERS

 渡航制限に感染拡大防止の効果は無いが 事態が更に悪化すれば・・・

 集団感染が発生した韓国南東部の大邱市は「特別管理地域」に指定され、任意ながら外出自粛や移動制限等の措置は基本的に遵守されて居る。
 イタリア北部で立ち入りが禁止されて居る「レッドゾーン」は、韓国程の規模や厳密さは無い。インドの様に普段から市民生活への規制が多い国も、中国程厳格な措置は取れ無いかも知れない。但し、国外渡航に関しては大半の国が封鎖も辞さ無い構えで、中国路線の運休や減便を行って居る。イラン等既に孤立して居る地域程、渡航制限の対象に為り易い。

 渡航制限に感染拡大防止の効果は無いと、専門家の意見は一致して居る。だが事態が更に悪化すれば、今後数週間か数カ月に渉り国外への渡航が更に難しく為るかも知れない。世界各地から人が集まるイベントは延期や中止が相次ぐだろう。

 2つ目はパニック的な買い占めだ。中国では物資不足は心配された程深刻に為って居ない。輸送に携わった人々の英雄的な努力のお陰で、最も感染が拡大した地域にも農産物や飲料水は届いて居る。
 だが香港では、感染者数が少ないにも関わらず多くの店舗で棚が空ッポの状態が続いた。トイレットペーパー等日用品の買い占めが起きた為だ。イタリアではパニックに為った住民がスーパーに大挙して押し寄せる事態も起きた。マスクや消毒用アルコール等は世界的に深刻な品薄状態に為って居る。
 不安が広がれば何処でも買い占めは起きるが、香港やイタリアの様に政府が信頼されて居ない地域ではその傾向が特に顕著だ。サプライチェーンが断ち切られれば、現実に供給不足が起きパニックに為った人々が更に買い占めに走るだろう。

 各国政府の本気度が問われる

 3つ目の問題は差別と分断だ。感染拡大がホボ中国に限られて居た時期でサエ、アジア系差別が世界中で吹き荒れた。中国では最初に感染が起きた湖北省の出身者が差別され、周辺国では華僑が標的にされた。欧米ではアジア系っポイ顔立ちをして居るだけで「バイ菌」扱いされる有様だ。
 1999年にトルコとギリシャで相次いで地震が起き、双方の支援活動が関係改善に繋がった様に、自然災害を切っ掛けに国際協力が進む事もある。だが今回の危機では一部の国々でメディアがウイルスの出所を巡る陰謀論を流し、疑心暗鬼や憎悪が世論を支配する様に為った。

 中国政府は米政府の支援の申し出を断り、反米ナショナリズムのプロパガンダを強力に展開。メッセージアプリ微信・WeChatでは、アメリカがウイルスを広めたと云う陰謀論が検閲もされずに飛び交って居る。

 感染拡大に伴い 親中派と反中派の分断が更に深まるだろう

 感染拡大に伴い、親中派と反中派の分断が更に深まるだろう。カンボジアのフン・セン首相やパキスタンのイムラン・カーン首相等親中派の指導者に取って、トップダウン式の中国の感染症対策は危機対応のお手本に他為ら無い。一方、中国懐疑派は、ウイルス発生初期の情報隠しが感染拡大を招いたとして中国共産党に集中砲火を浴びせて居る。

 これ迄に挙げた3つの問題は相互作用でエスカレートする。封鎖がパニックを招きパニックが市場を混乱させ差別を助長する。差別と分断が国際協力を阻み更なる封鎖圧力を生む。最も危険なシナリオは、そんな負のスパイラルの果てに社会システム全体が崩壊する事だ。
 それがドンな状態なのか、世界は既に目の当たりにした。武漢では元々脆弱だった医療システムが新型ウイルスの発生でアッと云う間に崩壊。救急車や病床等医療資源が不足し、本来なら救えた筈の膨大な命が失われた。

 中国は今でも1人当たり所得は比較的低いが、豊かな富とマンパワーを誇る国だ。インドやインドネシア等膨大な人口を抱えつつも、物的・人的資源はズッと乏しい国々は更に悲惨な状況に陥るだろう。医療や銀行業務等人々の日常生活を支えるサービスが滞れば、ドミノ倒しで社会システムが崩れ始める。
 だが、こうした展開は不可避では無い。危機に際して人々は驚く程の底力を発揮する。状況に臨機応変に対処し助け合う。

 予想より早くワクチンが開発される可能性も有るし、夏に為ればウイルスの勢力は弱まるかも知れない。医療崩壊に陥った武漢に比べて中国の他の地域は遥かに致死率が低く、中国国外では更に低い。人々が手洗い等を徹底すれば、隔離と封鎖よりも感染防止に大きな効果がある。
 もしも各国の指導者が此処に挙げた問題に本気で取り組めば、世界はキッとこの危機を克服出来る。この「もしも」は重い意味を持つ。


  From Foreign Policy Magazine 2020年3月10日号「新型肺炎 何を恐れるべきか」特集より

             3-9-33.jpg

    ジェームズ・パーマー フォーリン・ポリシー誌 シニアエディター   以上


  




         厳選ドライフード【自然派わんこの厳選ごはん】

     https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35SIQS+EV8PMA+33AO+1ZK377













景気大打撃は確実だが 新型コロナからの「日本復活の秘策」はコレだ




 




 景気大打撃は確実だが 

 新型コロナからの 「日本復活の秘策」はコレだ


          〜現代ビジネス 橋 洋一 3/9(月) 6:01配信〜


             3-9-16.jpg


 各国の感染者数「最新の状況」

 先週、海外ニュースや海外市場は、新型コロナウイルスの世界的な広がりで大混乱だった。先週の本コラムでは、各国の感染者数と武漢との距離を表す為に次の図を出したが、国別の感染者数では韓国が突出して居り、多い順にイタリア・イラン・日本で在った。今週これを更新すると次の図に為る。

     3-9-15.jpg

 感染者数で韓国・イラン・イタリアが図抜けて居るが、フランス・ドイツ・スペインが日本の上に為って居る。相変わらず日本のマスコミは、日本の感染者にクルーズ船の乗客を含めて、過大な数字にして報道して居るが、クルーズ船の感染者数はWHOの統計上も日本の感染者では無い。日本とクルーズ船の数字を合わせて報じるのは誤報とも云われ兼ねない。
 現在はアメリカのカリフォルニア沖にクルーズ船が在り、船内感染が起きて居る模様だが、この数字をアメリカの感染者数に含めて報道したら、アメリカ大使館から抗議が来るだろう。それ位、日本のマスコミ報道は可笑しい。

