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2020年04月07日

コロナ対策の「現金給付」30万円 申請から受給までの流れ




 コロナ対策の「現金給付」30万円 

 申請から受給までの流れ


            〜マネーポストWEB 4/7(火) 7:00配信〜


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 どの様に申請すると受け取れるのか(写真は2009年の定額給付金の案内状 写真 時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大で仕事を失った国民は、政府の支援を待ち望んで居る。ソコに安倍晋三首相が先ず打ち出したのは全世帯への布マスク2枚配布だった。

 「速やかに取り組みたい」

 1枚200円の〔アベノマスク〕が家庭に届く頃、米国の国民には政府から小切手が郵送される。本当に必要なのがどちらかは言うまでも無い。
 新型コロナショックへの緊急経済対策として、世界各国が競い合う様に国民への現金給付を打ち出して居る。最初に支給するのは米国に為りそうだ。トランプ大統領は年収7万5000ドル・約810万円以下の成人に1人1200ドル・約13万円、17歳以下の子供には500ドル・約5万4000円の現金給付を決定。夫婦と子供2人の世帯なら合計約37万円に上る。

 対象者には政府から直接、小切手が郵送され、申請手続きは原則必要無い。小切手は4月20日頃から届き始める見通しだ。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学ビジネス創造学部教授が語る。

 「米国の受給手続きは簡単です。政府振り出しの小切手だから、本人がサインして銀行に持って行けば換金して貰える。小切手の印刷を考えても政府の準備に掛かる期間は2週間程度でしょう。こう云う政策は即応性が重要。日本もこの方法なら迅速に実施出来る」.

 他の国を見ると、香港は18歳以上の市民に現金1万香港ドル・約14万円を支給する。フランスは休業する労働者の賃金100%補償の他、自営業者等には1500ユーロ・約18万円を給付、ドイツも自営業者に3か月で9000ユーロ・約108万円を補償する。では、日本の国民には幾ら配られるのか。
 安倍首相は108兆円規模の緊急経済対策を実施すると表明。収入が住民税非課税水準に迄落ち込んだ世帯や、月収が半分以下に減った世帯でも一定の所得以下と為った場合〔1世帯30万円〕の現金給付を検討して居ると云う。

 日本では過去2回、経済対策で大型の給付を行なった事がある。1回目は大手銀行や証券会社の倒産が相次いだ金融危機後の1999年。小渕内閣が景気対策として、子育て世帯と低所得の高齢者に1人2万円の〔地域振興券〕(ふるさとクーポン券)を配布した。2回目はリーマン・ショック後の経済対策(2009年)だ。時の麻生内閣が1人1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)の現金を〔定額給付金〕として国民全員に支給している。

 今回、安倍首相は「アラユル政策を総動員する」と、現金給付とクーポン券・ポイント還元・減税等のメニューを同時に打ち出す構えだが、柱と為る現金給付に付いては「国民全員に一律では行なわ無い」「リーマン・ショック時の経験を鑑み、効果等を考えれば、ターゲットを或る程度置いて思い切った給付を行なうべきと考えて居る」として居る。
 麻生内閣の定額給付金は国民全員に配られたが、政府の検証で経済効果は薄かったとされた。その為、今回の現金給付は対象を絞り込み、纏まった金額を支給する方針だと云うのだ。

 「定額給付金」の時はどうだったか

 現金給付の受給条件はどんなものに為るのか。米国初め諸外国では「一定の収入以下」の人に現金給付するケースが殆どだ。日本のこれ迄の給付制度も「低所得者対策」の名目で実施され、所得制限が設けられて居た。全国民に配った定額給付金は例外的存在と言える。

 ここで〔定額給付金〕のケースを元に、申請から受給迄の流れをお浚いして置こう。現金給付の法律が国会で成立・施行後、

 (1)対象世帯の世帯主に市区町村から〔申請書〕が郵送された 定額給付金は世帯主に全員分が一括で支給された
 (2)申請者(世帯主)は、それに記入して行く 申請書には〔給付対象者〕として世帯員全員の氏名、夫々の支給額と合計額が予め印字されて居り、給付対象者の情報に間違いが有れば訂正が必要だ
 (3)又、申請書で口座振込か現金給付を希望するかを選択する
 (4)振り込みの場合、金融機関名や口座番号を記入した上で キャッシュカードか通帳の表紙のコピーを添付 申請者の免許証やパスポート等本人証明の写しと共に返送用封筒で返送する手順だった 現金給付を希望する場合 申請書と本人証明を役所に持参して受け取る

 しかし今回は一律支給では無い為、申請段階で「審査」が行なわれる可能性が高い。新型コロナに依る〔収入減少〕を申し立てる場合は、自己申告やマイナンバーを利用して収入を確認するシステムの構築等が検討されて居る。収入の減少を証明するには、会社員で有れば給与明細がある。だが、年金生活者は注意が必要だ。
 例えば「昨年迄不定期のアルバイト収入が有ったが、今年に入って新型コロナの影響で仕事が無く為ってしまった」と云ったケースでは、勤務先の支払調書等を揃えて置く必要が有るだろう。その上で〔収入減少〕を証明出来れば受給資格が認められる可能性が有るが、審査でハネられた場合、不服申し立て等が必要に為るかも知れない。

 政府の新型コロナ対策には、もう一つ、隠れた〔現金給付〕の仕組みがある。新型コロナの影響で収入が減少し、日常生活の維持が困難に為った世帯への〔緊急小口資金等の特例貸付〕と云う制度だ。地域の社会福祉協議会で申し込むと、2人以上の世帯は〔月20万円〕を3か月、最高60万円迄無利子無保証で融資を受けられる。しかも、この資金は返済開始時(1年後)に為っても失業等収入減少が続いて居る住民税非課税世帯は、申請すれば返済免除されるのだ。


         ※週刊ポスト2020年4月17日号   以上











 新型コロナとの闘い

 〜日本政府はガダルカナルの失敗を繰り返すのか〜


            〜古谷経衡 文筆家 著述家 評論家 4/7(火) 1:12〜

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                    古谷経衡氏

 米ニューヨーク州知事・クオモ氏は新型コロナウイルスとの闘いを〔戦争〕と表現した。その表現が正しければ、日本政府による新型コロナウイルスとの戦争は、余りにも劣勢と見做されて居る。

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               米ニューヨーク州知事・クオモ氏

 致死率より遥かに高いパニックに襲われつつある日本。〔1住所に付きマスク二枚送付〕と云う失笑モノの政策を筆頭に〔和牛券・魚券構想〕〔Go to travel、Go to eat(ママ)券の検討〕〔全世帯への現金給付では無く、条件付きの現金給付〕〔休業補償の不備〕等々は、急速に進行するコロナウィルスと云う敵に対して〔戦力の逐次投入〕と批判され勝ちだ。

 現下で進行する大経済不況の前哨に、政府の現在の対応で全く十分だと考える者の方が少無いだろう。実に過去、日本は同じ過ちを繰り返して居る。今から78年前・・・太平洋戦争中の1942年8月から行われたガダルカナル島を巡る戦いで、大本営は圧倒的に優勢な米軍上陸部隊に対し、3度〔戦力の逐次投入〕をして大敗。翌1943年2月には同島から撤退するに至った。
 それ迄無敗を誇った日本陸軍の完全敗北である。これ以降、太平洋の戦局は物量で押す米軍へと急速に傾いて行く。 アノ戦いから78年・・・日本は再び歴史に対して盲目と為り、同じ失敗を繰り返すのだろうか?

 小出しに戦力を投入して、3回同じ事を遣り失敗した日本軍

 1941年12月8日、ハワイ真珠湾への奇襲で幕を開けた太平洋戦争は、同時にマレー半島コタバルに日本軍が上陸(南方作戦)する事に依り、僅か半年で大本営が初期目標として居た英領ビルマ・マレー・米自治領フィリピン・オランダ領インドネシア(蘭印)等の迅速な占領をする事に成功した。
 1942年6月 ドゥーリットル空襲・・・米軍艦載機による日本本土発空襲・・・に触発されて企図されたミッドウェー作戦は、逆に攻勢側の日本海軍が空母4隻を失う(米側1隻沈没)と云う戦局の転換点に為ったものの、太平洋に於ける大本営の関心は南太平洋の奥地・・・サモア・フィジー等に進出すると云う野心的なものであった。

 その前哨基地としてガダルカナル島に日本軍に依る小規模な飛行場が設営されたが、それが米軍上陸部隊により占領される。この小さな飛行場・・・同島北部のヘンダーソン飛行場を巡る日米両軍の約半年に渉る激戦・・・が、所謂ガダルカナルの戦いである。

 大本営はこの地域での米軍の対日反抗作戦を早くとも〔1943年中旬以降〕と勝手に予想して居たが、米軍ガダルカナル上陸を知ると、スグサマ飛行場奪還に動いた。
 ガダルカナル奪還の第一陣は、一木清直(いちき きよなお)大佐率いる一木支隊の900名(第17軍・百武晴吉陸軍中将隷下 以下同)で、夜陰に紛れて米軍の背側に上陸し、夜間白兵突撃で以て一挙に決着を図ると云うものである。概ね1937年から開始された日中戦争で、日本軍は大陸戦線に於いてこの夜間白兵突撃で中国国民党軍等に対し一定の効果を上げて居た。敵が蒋介石から米軍に代わっても、この戦法が通用すると踏んだのである。

 当時軍は、ガダルカナルを占領した米軍兵力を約2〜3000人程度と予想して居たが、米第一海兵隊師団(バンデグリフト少将)の10,900名が、日本軍に対し数十倍の機関砲と自動小銃を持ち込んで待ち構えて居た。1942年8月21日、夜襲を図った一木支隊は為す術も無く全滅。一木大佐は自決した。
 ガダルカナル奪還の第二陣は、川口清健(かわぐち きよたけ)少将率いる川口支隊の6,200名。一木支隊より約7倍に増強されて居たが、その間、敵米軍も増強され15,000名に為り、日本軍を更に優勢な火力で待ち構えて居た。
 川口少将は一木支隊失敗の反省を踏まえてより長い迂回ルートを設定して奇襲を計画したが、ガダルカナルの鬱蒼としたジャングルに阻まれて各部隊間の連携が取れず、結局1942年9月12日夜、不連続な夜襲を決行して又も米軍に一方的に遣られた。

 ガダルカナル奪還の第三陣は、南太平洋方面に展開する第17軍の主力の一つである第二師団(丸山政男中将)を中心としたもので、川口支隊の残存と合わせて概ね15,000名であり、さしもの東京の大本営も、続けざまの失敗を反省してイヨイヨ本腰と為り、大規模な輸送と兵力の増強計画で臨んだ。
 更に東京からは、参謀・辻政信中佐と服部卓四郎作戦課長が現地で督戦等に当たる・・・と云う熱の入れようである。処が此処でも日本軍は間違いを犯す。敵米軍の兵力を〔7〜8,000、場合によっては10,000名に到達する可能性〕と低く見積もった。実際、日本軍を殆ど完璧な体制で迎え撃つ準備を整えて居た米軍は、この間更に輸送船で増強されて居り総勢28,000名だった。

 1942年10月24日、第二師団を中心として始まった総攻撃は、又しても米軍の圧倒的火力の前で惨敗した。同26日総攻撃は中止され、以後各残存部隊が同島各地で持久戦を展開し、翌年2月の撤退迄ジャングルの中を彷徨う事と為る。
 ガダルカナルの戦いでの日本軍死者、陸軍20,800名・海軍3,800名(共に戦史叢書より)の計約24,600名。一方、米軍の戦死者は約1,600名とされる。余りにも無残な日本軍の戦いは、こうして3度同じ失敗を繰り返し繰り返し実行した、大本営の愚策中の愚策であった。

 気が付いた時には〔逐次投入〕しか出来無かった大本営

 以上が〔兵力の逐次投入〕の代名詞として後世でも語り継がれるガダルカナルの戦いのホンの概略だが、では第一回目から万単位の兵を送って居たら戦局は違って居たのか、と云うとそうでも無い。当時の日本陸軍は圧倒的に火力不足・装甲不足であり、仮に同数の米軍相手でも惨敗は必至だっただろう。だが、戦いが長引いた可能性は大である。
 大本営が2度の失敗を経てイヨイヨ危機感を募らせてガダルカナル奪還へ本腰を入れ始めた時、詰り第三回目の奪還作戦である第二師団を中心とした総攻撃作戦(1942年10月)の前、大本営中枢では以下の様に作戦に対する注意が為されている。

  田中新一大本営陸軍部第一作戦部長の注意 敵は植民地軍に非ず、又従来の敵の不準備に乗ずる作戦とは異なる。故に本格的に四つに組む戦法たるを要す。
  田辺盛武参謀次長の注意 兵力の逐次使用は不可。
  杉山参謀総長の注意 ガダルカナルは日米の決戦場ゆえ、必要の前には如何為る事も遣る決意なり。出典 戦史叢書(南太平洋陸軍作戦2)
 
 要するに敵米軍は、今迄常勝して来たアジア植民地に於ける連合軍とは違うので、十分注意し、又兵力の逐次投入は不可で、一気呵成に米軍を叩き潰し、その為の準備はトコトンヤレ・・・と云う事を割合〔きちんと〕謳って居るのである。

 何故こう云った〔真面な〕決意をする割に、日本軍は三度敗れたのか。原因は、大本営が本格的に危機感を抱いた時、時既に遅く、彼等の〔真面な〕決意を実行する為のインフラが欠如して居た事に他なら無い。
 1942年10月に為ると、ガダルカナル周辺の制空権は完全に米軍の手に渡り、日本軍の稼働戦闘機数は激減した。依って海上輸送は困難を極め〔敵は植民地軍では無いので注意せよ〕と云っても、ソモソモ十分な兵力や物資を送るだけの輸送行動が出来無かった。大本営ではコノ方面に近衛師団の転進も考えて居た様だが実行は不可能だっただろう。

 そしてこの地域で〔辛うじて〕米海軍と拮抗して居た日本海軍は、ガダルカナルの戦いと殆ど同時期に行われたサボ島沖海戦・数次にわたるソロモン沖海戦等で消耗し、主力の行動がママ為らず、十分な地上支援体制を執る事が不可能だった。
 詰り〔本気で戦おう〕と思った時には全てが遅く〔本気で戦う〕だけのインフラが尽きてしまった後だったのである。ガダルカナルの戦いは結果的には〔戦力の逐次投入〕と為ったが、少なくとも三回目の奪還作戦(1942年10月)は、彼等の中では戦力の逐次投入と云う発想では無かった。
 参謀総長をして〔日米の決戦場〕とハッキリ言って居るのである。しかし、結果的に〔戦力の逐次投入〕に為るしか、もう日本軍の体力は残されて居なかったのだ・・・歴史の悲劇である。

 ガダルカナルの悲劇から学ぶべき戦訓
 
 78年前の悲劇は、後世を生きる私達に余りにも多くの事を伝えている。

 1)敵の兵力や性質を徒に過少評価し無い事
 2)巨大な敵に対しては、最初から全力を以て対抗する事
 3)〔本気で戦おう〕と重い腰を上げた時には大抵の場合、その決意を実行するリソースが尽きて居るので注意する事 

 翻(ひるがえ)って新型コロナウイルスとの闘いがクオモ知事曰く〔戦争〕なのだとしたら、この戦訓は私達への示唆に富んで居る。2020年に入っての景気後退は確実である。その前から日本経済は消費増税で足腰が弱って居る・・・が、その後、退局面は現在概ね出発点の段階で有り、未だ中央政府が対応するだけの余力が残されて居る。
 日本の財政状況は決して良いとは言え無いが、十分な外貨準備と政府資産等を持って居り〔国民全員〕に大胆な財政出動をするだけの余力はマダマダ残されて居ると筆者は見る。要するに増援可能な主兵力が未だ温存されて居る状態である。

 本格的に景気が悪化し、GDP成長率・株価や企業の決算・失業率等の指標等が恐慌的と為った時に〔本格的にコロナ不況と戦おう〕と決意した処でもう体力は残って居ない。ガダルカナル四度目の攻撃は、失敗しては為ら無いのである。
 (了)

