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2019年09月05日

「花と竜」中村錦之助、佐久間良子、淡路恵子

火野葦平原作の「花と竜」何度も映画化されているが、ここで紹介するのは1965年東映製作の

中村錦之助主演作品である。主役の玉井金五郎は火野の父親で実在の人物である。北九州を舞台に

明治時代の沖仲仕の世界を描いた作品である。玉井金五郎は四国から門司へ出てきて沖中仕をして

いたがいつか満州へ渡り一旗揚げようと考えていた。同じころ田舎から門司に出てきてブラジルへ

わたる夢を抱いていた女のマン(佐久間良子)と金五郎は知り合い意気投合する。

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やがて二人はひかれあい夫婦になるのだが、九州を襲ったコレラのために金五郎は官憲に隔離されて

しまう。それから門司から彦島の山下組に移った金五郎だったが、仲間の森新之助(田宮高広)が

他の組ともめて、ケンカになり袋叩きにされてしまう。

そのことに起こった金五郎は新之助を暴行した組の親分のところへ単身殴りこむ。


その親分とは吉田磯吉で九州一帯の裏社会を牛耳る大親分だった。しかし吉田はいきなり怒鳴り込んで

きた金五郎の度胸が気に入り、手下の阻喪について手をついて謝罪するのだった。

そして組の慰安旅行に出かけた金五郎は女彫師のお京(淡路恵子)のすすめで、背中に竜の入れ墨を

入れるのだった・・沖仲士の世界はやくざではないがバクチや酒に明け暮れる荒くれの集まりで

任侠世界と似たところがある。中村錦之助は直情径行で真っすぐな男の金五郎をよく演じてる。

また女彫師のお京淡路恵子と錦之助はのちに結婚している。


監督は山下耕作。

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posted by ハヤテ at 19:44| やくざ映画

2017年01月16日

「やくざ戦争日本の首領」佐分利信鶴田浩二松方弘樹黛敏郎

1977年製作の「やくざ戦争 日本の首領」はそれまでの東映実録映画とはやや趣が異なりやくざ版大河ドラマと

いうべき作品である。

山口組をモデルにした関西の大組織中島組の関東進出を巡っての関東の大組織稲川会をモデルとした

錦城会の対立を軸に経済やくざ化していく過程や組長たちの家族の生活を描いている。

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大阪に本部がある巨大組織中島組のもとへ、アベ紡績の幹部が訪れる。どうやら美人局で暴力団に脅されてるので

なんとかしてほしいとのことだ。さっそく行動した中島組は犯人を割り出し、その組の幹部ごとあっさり消してしまった。

アベ紡は中島組の行動力に驚きさっそく報酬を渡して取りこもうとする。しかしそんなちんけな手にのる中島組組長

佐倉(佐分利信)ではなかった。アベ紡は佐倉の意図をさっしてグループ企業や関連企業の名簿を渡す。

以後トラブルがあれば中島組で面倒を見るということである。


中島組を現場で仕切っていたのは、佐倉の分身というべき若頭の辰巳(鶴田浩二)である。辰巳は佐倉を日本一の

首領にするため関東進出を狙っていたのだ。


しかし西日本最強の組織の首領佐倉には悩みがあった。長女の登志子が医師の一宮(高橋悦史)と交際していたが

両親に反対されていたからだ。そのため佐倉は秘書の松枝(松方弘樹)を伴い一宮に会って真意を確かめにいった。

一宮の登志子に対する思いは本物で佐倉は安堵するが、次女の真樹子は自由奔放で組の若衆(尾藤イサオ)