 不安が引き起こす「市場の混乱」

 ちなみに、感染者数では無く人口10万人当たりの感染者率でみると次の図の様に為る。日本は感染国とは言え無い程の数字だ。尚、中国の発表する感染者数が増えて居ないので「既に中国では終息して居る」と云う報道もある。
 しかし、中国の統計データは先月に3度も統計変更があったが、通常は変更後と変更前の複数時系列が発表されるべき処、そうした措置は見当たらず信用が出来ない。習近平主席の発言に併せて統計数字が作られて居る節もある。筆者の推計値とも乖離が在るので信用して居ない。

 何れにしても、世界中が新型コロナウイルスを恐れて居る。新型コロナウイルスの致死率は、過つてのSARS程高く無く、例年のインフルエンザより少し高い程度と云っても人々は恐れる。1年もすればワクチンが出来ると言っても矢張り恐れる。それが、市場の混乱を引き起こして居る。

 「恐怖指数」は同時多発テロ並み
 
 筆者は仕事柄、欧米のニュースを日頃見て居るが、連日新型コロナウイルスの話ばかりだ。スポーツ番組でも、7月の東京五輪が出来るかどうかと云う話題だ。プロ野球や大相撲が無観客試合に為った事も報じられて居る。こうした雰囲気を受け、アメリカの株式市場は乱高下だ。
 FRBは、金融政策を決めるFOMC・連邦公開市場委員会に付いて、定例の17・18日を待たず3日に緊急で開催し政策金利0.5%の引き下げを行った。これに対して株式市場は反応せずダウ平均は785ドル安だった。それ程、新型コロナウイルスはアメリカ人に取って脅威なのだろう。

 アメリカ市場では、今後30日間の米株式市場の予想変動範囲を算出し、それを「恐怖指数」と呼んで居る。過去のリーマンショック時には90近く迄上がった。NY同時多発テロ・アジア経済危機・ギリシャ危機等の時には50近く迄上昇した。
 今回のコロナウイルス騒ぎでも、2月末に50近く迄に上がった。この意味で、今回はリーマンショック程では無いが、過去の大きな経済危機並みに、アメリカの投資家心理に影を落として居ると言えるだろう。
 トランプ大統領は、コロナウイルスを過度に心配して居る。11月に大統領選が控えて居る今、対応に不手際があると再選が危うく為るからだ。こうした危機管理は国民の生命に関わる話なので、政治家は細心の注意を払うのだ。

 要約尻に火が点いた

 実は日本でも、アメリカの恐怖指数と同様の数値「日経平均VI」がある。市場が予想する日経平均株価の将来1ヵ月間の変動の大きさ(ボラティリティ)を表す数値だ。これを見ても、過去10年間で株式市場は最もナーバスに為って居る事が分かる。
 現在は、安倍政権にトッテモ最大の試練に為って居る。何処の国であれ、危機管理が出来ない政府は国民から見捨てられるのが運命だ。

 本コラムでは、安倍政権の初動、特に1月28日の感染症指定のミスを厳しく批判して来た。これを上手く熟せ無かった為に水際阻止が出来ず、結果として中国からの全面的な入国制限やクルーズ船入港阻止も出来なかったからだ。
 但しココに来て、要約安倍政権の尻に火が点いた様だ。習近平主席の訪日延期は当然だ。習近平主席の訪日延期が要約決まったのが3月5日。コレは、天皇謁見は30日前迄に申し込まねば為ら無いと云う「30日ルール」が在り、流石に1ヵ月前には予定を立てざるを得無かったのだろう。

 急に始まった対策の数々

 そして習氏の訪日延期発表の3時間後に、要約中国と韓国からの全面的な入国制限を実施する事が決まった。遅きに失したとは言え、遣ら無いよりマシだ。その後、安倍政権は吹っ切れた様だ。次々に対策が出て来た。
 筆者は様々なメディアにおいて、日本政府が遣るべき対策を述べて来たが、完全では無いものの、安倍政権はそれ等の対策を矢継ぎ早に決定して居る。筆者は3月4日「生活用品の買い占め対策には、買い占め売り惜しみ防止法や古物営業法を使え」と言った。そうしたら翌5日〈マスクの買い占め ネット転売禁止へ 政府総合対策取りまとめ〉と報道された。

 買い占め防止には現行制度でも様々な方法があり、役人出身の筆者に取って対策を挙げるのは難しく無い。重要なのは、それを行う政治的な意思である。こうした対策に付いて、国会議員からも質問主意書が出て居る(2月10日「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書」)
 政府は2月21日に「そうした状況で無い」と答弁して居たが、3月5日には一転して対応を始めた。安倍政権も追い込まれた上の決断だ。

 残すは「消費減税」か

 又新型コロナウイルスにより打撃を受けて居る旅行業界・観光業界・イベント業界・飲食業界等では、緊急融資制度が必須に為る。中国人観光客が来ず、国内のイベントも3月末迄は中止が相次いで居るので、関係業界の経営は深刻である。
 筆者は緊急融資制度に付いて「マイナス金利を活用して行うべき」と3月2日から言って居る。すると3月7日〈中小・小規模事業者等に実質無利子・無担保融資〉と云う報道があった。コレは、マイナス金利とは行かないが、それでも従来の緊急融資制度より一歩前進するものだ。

 これ迄筆者が提言した政策で、残されたものは「消費減税」である。(日本経済 コロナ恐慌 回避への“劇薬政策”投入あるか 日銀談話の影響は限定的 識者『10兆円補正』『消費減税』提案」)
 5月18日に1〜3月期GDP速報が発表されるが、マイナスに為るのは確実である。10〜12月期もマイナス(3月9日に2次速報の公表)で、2期連続のマイナスだろうから、2020年度補正予算が必要と為って居る筈だ。幸いにも、4月の習近平主席訪日が延期と為ったので、国会日程は可成り楽だ。元々4月以降に通すべき重要法案も余り無いので、補正予算編成の絶好のチャンスだ。