 参考資料『戦史叢書 南太平洋陸軍作戦<2>ガダルカナル・ブナ作戦』防衛庁防衛研究所戦史部著 朝雲新聞社

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 古谷経衡 文筆家 著述家 評論家 1982年北海道札幌市生まれ 文筆家 日本ペンクラブ正会員 立命館大学文学部史学科卒 テレビ・ラジオ出演など多数 主な著書に『愛国商売』(小学館)『日本型リア充の研究』(自由国民社)『女政治家の通信簿』(小学館)『日本を蝕む極論の正体』(新潮社)『意識高い系の研究』(文藝春秋)『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コアマガジン)『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』(イースト・プレス)『ネット右翼の終わり』(晶文社)『欲望のすすめ』(ベスト新書)『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)等多数

                  以上



 



 



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「れいわ新選組」の山本太郎代表が独白 「ドケチ政権、消費税ゼロにして国民1人に20万円給付にしよう」




  「れいわ新選組」の山本太郎代表が独白 

 「ドケチ政権、消費税ゼロにして国民1人に20万円給付にしよう」 
 

             〜AERA dot.〈週刊朝日〉 4/7(火) 7:00配信〜


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         インタビューに答える山本太郎氏 (撮影 片山菜緒子)

 〜イヨイヨ安倍晋三首相が4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて〔緊急事態宣言〕を発令する。実施期間は5月6日迄の1カ月間で東京の他、埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡の6府県が対象と為る。7都府県の知事は、外出自粛の要請や施設使用・イベントの中止の要請・指示等を出す方針だが、緊急事態宣言に依って景気が落ち込むのは必至だ。
 安倍首相は追加の経済対策としてGDP(国内総生産)の2割に当たる、108兆円をバラ撒き、世帯主の月間収入が減少した住民税非課税の世帯には30万円の給付を行う等の対策を明らかにして居る。しかし、首相の方針に待ったを掛ける男が居る。政界の風雲児「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。本誌に激白した目から鱗の対策とは〜


  「れいわ新選組」山本太郎の緊急提案

 昨年10〜12月の直近四半期の実質成長率はマイナス7・1%で、金額にして約40兆円の富が国民から削り取られたと考えられます。原因は言う迄も無く、昨年10月からの消費増税です。景気を良くする為のエンジンは、GDP・国内総生産の6割を占める個人消費です。本来なら消費を刺激し無ければ為ら無いのに、行われたのは消費が冷え込む政策でした。
 これは安倍政権のみ為らず、歴代の自民党政権に依る失政です。日本がデフレ経済に陥ったのは、1997年に消費税率を3%から5%に上げた時からです。国が消費を落ち込ませた上に、更に増税でお金を搾り取ろうと云うのは愚の骨頂です。最早、自民党にこの国のコントロールを任せては置けません。

 大規模な経済政策に依って、この20年以上のデフレを終わらせる。加えて、新型コロナの爆発的感染に備え、準備する必要が有ると考えて居ます。恐らく何度かに分けて〔100兆円以上の財政出動〕が必要に為って来るでしょう。
 私は、2月26日に自民党と野党共同会派に対して、緊急の補正予算の編成と成立を求めました。その後、与野党申し合わせの上で国会を休会する事を提案しました。処が休会の事ばかりがメディアでクローズアップされた為「何だ、お前等だけ休むのか」とバッシングを受けましたが、そうではありません。

 国会は、私達「れいわ新選組」の重度の障がいや難病を抱える2人の参院議員だけでは無く、与野党の高齢議員が活動する場です。国家の中枢でコロナが蔓延(まんえん)したら本当に国が倒れる。国会を休会にする事で、世の中に対して「皆も休んで呉れ」と云うメッセージを伝える必要があったのです。
 その国会休会前に緊急の補正予算で組まれるべきだったものは、皆が仕事を2〜3カ月間休める為の補償です。けれども、安倍政権はそれもせずに学校を全国一律休校にしてしまった。順番を考えたらマルで逆です。先に大人を休ませる為の財政措置をして安心して貰う・・・その後に子供を休ませれば、親が仕事を出来無くて困る状況は起き無かったでしょう。イベントの自粛要請もありましたが、損失を補てんすると言わ無ければ、そりゃ予定通り実施する業者も出て来ます。

 国民からの全ての徴収を一時ストップ 政府が補填する

 私達が着目したのは、国家権力と一般の人々の間で行われて居るお金の遣り取りです。それは2種類あって〔徴収と給付〕です。先ず、人々からお金を取る事を極力辞める事が大事です。徴収には、健康保険・年金・介護・雇用・労災等の保険料があります。これ等保険料収入の総額が年間約63兆円です。
 1カ月当たり大体5兆円なので、3カ月間免除すれば15兆円程度のお金を付ければ済む。それから、水道光熱費です。総務省の家計調査報告・・・2019年を元に計算すると、日本の全世帯で年間総額約12兆円支払っています。1カ月当たり約1兆円なので、3カ月分の3兆円程度を夫々の事業者が国に請求する形を取る。こうした救済策が20兆円以内で出来るのです。

 一時的でも消費税をゼロに

 そして消費税です。5%に減税するとシステムの改修が行き渡る迄に時間が掛かります。現場に混乱を生み出さ無い為にも、矢張りゼロにすべきです。レジでも非課税ボタンを押せば好いだけですから、大丈夫、混乱は起きません。
 この3カ月間は、皆が通勤・通学等動きを止め様と云う事です。勿論生活必需品の物流や介護等は止められません。そう云う業界に携わって居る人達には上乗せのインセンティブを与える。皆が極力動か無いで済む様に担保して、朝夕の通勤時間帯の満員電車をガラガラにする状況を作り出す必要があります。

 国民一人当たり無差別に20万支給 

 給付に付いては、政府は二転三転した後、1世帯当たり30万円給付って話です。可成り厳しい要件で給付出来る人を絞るでしょうから分断されますよ。緊急事態だしスピード感必要ですから、最低でも全世帯給付ではないですか?
 他に政府が配布すると明言しているのは、1世帯にマスク2枚だけ。〔ドケチ政権〕ですね! そんなセコいお金の投入しか出来無ければ、コロナに罹って亡く為る人よりも、経済的苦境に依って自ら命を絶た無ければ為ら無い人の方が増えるのではないか。
 年度の切り替わりと云うタイミングでもあり、非正規労働の人達が雇い止めにされる事例が沢山起きて居ます。中には、会社の寮に住み込みで働いて居た人も居て、職と同時に住まいまで失って居る。

 国民に安心と安全を

 今、行動は制限されて不自由だけど、懐は決して凍えて居ない・・・そう云う安心感を人々に与える必要があります。その為には、1人当たり現金20万円は支給したい。富裕層は対象外にするとか選別して居ると時間が掛かってしまうので、早急に給付する為にも一律で好いと思います。3人家族ならば60万円。これを使い切るのはナカナカ大変です。
 1人20万円も渡してしまったら世の中に出回るお金が急に増えて、インフレが行き過ぎるのではないかと懸念を示す人が居ます。

 勿論、消費に回す人も居ますが、こんな時期だから貯蓄する人も相当数居る筈です。1人20万円として総額25・2兆円ですが、その位の国債を発行しても消費者物価の押し上げ率は0・05%にしか為ら無いと指摘する経済学者も居ます。政府と日本銀行が目標として居るインフレ率は2%ですから、それにも及びません。為らば、国民の命を守る為に大胆に実行するべきです。

 何時在っても可笑しく無い衆院選に野党は対処を

 衆院選は何時在っても可笑しく無いと思って居ます。安倍首相は選挙の票を買収する様なバラまきと共に、衆院選に突入して行く可能性があります。しかも世の中が積極的な外出を控えるムードの中、選挙を遣れば自民党はボロ勝ちするでしょう。野党側は腹を括って、此処で明確に人々の生活を守り底上げする。中小零細企業を確り守って行く公約を掲げ無ければ太刀打ち出来ません。
 東京都の小池百合子知事も東京五輪の延期が決まる迄、新型コロナから都民を守る為に表立って公の場には出て来ませんでした。
 五輪と人々の命をバーター(交換)して居たのは、安倍自民党だけでは無く小池知事も同じ様なスタンスだったと云う事でしょう。そうで有るならば、東京で心有る首長を誕生させる為に、野党は力を合わせ無ければ為ら無いと思って居ます。


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                 談 山本太郎 

     ※週刊朝日 4月17日号に加筆 本誌・亀井洋志    以上


 ・・・山本太郎氏の言葉は、単に大袈裟な数字を用いた表現で私達を驚かそうとの気持ちでは有りません。彼は、可成りの自らの学習と経験・そして困難な調査と確かな教鞭を得た結果得られた・・・一つの確信を持った上での発言なのです。次回から数回に渉り彼が得た経済学・・・国家経済学の本質を解き明かして行きたいと思います。題して「MMT理論の可笑しな処を聞く・・・」です。どうぞお楽しみに・・・管理人 


 






 マスク2枚?ふざけるな! 国民熱望〔消費税減税〕何故遣ら無いのか! 

 「国民は俺達に従って居れば好い」官尊民卑の意識まる見え


               〜夕刊フジ 4/7(火) 16:56配信〜


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   安倍晋三首相(右)は、岸田氏や財務省が反対する「消費税減税」を突破出来無いのか

 【国家の流儀】

 〜中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済を直撃して居る。生産や消費に甚大な影響が出ており、日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)の大企業製造業の景況感は7年振りのマイナスに為った。
 東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫の5都府県では〔医療崩壊〕の危機が近付いて居り、もし事態が深刻化・長期化すれば、更なる打撃は必至だ。政府は、リーマン・ショック時を上回る、過つて無い規模の経済対策を断行する方針だが、マスク2枚は配れても、国民が熱望する〔消費税減税〕は盛り込まれ無い見通しと云う。どうして、政治家や官僚は減税を嫌うのか。評論家の江崎道朗氏が集中連載〔国家の流儀〕で迫った〜


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              評論家の江崎道朗氏 

 共同通信社が3月26〜28日に実施した全国緊急電話世論調査に依ると、望ましい緊急経済対策は〔消費税率を引き下げる〕が43・4%でトップだ。だが、政府与党の間では、減税は不評で、給付や和牛券の様なクーポン券が好まれて居る。
 例えば、自民党の岸田文雄政調会長は同月22日のNHK番組で、与野党内に在る消費税減税論に付いて、「下げる時も大きなコストと時間を要する。事前の買い控えが生じてしまう逆の効果も想定される」と否定的な考えを示した。

 公明党の石田祝稔政調会長も同番組で「現金とクーポン券のハイブリッドが良い」との考えを示した。その理由は簡単だ。給付やクーポン券だと「困った国民を政府が助けて挙げた」と云う構図に為り、政治家や官僚達は優越感を維持出来るからだ。最も、彼等は給付の原資が国民の税金である事をスッカリ忘れて居るのだが。
 一方、減税と為ると、国民から取る税金が減って政府の権限が弱まってしまうと感じて嫌なのだ。要するに〔増税派と減税拒否派達〕からは、自覚して居るかどうかは別にして「俺達が福祉・手厚い社会保障を構築して国民を守って挙げて居るのだから、国民は俺達に従っていれば云い」と云う官尊民卑の意識が垣間見える。

 この〔福祉国家〕の名の下、増税を繰り返す政治家と官僚達は必然的に国民生活と民間の経済活動にアレコレと干渉する様に為る。依って〔福祉国家は隷属への道なのだ〕・・・こう警鐘を鳴らした経済学者が居る。オーストリア人のF・A・ハイエクだ。
 彼は1944年に『隷属への道』を上梓し〔福祉を名目にした増税は、官僚組織の肥大化と国民の自由に対する抑圧を生む〕と訴えた。このハイエクの政治哲学に基づいて減税と民間の企業活動への規制緩和・・・詰り〔小さな政府〕を求める人達の事をリバタリアン・libertarianと呼ぶ。

 米国の保守派の一翼を担う彼等は「福祉や環境を名目に、色々と規制を設け、民間ビジネスを妨害する官僚組織の為に高い税金を払う何て真っ平ゴメンだ。貧しい人の支援為らば教会に多額の寄付をした方が効果的だ」として政治家を突き上げ減税を要求する。彼等は保守で有りながら、増税を認めた〔保守〕政治家に対しても容赦無く〔落選〕運動を仕掛ける。
 そうした政治家と納税者達との厳しい緊張感の中で、リバタリアンに支援されたドナルド・トランプ大統領は今回、早々に大規模〔減税〕を含む2兆ドル・約220兆円規模の経済対策を決定した訳だ。

 日本にもリバタリアンが居れば「イザと云う時に役に立た無いのなら税金を減らせ。政治家と官僚は、我々納税者の雇用者に過ぎ無い事を忘れるな」と、政府と政治家を一喝して居るに違い無い。リバタリアンからすれば、減税は政府に対する要望では無く、納税者としての権利なのだ。


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 江崎道朗(えざき・みちお)評論家 1962年 東京都生まれ 九州大学卒業後 月刊誌編集や団体職員・国会議員政策スタッフを務め現職 安全保障やインテリジェンス・近現代史研究等に幅広い知見を有する 著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年アパ日本再興大賞を受賞した 他の著書に『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(扶桑社)等多数

                   以上










  〔ダメな政治リーダー〕と〔機能が劣化した官僚〕

 と云う新型コロナ禍の日本の悲劇


              〜週プレNEWS 4/7(火) 18:00配信〜


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 「コレで新型コロナ感染拡大の国難に立ち向かえば 尋常為らざる国民の犠牲が不可避と為る」と語る古賀茂明氏

 〜『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、新型コロナ禍に於ける日本のリーダーや官僚の対応に危機感を募らせる〜

 3月29日、西村康稔(やすとし)・経済再生担当相は〔国立国際医療研究センター〕視察と云うパフォーマンスを行なった。しかし、彼が重症患者用の人工呼吸器に付いて「増産に向けて調整して居る」と語るのを聞き私は呆れてしまった。
 今世界では、人工呼吸器の争奪戦が起きて居る。日本企業も海外からの注文殺到でフル生産状態。ソンな時に政府が要請しても、来月に何万台増産と云う数字を出すのは難しい。ソコで、取り敢えず〔増産に向けて調整〕と云う曖昧な発言で〔遣ってる感〕の演出を試みたが、対策の遅れを目立たせただけだった。

 アメリカ・ドイツ・フランスは、夫々大手自動車メーカーに政府が、人工呼吸器製造を要請又は命令している。ドイツ・韓国ではマスク、ロシア・インドでは人工呼吸器が〔輸出禁止〕だ。日本の対応は遅過ぎる。
 一方、小池百合子都知事は、2020年東京五輪の延期が決まった直後の3月25日から記者会見を頻繁に開き、「ロックダウン・都市封鎖」や「オーバーシュート・爆発的な患者の急増」等の横文字乱発で都民の不安を煽(あお)った。

 しかし、感染者専用のベッド4000床を確保するとブチ上げて置きながら、東京都がこれ迄に確保出来たのは感染者1000名超に対して1000床のみ(4月5日時点)7日からは都内のホテルを借り上げ、軽症者を移動させる方針だと云うが、現場は日々、感染者を収容する病院を探す自転車操業状態だ。
 今直ぐにでも、軽症者用の収容施設を設置して、症状別の収容をしないと重症患者の治療が出来無く為り 〔医療崩壊〕が起きてしまう。

 今年7月に都知事選を控えて居る小池都知事は、五輪フィーバーで再選と云うシナリオを描いて居た。五輪1年延期でそのシナリオが崩壊したが、その間コロナ対策は手付かずで後手に回ってしまった。それに気付いた彼女はパニックに陥った筈。
 霞が関では「小池都知事は自己PR術だけは天才的」と評判だ。今回も、大袈裟に危機を煽ってTV露出を増やし、他方で緊急事態宣言は国が決めるとして政府に責任を押し付けた。感染拡大した時に「ホラね、だから政府に言って置いたのに」と、責任転嫁する企みだろう。五輪に代わり新型コロナ対策を再選キャンペーンに使おうと云う思惑が余りにも露骨だ。