を誘惑しホテルに誘う。このことを知った辰巳は松枝に命じてけじめをつけるのだった。


登志子の結婚も決まったが佐倉は表に出ず、あべ紡の島原常務の養女ということにして式を挙げる。

式には右翼の大物・大山喜久夫(内田朝雄)も出席するが、大山には別の意図があった。

気たるべき安保条約改定に向けて左翼を壊滅させるため、東西のやくざ組織を統合して新たな政治結社を

作ろうというのだ。なずけて大日本同志会、そして佐倉を引き入れようととする。

しかし佐倉はこの申し入れを一蹴する。その間にも中島組は岐阜のやくざをせん滅し関東進出の足掛かりに

しようとしていたのだった・・・

この映画はこの作品の前に公開されたアメリカ映画の「ゴッドファーザー」を意識して飯干晃一が原作を

書いている。

この映画の見どころはたくさんあるが、印象深いセリフが多いのが特長である。アベ紡が佐倉に金を渡そうとすると

「あんたがたにすればあっち行く金がこっち行くだけですから。それじゃ中島組は安く見られますからな」


辰巳が組を解散しようとすると佐倉が怒って「おまえが組を解散すれば中島組は世間に負けたことになる。

いやわしは負けんぞ。絶対に」

また一宮が辰巳を注射で殺害した後に佐倉の方を向いて言う「お父さん。私も佐倉ファミリーの一員ですから」

「人間というものは組織の中に入ると恐ろしく残酷になれるものなんですね」

など忘れられない。また音楽が壮大で素晴らしく巨匠黛敏郎がスケールの大きいスコアを書いている。

サントラ盤CDが未発売なのが惜しい。なんとか発売してほしいものだ。

また歌手の絵夢が火野正平の愛人役で出演していて「柳ケ瀬ブルース」を歌うシーンがなかなかいいのだ。


佐分利の貫禄ある演技や鶴田浩二の組織を支える苦悩を演じる演技など非常に重厚な作品である。

さらに千葉真一の暴れぶりや小池朝雄の愛人の首チョンパなど語ればきりがない。

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posted by ハヤテ at 16:53| やくざ映画

2017年01月13日

「神戸国際ギャング」高倉健、菅原文太、丹波哲郎

1975年の高倉健主演の「神戸国際ギャング」はボンノこと菅谷正雄の若き日の無頼の日々をモデルに

した映画である。ジャンルとしてはやくざ映画になるのだろうが、どこか洋風ギャング映画の香りがする作品である。

戦後の混乱期の昭和22年国際都市神戸は戦争による焼け跡から復興しつつあるとき、町では無法者や

愚連隊が群雄割拠していた。

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団正人(高倉健)はそんな無法地帯を腕と度胸で渡り歩いていた。団は荒くれものだが情に厚く多くの子分に

慕われていたのだ。そして補佐として冷血な大滝(菅原文太)が支えていた。

団率いるギャング団が、国際ギャングと呼ばれていたのは台湾人や韓国人など多国籍の集団だったからだ。

ある時団は強奪した物資を九龍同盟の楊徳元会長と取り分を巡って楊が約束をたがえたことから、楊を脅し

きっちり分け前を取り返した。

しかしこのトラブルが縁で団は九龍同盟と組むことになる。

このころ神戸では三国人連盟と呼ばれる第三国人で構成された組織が勢力を伸ばしていた。

そして九龍同盟の幹部の洪哲文(今井健二)が三国連盟に拉致されたことから、団は事務所に乗り込み

洪を取り戻す。しかしこのことが原因で三国人連盟と決定的に対立し血の雨が降ることになるのだ・・・

この映画は高倉健最後の東映作品である。映画には全体的にボンノが好きだったというセントルイスブルース

が流れる。また作品のトーンもどことなく明るいのも他のやくざ映画と異なっている。

ただ暴力シーンはえげつなく、団の子分を演じる田中邦衛が詫びを入れるシーンで石で自分の指を叩き割って

切断するシーンは見ているだけで痛くなる。戦後の混乱期に咲いた仇花が国際ギャング団であろうか。

監督は田中登


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posted by ハヤテ at 15:46| やくざ映画

「修羅の群れ1984年」松方弘樹北大路欣也菅原文太鶴田浩二

1984年製作の「修羅の群れ」は大下英治原作の稲川会稲川角二総裁をモデルとしたやくざ映画である。

昭和の初期横浜の柔道場で柔道に打ち込む青年がいた。若者の名は稲原龍二(松方弘樹)。一本気な若者で警察から

誘いを受けていた。そこへ訪ねてきたのが横浜の博徒の親分加東伝三郎(丹波哲郎)であった。

そしてこの道場の中から見込みのある若者を探していて抜擢されたのが稲原だった。

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稲原は加藤一家で任侠のイロハを兄貴分の横山(鶴田浩二)から叩き込まれる。あるとき部屋住みの先輩たちから