 経済政策は国民の生命を守る
 
 政府は、2年を限度に新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改正案を準備し、10日に国会に提出し13日の成立を目指す。ソコでは、財政措置は最小限度の筈なので、本格的な景気対策は4月以降に為るだろう。ソコで、何とか、新型コロナウイルスがもたらす景気後退を防が無ければいけ無い。経済政策コソ、国民の生命に関わる問題である。

 公衆衛生学者デヴィッド・スタックラーと医師サンジェイ・バスが著した『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』と云う興味深い書がある。幾つかの事例から、不況や経済危機における政府の政策対応如何により、人々の健康状態、延いては生死に大きな影響が及ぼされると云う主張だ。
 経済政策はドンな薬・手術・医療保険よりも命に関係すると云う彼等の言葉を、経済政策を研究する筆者も首肯したい。新型コロナウイルスには、経済政策迄遣って初めて打ち勝てるのだ。
        

          橋 洋一 経済学者    以上









 小林よしのり氏 「経済マヒさせる程コロナ怖いか」

            〜日刊スポーツ 3/9(月) 15:03配信〜


      3-9-18.jpg

            小林よしのり氏(2015年8月10日撮影)

 漫画家小林よしのり氏(66)が、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内の自粛ムードに「経済をマヒさせる程コロナが怖いかね?」と疑問を呈した。

 小林氏は「好い加減にしろコロナパニック」のタイトルでブログを更新。取材で訪れた福岡で目の当たりにした光景に付いて「飛行機は減便、ホテルのロビーはガラガラで客より従業員の方が多く、レストランは1店だけ空いて居て、バーやスパやラウンジは閉鎖、市内は閑散として居て、店は休業だらけ、居酒屋は倒産寸前、取材先の博物館美術館は休業、経済活動が殆ど停止して居る状態で呆れた」と綴った。

 こうした状況に「ここ迄自粛して、経済をマヒさせる程コロナが怖いかね?」と小林氏。 「情報のグローバリズムが無けりゃ、自然死で誰も気にも留め無かった筈。グローバリズムがウイルスを呼び込んで、地球規模の情報感染がパニックを引き起こし、経済をマヒさせて居る。愚かな奴らばかりだ」と私見を述べ「来年はインフルエンザの感染者を追跡して、関連死が何名出るかを可視化させて欲しい。自力で治す人が居る限り、わしは怖く無い。風邪に備えて用心し、栄養と睡眠で免疫力を高めるのは、何時もの冬と同じだ」とした。


                   以上









 中国 WHOに21億円寄付 新型コロナ対策で「お返し」? 

              〜時事通信 3/9(月) 15:13配信〜

 【北京時事】中国の陳旭・駐ジュネーブ国際機関代表部大使はこの程、世界保健機関・WHOのテドロス事務局長と会談し、中国政府がWHOに2000万ドル・約21億円を寄付する事を決めたと伝えた。

 新型コロナウイルスを巡る国際協力の為として居るが、この時期の寄付は、中国の対応に賛辞を繰り返すテドロス氏への「お返し」とも受け取られ兼ね無い。9日付の中国英字紙・チャイナデーリーによると、陳大使は7日の会談で「果断な措置により中国の感染封じ込めは進展し、世界の公衆衛生に貢献して居る」と中国の取り組みを自賛する一方「WHOの専門的な役割を支援し、発展途上国の対応能力向上を手助けしたい」と寄付を表明した。


                   以上



 





 【管理人のひとこと】

 実は管理人も、小林よしのり氏の嘆きに同調する一人である。このウィルスによる世界の死亡者総数を見ると、確かに高い数字ではあるが、全世界が挙ってパニックを惹きこ起こす程の、手の付けられ無い程の高さの数字では無く、過去のパンデミックに比べると中・低程度のものである。
 依然その正体も治療方法も判然とし無いので「恐れ」は残るものの、世界の国々が協調し対策に乗り出せば・・・WHOの不可解な動きが気に為るが・・・何れ解決に向かうと思われる。これは、殆どの学者が思う処だろう。

 詰まり「意図的に作られた騒ぎ」では無いのかとの疑問が残るのだ・・・陰謀論に近付くのでこの辺で辞めるが、特に安倍政権の対策は「意図的に・・・」の思いが強く残る。マルで、高まった政権批判を交わす為に「この騒ぎを意図的に利用した」と思われても不思議では無い・・・ソレ位の不手際を続けて居たのだ。
 対策の不手際を指摘されるのを待つ様に、次から次と思い付く限りの「行き当たりバッタリ」の要望・要請を繰り出す・・・それも少数の人間の思い付きで発表する。自ら設けた「専門家会議」の意見も聞かずに議事録も作らず密室で談合した結果を公表し、野党から指摘されると「グダグダ」と言い訳を繰り返す何時もの場面が続くだけ。
 韓国に比べ、異常に日本の発症数が低いのも気に掛かる。無論、我が国は意図的に検査を抑えた為だが、これも政府の意図が強過ぎる・・・詰まり、隠蔽や改竄を繰り返す安倍晋三政権では、何を遣っても国民からの信用が無く後手後手に為るしか無い。一寸踏み込んだ学校の休校要請も多くの批判に溢れてしまう。もう、この政権は何を遣るにしても国民は宛てに出来ないと思って居るのだ。ウィルスを退治するよりは、安倍晋三氏を退治し無ければこの国の根本的症例は完治しない ・・・イッソ、現内閣総退陣し与野党同数の「臨時救国内閣」を組閣して対処に当たる様な緊急対策を講じては如何だろうか。議員の数が多い自民党だから閣僚の半数は残すのも礼儀だろう。舌鋒名高い辻󠄀元清美氏には、是非厚労相で願いたい。


           3-9-19.jpg

                 Fecushon!  BA-KABE2020



 



    ━━━[PR]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
    ┃  オーバーホール・時計修理がメーカーより最大50%安い     ┃
    ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
             オメガ・ロレックス・高級時計          
         を中心に、ベテラン・一流時計技師が         
          オーバーホール・時計修理致します。
        
               〜時計修理の千年堂 〜             
       https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3B7M8D+4M3YK2+2U26+5ZMCJ
     ━━[PR]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━










 









竹中平蔵「政府はコロナ対応を間違った 東京五輪も危うい」




 