 今、世界各地で実施されるロックダウンでは、外出禁止違反等に刑事罰が科されるが、日本の〔緊急事態宣言〕による都市封鎖には強制力は無い。一方、医療施設の設置や医療用機器設備の確保には強制措置を取る事が出来る事から一刻も早く発動し無ければ為ら無かった。しかし、安倍首相は4月7日に為って、ヤッと〔緊急事態宣言〕を出した。矢張り、遅過ぎると言わざるを得無い。
 もうひとつ大きな問題がある。官僚機構がその機能を果たして居ないのだ。他国の例を見て、お得意の〔丸パクリ〕で複数の選択肢を政治家に提案するべきだが〔忖度(そんたく)官僚〕だらけの彼等は、五輪延期決定まで、無為に指示待ちして居た。

 パフォーマンスだけで決断出来ず、責任を取れ無い国と首都の政治リーダー・機能が著しく劣化した官僚組織・・・コレで新型コロナ感染拡大の国難に立ち向かえば、尋常為らざる国民の犠牲が不可避と為る。それが杞憂であれば好いのだが。


 古賀茂明(こが・しげあき)1955年生まれ 長崎県出身 経済産業省の元官僚 霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年に退官 『日本中枢の狂謀』(講談社)等著書多数 ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中




 





 





遅過ぎるコロナ給付金 安倍首相の決断を邪魔する戦犯は誰だ




 遅過ぎるコロナ給付金 

 安倍首相の決断を邪魔する戦犯は誰だ


               〜SmartFLASH 4/7(火) 6:31配信〜


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              4月1日 国会での安倍首相

    「リーマン・ショック時の経済対策を上回る、過つて無い規模の対策を取りたい」
 
 そう宣言していた安倍晋三首相(65)が、4月3日に提示した〔1世帯30万円〕と云うコロナ給付金に、全国民が首を傾げたに違い無い。
 米国・欧州を中心に、国民一律で給付金を支給する国が多い中、日本では、所得が著しく減った世帯のみ等、条件が設けられる。しかも、支給開始は5月以降。早速、国民から批判の声が上がった。

 何故、諸外国と同じ様な〔迅速〕〔一律〕の現金支給が出来無いのか。永田町では「総理が有力ブレーンに止められたらしい」と云う怪情報 も流れたが、或る自民党若手議員は「偏に、岸田文雄・政調会長さんが悪い」と怒りを滲ませこう続けた。
 「当初、安倍首相から与党側の経済対策の取りマトメを一任された岸田さんは『全国民一律の給付しか無い』と訴え、公明党執行部も『それなら金額は10万円だ』と乗って来て居たんです」
 
 しかし、岸田氏の前に二階俊博(自民党)幹事長・麻生太郎副総理兼財務相が立ちハダカッタ。
 「商品券形式での支給を主張する二階さんや、首相時代に定額給付金を配って失敗した麻生さんに『現金支給は貯蓄に廻され効果が薄い』と牽制され折れちゃった。次期首相候補がこの体たらくでは、先が思い遣られます」(同前)

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、こう嘆いた。「昔の自民党なら、こんな時には官邸に乗り込んで、緊急対策予算を強引に組ませる政治家が多かった。しかし今では〔官高党低〕 で、首相の顔色を伺う政治家ばかりです」
 自民党内の“戦犯 達に加えて、官邸でも、安倍首相の側近等が給付金の支給に、二の足を踏んだと云う。 「元々4月1日に、給付金を含む緊急経済対策を打ち出す筈だったが、1週ズレ込んだ。安倍総理の 懐ろ刀 を自任する今井尚哉首相補佐官兼秘書官が、内閣支持率低下や株価の下落を気にする安倍総理の為にタイミングを見計らった様だが、余りに遅い」(自民党関係者)

 条件付き〔30万円給付金〕の財源には、赤字国債の発行も含まれて居る。これに対して〔財政健全化〕を最重要課題とする財務省も、給付金の支給には反対し続けて来た。「安倍首相を支える経産官僚は、アベノミクスを失敗させられ無いから、大規模財政出動に抵抗が無い。今回は、今井氏らから『消費税減税が嫌ならバラマキを』と圧力を掛けられた財務省は、給付世帯に付いて条件を細かく着けるのがヤッとだった」(同前)
 実は「布マスクを2枚ずつ全世帯に配布する」と云う方針の発案者も、今井氏等経産省出身の官僚達だった。

 「2月以降に政府内に設けられた〔マスク増産のタスクチーム〕の働きが思わしく無く総理が随分怒った。それを今井さんと同じく経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が執り成し、菅義偉・官房長官さんと麻生さんも知らぬ間に〔布マスク配布〕が決まった」(自民党中堅議員)

 〔アベノマスク〕と海外からも笑われたが、日本国民は笑え無い。政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、こう語る。 「貯蓄に廻るだけ・・・等と反対するのも、政府が景気の事しか考えて居ないからです。困窮する人の事をイメージ出来ないんです」

 布マスク2枚より、本当に必要なものを!


         週刊FLASH 2020年4月21日号  以上











 政府の〔緊急経済対策案〕は

 何故 感染拡大の収束後の話ばかりが充実して居るのか


           〜神戸国際大学経済学部教授 中村智彦 4/7(火) 9:28〜


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             神戸国際大学経済学部教授 中村智彦氏

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策に付いて、政府は、4月6日に開かれた自民・公明両党の会議で、所得が減少した世帯への現金30万円の給付や、児童手当の上乗せ等を行う案を示しました。しかし、この緊急経済対策案は、幾分理解し難い部分があります。

 ・具体的な記述が無い

 4月6日に開かれた自民党と公明党との会議で、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策の案を提示しました。治療薬として効果が期待される〔アビガン〕を年度内に200万人分の備蓄を目指すこと等を盛り込んだ〔感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発〕や〔1世帯当たり30万円の現金給付〕等の〔雇用の維持と事業の継続〕に付いての対策が明らかにされました。
 しかし、この案には明確な金額等規模が示されて居らず、中小及び小規模事業者等を対象にした給付金に付いても明示されて居ませんでした。〔緊急〕対策と言う割に、具体的な記述が少ないのです。

 ・力点は「収束後」の謎

 この緊急経済対策案を通して読んでみると、曖昧な部分と明示されて居る部分の差が大きく、バランスの悪いものに為って居る様に感じられました。
 これを読んだ或る地方自治体の経済担当職員は「非常に細かく書き込まれて居る部分と、粗々で内容が殆ど無い部分の差が激しい。この案の一つ前のバージョンは、モッと酷く項目にも一貫性が無かった」と指摘します。経済対策である為、経済産業省が中心に為ってまとめたので有ろうと思われますが、それにしても〔緊急〕の対策が、これなのかと云う疑問が出て来ます。

 別の地方自治体の幹部職員は「具体的な数字が殆ど示されて居ないだけでは無く、後半部分の自画自賛調の書き込み方に閉口する」と厳しい意見です。こうした意見は、他にも聞かれましたが、その理由は簡単で、実はこの〔緊急経済対策案〕のホボ半分は〔収束後〕の事が書かれて居るのです。

 〔観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント 事業を対象に、Go Toキャンペーン(仮称)〕〔国立公園等の 自然の魅力を活かした誘客・ワーケーションの推進〕の推進等、現段階で取り組む優先順位としては違うのではないかと云う事が詳細に書き込まれて居ます。
 更に〔今回の事態の中で進んだ、或るいはニーズが顕在化した、テレワークや遠隔教育・遠隔診療・服薬指導等 リモート化の取組を加速し、我が国のデジタル・トランスフォーメー ションを一気に進めると共に、脱炭素社会への移行も推進する〕と云った将来の希望の様なものが長々と書かれて居たりと、何故か、緊急事態である〔今〕の対策では無く〔収束後〕の対策ばかりが具体的なのです。

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       政府が自民党と公明党に示した緊急経済対策案(画像・筆者撮影)

 この期に及んで、収束後の利権争い?

 後半部分は、従来行われて来た支援メニューや補助金制度の拡充がズラリと並んで居ます。政治家の利権の確保が優先されて居る様で、今、現場で求められて居る支援策から大きく掛け離れて居ます。
 この様な事態に為っても、収束後の利権の確保に躍起為り、それを官僚達が支援して居る構図が透けて見えて居ると言えます。結果的に、何処が〔緊急〕なのかハッキリしない従来からの延長上の施策が羅列され、最後には唐突に〔生産性向上や復旧・復興、防災・減災、インフラ老朽化対策等の 国土強靱化等に資する公共投資を機動的に推進する〕と書かれて居ます。

 「現場が緊急に求めて居る事の記述が薄い」と商工団体の職員は批判します。「中小企業や個人事業主の相談窓口には、不安を隠せ無い経営者達が詰め掛けて居る。旅行のキャンペーンの名称を考えて居る暇が有るのなら、本当に緊急に必要とされて居る事は何なのかを考えて欲しい」とも言います。

 資金力が弱く、被害を大きく受ける中小・自営業者への支援を優先すべき

 関東地方の飲食店経営者は「従業員の休業補償をする雇用調整助成金も対象は飽く迄も雇用保険事業者のみ。元々家族経営の青色申告では、専従者として働いて居ても経営者の家族には雇用保険に入る資格すら有りません。その他の救済策も適用されるものは実は少なく、個人事業主や家族で営業を続ける業種や専従者は不要だと言われて居る様です」と言います。
 政府は、こうしたフリーランス、個人事業主には最大100万円の現金給付・中小企業には最大200万円の現金給付を行う〔持続化給付金〕制度を発足させると明らかにして居ますが、具体的な中身は4月7日以降とされ、支給も早くて5月半ばと為って居ます。

 「2月以降、売上げは急減して居る。周りでも、諦めて廃業を考える経営者も増えて来て居る。収束後の観光キャンペーンも必要でしょうけれど、それで得するのはどうせ大手の広告代理店だけでしょ。ソモソモ、収束する頃には個人商店等事業者が激減して居るじゃないですかね」と東京都内の若手飲食店経営者は言います。
 「官僚の人達が、色々言い訳を言いますけれど、政府や官僚に対する信頼が揺らいで居ます。どうも若い世代は政治にも無関心だし、どうせ判ら無いだろうと馬鹿にされて居るんじゃないかと思ってます」とも指摘します。

 「他にも、チャンと対策を遣って居る」と云う反論も有るでしょうけれど、この政府の作成した〔緊急経済対策案〕を見る限り、経営者や自営業者達の不安が高まるのも理解出来ます。

 製造業に関しても、生産拠点の国内回帰に関して等、全般的に甘い見通しです。生産コスト競争と現地市場への期待で海外に流失した民間企業の生産拠点が〔国家〕の為に戻って来ると云う事は望み薄でしょう。仮にそうした事を望むのであれば、IoT・省人化やロボット化を盛り込んだ付加価値を高めたり、労働力不足に対応する投資に対して大きなインセンティブを与える事が必要でしょう。
 中小企業に対しても、困窮した資金繰りで貸し付けた資金を只単に返済を求めたり・給付金にするのでは無く、先々に〔IoT・省人化やロボット化等競争力増強〕に振り向けた場合に返済を控除若しくは免除される制度を取る等、一歩踏み込んだ工夫が必要でしょう。

 対策案のトリアージを

 この〔緊急経済対策案〕を読んでみると、言葉だけは勢いが良い事に気付きます。「一刻も早い再起動」「一気に進める」「守り抜き、危機をしのぎ切る」「経済の力強い回復への基盤を築く思い切った支援策」「経済のV字回復のための反転攻勢」「一気呵成に安定的な成長軌道に」・・・
 こうした勢いだけの空疎な言葉遊びの連続に加えて「生産性革命」「Go Toキャンペーン」「新型コロナリバイバル成長基盤強 化ファンド」等奇妙なネーミング。

 要するに、冒頭でワザワザ書かれて居る様に「財政健全化への道筋を確かなものとし無ければ為ら無い」と云うのが大前提で〔歳出抑制〕から未だ脱却出来無い。一方で、新型コロナウイルス問題は、或る意味、一種の戦争状態に有る訳で、国会財政からの思い切った支出は避けられ無い。このドッチ着かずの状態で腰が据わら無い為に、一見前向きな威勢の良い言葉を並べて誤魔化して居るのではないでしょうか。
 今後、中国が急激に経済も産業も復興して来る可能性が高い。被害が少ない東南アジア諸国も、復興のスピードが速いでしょう。新型コロナウイルスの収束後に、元の世界経済の形に戻ると考えて居る人は少ないでしょう。大きく変化し、競争が激化する事が予想される中で、今や国家の危機に瀕して居ると言えます。

 緊急時に、何を優先して行うのか。対策案のトリアージが必要なのです。そうした視点から見れば、この〔緊急経済対策案〕は非常に不安な内容です。収束後の事等・キャンペーンのネーミング等、もう少し先でも良い〔不要不急〕の事よりも、今、目の前の問題に対してどう対処するのか、具体策を示すこと・・・それが求められて居るのです。
 「頑張って居るんだから、そんなに叩くな」と云う声が聞こえて来そうですが〔緊急〕事態なのですから、それに合わせた対応をお願いしたいのです。今回のものは、飽く迄〔緊急経済対策案〕ですから、案では無く為る迄には、相当改善されるものと期待して置きます。


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 神戸国際大学経済学部教授 中村智彦 1964年生まれ 上智大学を卒業後 タイ国際航空株式会社・PHP総合研究所を経て大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務 2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得) その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て神戸国際大学経済学部教授 総務省地域力創造アドバイザー・愛知県愛知ブランド審査委員・山形県川西町総合計画アドバイザー・山形県地域コミュニティ支援アドバイザー・向日市ふるさと創生計画委員会委員長等の役職を務める 営業・総務・経理・海外駐在を経験 公務員時代に経済調査を担当 企業経営者や自治体へのアドバイス・プロジェクトの運営を担っている ブティックofficetn  official site中村智彦研究室 All Copyrights reserved Tomohiko Nakamura2020 ※NewsPicks等の他サイトへの無断転載・引用禁止

                    以上



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中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第四回




 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第四回


 日本の経済成長率が「世界最低」である、バカバカしい程シンプルな理由

             〜中野剛志 評論家 2020.4.3 3:25〜


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                評論家 中野剛志氏

 〜世界最低の経済成長率・・・・これが、日本が置かれて居る厳しい現実だ。中野剛志氏は、1990年代後半に、第二次世界大戦後、世界で初めて日本はデフレに陥り、20年もの長きに渡って克服する事が出来無かった事が原因だと指摘する。
 そして、デフレ下にある日本に於いて「財政赤字は多過ぎるのでは無く、少な過ぎるのだ」と言う。驚くべき主張だが、何故、そう断言出来るのか? 中野氏に聞いた〜
 構成 ダイヤモンド社 田中泰


 日本の財政赤字は少な過ぎる!?

 ・・・前回迄(第1回・第2回・第3回)「自国通貨を発行出来る政府の国債はデフォルトしないので、原理的には、幾らでも好きなだけ財政支出をする事が出来る」と云うMMT理論に付いて教えて頂きました。
 それは「理論」と云うよりも「事実」と云うべきでしょうね。
 ・・・そうかも知れません。だけど、だったら税金等要らないでは無いですか? 無税国家で好いじゃないですか?
 そんな事は出来ません。前にも説明した様に、人々がお札と云う単なる「紙切れ」に通貨としての価値を見出すのは、その「紙切れ」で税金が払えるからです。だとすれば、国家が徴税権力を放棄したら、貨幣の価値も無く為ります。無税国家にしたらお札は文字通りに「紙切れ」に為るでしょう。
 ・・・ア、そうでしたね・・・

 そこ迄極端で無くとも、政府が財政赤字を拡大し捲くったら大きな問題が生じます。例えば、政府が盛んに国債を発行して公共投資を遣り、投資減税や消費減税を遣ったら、需要が拡大して供給力を超えるので、インフレに為ります。それにも関わらず、公共事業を遣りまくり、序に無税にしたら、恐らくインフレが止まら無く為り、遂にはハイパーインフレに為るでしょう。 
 インフレとは物価が上がる事ですが、裏返せば貨幣の価値が下がる事です。詰り、ハイパーインフレに為れば、お札は只の「紙切れ」に為ってしまいます。幾ら政府に通貨発行権が有っても、その通貨が無価値に為ってしまうのですから、ハイパーインフレは流石に困ります。
 だから、私は、このインタビューの冒頭(第1回)でこう言ったんです。「自国通貨発行権を持つ政府は、レストランに入って幾らでもランチを注文する事が出来る。カネの心配は無用。但し、レストランの供給能力を超えて注文する事は出来ませんけどね」と。

 ・・・と云う事は、矢張り、幾らでも好きなだけ国債を発行して、財政赤字を拡大して好い訳では無いのですね?
 ええ。自国通貨発行権を持つ政府は、原理的には幾らでも国債を発行する事は出来ますが、財政赤字を拡大し過ぎるとハイパーインフレに為ってしまいます。だから、財政赤字は何処迄拡大して好いかと言えば「インフレが行き過ぎない迄」と云う事に為ります。従って、財政赤字の制約を決めるのはインフレ率(物価上昇率)だと云う事に為ります。
 ・・・矢張り財政規律は必要だと聞いて、一寸ホッとしました。
 そうですでよね(笑)処で、此処で不思議な事に気付きませんか?
 ・・・ナンでしょうか?