女郎買いに誘われるが稲原は断る。横山が事情を聞いてみると稲原の家族が没落して逃げていくときに

列車で見た売られていく若い女たちが哀れで仕方なかったというのだ。このことから横山は稲原がただものでない

ことを見抜いたのだった。

そして夏のある日海岸でアイスクリームの売り子をしていた中田雪子(酒井和歌子)をチンピラから守ったこと

から恋愛関係になり二人は結婚する。雪子の母が猛反対したが雪子の情熱に負けてしまう。


時代は戦争一色になり勤労動員で駆り出された龍二は、弱いものいじめをしていた男を殴り倒して騒ぎを起こす。

しかしそれを横浜の大親分鶴岡政次郎が見ていたことで鶴岡の預かりとなった。

戦後、稲原は湯河原の賭場を任され仕切っていたが兵隊くずれの無法者が賭場に因縁をつけるのだった・・

映画の後半は稲原組の勢力拡大が中心となった構成で、有名なモロッコの辰(北島三郎)や経済やくざと呼ばれた

石井 進をモデルとした石河隆司(北大路欣也)などその世界の大物たちが出てくる。

また張本や小林繁などの元プロ野球選手が出ているのが面白い。

そして稲原夫人を演じたのが酒井和歌子だが酒井がやくざ映画に出るのは非常に珍しい。

やくざ映画の特長として暴力シーンが非常に生々しいことである。稲原が賭場の帰りに待ち伏せされてドスで

頭を割られて大流血しながら仁王立ちになって相手を追い詰めるシーンはアッケにとられてしまった。

関東裏社会の歴史を知ることができる秀作。監督は山下耕作。

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posted by ハヤテ at 13:49| やくざ映画

2017年01月12日

「激動の1750日」中井貴一萩原健一夏八木勲渡瀬恒彦

1990年の「激動の1750日」は山口組分裂に伴う山一抗争をモデルにした映画である。

日本最大の暴力団神岡組は、神田組長が病気で亡くなり続いてナンバーツーの若頭山地も急死し混乱の渦に

中にあった。

そして跡目が決まらないうちに時はすぎるが、直参が集まる定例会において古参の川井(夏八木勲)が

立候補する。入れ札でリーダーを決めようというのだ。大方の組長は賛成だったが山辰組二代目組長・若竹正則

(中井貴一)は反対する。若頭時津(萩原健一)不在の入れ札は無効であるというのだ。

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古参と若手の対立は激しくなるが、故神田組長の夫人ひろ子は川井を呼び出し、神田組長の遺言で

次期組長は時津であることを告げられる。川井とて多くの仲間に推挙されメンツもあった。

ここで引くわけにはゆかず、組を脱退し荒巻組長(渡瀬恒彦)たちと八矢会を結成する。

しばらく膠着状態が続かと思われたが八矢会幹部の伊達組長が神田組配下の組員に拉致され拷問されて

引退させられる。

事ここに至ったからには川井も静観することは会の滅亡を意味した。

八矢会の中から度胸のあるものを選抜し、ここに元自衛官で射撃の腕がある松永良介(火野正平)を加え

時津暗殺隊を結成した。ヒットマンたちは時津の愛人のマンションで待ち伏せ、時津と幹部たちの暗殺に

成功する。

しかし、神岡組は緊急幹部会を招集し、四代目代行に舎弟頭の兵頭七郎を、若頭に若竹がなり全面戦争を

決意するのだった・・・

映画はフィクションであり現実そのものではないが、山一抗争のアウトラインを掴むことができる。

主演の中井貴一は線が細くやくざの組長役は向いていないと思っていたが意外にも迫力があった。

映画の出来もよく実録好きの人にはおすすめである。また「制覇」では標準語だった岡田茉莉子がほぼ

同じ役で今度は関西弁を使っていたので驚いた。


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posted by ハヤテ at 14:22| やくざ映画