 竹中平蔵 「政府はコロナ対応を間違った 東京五輪も危うい」

            〜プレジデントオンライン 3/9(月) 9:15配信〜


             3-9-1.jpg

   竹中平蔵氏「日本政府に反省すべき事は沢山あると考えて居ます」(撮影 大沢昭一)

 猛威を奮い続ける新型コロナウイルス。日本でも感染者数が増え続け、マスコミ報道も過熱して居る。政府も全国の公立小中高等学校に休校を要請する等、国は混乱に陥って居る。そんな中、経済学者の竹中平蔵氏は今回の政府の対応に付いて「完全に間違って居る」と吐き捨てる。
 日本政府の受け身過ぎる対応に苛立ちを見せる。竹中氏が語る東京五輪が中止に至る「最悪シナリオ」とは・・・


 日本は中国を見習うべきだ

 新型コロナウイルスの流行に対する日本の対応は、完全に間違って居ると言って好いと思います。反省すべき事は沢山あると考えて居ます。
 物事に対処する姿勢として「リアクティブ」「プロアクティブ」の2つが有ります。「リアクティブ」とは「問題が起きてから対応する」「後手後手の」と云う意味、プロアクティブとは「率先した」「先を見越した」と云う意味の英語です。

 日本の新型コロナウイルスへの対応は正に「リアクティブ」です。感染拡大を防ぐ為に感染者を隔離する、ワクチンの開発を進めると云った事は、それはそれで確りと遣るしかありません。しかし、見方を変えるとそれしか遣って居ない。
 それに対して、中国の対応は「プロアクティブ」です。例えば、コンな事がありました。私は北京大学のイベントに呼ばれて居ましたが、当然ながらそれは中止に為りました。日本の対応と異なるのが、北京大学はイベントを中止しただけでは無く「もう授業は教室で遣らない」と云う決断を下した事です。

 北京大学の他、清華大学なドノ大学でも、2月17日からオンライン授業を開始して居ます。詰まり、この混乱を切っ掛けに生活の仕方を変えたのですね。日本でも確かに政府が小中高の休校要請をしましたが、それだけではダメなのです。日本でも一部の学校が自発的にオンラインを活用した指導を実施して居る様ですが、それコソ国を挙げて遣るべき話なのです。

 和歌山県の済生会有田病院で、男性医師が新型コロナウイルスに感染したと云う報道が在りました。それにも関わらず「これを切っ掛けに、今まで医師会の反対で出来なかった遠隔医療を遣りましょう」と云う議論は起こって居ません。
 日本は起こって居る事に受動的に対応して居るだけで、今後の感染拡大を防ぐ為に物事の枠組みを変えると云う発想が出来て居ません。日本は中国を見習うべきです。

 コロナショックで露呈した、悪い意味での日本らしさ

 別の例では、シンガポールの保健省は、2月15日時点で感染者数が72人に迄拡大したと発表しました。総人口が約564万人な事から考えると、検査で陽性が出た比率は他国に比べて高い。此処迄多くの感染者を検出する事が出来た理由は、シンガポールにはGrabと云う配車アプリが普及して居り、感染ルートを把握し易い環境だからです。
 ライドシェアが認められて居ない日本はシンガポール程正確に感染者の移動経路を把握する事が出来ず、発見が遅れて居る訳です。

 アナログな日本ではタクシーには乗ったけど、何処の会社のだったのか好く判ら無い場合もあります。だから、感染者が、急にアッちから出て来た、コッチから出て来た、と、大騒ぎして居る訳ですね。シンガポールはデジタルな国だから感染者の行動を把握し易い。
 要するに、アフリカの国ではアジア、欧州、北米に比べて感染者数が少ないのは、検査して居ないからなんですよ。一方で日本は、検査は或る程度はするけれども、シンガポールみたいに正確に出来て居ない訳ですね。

 今の異常事態を踏まえて遠隔医療やライドシェア等「今迄抵抗勢力が邪魔して実現し無かった事をこの際遣りましょう」と云う議論が皆無だと云う事が、日本の大きな特徴であり反省点なのです。
 兎に角今迄抵抗勢力が邪魔して居た事で遣れば好いのに遣って居ない事を「この際遣りましょう」と動いて然(しか)るべきです。イベントの中止は小手先の措置に過ぎ無いのです。根本的な変革が必要です。

 このママだと東京五輪の開催が危ぶまれる

 サテ、新型コロナウイルスのはコノ後どう続くのか。このママだと東京五輪の開催も危ぶまれます。先ずはそれを判断する際のチェックポイントとして2つの行事があると考えて居ます。

 1つは4月に習近平中国国家主席の国賓来日が予定通り行われるのかと云う事です。現在の処は菅義偉官房長官は習主席の来日に付いて「現時点で予定に変更は無い」して居ますが、今後どう為るか判りません。中国では、最も重要な政治日程の1つであり、3月5日に開幕する予定だった全人代(全国人民代表大会)の延期を決めて居ます。
 その上「習主席の4月の来日は難しいのではないか」と云う声も上がって居り、一部報道では「延期する方向で進めて居る」とされて居ます
 *竹中氏へのインタビュー後、日本政府は中国の習主席の国賓来日を延期すると正式に発表しました。

 そして、2つ目はオリンピック直前に中国・天津で開催されるとされる夏季ダボスです。1つ目の習主席の来日が中止されれば五輪の中止可能性が高まります。そしてもし、夏季ダボスが中止に為ったら、イヨイヨ7月下旬の東京五輪開催も厳しく為って来ます。
 サテ「東京五輪を中止にする」と最終的に判断するのは誰でしょうか。一般論として、東京五輪組織委員会が自分の判断で中止を判断すると保険は降り無いでしょう。国際オリンピック委員会・IOC等から中止を勧告された時だけ保険が降りる仕組みと考えます。
 その為、今後、コロナの猛威により東京五輪中止論争が加熱したとしても。日本としては自らオリンピックの中止を申し出る事はナカナカ難しいでしょう。


 竹中 平蔵(たけなか・へいぞう) 経済学者 東洋大学教授 慶應義塾大学名誉教授 1951年 和歌山県生まれ 一橋大学経済学部卒 博士(経済学)
               