 財務省も〔主流派経済学者もマスコミ〕も「日本の財政赤字が大き過ぎる」と騒いで居ますよね?しかし、財政赤字が大き過ぎる為らば、インフレが行き過ぎて居る筈です。処が、日本はインフレ処か、20年以上もデフレから抜け出せずに困って居るんです。可笑しいと思いませんか?
 ・・・たしかに・・・
 詰り、日本がデフレだと云う事は、財政赤字は多過ぎるのではありません少な過ぎるんです。
 ・・・財政赤字が少な過ぎる・・・驚くべきお話ですが、理屈としてはそう為りますよね。
 もっと言えば、インフレ率が財政赤字の制約だと云う事は、デフレで有る限りは、財政赤字は幾らでも拡大しても好いと云う事です。デフレの時には、財政赤字に制約は無いのです。
 ・・・理屈では判るのですが「今の日本では財政規律は不要である」と聞くと、飛んでも無い非常識”話に聞こえてしまいます。

 戦後、世界で唯一デフレに陥った国「日本」

 それは、デフレが異常な現象だからです。第二次世界大戦後、世界中の経済政策担当者が最も恐れたのがデフレであり、戦後、何とかしてそれを回避し続けて来ました。処が日本は1991年頃にバブルが崩壊し、1997年の消費増税と緊縮財政を主因に、1998年に、遂に第二次大戦後、世界で初めてデフレに突入しました。しかも、このデフレは図1が示す様に、20年を超える異例の長期に渉って続いて居ます。

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 ちなみに、1997年と2014年に一時的に物価が上がって居ますが、これは主に消費増税の一時的な影響によるもので、日本経済は、1998年以降、基本的にズッとデフレだったと言って好いでしょう。こんな長期のデフレは、この世界のなかで日本だけです。実に不名誉な実績と云う他有りません。
 ・・・戦後、長期のデフレに陥ったのは日本だけなんですね・・・

 そうですよ。そして、その間の経済成長率・名目GDPの成長率を示したのが図2です。

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 ご覧の通り、日本は最下位。しかも、日本だけがマイナス成長率を記録して居るんです。可笑しいと思いませんか?
 ・・・酷い有様ですね・・・この様な状況下で、コロナショックに見舞われると思うと暗澹たる思いがします。
 全くです。知識人の中には「日本は成熟社会だから、もう経済成長は望め無い」と言う人も居ますが、それも可笑しい。確かに、成熟した先進国には高度成長は望め無いでしょうが、日本以上に成熟して居る欧米先進国はチャンと経済成長して居ますからね。
 更に、図3を見てください。1990年代半ば迄は、或程度成長して居たのに、1990年代半ば辺りを境に、日本だけが、突然、ポキッと折れたかの様に、成長が止まって居ます。しかも、日本だけが長期のデフレに陥っている。

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 詰り、平成の日本経済は、世界的に見ても明らかに異常だったんです。これ程極端な現象が日本だけで起きて居ると云う事は、社会の成熟、産業構造の変化、少子高齢化と云った要因では到底説明出来ません。ヨッポド間違った経済政策を長期に渉って続け無い限り、コンな愚かな状況は起こり得ないんです。世界中を探し回っても、こんな状況に陥って居る先進国は無いんですからね。日本政府の「政策知性」とでも云うべきものが、世界最低レベルであると云う事なんですよ。
 ・・・随分厳しい言い方ですね・・・

 「デフレ=資本主義の死」を放置する日本

 そりゃそうですよ。デフレが如何に恐ろしいものかを知れば、ソレを放置し続けるのが如何に罪深い事かが判る筈です。
 ・・・デフレってそんなに恐ろしいんですか?

 ちゃんと説明した方が好さそうですね・・・デフレとは、一般的には、一定期間に渉って、物価が持続的に下落する現象の事を言います。その反対に、物価が持続的に上昇する現象はインフレと呼ばれます。
 では、デフレは、どうして起きるのか? それは、経済全体の需要(消費と投資)が、供給に比べて少ない状態が続くからです。需要が無いのだからモノが売れ無い状態ですね。この様に「需要不足/供給過剰」がデフレ(物価の下落)を引き起こす訳です。
 そして、デフレとは物価が下落して行く事ですから、裏返して言えば、おカネの価値が上がって行くと云う事です。デフレとは、持って居るおカネの価値が上がって行く現象なんです。詰り、デフレに為ると、人々がモノよりもおカネを欲しがる様に為る訳です。消費者であれば、モノを買うのを我慢して貯金するでしょうし、企業であれば、投資をして事業を拡大するよりも、内部留保として現預金を溜め込もうとするでしょう。
 その結果、需要(消費と投資)は更に縮小して、デフレが更に悪化して行く事に為ります。しかも、そんな状況を放置すれば、企業も労働者も将来への不安を更に強めますから、余計におカネを使わずに貯め込む様に為る。こうして、悪循環が無限に続くんです。

 ・・・デフレ・スパイラルですね?
 そうですね。それで、デフレの何が悪いのかと云うと、第一に、人々は消費をし無く為るのでマーケットが小さく為る事です。マーケットが小さく為るのですから、企業の売上は下がり赤字に陥り、最悪の場合には倒産します。労働者は、給料が下がったり、仕事そのものが無く為って行きます。その結果、現在の世代がドンドン貧困化して行く訳です。
 ・・・実際に、日本では相対的貧困率が上がって居ますね。

 ええ。第二に、企業が投資をし無く為る事です。マーケットがズッと縮小して行く訳ですから、事業を拡大する為に投資をする筈がありません。それに、デフレで将来も貨幣価値が上がって行くので、後で借金を返済する時に実質的な返済額が膨らんで大変な事に為りますから、銀行から融資を受ける様な大型投資には極めて慎重に為ります。
 これが深刻で、何故なら、投資とは将来に利益を得る為に行うものだからです。投資をするから将来世代が豊かに為る訳です。処が、デフレ下では投資が減りますから、それだけ将来世代が貧困化する事に為ります。詰り、デフレは、現役世代も将来世代も貧困化する恐ろしい現象なんです。
 ・・・怖いですね・・・処で、銀行融資を受ける様な大型投資が減ると云う事は、信用創造が減少すると云う事ですね?

 そうです。先程も言った様に「信用創造」と云う銀行制度が生まれたからコソ、資本主義経済は発展して来たのです。信用創造は資本主義経済の根幹であり、経済成長の最大のエンジンなんです。処が、デフレ下に於いては、その信用創造が無く為って行きます。それは言わば「資本主義の死」です。
 だから、私はデフレは異常事態だと言ったんです。世界中の経済政策担当者が「デフレだけはお起しては為ら無い」と考えて、最大限の警戒をして居るのも当然の事です。

 ・・・にも関わらず、日本はデフレを起こしてしまい、もう20年も脱却出来ずに居る・・・そして、デフレと云う異常な状態に有る為に「今の日本では財政規律は不要である」と云う非常識な結論に為ると云う訳ですね?
 そう云う事です。
 ・・・では、どうすればデフレから脱却出来るんですか?

 「民間主導」でデフレ脱却が出来無いのは当たり前

 答え自体は簡単です。経済全体の需要を増やせば好いんです。デフレとは「需要不足/供給過剰」の状態ですから、人々が消費や投資を増やして需要を増やせば好い。そうすれば、デフレから脱却して景気は好く為って、経済成長が始まります。
 しかし、それが口で言うほど簡単ではありません。何故なら、デフレ下では人々が消費や投資を控えて、貯蓄に励むのが「経済合理的」だからです。当たり前ですよね? 給料が下がって居るのに、じゃんじゃんモノを買って居たら、その人は、明らかに可笑しいでしょう。モノが売れ無いのに、設備投資を拡大する企業があればその企業も可笑しい。

 景気が悪いときには、支出を切り詰め無ければ、個人や企業は生き残る事が出来ません。不景気で苦しい時に、節約して貯蓄に励むのは美徳ですらあるのです。しかし、その結果、益々需要が縮小して、デフレは悪化する。節約と云う、人々が苦しさを乗り切ろうとして取った合理的な行動が、経済全体で見ると需要の縮小を招き、人々を更に苦しめると云う不条理な結果を招いて居るのです。
 この様に、一人ひとりに取っては「経済合理的」な行動でも、それが積み重為った結果、全体として好ましく無い事態がもたされてしまう事を「合成の誤謬」と言います。そして、デフレは「合成の誤謬」の典型です。だから、民間の力だけでは、デフレから脱却する事は絶対に出来ません。

 ・・・では、どうすれば好いんですか?
 「大バカ者」が居れば好いんですよ(笑)
 ・・・は?「大バカ者」・・・ですか?

 ええ。デフレ下では、節約するのが経済合理的ですから誰も消費・投資をしないので、需要と供給の差(デフレ・ギャップ)は絶対に埋まりません。だから、デフレなのに、飛んでもない金額のおカネを使う「大バカ者」が登場して、デフレ・ギャップを埋めて挙げなければいけ無い。その「大バカ者」を「政府」と云うんです。
 ・・・為る程。民間主導ではデフレから脱却出来ないのだから、政府主導で遣るしか無いと?
 そうです。要するに、政府が財政出動で需要を生み出して、デフレ・ギャップを埋める以外に、デフレから脱却する方法は無いのです。先程私は「デフレの時には、財政赤字に制約は無い」と言いましたが、デフレの時に財政赤字に制約を設けると、デフレから脱却する事が出来無いと言うべきなんです。
 此処にも、ビジネス・センスでマクロ経済を論じる危険性があります。デフレ下に於いては、民間のビジネスでは節約が美徳で有っても、その美徳を政府に求めたらデフレから脱却出来無く為るからです。寧ろ、政府は民間とは逆の行動を執ら無ければ為ら無い。デフレの時には支出を増やし、インフレの時には支出を減らす事で、経済を調整するのが政府の役割なんです。
 ・・・しかし、これ迄も日本政府は財政出動を増やした事が有ったけれども、景気対策としての効果は無かったと聞いた事があります。

 「財政政策は景気対策として有効では無い」は本当か?

 アア、その様な認識が日本には根強く有りますね。バブル崩壊後の1990年代に巨額の公共事業が景気対策として行われたけれど、不況から脱する事が出来無かったので、財政政策は有効では無いと云う訳です。だけど、それも事実誤認です。先ず、日本の公共投資が増加したのは、1990年代前半だけで、1990年代後半以降は減少に転じ、2000年代に入ると公共投資は更に減らされました。
 そして、日本経済がデフレに突入したのは、マサに公共投資が減少し消費税が5%へと増税された直後の1998年からです。公共投資が減らされる前の1990年代前半は、少なくともデフレは回避出来て居たのです。しかも、公共投資が増加したとされる1990年代前半ですら、1990年度から1996年度に掛けて、一般政府(中央政府と地方政府)による投資額は、約13兆円増加しただけでした。中央政府による投資額に限れば、1兆5000億円程度しか増えて居ないんです。だから、1990年代の日本の経験は、公共投資が多過ぎたとか、意味が無かったと云う事を示すものではありません。寧ろ、その逆で、1990年代の公共投資は多過ぎたのでは無く少な過ぎたのです。
 実際、国際通貨基金・IMFも、2014年10月の「世界経済見通し」に於いて、日本の1990年代前半の財政政策を検証して、当時の公共投資の規模は不十分で有ったものの、効果が無かったと云うのは間違いであると結論しています。

 ・・・緊縮財政を各国で実施して来た、あのIMFがですか?
 そうです。アノIMFですら、日本の1990年代の財政出動は無駄では無く、寧ろもっと積極的に遣るべきだったと言って居るんです。そもそもバブルの崩壊とは、資産価値が行き成り半減した程の大きなショックだった訳です。その大ショックに対応して、デフレへの転落を防ぐ為には、中途半端な景気対策ではダメだったんです。モッと巨額の公共投資をモッと長く続けるべきでした。そうして居れば、デフレには為らず、日本経済はモッと成長して居たに違いありません。

 ・・・そうなんですね・・・でも、日本はグローバル化が進んだ為に、公共投資による景気効果は弱く為って居ると聞いた事があります。
 アア、それは〔主流派経済学〕の大物であるローレンス・サマーズが「MMTは閉鎖経済を前提として居て、開放経済では通用しない」とMMT批判をする時のロジックと同じですね。〔主流派経済学〕は財政政策には意味が無いと教えて居ますが、それはこう云うロジックなんです。

 ・・・開放経済下では、財政赤字を拡大する事に依って確かに内需が増えるが、そうすると民間資金が枯渇して金利が上昇するから通貨高に為る。通貨が高く為ると外需が減るから、折角増やした内需を相殺する。だから、開放経済下では財政政策は無意味だ・・・と云う訳です。「通貨高」と云うものを計算に入れて居るんですね。これが〔主流派経済学の標準的な考え方〕だから、サマーズは「MMTは、キッと閉鎖経済を前提にして居るに違い無い」と思い込んで、的外れな批判をして居るんです。

 ・・・的外れ?
 全くの的外れ論外ですよ。前に説明した国債発行のオペレーションを思い出してください。国債を発行して民間資金を吸い上げて居るのでは無く、逆に、国債を発行して財政出動を行う事で、民間資金は増えるんです。そして、金利には全く影響が無い・・・これが事実でしたよね?
 だから、主流派の経済学者が主張する様に「民間資金が枯渇して金利が上昇するから通貨高に為る」等と云う現象が起きる筈が無いんです。依って、この議論は「以上、終わり」と云う事です。念の為に付け加えて置くと、MMTは開放経済を前提にして居り、変動相場制の方が望ましいと論じて居ます。

・・・為る程・・・

 主流派経済学の何が痛いかと云うと「貸出が預金を生む」と云う事実を知ら無い事なんです。集めた預金を貸し出して居ると思い込んで居るから、資金が逼迫すると勘違いして居る。信用創造と云う資本主義の基本中の基本を理解して居れば、こんな理解には為ら無いんです。
 序に言って置くと「デフレ脱却の為」と云う触れ込みで〔主流派経済学者〕が主張して実行された、所謂「リフレ政策」(インフレ目標と量的緩和)が殆ど効果が無いのも当たり前の事なんです。


 ・・・そうなんですか?

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                   中野剛志氏

 次回に続く・・・何れつぎにつづく

















中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第三回



 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第三回


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                  中野剛志氏

 歴史が証明する「貨幣の真実」 

 ・・・・そうなんですか?