「制覇」1982年ベラミ事件三船敏郎岡田茉莉子菅原文太

1982年の「制覇」は山口組と松田組の抗争いわゆる大阪戦争をモデルとした準実録映画である。

日本最大の暴力団田所組の首領田所正雄(三船敏郎)がクラブでくつろいでいるところを対立する組織の

若いやくざに狙撃される。田所は首すじに銃弾を受けてかかりつけの病院に駆け込む。幸い弾は急所を

はずれ大事には至らなかった。

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だが若頭の河上(菅原文太)は首領を的にかけられて黙っている男ではなかった。しかしかねてから組の中でしのぎを

削っていたゴンノ(若山富三郎)と対立して一触即発の状態になっていた。

一方田所が無事だったことから田所の妻ひろ子(岡田茉莉子)や長男孝や娘の悠子(中井貴恵)たち家族は

安堵する。そのころ悠子の恋人の新聞記者山田(名高達郎)は社会部に転属になる。

社会悪を追求する立場とやくざの娘を恋人に持ったことのはざまで山田は苦悩する。

一方大阪府警は田所狙撃犯を難波殉国団の団員近江(にしきのあきら)であることを割り出し世間に発表する。


難波殉国団は酒田組の下部組織で谷口組と対立していたのだ。さっそく河上は召集をかけて報復に乗り出す。

坂田組系の暴力団員を血祭にあげて戦果を挙げる。しかし警察は谷口組壊滅のために無関係の孝を

私文書偽造で逮捕してしまう。

そのころ谷口組の若い組員たちは血眼になって近江の行方を追っていたが、山中で近江が惨殺死体として

発見された。背中に天女の刺青をしていたことから近江であることがわかったのだが・・・

三船の晩年に撮られた映画だが日本の首領からやくざの親分を演じるようになったのだがさすがに貫禄がある。

後にVシネでやくざスターになる清水健太郎のこのころはまだチンピラ役が多かった。

谷口組組長狙撃はいわゆるベラミ事件をベースにしている。近江のモデルとなった鳴海清の最後は哀れである。

鳴海を殺害したのは初めAという暴力団員が逮捕されたが冤罪で釈放され、現在まで真犯人はわかっていない。

またゴンノこと菅谷正雄と若頭山本健一の対立も描かれていて実録好きには興味深い。


それに関西が舞台なのに役者が関西弁をほとんどしゃべらないのが奇妙だ。また原作者の志茂田景樹は

1シーンだけカメオ出演している。監督は中島貞夫

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posted by ハヤテ at 13:32| やくざ映画

2017年01月08日

「実録外伝大阪電撃作戦」松方弘樹渡瀬恒彦明友会事件

1976年製作の「実録外伝大阪電撃作戦」は明友会事件をモデルにした実録やくざ映画である。

昭和35年の大阪やくざ世界は、地元の中小組織の集合体で日本最大の暴力団川田組の進出を恐れていた。

しかもミナミを中心に勢力を拡大してきた愚連隊双竜会の傍若無人なふるまいにも手を焼いていた。

そしてミナミでは石村組と南原組がしのぎを削りそこへ双竜会は加わってみつどもえの抗争を展開していた。

一方かねて大阪進出を目指していた川田組若頭の山地は、新興勢力の大東組を傘下に加え布石を打って

いたのだ。危機感を覚えた南原組組長(織本順吉)は、ここは双竜会と手を組んで先手を打って山地暗殺を

企てた。そして南原組からは若頭の宮竹(梅宮辰夫)と根性ものの高山(渡瀬恒彦)がメンバーとなり

双竜会からは若手実力者の安田(松方弘樹)が加わることになった。

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だが計画は失敗、高山は山地の車に食らいつく執念を見せたが怪我をする始末だった。

山地はこの計画の背後の南原がいるとみて南原を拉致して神戸へ強制的に連れていったのだ。

そしてその場で山地と兄弟分の杯をかわす。とんでもない裏切りである。しかも忠実に命令を実行した

高山を破門にしたのだ。やけくそになる高山だったが安田は見捨てなかった。

再度山地(小林旭)暗殺を行うように高山を誘ったのだ。一方計画がばれたことで双竜会会長の趙(室田日出夫)