            構成 万亀すぱえ    以上









  コロナ対策も後手に 日本が世界に取り残される
 
 「お爺さん」政治から抜けられ無いワケ

           
         〜プレジデントオンライン 申h榮さん  3/9(月) 11:16配信〜


              3-9-13.jpg
           
            お茶の水女子大学 准教授 申h榮さん

 政治分野の無策が「121位」に表れた

 「ジェンダーギャップ指数」は、経済・教育・健康・政治の4分野から構成されて居ますが、この内教育と健康は世界的に男女格差が可成り縮まって居て、各国の順位に大きく影響し無く為りました。
 一方、経済と政治の男女格差は未だ大きいので、これ等の分野の優劣で順位が確定します。特に政治は、どの国も未だ格差が大きいので少しの変化が影響します。詰まり、政治分野で少し頑張るだけで、ランキングはグンと上がる訳です。

 しかし、日本はこの分野をズッと後回しにして来ました。何も対策を執らず現状を維持して居ます。その間、他の国では高い問題意識を持って対策を進めて来ました。それでドンドン差が開いてしまった事が、153カ国中121位と云う結果に表れて居るのです。.

 世界の流れから取り残された日本

 只、歴史を遡ると、日本は政治分野でトップレベルだった事もあるのです。1946年、戦後初めて行われた衆議院選挙では39人の女性議員が誕生して居ます。又それ以降、1980年代頃迄は、他国もそれ程政治の女性参加は進んで居なかったので、日本の状況はそれ程目立ちませんでした。
 1989年の衆議院選挙では、日本初の女性党首・土井たか子さん率いる日本社会党(当時)が女性候補を大量に擁立して「マドンナ旋風」を起こしました。この時には「日本初の女性首相が生まれるかも知れない」と云う雰囲気さえありました。当時は、他国に比べて日本が遅れて居る感じは全く無かったのです。

 処が1990年代、他の国では、一定の割合の議席を女性に割り当てる「クオータ制」の導入等、様々な施策を打ち出して女性の政治参加に力を入れ始めました。一方日本では、政治の男女格差よりも、DV・ドメスティックバイオレンスパート労働等、社会や経済分野の喫緊の問題に力を入れて居て政治の女性進出は停滞。
 世界と日本の差が開き始め、そのママ20年以上が過ぎました。日本は、余りにも世界の流れからズレてしまったのです。

 競争・危機・外圧が女性政治家を増やす

 只、日本に限らず、どの国も政治は男性中心に為り勝ちです。それが、どうすれば「女性を増やそう」と云う方向に変わり得るのか。過去を振り返ってみると、女性議員が増えた事例の共通点は3つあります。

 1点目は「競争がある」事です。政党間の競争が激しく為ると、新しい有権者層を開拓したり新しい政策をアピールしたりして、他党との差別化を図ろうとします。従来の男性中心の顔触れや政策だと差が付きません。この為、斬新さを打ち出し女性有権者に訴え掛ける為に、女性候補者を増やしたり、党首を女性にしたりするのです。
 ドイツも正にそうで、1980年代に「緑の党」と云う環境政党が新しい政治を掲げ、女性やマイノリティーを前面に押し出した政策を打ち出しました。すると相対的に、他の男性ばかりの政党が古臭く見えてしまいます。その為、女性やマイノリティーを登用する動きが他の政党にも浸透しました。

 2点目は「大きな危機が起きる」事です。政権が大きな失敗をしてしまった場合、信頼を回復する為に新しい顔触れが求められ、女性が起用される事があります。新しく生まれ変わった事をアピールし易いからです。ここ迄の2点は、政党が内部から「女性を登用しよう」と云う変化を起こす切っ掛けです。
 3点目は、政党の外からの力です。当事者の女性の声が大きく為った場合です。女性が自分達のニーズを集結し、それが一定の大きさの声に為れば、政党側も聞かざるを得無く為ります。

 競争も大きな危機も無く 20年間置いてきボリに

 只、残念ながら日本は、少なくとも最初の2点に付いては、ナカナカ難しそうです。最近の自民党は「1強」と呼ばれて居る通り、競争も大きな危機も有りません。2009年に自民党が選挙に負けて、民主党(当時)が政権を取った事がありますが、直ぐに失敗して奪還され、以降は競争が殆ど無い状態が続いて居ます。
 選挙にも勝ち続けて居ますから、全く変化させるインセンティブが生まれません。コレも、日本が20年間、世界の流れから置いてきボリにされて居た理由の一つです。
 そして3点目に付いても、悲しい事に女性有権者達からの自分達のニーズを代弁して呉れる女性の政治家が必要だと云う声は大きくありません。

 「女性議員10%」が持つ意味
 
 現在、日本の衆議院議員に占める女性の割合は約10%です。10人の内1人しか女性が居ないと云う、この数字の意味を考え無くてはなりません。女性と一言に言っても、シングル・母親・高齢者等立場は様々ですし、職業や住む地域、考え方や理念も多様です。足った10%で、多様な女性のニーズを代表する事が出来るのでしょうか? 

 それに、政治は特に、数と組織がモノを言う世界です。男女関係無く、少数派は妥協を求められてしまいます。例えば地方議会では、議員の数が十数人から数十人と云った処ですが、女性議員がゼロと云う市町村議会も沢山あります。
 議員数が20人で女性が2人だとすると、この2人が同じ考え方を持って居て共闘出来るとは限りません。意見が合わず共闘出来無ければ、益々彼女達の意見は議会で反映されません。

 結局、女性は余りにも少数派なので、どうしても多数派である男性の文化に合わせざるを得無く為ってしまいます。「議会に女性議員が居ても全く変化が無い。何の意味も無いじゃないか」と言って責める人が居ますが、それはお門違い。10%しか居ないからコソの結果なのです。これがもし女性が30%に達して居て、それでも成果が挙がら無い為らば批判しても好いかも知れませんが、10%しか居ないと、政治の世界では自分が遣りたい事がナカナカ出来ないのです。

 「お爺さま達」が無視出来無い程数を増やす

 女性議員が、自分の遣りたい事が出来る環境を作ら無くては為りません。その為には、数を増やし声を大きくして、声が議会の「お爺様達」に届く様にする必要があります。先ずは、複数で議会を目指すのが好いと思います。女性が1人だけで当選しても、ナカナカ意思決定に届く程の声の大きさに為りません。2・3人で協力して一緒に議会を目指すのです。