 エエ。過つてヨーロッパでは、民間銀行が独自の銀行券を発行して流通させて居ました。例えば、17世紀のイギリスに於ける金匠銀行がそうです。金匠銀行は顧客から預かった貴金属等に対して金匠ノート(受領証)を発行し、それが〔貨幣〕として流通して居ました。
 処が、金匠銀行が金庫に保管して居る貴金属を顧客が一斉に引き出しに来る事は無い事に気付いて、預かった貴金属に基づか無い金匠ノート(受領証)を発行して融資する様に為りました。こうする事で貨幣流通量が増えて、イギリスの経済活動が活発に為る一方で、金匠銀行の経営基盤が脆弱な為に貨幣価値はナカナカ安定し無いと云う問題がありました。
 処が、政府は、1694年に設立されたイングランド銀行に銀行券の発行業務の独占を認めると共に・・・金匠銀行は発券業務を放棄・・・イングランド銀行の銀行券を国家への納税等の支払い手段として認める様に為ってから、貨幣価値が安定し始めたのです。

 ・・・へぇ、そうなんですね。

 これと同じ様な現象は、イギリスのみ為らず近代ヨーロッパで数多く観察される事です。民間銀行が発行する銀行券にはデフォルトの可能性と云う不確実性が伴う為に貨幣価値が安定し無かった。その不確実性を最大限に迄低減し貨幣に価値を与えたのが国家の関与であり、究極的には〔徴税権力〕だったと云うのがMMTの洞察であり理解なんです。
 別の言い方をすれば、貨幣経済を扱うのは経済学の領域だと思われて居ますが、その貨幣の価値は〔権力〕と云う政治学の領域で基礎付けられて居ると云う事に為ります。

 ・・・確かに、そう為りますね。

 只、MMTは、貨幣が納税とは無関係に、社会慣習に依って交換手段として受け入れられる場合も確かに有ると認めて居ます。だから、MMTは、租税の支払い手段と為る事は、貨幣が人々に受け入れられる〔必要条件〕では無く〔十分条件〕だと見做して居ます。詰り〔租税の支払い手段として法定通貨を定めれば、それを担保し得る徴税権力が確立した国家に於いては必ず貨幣として流通〕するのだ、と。
 ・・・為る程。
 サテ、ここ迄、随分遠回りをした様ですが、MMTの〔貨幣論〕の骨子をご理解いただけましたか?
 ・・・はい、一応・・・
 では、話を先に進めましょう。

 「コロナ恐慌」で国民がどん底に突き落とされ無い為に、絶対に知って置くべき事

 〜「国債を発行して財政支出を拡大する事で、財政支出額と同額だけ民間の預金通貨は増える」・・・MMTはこう主張して居るが、これは〔オピニオン〕では無く〔事実」であると中野剛志氏は言う。そして、この〔事実〕を知らずに、消費税増税にコロナウイルスが重為って〔恐慌〕すらも起こり得る状況下で、国債発行による財政出動を躊躇する様な事が有れば、国民はどん底に叩き落とされるかも知れないと警鐘を鳴らす。どういうことか?
 銀行の〔信用創造〕の実務・国債発行による財政支出の実務を基に、中野氏に国家財政の〔事実〕に付いて説明して貰った。〜


 「銀行預金」は誰が創造して居るのか?

 ・・・前回、負債を負った時に〔貨幣〕が生まれるとする〔信用貨幣論〕に付いて教えて頂きました。その事と〔日本に財政破綻が有り得無い〕事にどう云う関係があるのでしょうか?

 先ず、基本的な事から始めましょう。現代経済に於いて貨幣として流通して居るのは〔現金通貨・紙幣と鋳貨」と〔銀行預金〕とされて居ます。此処で重要なのは〔銀行預金〕も〔貨幣〕に含まれて居る事です。銀行預金と云うものが、給料の受け取りや貯蓄・公共料金の支払い等に使われて居り、事実上、貨幣として機能して居るからです。しかも、貨幣の大半を占めるのは、現金よりも寧ろ銀行預金の方です。日本では、貨幣の内現金が占める割合は2割未満なんです。

 ・・・そんなに少ないんですね・・・意外です。
 そうなんです。貨幣の大半は銀行預金として存在して居るんです。此処で質問です。どのお札にも〔日本銀行券〕と印刷されて居る様に、紙幣は中央銀行(日本銀行)が作って居ますが、では、銀行預金(預金通貨)を創造して居るのは誰だと思いますか?
 ・・・私達が稼いだ現金を銀行に預けて居るのが〔銀行預金〕ですから、私達が創造して居るのでは?
 多くの人が直感的にそう思いますが、好く考えると可笑しいんです。例えば、貴方が手元に有る現金1万円を銀行に預けたら、預金は1万円増えるけれど手元の現金は1万円減りますよね? 詰り、貴方の総資金に増減は無い訳ですから、それを〔創造〕と言う事は出来ません。

 ・・・そう言われればそうですね・・・では、誰が銀行預金を創造して居るんですか?
 銀行です。実は〔預金通貨〕は、銀行が〔無〕から創造して居るんです。
 ・・・そんなバカな・・・
 いえ、それが〔事実〕です。銀行が個人や企業に融資をした時に、新たな銀行預金が生み出されるのです。
 ・・・嫌々、銀行は私達が預けた銀行預金を元手に融資して居るんですよね? だから、銀行が創造して居る訳では無いでしょう。

 そう思って居る人が多いですが、それも間違いです。実際には、銀行は預金を元手に貸出しを行うのでは無く、貸出しに依って預金と云う貨幣を創造して居るのです。そして、借り手が債務を銀行に返済すると、預金通貨は消滅します。
 例えば或る銀行が、借り手のA社の預金口座に1000万円を振り込む場合、それは銀行が保有する1000万円の現金をA社に渡すのではありません。単に、A社の預金口座に1000万円と記帳するだけなのです。そして、この融資されて通帳に記入された1000万円と云う預金通貨は、A社が返済すると消滅する訳です。
 この様にして、銀行は、何も無い処から新たに1000万円の預金通貨を生み出す事が出来てしまうのです。これを〔万年筆マネー〕と言います。銀行員は融資をする時に、借り手の通帳に〔1000万円〕と万年筆で記入するだけだからです。今であれば、キーボードで入力するので〔キーボード・マネー〕とでも言うべきかも知れませんね。ともあれ、これは銀行で普通に行われて居る実務であり、これを〔信用創造〕と言うんです。
 ・・・そうなんですか・・・銀行は、私達が預けた預金を元手に融資して居ると思って居たので、とても驚きました。

 借り手が居なければ〔信用創造〕は出来無い

 私も、これを初めて知った時には驚きましたが、これコソが銀行の融資業務の偽らざる実態です。イングランド銀行の季刊誌も
 「商業銀行は、新規の融資を行う事で、銀行預金の形式の貨幣を創造する」と書いて居ますし、我が国の全国銀行協会が編集して居る『図説 わが国の銀行』にもこう書いてあります。
 「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのでは無く、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。詰り銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである」日銀の見解も同様です。

 平成31年4月4日の参議院決算委員会において「銀行は信用創造で十億でも百億でもお金を創り出せる。借入が増えれば預金も増える。これが現実。どうですか、日銀総裁」と云う質問に対して、黒田日銀総裁は「銀行が与信行動をする事で預金が生まれる事はご指摘の通りです」と応えて居ます。
 詰り、この事は金融関係者に取っては議論の余地の無い〔当たり前の実務〕に過ぎないんです。実際、以前、日銀マンとお話した時に「中野くんさぁ、君の本には得意気に信用創造に付いて書かれて居るけど、アレは我々に取っては当たり前の事だよ」と苦笑いされたことがありますよ(笑)

 ・・・そうナンですね。前回の信用貨幣論の説明の処で、中野さんは「貨幣を創造するとは、負債を発生させる事だ」と仰いましたがマサにそれですね。フライデーがクルーソーに対して〔秋に魚を渡す〕と云う負債を負った時に〔借用証書・貨幣〕が生まれた様に、A社が銀行に〔1000万円を返す〕と云う負債を負った時に、1000万円の預金通貨が生み出される訳ですね?
 そう云う事です。それは重要なポイントで、銀行からおカネを借りたい個人や企業が居るから、信用創造は行われるのです。銀行が幾ら信用創造をしたくても、借り手が居なければ信用創造は出来無いと云う事です。
 ・・・為る程、そう云う事に為りますね。でも、一寸待ってください。信用貨幣論では、銀行が創造した1000万円と云う預金は銀行の借用証書・負債と云う事に為りますよね? でも、この場合には負債を負って居るのはA社じゃないですか? 銀行は債権を持つのであって負債を負うのでは無いですよね? 何か、頭の中がコンガラカッテ来ます・・・

 その疑問は、バランスシートを見れば解消出来ます。銀行が信用創造をした結果、銀行とA社のバランスシートは次の様に為ります。表1の通り・・・銀行が創造した1000万円の預金は〔負債の部〕に計上されるんです。

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 ・・・本当だ・・・でも、何故預金が銀行の負債に為るんですか?

 だって、A社が預金を引き出したいと銀行に言えば、銀行は現金通貨(紙幣と鋳貨)で支払う義務があるじゃないですか? 詰り、銀行はA社に対して1000万円の現金通貨を支払う〔負債〕を負って居る事に為ります。
 ・・・ア、そうか。詰り、銀行とA社はお互いに借用証書を交換して居る様なものなんですね?
 そう云う事ですね。そして、貨幣として市中で流通するのは、A社の借用証書では無く、銀行の負債(借用証書)である銀行預金だと云う事です。銀行は、預金を政府発行の現金通貨と交換する事を約束して居ますからね。ちなみに、A社が1000万円を銀行に完済した時のバランスシートはこう為ります(表2)

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 ・・・為る程。信用創造で生まれた1000万円の貨幣が消える訳ですね。
 はい。銀行の貸し出しに依って1000万円の預金が創造され、借り手が債務1000万円を銀行に返済すると預金は消滅すると云うのが、信用創造の仕組みなんです。
 ・・・それにしても、信用創造とは、マルで魔法の様ですね。

 「信用創造」が無ければ「資本主義」は生まれ無かった

 同感です。元手と為る資金の量的な制約を受ける事無く、貸出しをする事が出来る〔信用創造〕と云う銀行制度は、実に恐るべき機能だと思いますよ。だけど、この〔信用創造〕が無ければ、資本主義経済は現在のように発展することは無かった筈です。
 現代の資本主義経済は、大規模な設備投資を必要としますから、巨額の資金を調達し無ければ為りません。もし、銀行が元手と為る資金を集め無ければ貸出しが出来無いのだとしたら、巨額の設備投資を行う事は出来無かったでしょう。実際、18世紀後半から19世紀前半に掛けて、イギリスで産業革命が起きたのも、それに先行して銀行制度が出来て居たからだと言われて居るんです。

 ・・・処で、信用創造に元手と為る資金が不要なのだとしたら、銀行は幾らでも好きなだけ貸し出す事が出来る訳ですか?
 嫌々、流石にそんなドラえもんの様な話には為りません(笑)流石に借り手側に返済能力が無ければ、銀行は貸出しを行う事は出来ません。だからコソ、銀行は、融資の際に借り手を審査する訳です。詰り、銀行の貸出しの制約と為るのは貸し手(銀行)の資金保有量では無く〔借り手の返済能力〕と云う事に為ります。
 大雑把に云えば〔借り手側に返済能力がある限り、銀行は幾らでも貸出しを行う事が出来てしまう〕と云う事。もっと言えば〔借り手側に返済能力が有る限り、銀行は幾らでも預金貨幣を生み出す事が出来る〕と云うことです。念の為に付け加えて置くと、民間銀行の信用創造には法令による制約は有りますが、本質的には、信用創造の制約と為るのは借り手の返済能力だと考えて好いでしょう。

 ・・・為る程。
 サテ、これで、要約本題に戻る事が出来ます。ここ迄の説明で「貸出しが預金を生む」と云う信用創造の原理を理解して貰えたと思いますが、この原理は、銀行の政府に対する貸出しにもそのママ当て嵌ります。詰り、政府が国債を発行して銀行が引き受ける時の原資は、民間の金融資産(預金)では無いと云う事です。
 銀行が国債を引き受けると云うのは、銀行が政府に対して信用創造をすると云う事ですから、民間の金融資産(預金)の制約は一切受けません。従って、国債を幾ら発行して赤字財政支出を膨らませても、民間の金融資産が減る事等在り得ませんから、国債金利の高騰と云う現象も起こりえ無いんです。真実は逆で、国債を発行して財政支出を拡大する事で、財政支出額と同額だけ預金通貨は増えるのです。
 ・・・信じられ無い様な話ですが、理屈上は確かにそう為りますよね。

 「国債は次世代へのツケ」が嘘である理由

 これは理屈では無く、実際のオペレーションでもそう為って居ます。但し、日本政府は、日本銀行にしか口座を持って居ませんから、民間銀行から直接借り入れる事は出来ませんので、少々複雑なオペレーションに為ります。

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 此処では、政府が1億円の国債を発行して公共事業を行うとしましょう(図1)先ず、市中銀行に国債を購入して貰う必要が有りますが、その時、市中銀行が開設して居る日銀当座預金が1億円減り、政府が開設する日銀当座預金にその1億円が振り替えられます。尚、国債を購入する市中銀行の日銀当座預金は日銀から供給されたものですから、民間預金とは全く無関係のオペレーションです。
 次に、政府は公共事業の発注先企業に1億円の政府小切手を交付し、政府小切手を受け取った企業は、自分の取引銀行に政府小切手を持ち込んで、代金の取り立てを依頼します。そして、取り立てを依頼された銀行は、1億円を企業の口座に記帳すると共に、1億円を政府から取り立てる様に日銀に依頼します。重要なのは、銀行が企業の口座に記帳した瞬間に、1億円の新たな民間預金が生まれて居る事です。

 ・・・為る程、確かに財政赤字支出で新たな民間預金が生まれて居ますね。

 ええ。それで、銀行から1億円の取立てを依頼された日銀は、政府の日銀当座預金から銀行の日銀当座預金に1億円を振り換えます。この1億円は、先程銀行が国債を購入した時に振り替えられたものです。詰り、銀行の日銀当座預金から政府の日銀当座預金に振り替えられた1億円が、再び銀行の日銀当座預金に戻って来る訳です。赤字財政支出をしても日銀当座預金に変化は生じ無い訳ですから、国債金利も一切変化し無いと云う事に為ります。

 ・・・アレ? と云う事は、銀行の日銀当座預金に戻って来た1億円で、再び1億円の新規国債を購入出来ると云う事ですか?
 その通りです。このオペレーションは無限に繰り返す事が出来るのです。しかも、このオペレーションを回す度に、国債発行額と同額の民間預金が増えて行く訳です。詰り、国債の発行に依って民間の金融資産を吸い上げて居るのでは無く、財政赤字の拡大に依って、民間で流通する貨幣量を増やして居ると云う事です。
 ・・・これも又、魔法の様な話ですね・・・
 そうですね。但し、これはMMTのオピニオンでは無く、国債発行の実務を説明して居るだけの事です。単なる〔事実〕なんです。だから、財務省や〔主流派の経済学〕が主張して居る「財政赤字の増大に依って民間資金が不足し金利が上昇する」等と云う現象等起きる訳が無い。増してや「国債を消化出来無く為る」等と云う事等有り得ないんです。その様な誤った主張をするのは、単に〔事実誤認〕をして居るからと云うだけの事です。

 ・・・為る程。しかし、超エリートの方々が、この〔事実〕を知ら無い筈が無いと思うんですが・・・どうも、そこが腑に落ちません。
 確かに、不思議な事ですよね。
 ・・・処で、国債は何れ償還し無ければ為りませんよね? 詰り、将来世代にツケを回して居るのではないですか?

 好く聞く話ですが、それも誤りです。「国債の償還財源は、将来世代の税金で賄われ無ければ為ら無い」と云う間違った発想をして居るからそう云う話に為るんです。だって、自国通貨を発行出来る政府は永遠にデフォルトしないのだから、債務を完全に返済し切る必要等有りませんからね。
 詰り、国債の償還の財源は税で有る必要は無く、国債の償還期限が来たら新規に国債を発行して、それで同額の国債の償還を行う〔借り換え〕を永久に続ければ云いのです。実際、それは先進国が普通に遣って居る事です。だから、英米仏等殆どの先進国に於いて、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めて居ません。処が、何故か日本は償還費も計上して居るんですけどね・・・

 ・・・日本だけが、何故そんな殊をして居るんですか?
 サァ、好く判りません。政府債務は完済し無くても好いのだから、英米仏の遣り方が理に適って居ると思いますけどね。トモアレ、国債の償還は必ずしも税金で賄う必要は無く、新規国債で〔借り換え〕を続ければ好いのですから、国債を発行しても将来世代にツケを残す事には為りません。
 この〔事実〕を知らずに、消費税増税にコロナウイルスが重為って〔恐慌〕すらも 起こり得る状況下で、国債発行による財政出動を躊躇する様な事が有れば、国民は〔どん底〕に叩き落とされるかも知れないと心配しています。

 ・・・為る程。しかしですね、MMTが言う様に、自国通貨を発行出来る政府の国債はデフォルトしないので、幾らでも好きなだけ財政支出をする事が出来るので有れば、税金等要ら無いではないですか? 無税国家で好いじゃないですか?