も動揺していた。

そんな混沌とした中でミナミのサパークラブを訪れた川田組組長(丹波哲郎)に双竜会のチンピラが因縁を

つけてしまったのだ。川田組長は。「筋の通ったものならいざ知らず虫けらみたい連中に目の色変えることは


ない」と穏便に済ませようとしたのだ。しかし山地以下幹部たちは黙ってはいなかった。ただちに三人一組の


チームが編成され人間狩りが始まったのである・・・

明友会事件は大阪のやくざ抗争事件でも有名な事件で、これを機に山口組の本格的な大阪進出のきっかけに

なった事件と言われる。登場人物の大半はモデルがあり興味のある方は実録本などで調べてみるといい。

主役の松方の弾けるような演技や渡瀬の身体を張ったスタントなど見どころは多い。

だが私はこの映画の本当の主役は南原組組長を演じた織本順吉だと思う。その卑怯なふるまいの演技

やコミカルなセリフなど思わず笑ってしまうのだ。

脚本は高田宏治、監督は中島貞夫、音楽は津島俊章の実録トリオである。裏社会の一端を知ることができる

秀作である。

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posted by ハヤテ at 12:18| やくざ映画

2017年01月04日

「人生劇場飛車角」鶴田浩二高倉健月形竜之介尾崎士郎

1963年製作の「人生劇場飛車角」は、尾崎士郎原作の「人生劇場・残侠篇」を映画化した任侠映画である。

東映プロデューサーの岡田茂が原作では主人公ではない飛車角を主役に据えて映画化したのが予想外

にヒットして東映は低迷していた時代劇路線を捨てて任侠路線に転換した記念碑的作品である。

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時は大正時代、遊郭の女おとよ(佐久間良子)と駆け落ちしてやくざの飛車角は、小金一家の親分の世話を

受けて生きていた。そのころ小金一家は他の組と揉めていて義理を立てるために飛車角(鶴田浩二)は、おとよ

の止めるのも聞かず相手の組に殴り込んで相手の親分を殺害する。このとき一緒に小金一家の宮川(高倉健)

と熊吉(曽根晴美)も殴り込むが飛車角はすべての罪を自分一人でかぶって入獄する。

長くてつらい刑期を勤める飛車角は、ムショを出た後におとよ一緒になることだけが生きがいであった。

だがその間にも小金一家の親分は敵のやくざの卑劣な襲撃で命を落としてしまうが、そのときおとよは犯行現場

を目撃して恐怖にかられ姿を消す。そして病に倒れたところを偶然助けたのが、人力車夫に身をやつしていた

宮川であった。宮川はおとよが飛車角の女であることを知らずに真底惚れてしまうのだ。

しかし事の真相を知った宮川は悩みぬく。宮川がおとよと飛車角のことを酒場で偶然話を聞いていた

吉良常は飛車角が自首して出る前に世話をしていたことがあった。吉良常(月形竜之介)は飛車角に真実を話すが

飛車角の心は張り裂けそうだったのだ・・・

東映はこの映画のヒットで息を吹き返し、松竹から東宝と渡り歩きこのころ低迷していた鶴田もこの役が

当たり役となりやくざ映画の鶴田になっていく。また当たり役がなかった高倉もこの映画からやくざ映画スターに

なっていった。

主題歌の「人生劇場」を村田英雄が歌い大ヒットし今に至るまでスタンダードになっている。

様々な意味で多くのスターや映画界の流れを変えた作品である。監督は沢島忠



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posted by ハヤテ at 14:34| やくざ映画

2017年01月02日

「山口組外伝九州進攻作戦」菅原文太夜桜銀次梅宮辰夫

1974年の「山口組外伝九州進攻作戦」は夜桜銀次と呼ばれた伝説のやくざ平尾国人をモデルに九州各地の

抗争を交えて描く実録やくざ映画である。

九州のやくざ夜桜銀次(菅原文太)は、その無茶ぶりから地元やくざからも恐れらていた。その身を案じた兄弟分の

石野一郎(梅宮辰夫)は神戸の大組織兵頭組で銀次を預かってもらうことにする。しかし一匹狼で人に指図を

受けることが嫌いな銀次はここでも浮いた存在だった。ある日パチンコを打っていた銀次は店で暴れる憲一(渡瀬

恒彦)と仲良くなり、家へ連れてきて飯を食わせて面倒を見るようになる。

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銀次は女房のふさ子(渚まゆみ)と暮らしていてもうじき子供が生まれるのだった。しかしふらりと憲一は姿を