 前回の統一地方選挙では、各地で「女性議員を誕生させる会」が出来て、女性議員を議会に送り込んで居ます。こうした支援が選挙の後も続き、政治家として活動する中で多数派に呑まれてしまわ無い様、支えて行く事も必要だと思います。

 最低でも30%を 100%を目指したって好い

 1995年に国連の第4回世界女性会議で採択された「行動綱領」には、意思決定の場に於ける女性比率を30%にする事を目指すと明記され「最低限30%は必要だ」と云う認識が広がりました。社会に変化を齎す上での臨界点「クリティカルマス」30%で在ると云う事です。私自身も、30%に達すれば確実に変化が起きると思って居ます。

 この会議を機に、目標とする女性比率を法律に明記する国が増えました。只、30%を目標にしてはいけません。人口の男女比は5:5なのですから50%にすべきなんです。私は、60%を目指しても好いと思って居ます。
 実際、60%を達成している国もあります。今まで少数派だったからと云って、遠慮して小さく為る必要はありません。何なら100%でも好いじゃないですか、男性はズッと100%に近かったんですし。(笑)  飽く迄も30%は最低限必要と云うレベルです。民主主義国家が目指す姿としては、40%〜60%程度で要約「男女の平等が達成された」と言える水準に為ると思います。


 

 申 h榮(しん・きよん)お茶の水女子大学・ジェンダー研究所・准教授  米国ワシントン大学政治学科で博士号を取得し ジェンダーと政治・女性運動・ジェンダー政策等を研究 学術誌『ジェンダー研究』編集長 共著『ジェンダー・クオータ:世界の女性議員はなぜ増えたのか』(明石書店)等 女性議員を養成する「パリテ・アカデミー」共同代表

          3-9-4.jpg

 お茶の水女子大学 ジェンダー研究所 准教授 申 h榮  構成 大井明子   以上







     ━━━[PR]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           オーバーホール・時計修理がメーカーより最大50%安い      
             オメガ・ロレックス・高級時計
      を中心に、ベテラン・一流時計技師がオーバーホール・時計修理致します。                           
              〜時計修理の千年堂 〜         
     https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3B7M8D+4M3YK2+2U26+5ZMCJ
     ━━━[PR]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




権力中枢の闇を描いた映画「新聞記者」が日本アカデミー賞3冠を獲得した意味




  権力中枢の闇を描いた映画「新聞記者」が

 日本アカデミー賞3冠を獲得した意味


              〜ENCOUNT 3/8(日) 8:20配信〜


      3-9-5.jpg

           作品賞は「新聞記者」(C)日本アカデミー賞協会


 大手以外の配給による作品賞受賞は2006年「フラガール」以来

 第43回日本アカデミー賞は松坂桃李・シム・ウンギョン共演の「新聞記者」(藤井道人監督)が最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞の主要3部門で3冠と為った。インディペンデント系映画会社の3部門受賞は久々の快挙と言って好い。それが意味するものとは・・・

 日本には数多くの映画賞が在る。最も歴史が古い1924年設立の「キネマ旬報賞」は専門家の投票、ブルーリボン賞は在京7社のスポーツ紙の映画担当記者が選定。他にも、新聞社系の映画賞等があるが、日本アカデミー賞は“映画関係者による映画関係者の為の祭典”だ。
 日本アカデミー賞の公式ホームページによれば、会員数は3959人(2019年現在)打ち東宝(298人)・松竹(298人)・東映(281人)の社員が計877名を占めて居る。投票は夫々の自由意志が反映されるが、年度によっては、会社からの“お願い”もあって、大手3社の作品は有利と言える。

 過去5年の受賞作を見ると、2019年「万引き家族」(是枝裕和監督 配給ギャガ) 2018年「三度目の殺人」(是枝裕和監督 配給 東宝・ギャガ)2017年「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督 配給 東宝) 2016年「海街diary」(是枝裕和監督 配給 東宝・ギャガ) 2015年「永遠の0」(山崎貴監督 配給 東宝)
 「新聞記者」は「かぞくのくに」「あゝ、荒野」「宮本から君へ」等を送り出す「スターサンズ」の制作で、スターサンズとイオンエンターテイメントが共同配給した。大手以外の配給による作品賞受賞は、2006年「フラガール」(李相日監督 配給 シネカノン)以来と為る。

 「新聞記者」は東京新聞の望月衣塑子記者のベストセラー「新聞記者」が原案。政権が隠そうとする権力中枢の闇を暴こうとする女性記者(シム・ウンギョン)と、理想に燃えて国家公務員に為ったものの、真実を隠す側に回る事に為った若手エリート官僚(松坂桃李)の姿を描く社会派エンターテイメントだ。
 当初はオウム真理教事件を扱った「A」(1997年)や疑惑の作曲家・佐村河内守氏を追った「FAKE」(2016年)の森達也監督が、劇映画とドキュメンタリーの両方を製作し同時公開すると云う企画だった。しかし、森監督は劇映画の監督を降板し、望月記者の官邸取材を追う「i−新聞記者ドキュメント−」のメガホンを取る事に為り、33歳の新鋭・藤井道人監督にオファーが来た。

 藤井監督は一度、オファーを断って居た 新聞を「殆ど読んだ事が無い」

 藤井監督は日本大学芸術学部映画学科出身。短編映画での手腕が認められ、2014年、伊坂幸太郎氏原作、岡田将生主演の「オー!ファーザー」で長編映画デビュー。以来「デイアンドナイト」等映画やドラマで活躍して居る。以前のインタビューではこんな事を話して呉れた。

 「家では親が大手経済紙を定期購読しましたが、自分では殆ど読んだ事はありませんでした。スマートフォンのニュースアプリで読むのはエンタメ、スポーツ。後はトップニュースの事件・事故位。政治のタブはホボ見なかったです。正直に言うと、(映画のモチーフに為った)森友学園・加計学園問題も好くは知りませんでした。河村プロデューサーは『デイアンドナイト』を観て、オファーして呉れたのですが、一度はお断わりしたんです。僕より、相応しい人が居るんじゃないかと」