 第三回 おわり 第四回へつづく


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 中野剛志(なかの・たけし)1971年神奈川県生まれ 評論家 元・京都大学大学院工学研究科准教授 専門は政治経済思想 1996年 東京大学教養学部(国際関係論)卒業後 通商産業省(現・経済産業省)に入省 2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し政治思想を専攻 2001年に同大学院より優等修士号 2005年に博士号を取得 2003年 論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞 
 主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(集英社新書)『富国と強兵』(東洋経済新報社)『国力論』(以文社)『国力とは何か』(講談社現代新書)『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)『官僚の反逆』(幻冬社新書)『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)など 『MMT 現代貨幣理論入門』(東洋経済新報社)に序文を寄せた















                   

中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第二回




 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第二回


  〔貨幣・お金〕の成り立ちとは 解説

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                  中野剛志氏

 MMT・Modern Monetary Theoryは、その名にmonetaryと有る様に〔貨幣〕から出発する理論です。現代の世界では、私達は単なる紙切れに過ぎない〔お札〕を〔お金〕として使ったり、貯め込んだりしています。単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣」として使われて居るのか? 
 資本主義経済で〔貨幣〕がどの様に機能して居るのか? それを解き明かしたのがMMTです。そして〔貨幣とは何か?〕を理解すれば、国家財政に付いて正しい認識を持つ事が出来ます。先程の〔国債を発行して財政支出を拡大すると、民間金融資産(預金)が増える〕と云う事も、それが当たり前の事だと理解出来る筈です。

 ・・・では、MMTは〔貨幣〕をどう理解して居るのですか?
 可成り遠回りの説明に為りますが付き合って呉れますか?
 ・・・勿論です。

  【マネーの本質】何故、単為る〔紙切れ〕の紙幣で買い物が出来るのか?

 〜1990年代から日本は、国債を発行し捲くって政府債務残高がドンドン増えて、多くの経済学者やエコノミストが〔国債金利が高騰する、高騰する〕と言い続けて来た。しかし、長期国債金利は世界最低水準に有るのが現状だ。何故、予測は外れて来たのか? 中野剛志氏は「そもそも、貨幣を正しく理解して居ない事」に問題があると言う。では、貨幣とは何か? 何故、単なる〔紙切れ〕の紙幣で買い物が出来るのか? 説明して貰った〜

 単なる紙切れの「お札」で、何故買い物が出来るのか?

 ・・・前回、中野さんは〔主流派経済学〕が〔貨幣〕を正しく理解して居ないと仰いました。では、MMTは〔貨幣〕をどう理解して居るのですか?
 判りました。では、それをご説明する前に、私から質問しても好いですか? 貴方は、単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣〕として流通して居ると思いますか?
 ・・・そうですね・・・皆がその〔お札〕を受け取ると信じて居るからでしょうか。
 そう答える人が多いですね。では、何故、皆はその〔お札〕を受け取ると信じて居るのですか?
 ・・・うーん・・・

 答えられ無いですよね? 皆が〔お札〕を受け取るのは、皆が〔お札〕を受け取ると信じて居るから。では、何故皆が〔お札〕を受け取ると信じて居るかと云うと、皆が信じて居るから・・・これを〔無限退行〕と言いますが、説明に為って居ない訳です。しかし、実は〔主流派経済学の標準的な教科書〕とされる『マンキューマクロ経済学T 入門編』(グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社、2010年)でも、同じ様な説明がされて居ます。読んでみましょう。

 「原始的な社会では、物々交換が行われて居たが、その内に、何等かの価値を持った『商品』が、便利な交換手段・・・詰り貨幣として使われる様に為った。その代表的な『商品』が貴金属、特に金である。これが、貨幣の起源である。しかし、金そのものを貨幣とすると、純度や重量等貨幣の価値の確認に手間が掛かるので、政府が一定の純度と重量を持った金貨を鋳造する様に為る。
 次の段階では、金との交換を義務付けた兌換紙幣を発行する様に為る。こうして、政府発行の紙幣が標準的な貨幣と為る。
 最終的には、金との交換に依る価値の保証も不要に為り、紙幣は不換紙幣と為る。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値が有り、貨幣としての役割を果たす」


 最後の一文をご覧ください「交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値が有り、貨幣としての役割を果たす」と云うのは、先程の貴方の意見と同じ事です。要するに、「皆がおカネがおカネだと思って居るから、皆がおカネをおカネだと思って使って居る」と云う訳です。これが〔主流派経済学の標準的な貨幣論〕なんです。
 しかし、この主流派経済学の説が正しいとすると、貨幣の価値は「皆が貨幣としての価値が有ると信じ込んで居る」と云う極めて頼り無い大衆心理に依って担保されて居ると云う事に為ります。そして、もし人々が一斉に貨幣の価値を疑い始めてしまったら、貨幣はその価値を一瞬にして失ってしまう訳です。

 ・・・そう言われると、随分頼り無い議論ですよね・・・
 ハッキリ言って苦し紛れの説明です。何故、その様な説明をせざるを得無いかと云うと〔主流派経済学〕が〔商品貨幣論〕を採って居るからです。
 ・・・〔商品貨幣論〕とは?

 「物々交換から貨幣が生まれた」と云う学説は否定されて居る

 先程のマンキューの説明が典型ですが〔貨幣の価値は、貴金属の様な有価物に裏付けられて居る〕と云う学説です。物々交換は面倒臭いので、金や銀等のそれ自体で価値の有るモノを選んで、それを〔交換の手段〕としたと云う訳です。だけど、この商品貨幣論は間違いです。
 ・・・間違いですか? 日本でも過つてはコメが貨幣として流通して居たそうですから、納得出来る様な気がするんですが・・・

 嫌、この考え方は間違いだと本当は私達は既に知って居ます。何故なら、1971年にドルと金の兌換が廃止されて以降、世界の殆どの国が貴金属による裏付けの無い〔不換貨幣〕を発行して居ます。処が、誰も貨幣の価値を疑いはしませんでした。そして、マンキューがそうで有る様に〔商品貨幣論〕では、何故不換貨幣が流通して居るのかに付いて納得出来る説明が出来無いのです。
 ソモソモ、イギリスでは17世紀後半、擦り減って重量が減った銀貨が流通して居ましたが、物価や為替相場に全く影響を与えませんでした。銀貨にはそれ自体に価値が有るから流通して居るのだとすれば、擦り減った銀貨が同じ価値で流通して居るのは可笑しな現象と云う事に為りますよね?それに、イギリスは19世紀に一時期、ポンドと金の交換を停止して居る時期がありましたが、その頃ポンドは使われ無く為ったかと云うと、逆で、ポンドが国際通貨としての地位を確立したのは、マサにその時期だったんです。

 ・・・そうなんですか?
 エエ。
 ・・・と云う事は、過つて人々は金貨・銀貨それ自体に価値が有るから貨幣として使って居る積りだったけれど、実は、別の原理に依って貨幣の価値は裏付けられて居たかも知れない・・・と云う事ですか?

 そう云う事に為りますね。それに、貨幣の起源を研究した歴史学者や人類学者・社会学者達も、今日に至る迄誰も〔物々交換から貨幣が生まれた〕と云う証拠資料を発見する事が出来ませんでした。それ処か、硬貨が発明されるより数千年も前のエジプト文明やメソポタミア文明には、或種の信用システムが既に存在して居たのです。
 例えば、紀元前3500年頃のメソポタミアに於いては、神殿や宮殿の官僚達が、臣下や従属民から必需品や労働力を徴収すると共に彼等に財を再分配して居ました。そして、神殿や宮殿の官僚達が臣下や従属民との間の債権債務を計算したり・簿記として記録する為の計算単位として貨幣と云う尺度を使って居ました。メソポタミアで出土した粘土板にその記録が遺されて居るのです。
 又、古代エジプトは私有財産や市場に於ける交換は存在し無い世界でしたが、ソコに貨幣は存在して居ました。その貨幣も又、国家が税の徴収や支払い等を計算する為の単位として使われて居たのです。

 ・・・詰り、金貨や銀貨と云った鋳貨よりも先に、帳簿で記録したり計算する為の単位として貨幣が存在して居たと云う事ですか?
 そう云う事です。実際、世界史上、金属貨幣が初めて鋳造されたのは小アジアのリディアで、メソポタミアや古代エジプトから遥か後の紀元前6世紀頃の事だとされて居ます。
 ・・・非常に興味深いですね。帳簿上の貨幣単位が先に在って、後で現物貨幣が生まれたのが歴史的事実だとしたら、貨幣が物々交換や市場に於ける取引から生まれたとする〔商品貨幣論〕は間違いと云う事に為りますね。
 エエ。歴史学・人類学・社会学に於ける貨幣研究に依って〔商品貨幣論〕は既に否定されて居ます。勿論〔貨幣とは何か?〕に付いては、現在も様々な説がありますが、少なくとも〔商品貨幣論〕の様な素朴な貨幣論を未だに信じて居る社会科学は最早〔主流派経済学〕位のものです。

 ・・・では、商品貨幣論が間違いだとしたら、貨幣とは一体何なのですか?

 〔貨幣〕とは〔借用証書〕である

 MMTが立脚して居るのは〔信用貨幣論〕と云う学説です。
 ・・・〔信用貨幣論〕とは?

 イングランド銀行の季刊誌(2014年春号)の解説が判り易いので、それに基づいてご紹介しましょう。その解説は
 「商品貨幣論が根強いけれども、それは間違ってます。信用貨幣論が正しいんですよ」と云う趣旨で書かれて居るのですが、ソコに
 「今日、貨幣とは負債の一形式であり、経済に於いて交換手段として受け入れられた特殊な負債である」と云う文章があります。要するに、貨幣は〔特殊な借用証書〕だと云うのが〔信用貨幣論〕なんです。
 ・・・一寸、何を言って居るのか判りません・・・

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 ですよね・・・その季刊誌では〔信用貨幣論〕の意味を判り易く説明する為に「ロビンソン・クルーソーとフライデーしか居ない孤島」と云う架空の事例を挙げて居ます。その孤島で「ロビンソン・クルーソーが春に野苺を収穫してフライデーに渡す。その代わりにフライデーは、秋に獲った魚をクルーソーに渡す事を約束する」とします。この場合春の時点で、クルーソーがフライデーに対して〔信用〕を与えると共に、フライデーにはクルーソーに対する〔負債〕が生じて居ます。
 そして、秋に為って、フライデーがクルーソーに魚を渡した時点でフライデーの〔負債〕は消滅する訳です。しかし、口約束では証拠が残りませんよね? そこで、約束をした時に、フライデーがクルーソーに対して〔秋に魚を渡す〕と云う〔借用証書〕を渡します。この〔借用証書〕が貨幣だと云う訳です。     

 ・・・確かに、クルーソーは、秋に為ってその〔借用証書〕をフライデーに渡せば魚と交換出来ますから〔貨幣っぽい〕様な気はしますが、飽く迄もクルーソーとフライデーの間での取り決めと云うだけでは無いですか?

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 では、話を少しアレンジしましょう。この島には、クルーソーとフライデー以外に、火打ち石を持って居るサンデーと云う第三者が居るとします。そして、サンデーが〔フライデーは約束を守るヤツだ〕と思って居ると共に〔魚が欲しい〕と思って居れば、クルーソーはフライデーから貰った〔秋に魚を渡す〕と云う〔借用証書〕をサンデーに渡して、火打ち石を手に入れる事が出来るでしょう。
 更に、この三人に加えて、干し肉を持って居るマンデーと云う人も居たとします。そして、マンデーも〔フライデーは約束を守るヤツだ〕〔魚が欲しい〕と思って居るとすれば、今度は、サンデーが例の〔借用証書〕をマンデーに渡して干し肉を手に入れる事が出来るでしょう。 
 その結果、フライデーは〔秋に魚を渡す〕と云う債務を、マンデーに対して負ったと云う事に為ります。そして、秋に為ってマンデーがフライデーから魚を手に入れれば、フライデーの〔借用証書・負債〕は破棄される訳です。     

 ・・・為る程。確かに、その様に〔借用証書〕が流通すれば貨幣と言えそうですね。イングランド銀行の季刊誌が〔貨幣とは負債の一形式である〕と書いて居る意味が少し判って来ました。

 誰かが誰かに「負債」を負った時に「貨幣」は生まれる

 此処で重要なポイントが2つあります。第一に重要なのは、クルーソーとフライデーの野苺と魚の取引が、同時に行われるのでは無く、春と秋と云う異なる時点で行われると云う事です。だからコソ、そこに〔信用〕と〔負債〕が生まれ、フライデーが負った〔負債=借用証書〕が貨幣として機能して居るのです。
 もしも、野苺と魚を同時に交換する〔物々交換〕で有った為らば、取引が一瞬で成立するので〔信用〕や〔負債〕は発生しません。そして、ソコには〔借用証書〕=〔貨幣〕も必要とされ無いと云う事に為ります。

 ・・・為る程。そう考えると、先程のメソポタミアの粘土板に刻まれた記録の意味も判る気がします。神殿や宮殿の官僚達が、臣下や従属民から必需品や労働力を徴収すると共に、彼等に財を再分配して居たとの事ですが、徴収と再配分は異なる時点で行われる筈ですから、誰からドレだけ徴収してその人にドレだけ再配分し無ければいけ無いかを記録する必要が有りますものね。そして、その〔信用〕と〔負債〕の記録が貨幣の起源と為ったと。
 そうです。だから、先程私は「エジプト文明やメソポタミア文明には、或る種の信用システムが既に存在して居た」と言ったのです。貨幣は〔物々交換〕から生まれたのでは無く〔信用システム〕から生まれたのです。
 ・・・詰り、こう考えても好い訳ですか? フライデーがクルーソーに〔秋に魚を渡す〕と云う負債を負った為に〔借用証書〕が生まれた様に、誰かが誰かに負債を負った瞬間に〔貨幣〕は生まれると。

 そう云う事ですね。〔貨幣を創造する〕とは〔負債を発生させる〕事だと云う事なんです。これは〔信用貨幣論〕の非常に重要なポイントなので好く覚えて置いてください。但し、此処で2つめの重要なポイントがあります。
 と云うのは、債務を負った人は〔借用証書〕を発行しますが、誰が発行した〔借用証書〕でも貨幣として流通する訳では無いからです。負債には常に〔デフォルト・債務不履行〕詰り借り手が貸し手に返済出来無く為ると云う可能性があります。そこには、必ず〔不確実性〕が存在して居るのです。だから、誰の負債でも、貨幣として受け取られると云う事には為りません。
 先程のクルーソー達の島でも、フライデーの事を〔アイツは約束を守るヤツだ〕と信頼して居なければ誰もフライデーの〔借用証書〕を受け取ら無いでしょうから、貨幣として流通する事は無い訳です・・・詰り、デフォルトの可能性が殆ど無いと全ての人々から信頼される〔特殊な負債〕のみが貨幣として受け入れられ、流通する様に為るのです。これを、イングランド銀行の季刊誌では、貨幣は〔信頼の欠如と云う問題を解決する社会制度である〕と表現して居ます。

・・・為る程。詰り〔信用貨幣論〕に依れば、円・ポンド・ドル等の貨幣は、デフォルトの可能性が殆ど無い政府(中央政府+中央銀行)が発行する〔借用証書〕だから貨幣として受け入れられ、流通して居ると云う事ですね?
 マァ、一応はそう言う事が出来ますね。
 ・・・だけど、凄くモヤモヤします。1万円札が政府の〔借用証書〕だとしたら、それを政府に持って行ったら何かを貰える筈ですよね? クルーソーがフライデーに〔借用証書〕を持って行ったら魚を貰える様に・・・過つての金本位制の様に〔金〕と交換して貰えるなら〔借用証書〕だと思えますが、今はそうでは無いですよね?