消してしまいある組織でヤクを売っていたのだ。麻薬嫌いの銀次は話をつけて憲一をもらいうける。

そして麻薬で儲けているやくざ組織を襲撃してその上前をはねるのだった。


しかも銀次はすぐに拳銃を振り回し情け容赦なく撃ってくるので兵頭組でももてあましていた。


しかし兵頭組幹部の吉村弘(津川雅彦)はその爆弾のような危険な銀次こそ使い道があると考えていた。

かねて兵頭組が進出しようと考えていた九州進攻に銀次を鉄砲玉として使おうと思ったのだ。

九州は筑豊やくざががっちり固めていて兵頭組もさすがに入りこめなかったのだ。その先兵として銀次は

もってこいだった。銀次がその無茶ぶりから地元組織と必ずもめる。それを口実に一挙に攻め込もうと

考えたのである。銀次はどこか死に場所を探しているところがあり異存はなかった・・・


この映画で出てくる事件は、別府事件や明友会事件や博多事件などすべて現実にあったことをベースに

している。実話雑誌を読んでいる方ならモデルや状況がよくわかると思う。

この映画で描かれた博多事件で多くのやくざが凶器準備集合罪で逮捕されるが、この法律がもともと過激派

対策として作られたものなのにやくざに適用されるとは皮肉である。

銀次が一人でいるところを射殺されるシーンは、全身から血が飛び散って非常に惨い死に方である。

文太の迫真の演技は凄みが感じられる。テーマがやはり差しさわりがあるのか長い間DVD化されていなかった。

しかし実録映画の中でもかなりの出来なのでDVDで鑑賞できるようになったのは嬉しいことだ。

posted by ハヤテ at 13:38| やくざ映画

2016年12月13日

「博打打ちいのち札」鶴田浩二、渡瀬恒彦、若山富三郎、安田道代

1971年製作の「博打打ちいのち札」は鶴田浩二主演の任侠映画である。

関東岩井一家の若頭相川清次郎(鶴田浩二)は、日本海に面する直江津の町へ旅に出たが立ち寄った

芝居小屋で女芸人の静江(安田道代)を見初める。二人は契りを結び1年後の結婚を約束する。

しかし静江は清次郎の正体は知らなかった。東京へ戻った清次郎は岩井一家のシマで暴れまわる新地会と

対立しチンピラたちを斬りつけて5年の刑に服することになった。このことが結局静江とは再会できず

約束を果たせなかったのだ。

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一方静江も旅芸人の仕事を続けることが難しくなっていた。岩井一家の組長は静江の面倒をみたことを


きっかけ妻にと望んだのである。静江は未練がありながら再開がかなわず清次郎のことをあきらめて

岩井の妻になる。

このことを岩井組長の面会で知った清次郎は複雑な気持ちだった。そのころ新地会はますまず増長し

海岸の埋め立て工事を引き受けた岩井一家に嫌がらせを繰り返す。そして殺し屋金原(天本英世)を差し向けて

岩井組長を殺害してしまう。

だがこの事件の黒幕には意外な人間が関わっていたのである。次に刑期を終えた清次郎は一家に戻って

くるが待っていたのは組長の死という現実だった。そして静江と意外な形で再会するがもはや二人の立場は

かってのものではなかった・・・

典型的な完全懲悪な任侠もので鶴田浩二が悪党どもの策略に耐えに耐えて、ラストに大爆発するいつもの

パターンである。だが結末がわかっていても楽しめるのは日本人だからだろうか。


鶴田の片腕役に若山富三郎が演じ、若衆役で若き日の渡瀬恒彦が出ている。監督は山下耕作。

ラストで血の川を鶴田が悪人を斬りまくりながら渡るシーンは壮絶である。

DVDは出ていないがアマゾンインスタントビデオで格安で鑑賞できる。脚本は「仁義なき戦い」の笠原和夫。

posted by ハヤテ at 16:37| やくざ映画
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