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2020年03月01日

謝恩会

卒業式は何とか逃げられたが、謝恩会には引っ張り出された。

逃げたと言っても、私には式場内に座席はない。
写真係になっていれば、会場内をうろちょろできるのだろうが、彼らを冷静な心で送り出す自信はないので、ちょうど良かった。

謝恩会は中学の担任ということで指定席になった。
会場に入ると、すでに泣きそうになった。
これだから卒業式は嫌だ。
「卒業による別れ」という、何とも言えない波動が、全身に伝わってくるのだ。

一時間ほどの会ではあったが、私は終始泣いていたように思う。
そのすべてが、魂を震えさせるのだ。

「丹澤先生、卒業式にいましたか?」
ある高3の女子生徒が私に問う。
「もともと卒業式には出ないって言ったろ。それに駐車場係だったし、俺の席ないし…。」
そんな風だから、謝恩会には逃げられなくなってしまったのだ。

生徒の作った思いでビデオも良かったし、合唱部による「仰げば尊し」も良かった。
その中で、謝恩会での一番のイベントは、舞台の上で、お世話になった先生や職員に、卒業生が親子で贈り物をするというものだ。

私は、壇上に上がる前から泣いていた。
悲しみなのかは分からないが、慟哭というにふさわしいような、そんな状況になった。

私を担当するT君は、私を見るなり、
「あっ、丹澤先生、泣いている〜。」
と、笑いながら私をハグした。

その後、全員で校歌を歌う
「これが最後の校歌です。」
司会者がそう叫ぶ。

私は、高3と手をつなぎながら泣きながら歌う。
途中、声も出なくなった。

修了後、ふと、A君の制服を見ると、涙の跡がついていた。

謝恩会が終わると、私は早々に隠れ家に避難した。
「絶対に来年は、卒業式や謝恩会には出ない!」
と、心に決めた。

「丹澤先生、号泣していたんだって!」
夕方、何人もの高校三年生に揶揄された。

止めどもなく流れる涙。
卒業していく彼らから受けた『愛』が、私の魂を感応させているのだ。

お世話をしたつもりで、結局は、彼らからお世話をされたということだ。
私は幸せ者だったのだ。




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