 それでしか税金を支払え無いから〔紙切れ〕に価値が生まれる

 そうなんですよ。実際、イギリスの5ポンド紙幣には「要求有り次第、合計5ポンドを所持人に支払う事を約束する」と述べる女王の姿が描かれて居るだけです。
 ・・・本当ですか? 幾ら女王様が保証して下さっても、5ポンド紙幣と引換えに別の5ポンドを渡されるのでは意味が無いですよ。そんな約束をして居るだけの貨幣はヤッパリ只の紙切れとしか言え無いのでは無いですか? 〔信用貨幣論〕に付いて色々お話を伺って来ましたが「単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣〕として流通して居るのか?」と云う最初の質問に結局の処応えられ無いじゃないですか?

 そんなに怒らないでください(笑)MMTは、その問いにこう応えます。先ず、政府は円やポンドやドルを自国通貨として法律で定めますが、次に何をするかと云うと、国民に対して税を課して法律で定めた通貨を〔納税手段〕として定める訳です。
 これで何が起こるかと云うと、国民に取って法定通貨が〔納税義務の解消手段〕としての価値を持つ事に為ります。納税義務を果たす為にはその〔法定通貨〕を手に入れ無ければ為りませんからね。此処に、その貨幣に対する需要が生まれる訳です。
 こうして人々は、通貨に額面通りの価値を認める様に為り、その通貨を民間取引の支払いや貯蓄等の手段として・・・詰り〔貨幣〕として・・・利用する様に為るのです。要するに「人々がお札と云う単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのはその紙切れで税金が払えるから」と云うのがMMTの洞察です。
 貨幣の価値を基礎付けて居るのは何かと云うのを掘って掘って掘り進むと〔国家権力〕が究極的に貨幣の価値を保証して居ると云う認識に至ったのです。

 ・・・為る程・・・詰り、フライデーが発行した〔借用証書〕をクルーソーがフライデーに持って行ったら魚が貰える様に、政府が発行した〔借用証書」を政府に持って行ったら〔租税債務〕を解消して貰えると云う事ですね?
 そう云う事です。
 ・・・確かに、その説明には説得力を感じます。納税義務に違反すれば罰則を科せられると云う〔強制力〕が貨幣の価値の根本に有ると云うのはリアリティが有りますよね。しかも、納税義務は国民に一斉に課す事が出来るものですから、一斉に貨幣需要が生まれる事にも為ります。
 ええ。国家の〔徴税権力〕と云うのは強烈な権力ですからね。それに、これは歴史的にも実証されて居る事です。



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                    中野剛志氏

  第二回 おわり 続いて 第三回へつづく



 





 








2020年04月06日

中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第一回



 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第一回


 経済学200年の歴史で、最もスキャンダラスな理論

           〜中野剛志 経済評論家 2020.3.31 4:45〜


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 〜〔財政健全化し無ければ財政破綻する〕と云う常識に真っ向から反論するMMT・現代貨幣理論が話題だ。〔日本政府はもっと財政赤字を拡大すべき〕と云う過激とも見える主張だけに賛否両論が渦巻いて居る。常識とMMTのドチラが正しいのか? 
 〔経済学オンチ〕の書籍編集者が、日本に於けるMMTの第一人者である中野剛志氏に、素朴な疑問をブツケ捲くってみた〜 
構成 ダイヤモンド社  田中泰


 
 ・・・中野さんは、賛否両論を呼んで居るMMT・Modern Monetary Theoryの中心的論者であるL・ランダル・レイが書いた『MMT 現代貨幣理論入門』(2019年8月刊)の日本版の序文を書いていらっしゃいますが、どう云う経緯で執筆されたのですか?
 私が初めてMMTに付いて触れた『富国と強兵 地政経済学序説』と云う本を2016年に出版したんですが、その担当編集者にコノ本の翻訳書を出したらどうかと勧めたんです。それが2018年の事ですから、アメリカ民主党のオカシオ・コルテス議員がMMT支持を表明する前の事です。まさかかMMTが米国内で大論争に為り、それが日本に飛び火して来るとは思って居ませんでした。

 ・・・為る程、それで序文を依頼された訳ですね。今正に、アメリカ民主党の大統領候補者争いで健闘して居るサンダース議員の政策顧問に、MMTの主唱者の一人であるステファニー・ケルトン・ニューヨーク州立大学教授が付いて居るそうですから、アメリカでは、これから更にMMT論争が広がりそうですね。それにしても、500ページを超える大著で、3400円(税別)と云う高価格本としては、好く読まれて居ますね?
 その様ですね。アメリカから日本にMMT論争が飛び火して、財務省や主流派の経済学者を中心に、MMTはそんな事は言って居ないのに「野放図に財政出動するなんてバカげて居る」と云った批判が噴出して、多くの国民も「MMTって何なんだ?」と関心を持ったのでしょう。MMTを体系的に説明する入門書が出版されたら、これを読まずに議論するのはフェアじゃないですからね。

 ・・・この本が出てから、日本に於けるMMTに対する批判はどう為りましたか?
 当初好く在った〔トンデモ理論〕〔単なる暴論〕と云った批判は止んでしまった感じもしますが、単に世の中の話題としてMMTの旬が過ぎただけなのかも知れません。それは判ら無いですね。
 ・・・私は、もっと批判が出て議論が深まって欲しいと思って居ます。中野さんのMMTの解説を読んで居ると〔為る程〕と思うんですが、一方で、私には経済学の素養が無いので、何かを見落として居て、騙されてるんじゃないかと不安に為るからです。
 為る程。
 ・・・勿論、当初、MMTは〔ポッと出の新奇な理論〕なのかと思いましたが、可成り歴史的な蓄積の有る理論で有る事も解かって居る積りです。しかし、MMTの議論を見聞きして居ると、これ迄、何と無く〔当たり前〕と思って来た事が、次々に覆されるので戸惑いも感じてしまうんです。

 そうですね。MMTは、20世紀初頭のクナップ・ケインズ・シュンペーター等の理論を原型として、アバ・ラーナー、ハイマン・ミンスキー等の卓越した経済学者の業績も取り込んで、1990年代に成立した経済理論ですから、その原型も含めて考えれば約100年に及ぶ歴史を持って居ます。
 そして、MMTは、世界中の経済学者や政策担当者が受け入れて居る〔主流派経済学〕が大きな間違いを犯して居る事を暴きました。しかも、経済学とは、貨幣を使った活動に付いての理論の筈ですが、その貨幣に付いて、主流派経済学は正しく理解して居なかったと云うんです。
 もし、MMTが正しいとすれば〔主流派経済学〕はその基盤から崩れ去って、その権威は地に落ちる事に為るでしょう。こんなスキャンダラスな事は、アダム・スミス以来、約200年の歴史を持つ経済学でも早々無かった事です。アナタが戸惑うのも無理無いと思います。

 「日本に財政破綻が有り得ない」事は財務省も認めて居る

 ・・・もしも、現実の経済政策に影響を与えて居る〔主流派経済学〕が大きな間違いを犯して居るとしたら一大事です。しかし〔主流派経済学の理論が基盤から崩れ去る〕と聞くと、矢張り〔まさか〕と云う気がします。そこで、改めてMMTに付いてご説明頂けませんか? そして、私の素朴な疑問にお応え頂きたいのです。
 判りました。誤解を恐れずに、MMTを最も手短に説明するとこう為ります。〔日英米の様に、自国通貨を発行出来る政府(中央政府+中央銀行)の自国通貨建ての国債はデフォルトしないので、変動相場制の基では、政府は幾らでも好きなだけ財政支出をする事が出来る。財源の心配をする必要は無い〕と。経済学の世界では、好く〔フリーランチは無い〕と言われますが、国家財政に関しては〔フリーランチは有る〕んです。
 自国通貨発行権を持つ政府は、レストランに入って幾らでもランチを注文する事が出来る。カネの心配は無用。但し、レストランの供給能力を超えて注文する事は出来ませんけどね。

 ・・・行き成り強烈な違和感が・・・〔政府はデフォルトし無いから、幾らでも好きなだけ財政支出出来る〕と聞くと、矢張り抵抗を感じます。政府やマスコミはズッと「これ以上財政赤字を増やしたら、財政破綻する」と言い続けて居ますし、多くの国民もそう思って居る筈です。
 マァ、そうですね。それが社会通念でしょう。でも〔日本政府はデフォルトしないから、幾らでも財政支出出来る〕と云うのは、MMTを批判する人々も同意して居る、或いは同意出来る単なる〔事実〕を述べて居るに過ぎ無いんです。
 ・・・単なる事実? しかし〔GDPに占める政府債務残高〕は240%に近づいて居り、主要先進国と比較しても最悪の財政状況です。これも厳然たる事実ですよね?

 「国家経営」と「企業経営」を同一視するのは初歩的間違い

 ・・・為る程・・・しかしですね、今の日本の一般歳出の内、税収等で賄えて居るのは約3分の2。残り3分の1は新規国債で賄って居る状態です。そして、図2の様に、累積赤字はドンドン積み上がって居ます。これが民間企業や家計なら確実に破綻しますよね? だからコソ、政府はプライマリーバランスの黒字化を訴えて居るのでは?

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 確かに、政府債務は積み上がって居ます。しかし、国家の経済運営を企業経営や家計と同じ発想で考えるのは、絶対に遣っては為ら無い初歩的な間違いです。何故なら、政府は通貨を発行する能力が有ると云う点に於いて、民間企業や家計とは決定的に異なる存在だからです。
 個人や民間企業は通貨を発行出来無いので、何れ収入と支出の差額を黒字にして、ソコから借金を返済し無ければ為ら無いのは当然の事です。処が、通貨を発行出来る政府にはその必要はありません。国家は自国通貨を発行出来ると云う〔特権〕を持った存在ですから、自国通貨建ての債務がドンなに積み上がっても、返済出来無いと云う事は有り得ない。
 その意味で、共通通貨ユーロを採用したヨーロッパの国々は、自国通貨の発行権と云う特権を放棄した為に、国家で有るにも関わらず民間主体と同じ様に、破綻する可能性の有る存在へと成り下がってしまったとも言えるのです。

 ・・・確かに、通貨発行権を持つ政府と民間企業・家計を同列に語れ無い事は判ります。しかし、国家が〔特権〕を持つからと言って、幾らでも借金が出来るなんて、そんなに〔旨い話〕が有るとは俄かに信じられません。
 そもそも政府がこれ以上借金出来無く為る時が来るのではないですか? 今の日本には、民間の金融資産(預金)が豊富に有るから、銀行は国債を引き受ける事が出来ますが、何れ民間の金融資産が逼迫して来れば、国債を引き受ける事が出来無く為る筈です。


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 それも世間で好く言われる事で、主流派の経済学者もそう主張して居ます。だけど、それは完全な誤りです。その証拠に、図3を見てください。国債引受の為に民間の金融資産が減って居る為らば、国債金利を上げ無ければ新たな国債を引き受けて貰えない筈ですよね?
 しかし、1990年代から国債を発行し捲くって政府債務残高がドンドン増えて「国債金利が高騰する、高騰する」と言われ続けて来ましたが、ご覧の通り長期国債金利は下がり続けて居ます。世界最低水準で遂には殆どゼロに迄下がって居ます。アナタが言うのが本当ならば、こんな事は起きる筈が無いですよね?

 ・・・そうですよね・・・
 しかも、国債金利が世界最低水準に有ると云う事は、世界中のドノ国よりも〔国家財政が信認されて居る証拠〕でもあります。何故、そんな国が財政危機なんですか?
 ・・・うーん・・・ 

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 アア、これは好く見るグラフですね。確かに〔GDPに占める債務残高〕は深刻な財政危機に陥って居るギリシャやイタリアよりズッと悪くて日本はダントツの最下位です。だけど、それって可笑しな話だと思いませんか? 寧ろ、このグラフを見たらこう考えるべきなんです。
 何故、ダントツで最下位の日本では無く、ギリシャやイタリアが財政危機に陥ってるのかと。日本とギリシャが同じ為らば、日本の財政は2006年位の時点でトックニ破綻して無ければ可笑しいじゃないですか?
 ・・・確かにそうですね。何故、そう為って居ないんですか?

 簡単な話で、ギリシャとイタリアは、ユーロ加盟国で自国通貨が発行出来無いからです。過つて、ギリシャは〔ドラクマ〕イタリアは〔リラ〕と云う自国通貨を持って居ましたが、両国は自国通貨を放棄して共通通貨ユーロを採用しました。そして、ユーロを発行する能力を持つのは欧州中央銀行だけであって、各国政府はユーロを発行する事は出来ません。
 だから、ユーロ建ての債務を返済する為には、財政黒字によってユーロを確保する他無く、それが出来無ければ財政危機に陥ります。自国通貨発行権を持つ日本とは全く状況が異なるのです。
 ・・・では、2001年に財政破綻したアルゼンチンは? アルゼンチンには〔アルゼンチン・ペソ〕と云う自国通貨がありますよね?

 アルゼンチンの場合は〔外貨建ての国債〕がデフォルトしたのです。外貨建て国債の場合には、その外貨の保有額が足り無ければデフォルトします。
 しかし、日本は、ホボ全ての国債が〔自国通貨建〕てですから、自国通貨を発行して返済に宛てれば好い。何等かの理由で〔返済し無い!〕と政治的な意思決定をし無い限りデフォルトする事は有り得無い。実際、歴史上、返済の意志の有る国の自国通貨建ての国債がデフォルトした事例は皆無です。
 ・・・そうナンですか?
 エエ、これは財務省も認めて居る事で、2002年に外国の格付け会社が日本国債の格付けを下げた時に、財務省は「日・米等先進国の自国建て国債のデフォルトは考えられ無い。デフォルトとして如何為る事態を想定して居るのか」と云う反論の意見書を出しました。今も、財務省のホームページに載って居ます。詰り、MMT批判者も〔自国通貨を発行出来る政府の自国通貨建ての国債はデフォルトしない〕と云う〔事実〕は受け入れて居る筈なんです。

 「財政破綻論者」は根本的な「事実誤認」をして居る

 実は、何故こんな事に為るのか〔国債金利が高騰する〕〔財政破綻する〕と言い続けて来た経済学者も真面に説明出来て居ません。嫌、説明出来る筈が無いんです。と云うのは、彼等が根本的な〔事実誤認〕をして居るからです。
 ・・・事実誤認ですか?
 エエ。貴方は先程「民間の金融資産(預金)が豊富に有るから、銀行は国債を引き受ける事が出来る」と仰いましたね? 詰り、銀行が国債を買う原資は、民間が銀行に預けて居る金融資産だと云う訳です。そして、政府は、国債を発行する事で民間の金融資産を吸い上げて、それを元手に財政支出を行って居るのだから、国債を発行すればする程民間の金融資産は減ると考えて居る訳ですよね?
 ・・・そうですね。
 しかし、ソコが決定的な間違いなんです。事実は逆で〔国債を発行して財政支出を拡大すると、民間金融資産(預金)が増える〕んです。
 ・・・チョット理解出来ません・・・〔国債を発行して財政支出を拡大すると、民間金融資産(預金)が増える〕何て事が有る訳無いじゃないですか?
 しかしそれが事実です。理解出来無いのは、アナタが〔貨幣とは何か?〕を正しく理解して居ないからです。最も〔主流派経済学〕も貨幣に付いて正しく理解して居ません。先程「世界中の経済学者や政策担当者が受け入れて居る〔主流派経済学〕が大きな間違いを犯して居る事をMMTが暴いてしまった」と言いましたが、このポイントがマサにそれなんです。



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 中野剛志(なかの・たけし)1971年神奈川県生まれ 評論家 元・京都大学大学院工学研究科准教授 専門は政治経済思想 1996年 東京大学教養学部(国際関係論)卒業後 通商産業省(現・経済産業省)に入省 2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し政治思想を専攻 2001年に同大学院より優等修士号 2005年に博士号を取得 2003年 論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞 
 主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(集英社新書)『富国と強兵』(東洋経済新報社)『国力論』(以文社)『国力とは何か』(講談社現代新書)『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)『官僚の反逆』(幻冬社新書)『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)など 『MMT 現代貨幣理論入門』(東洋経済新報社)に序文を寄せた
 

 第一回 おわり 第二回につづく



 



 







「私達は耐え得る限界を超えました」コロナ対応でNYクオモ知事の支持率急上昇! 人間味溢れる言動と存在感




 「私達は耐え得る限界を超えました」

 コロナ対応でNYクオモ知事の支持率急上昇! 