 しかし、河村プロデューサーから「ソンな新聞を読ま無い世代からコソ、撮って欲しい」と説得され承諾。政治家の実名が飛び出すセミドキュメンタリー風のドラマだった当初の脚本を大幅に変更。脚本を担当した詩森ろば氏と共に、新聞記者・新聞の営業担当者・官僚を取材して、実際の事件を連想させる社会派エンターテイメントに仕上げた。

 撮影は2018年12月から約3週間。藤井監督は「題材が題材だけに、時間は幾ら在っても足り無かった」と振り返って居たが、主演の2人には大いに助けられたと云う。
 シム・ウンギョンは、大ヒット映画「サニー 永遠の仲間たち」(2011年)や「怪しい彼女」(2014年)や等で知られる韓国映画界を代表する若手。2017年に安藤サクラ・岸井ゆきの・門脇麦等が所属する俳優事務所「ユマニテ」と契約し来日。足った1年半で日本語を習得。日本人の父と韓国人の母を持ち、アメリカで育ったと云う設定の新聞記者に為り切った。

 授賞式では、シム・ウンギョンは「全然取ると思わ無かったので、全然、準備をして居なかった。ごめんなさい。共演の松坂桃李さん、有難うございます」と言い号泣。一方の松坂は「この作品は僕の知る限り、色んな事が二転三転、五転位在って、それでも、この作品を確り届けたいと云う方が集まって、撮り切る事が出来ました。この10年で最もハードルの高い役でしたが、ウンギョンさんと一緒に駆け抜ける事が出来ました」と受賞を喜んだ。

 処で、官邸の人々は「新聞記者」の快挙をどう受け止めて居るだろうか。今回の受賞は、作品の出来もさることながら、以前にも増して、ブラックボックス化が進んで居る官邸への映画関係者の不満の表れではないかとも思えるのだが・・・


               平辻 哲也    以上









 大仕事を遣って退けた シム・ウンギョン

              〜朝鮮日報日本語版 3/9(月) 15:04配信〜


             3-9-14.jpg

 3/6日、東京都内のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第43回日本アカデミー賞授賞式で、韓国の女優としては初めて最優秀主演女優賞を受賞した女優シム・ウンギョン 写真 聯合ニュース 朝鮮日報日本語版

 安倍首相批判映画『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞 韓国人女優の受賞は史上初

 「すみません。受賞するとは全然思わ無かったので、全然準備をして居なかったです。ゴメンナサイ、本当に有難うございます。本当に一緒に共演出来て本当に光栄でした」

 6日、東京都内のグランドプリンスホテル新高輪で行われた「第43回日本アカデミー賞」授賞式で女優シム・ウンギョンが映画『新聞記者』の演技により最優秀主演女優賞を受賞した。
 プレゼンターを務めた俳優・役所広司が「最優秀主演女優賞は・・・」と言った時、ニコニコ笑って居たシム・ウンギョンは、自分の名前が呼ばれると文字通り凍り付いてしまった。それでもステージに上がったが、啜り泣きで暫らく言葉を発する事が出来ず、暫らくしてヤッと日本語で受賞の心境を語った。

 日本で最も権威のある映画賞「日本アカデミー賞」はノミネートに当たる各部門の優秀賞を今年1月に発表し、その中から最優秀賞を授賞式当日に発表する。韓国人の女優が最優秀主演女優賞を受賞したのは、1978年の制定以来初めての事だ。ノミネートに当たる優秀主演女優賞は『空気人形』(2009年)のペ・ドゥナが受賞して居る。
 映画『新聞記者』は日本の政治スキャンダルを通じて政府とマスコミを批判した映画だ。安倍首相が関与した私学不正疑惑と内容が好く似て居り「反政府映画」として注目を集めた。東京新聞社会部・望月衣塑子記者の同名著書を基に製作された。

 日本人記者として描かれて居る原作とは違い、シム・ウンギョンは韓国人と日本人の間に生まれた4年目の社会部記者として登場する。この作品の為に1年間日本語を勉強し、先月行われた第74回毎日映画コンクールで既に女優主演賞を贈られた。
 朝日新聞電子版は昨年7月「候補に上がった日本の女優達は反政府的な内容で固辞し、シム・ウンギョンに役が回って来た」と報道した。
 しかし、映画を製作した河村光庸プロデューサーは「シム・ウンギョンをキャスティングしたのは個人的に非常に好きな女優だからだ。彼女の知的な面、仕事で見せて呉れた様々な姿が、真実を追求する役にピッタリだと思った。日本の女優に出演をオファーした事は無い」と話す。

 日本アカデミー賞で映画『新聞記者』は最優秀主演女優賞他、最優秀作品賞と最優秀主演男優賞(松坂桃李)も受賞した。日本の映画関係者の間では「韓国人女優が主演女優賞を受賞したのも異例だが、反政府映画が作品賞を受賞したのも驚きだ」と云う反応だ。
 日本アカデミー賞は米国の様に、映画関係者から為る4000人以上の会員が投票で受賞者を決める。日本の映画ジャーナリストの斉藤博昭氏は「反政府映画を作った勇気、それによる様々な政治的論争等が反映され、作品賞を受賞したものと見られる」と分析した。

 シム・ウンギョンは2017年に日本のマネジメント会社と専属契約し日本に進出した。それ以降、韓日両国を行き来しながら活動して居り、これ迄日本映画『架空OL日記』『椿の庭』等を撮影して居る。


            イ・ヘウン記者   以上









 特措法改正で注目される 「緊急事態宣言」とは

       〜坂東太郎 日本ニュース時事能力検定協会認定講師 3/9(月) 11:00〜


             3-9-2.jpg

 どうする?目的は何か?

 ここ数日、ニュースで新型インフルエンザ等対策特別措置法改正による「緊急事態宣言」に付いての関心が高まって居ます。何やら改正で首相が伝家の宝刀を抜くミタイなイメージも出来て居る中、実際に宣言するとどう為るのか、如何(いか)なる効果を生じるか、生活への影響は?と云った身近な問題を考えてみます。

 宣言した場合は

 執筆時点で「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(2012年可決成立)改正案は「新型コロナウイルス感染症」を追加すると云った方向とされて居ます。従って特措法の根幹部分は変わら無いと仮定して論じます。同法に基づき首相が緊急事態宣言をすれば、宣言に特定された区域の都道府県知事は様々な要請・指示が出来ます。

 1)不要不急の外出の自粛(要請)
 2)学校や保育所などの使用の停止も含む制限(要請)応じ無い場合は指示も可能
 3)大勢の人が集まる催しものの開催制限(要請)応じ無ければ指示も可能

 
 最も指示を出すには単に「応じ無い」だけで無く「正当な理由が無い」等の条件が必要です。他は病医院が満杯と為ってしまう様な事態に備えて必要な土地や建物の使用が場合によっては強制出来ます。所謂野戦病院。後は鉄道や物流を担う会社に治療薬等の輸送する様要請・指示したり、医薬品や食品を確保する為に保管・売り渡し等の要請も可。この点は強制収容も出来るのです。
 「他は・・・」の部分は伝染病が途方も無く広がったり、買い占め・売り惜しみ等で「薬が足りない!」と云った事態発生に備える方策なので、そう為った場合に国民へ負の影響を与えるとは考え難い。生活への直接的影響があるとすれば1)2)3)でしょう。

 生活への影響は

 本来であれば「甚大な影響がある」と為りましょう。でも現状を鑑みると実際に大きな変化が起きるかどうか微妙です。と云うのは安倍晋三首相が既にイベントの自粛や全国への一斉休校を要請し、大半が従って居るから。違いは首相の先の要請に法的根拠が無かったのに対し、特措法に基づいた発令と為る点。
 法的根拠が無くて実現して居る現状がそう変わるとも思えません。在るとすれば知事が安心して後追い出来るとか、明らかに不要不急の外出を促そうとして居る団体に(居たとして)「止めて欲しい」と要請するのが可能と為る位。

 法では床面積が1000平方メートルを超える大きめ施設への使用制限や催しの中止等も要請出来ます。「百貨店や映画館は全て休業して欲しい」位の要請が出たら相応のインパクトが在るかも知れません。最もそこ迄するのか。
 特措法5条は「国民の自由と権利に制限が加え」るにしても「対策を実施する為必要最小限のもので無ければ為ら無い」と定め、附帯決議で特措法に基づく私権の制限も「必要最小限のものとする」緊急事態宣言を行う場合は「科学的根拠を明確にし、恣意的に行」っては為ら無いと歯止めを掛けて居るので。一斉休校要請に関して「直接専門家の意見を伺ったものでは無い」と安倍首相は参議院予算委員会で答弁して居ます。法律をバックにしたら寧ろ遣り難く為るかも。

 よって今回の改正に付いて「首相は何をしたいのか」と訝る声が絶えません。法改正を「止めろ」と云う命令迄踏み込む為らば(指示に反しても罰則が無い)兎も角そう云う訳でも無さそうですし。

 特措法での「宣言」はハードルが高い
 
 ソモソモ緊急事態宣言が特措法で行えるのでしょうか。法は「緊急事態」を、
 ・国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与える恐れが有るものとして政令で定める要件に限る
 ・全国的且つ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はその恐れが有るものとして政令で定める要件に該当する事態

 とします。では「政令」に当たる施行令の「新型インフルエンザ等緊急事態の要件」を読むと季節性インフルエンザと比べて「症例の発生頻度が」「相当程度高いと認められる」と明記。年間3000人の死者が出ても可笑しく無い季節性インフルエンザより3月7日現在で国内感染者1157人・死者13人の新型コロナの頻度が明らかに高いと云えるのか。「蔓延」の定義も曖昧なママです。

 勿論新型コロナウイルスの怖さは未だ「未知」潜在して居る感染者が多数居るとの推測も強いし、致死率が突如高まる危険性も否定出来ません。何しろ「未知」なので。従って想定を最大限に見積もって万一の用意として宣言する余地を残して置きたいと云う意図為らば未だ判るのですが。
 それでもなお宣言発令に違和感が残るのは特措法の立法事実からも認められます。法は厚生労働省が1918年から翌年に流行したスペイン風邪・H1N1型インフルエンザ並みの感染・致死率及び死者数を念頭に作られました。致死率2%で死者約64万人です。物凄く強力・強毒な感染症を想定して居ます。如何に「未知」とは言え今回の感染症が左程に凄まじいのか・・・専門家の知見が待たれる処です。

 繰り返された過去の反省
 
 仮に宣言を出して無類の効果を挙げるとしたら日本に住まう者全ての活動を停止して「1億総逼塞」すれば、いかにエゲツ無いウイルスでも宿主探しが出来無く為って退治出来るでしょう。でも、その反作用は云う迄も無く甚大。
 忽ち最低限の生活すらママ為ら無く為ってしまいます。法の目的である「国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小と為る様にする」にも反するのです。

 「緊急事態宣言」を出した場合の海外の目線も気に為ります。効果がどうで有れ「日本はソンなに悪いのか」と改めて認識させるには十分で下手すると孤立し兼ねません。「法的根拠が・・・」と云う流れには既視感も・・・他為らぬ特措法そのものが同じ経緯で成立して居るからです。
 2009年、WHO・世界保健機関が「パンデミックだ!」と叫んだ新型インフルエンザ流行の際に政府は「行動計画」策定の状態で対応しました。自治体毎に休校やイベント自粛要請が別れ、誰がどの様な責任を負って号令を掻けるかもハッキリしません。ソコで全国知事会が「法的根拠が必要」と政府に要請したのが始まりです。

 2011年の東日本大震災発生も後押しします。買い溜めや売り惜しみ等でモノ不足に陥ったからです。矢張り非常時における行政の権限を明確にして置かなければ必要物資の供給迄滞ると危機感が増大。ソコで病原性の高い新型ウイルスを「国家的危機」と捉える特措法が誕生しました。
 今回も法的根拠の無い首相の要請で混乱を生じてマスクやトイレットペーパーが品薄に為る等物資供給に問題を生じ、慌てて法改正で「根拠」を得ようとして居る様に見えます。特措法が作られる迄の反省が生かされ無かったのは残念としか言い様がありません。


          3-9-3.jpg

 坂東太郎 日本ニュース時事能力検定協会認定講師 毎日新聞記者などを経て現在、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。近著に『政治のしくみがイチからわかる本』『国際関係の基本がイチから分かる本』(何れも日本実業出版社刊)など。







シャンプーするだけでしっかり染まる「グローリン・ワンクロス」 









×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。