 人間味溢れる言動と存在感


           〜FNN.jpプライムオンライン 4/6(月) 18:30配信〜


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                FNN プライムオンライン

  「クオモ2020担ぎ出し」新型コロナ対応で支持率上昇

 「正直に言うと、アンドリュー・クオモ(ニューヨーク州知事)は、ジョー・バイデン前副大統領よりも優れた大統領候補に為ると思うよ」

 これは、他為らぬトランプ大統領の言葉だ。3月27日にフォックス・ニュースのインタビューで、大統領選に向けての見通しを聞かれるとこう言った。これに対して、クオモ知事は報道陣にこう答えた。

 「私は大統領選に出て居ないし将来出る積りも無い。この危機に当たって政治的に行動する事も無い。大統領はパートナーなのだから、ニューヨーク州に良い事をして呉れれば誰よりも先にサンキューと言うよ」

 クオモ知事は、クリントン政権で住宅都市開発長官に任命された後、2011年からニューヨーク州知事を務めて居るが、矢張り同州知事を3期務めた父マリオ・クオモ氏の血を引いて、政界で存在感を発揮して居る。根っからの民主党員で、弟のクリス・クオモ氏はCNN放送のキャスターで、同局でもトランプ大統領には一際手厳しい事で知られる。
 2020年の大統領選でも立候補が噂されて居たが、クオモ知事は親しいバイデン前副大統領への支持を表明して出馬を否定して来た。

 しかし、その後巻き起こった新型コロナウイルス危機の被害が最も集中したニューヨーク州で、同知事の対応に称賛の声が高まり、シエナ大学が行った世論調査では支持率が87%に上って居る。こうした中、民主党の候補選びで残って居るバイデン前副大統領やバーニー・サンダース上院議員は、イベントの自粛から選挙運動も出来無い状況で半ば忘れ去られた存在に為って居る。
 そこで、民主党支持者の注目はクオモ知事に注がれる事に為り、大統領候補に推す声が高まって〔クオモ2020担ぎ出し〕と名付けたツイッター上の勝手連も出現し、賑やかな事に為って居る。

 NYの状況を積極的に訴え勝ち取った信頼

 その人気の理由だが、先ず、ニューヨーク州民の為なら政治的には正反対のトランプ大統領には頭を下げても援助を乞い、果たして貰えば最大限謝意を述べる事も忘れ無い、現実的な対応が有るだろう。その結果、連邦政府軍の工兵隊に依って数千床の野戦病院を建設させたり、人工呼吸器を他州に優先して配布して貰ったり、米国に2隻しか無い病院船の1隻をニューヨーク港に回航して貰うなど、目に見えた成果がある。
 さらに同知事は、毎日午前11時(現地時間)から記者会見を行い、ニューヨーク州内の状況に付いて詳しく説明すると共に、時にはこう訴える場面もある。

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  「ニューヨークを助けに来てください。私達はもう耐え得る限界を越えました。ボランティアの医療関係者が必要です。どうかお願いします」

 同知事は言ってみれば、政治家らしからぬ振る舞いと結果を伴う決断、それに人間味溢れる言動で指導性を発揮して、新型ウイルスの脅威に怯える毎日を送るニューヨーク州民の信頼を勝ち取った様だ。
 米民主党の候補者選びは、既に2人の候補の支持票の多くが確定して居るので、今からクオモ知事が候補者に選ばれる可能性は低いと見られるが、その先、2024年に向けて大きな布石を打ったのではないか。


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 執筆 ジャーナリスト 木村太郎    以上




 






 トランプ大統領に比べ際立つ NY州知事の危機管理能力

            〜Wedge 海野素央 4/1(水) 12:15配信〜


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             クオモNY州知事(REUTERS/AFLO)

 〜今回のテーマは〔脚光を浴びるクオモニューヨーク州知事〕です。新型コロナウイルス感染拡大と戦う東部ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(62)の評価が高まって居ます。その理由は一体何処に有るのでしょうか。
 本稿では、ニューヨーク市クイーンズ区出身のクオモ知事とドナルド・トランプ大統領(73)の記者会見を比較分析します。海野素央 明治大学教授 心理学博士〜


 データと緊迫感

 トランプ大統領とは異なり、クオモ知事はスクリーンにデータを映し出し、緊迫感溢れる記者会見を行って居ます。例えば、クオモ氏は3月24日の記者会見で、86万1700のサージカルマスク・35万3500の手袋・14万5122の防護服及び7万8528の医療用フェイスシールドを米連邦政府に要求しました。
 その際、これ等の数字を全てスクリーンに出して、ニューヨーク州では緊急を要する事態が発生して居ると云うメッセージを効果的に発信しました。

 加えて、クオモ知事は「3万の人工呼吸器が必要だ」と語気を強めて語り、14日以内の支給を連邦政府に迫りました。クオモ氏に依れば、米連邦緊急事態管理庁・略称FEMAフィーマFederal Emergency Management Agencyが、人工呼吸器を4000台支給しました。
 しかし、その数字は不十分であると主張して「死亡する人を2万6000人も選ば無ければ為ら無い」と述べて、州民の生死を分かつ究極の選択判断に遭遇して居る事を打ち明けました。続けて、1台の人工呼吸器を2人のコロナ患者に装着して対応して居る事も明かしました。

 クオモ知事は数字を効果的に使い、米国民に自然な口調で語り掛け、しかも緊急性に訴える事が出来る点が優れて居ます。実際、クオモ氏は記者団に対して「事実・データ・数字・見通しに基づいてコロナ対策に取り組んで居る」と率直に語って居ます。

 優先順位と警告
 
 言う迄もありませんが、危機的状況下のリーダーは政策に優先順位を着ける事が不可欠です。国民の生命が危険に直面して居る場合は警告を発します。
 クオモ知事はトランプ大統領に対して、政策に優先順位を着ける様に強く求めました。感染増加の州をスクリーンに映し出して「ニューヨーク州の感染者数はカリフォルニア州の10倍だ」と強調し、先ずニューヨーク州に人工呼吸器を優先して支給する様にトランプ氏に迫りました。

 更にクオモ知事は、ニューヨーク州は他州のテストケース(先例となる事例)で有ると指摘し「3週間後・4週間後・或いは6週間後に、ニューヨーク州の様に為る可能性が有る。ニューヨーク州は他州の未来で有る」と、米国民に警鐘を鳴らしました。
 クオモ氏は、ホワイトハウスの記者会見で楽観的な発言を連発するトランプ大統領とは全く異なったリーダーシップを発揮して居ます。

 「感情移入」の重要性

 オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデイビット・アクセルロッド氏は、トランプ大統領のリーダーシップに関して〔他者に対する感情移入及び配慮に欠ける〕と指摘して居ます。自然災害やテロ等に依る危機的状況では、被災者に対する感情移入は極めて重要な要素です。
 クオモ知事は「看護師は子供にキスをして出勤する。彼等は病院で感染した患者と戦って居る。家庭に感染症を持ち込ま無い様に祈りながら働いて居る」と語った上で「私は貴女がして居る事を認識して居る」と述べました。

 毎朝、出勤前に病院で新型コロナに感染するかも知れ無いと云う不安に駆られる看護師は、子供に普段とは違った特別な感情の籠ったキスをするのでしょう。帰宅後は、自分が家族に感染させ無いのか危惧の念を抱きながら生活を送って居るのです。
 クオモ知事はこの様な最前線で新型コロナと戦う看護師に感情移入をして、彼等の気持ちに沿った発言を行いました。そうする事で、看護師に対する承認と感謝の意を表した訳です。

 トランプの矛盾を突くクオモ

 経済再開の考えを表明したトランプ大統領ですが、ニューヨーク州及び隣接するニュージャージー州とコネチカット州に於ける隔離政策の可能性に言及しました。クオモ知事は即座に、経済再開と金融の中心地であるニューヨークに於ける隔離政策は矛盾して居ると指摘しました。その上で、トランプ大統領は、経済再開と正反対の政策を選択しようとして居ると激しく非難しました。

 米メディアによれば、トランプ大統領は感染症対策よりも経済政策を重視する方向へ踏み切ろうとして居ます。一方、クオモ知事は「公衆衛生戦略と経済戦略は二者択一では無く両立出来る」と議論し、後者の戦略に傾くトランプ大統領を批判しました。

 「トランプ対クオモ」の対立構図

 米連邦政府の新型コロナウイルス感染拡大の対応を巡って〔トランプ対クオモ〕の対立構図が鮮明に為って来ました。本来であれば〔トランプ対バイデン〕と為る処です。処が、民主党大統領候補が濃厚と為ったバイデン前副大統領ですが存在感は無く、代わりにクオモ知事がトランプ大統領の対戦相手に為って居ます。
 トランプ大統領は「ニューヨーク州はパンデミック・感染症の世界的な大流行に対して何年も前から備えて置くべきであった」「彼等(知事)が求めて居るほど多くの医療機器は必要では無いと思う」「ニューヨーク州では連邦政府が支給した人工呼吸器が倉庫に積んで在った」と語り、特にクオモ知事を標的にして居ます。

 ホワイトハウスでのバーチャル・タウンホールミーティング・遠隔対話集会に於いて、司会者がニューヨーク州に於ける新型コロナウイルス感染急増の理由に付いて質問をすると、感染対応に当たって居るタスクフォースのデボラ・バークス博士は、人口密集度とアジアからの旅行者に付いて説明しました。
 すると、トランプ大統領が「クオモ知事の所為か」と不意に口を差し挟む場面がありました。新型コロナウイルス感染対応で、クオモ知事に主導権を握られたく無いと云うトランプ大統領の強い思いが滲み出ていました。一部の有権者から「クオモ知事を大統領に」と云う声が上がる中で、トランプ大統領はコロナ対応でクオモ知事にクレジットを奪われ無い様に必死に為って居ます。


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           海野素央 明治大学教授 心理学博士     以上











  片田珠美「精神科女医の戯言」

  コロナ 安倍首相 マスク2枚配布の思考回路 

  国民が望むものを察知する能力が欠如



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               文 片田珠美 精神科医

 安倍首相が4月1日、新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部会議で、全世帯に2枚の布マスクを郵送で配布する方針を表明した。このニュースを見て、私は思わず吹き出し、一体何を考えて居るのかと首を傾げずには居られ無かった。
 
 私自身、外来診察の際に着けるマスクを、勤務先の病院や診療所がチャンと支給して呉れる訳では無いので、自分で調達するのに苦労して来たのだが、3月初旬に某通販サイトで注文して居た中国製のマスクが最近に為ってヤッと届き一息付いた。周囲の医療関係者からも、最近マスク不足が一時期に比べると少々改善したと云う声を聞く。勿論、現在も尚マスクを手に入れるのに苦労して居る方は少無く無いだろうから、そう云う方に取っては、マスク2枚の配布は朗報に違い無い。只、その前に休業補償を初めとして、遣るべき事は他に幾らでも在る筈と云うのが私の正直な気持ちである。

 マスク2枚配布と云う方針を安倍首相が打ち出したのは何故なのかと私為りに頭を悩ませて居る内に、ルネサンス期のイタリアの政治思想家・マキアヴェッリの〔恩賞は小出しに与えるべし〕と云う戒めを思い出した。安倍首相はこの戒めに忠実に従っただけなのかも知れない。
 だが、この戒めの理由を説明する「それを人により好く味わって貰う為に」と云う言葉も忘れては為ら無い。マスク2枚では、国民により好く味わって貰う処か、寧ろ反感と怒りを掻き立てるのではないか。

 最も、こう云う反応を引き起こす恐れが有る事を想像出来無いからコソ、安倍首相はマスク2枚配布と云う方針を表明したのだろう。従って、この連載で以前取り上げた妻の昭恵夫人と同様に想像力が欠如して居る可能性が高い。安倍首相は、母方の祖父(岸伸介)が首相で、父方の祖父も父も代議士と云う名家のお坊ちゃまなので、想像力を働かせる必要が無かったとしても不思議では無い。

 「他者の欲望」を察知する能力の欠如
 
 それよりも私が深刻だと思うのは、国民が何を望んで居るのかを敏感に察知する能力・・・詰り〔他者の欲望〕を察知する能力が安倍首相に欠如して居る様に見える事だ。と云うのも〔他者の欲望〕を察知し、政策に反映させて行く能力は政治家に不可欠だからである。
 勿論〔他者の欲望〕を察知して実行する事を遣り過ぎると、ポピュリズムに堕する危険性がある。だから、幾ら国民の反発を招こうと必要な政策を実行して行くべきだが、逆に〔他者の欲望」を察知する能力が欠けて居ると政治家として失格と云わざるを得ない。

 安倍首相は、現在国民が求めて居るのは何なのかを敏感に察知して、政策に反映させて行くべきだ。例えば、私が定期的にメンタルヘルスの相談に乗って居る金融機関では、運転資金の融資の相談に5時間待ちと聞く。又、私の外来に通院中の〔保険のおばちゃん〕の話では、保険を解約する人が増えて居ると云う。それだけ、逼迫(ひっぱく)して居る方が多いのだろう。
 そう云う現状を安倍首相は全然判って居らず、只〔自分は国民の為にチャンと遣って居る〕事をアピールしたいだけの様に見える。

 コロナ禍への安倍首相の一連の対応を見て居ると、マキアヴェッリの〔力量に欠ける人の場合、運命は、より強くその力を発揮する。何故なら運命は変転する。国家と云えども、運命の気紛れから自由で有る事は難しい〕と云う言葉を思い出す。
 新型コロナウイルスの感染拡大は「運命の気紛れ」と呼ぶしか無い国難だが、こう云う時コソ政治家の真の力量が試されるのである。


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 文 片田珠美 精神科医 1961年広島県生まれ 精神科医 京都大学非常勤講師 大阪大学医学部卒業 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了 京都大学博士(人間・環境学) フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学ぶ 臨床経験に基づき、精神分析的視点から犯罪心理や心の病を研究 
 著書に『無差別殺人の精神分析』(新潮社)『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)『他人の意見を聞かない人』(角川新書)『他人の支配から逃げられない人』(ベスト新書)『賢く「言い返す」技術:人に強くなるコミュニケーション』(三笠書房)他 参考文献 会田雄次『決断の条件』新潮選書 塩野七生『マキアヴェッリ語録』新潮文庫




 



 



 











コロナ危機で後手の政府が招いた混乱と不安




 コロナ危機 で後手の政府が招いた混乱と不安

  〜東洋経済オンライン 植田 統 :弁護士 名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授4/6(月) 11:16配信〜


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       植田 統 弁護士 名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授

 1世帯に布マスク2枚を配布すると云う〔アベノマスク〕に付いては海外メディアからも批判され、これ迄の政府の対応は後手後手に回って来た。4月3日に政府から発表された1世帯30万円の現金給付案や軽症者に付いての厚労省の対応を見て居ると、コロナ問題の深刻さを過小評価して来たと多くの国民も感じて居るだろう。
 東京都では4日・5日と2日連続で100人以上の新型コロナウイルス感染者が確認され、感染経路不明の事例が相次いで居る。都内での感染者は1000人を超えて居る。

 事態が深刻化する東京都では明確に緊急事態を想定し、その対応は、政府よりも先を行って居る。政府自民党・安倍晋三首相がこの国難とも呼べる時代にリーダーシップを発揮し迅速な対応を進めないと、医療崩壊が起き、感染者がオーバーシュートした時に対応出来無く為る。
 一部報道によれば、安倍首相は〔緊急事態宣言〕に踏み切る意向を固め、6日にも方針を表明し、早ければ7日に宣言すると云う。

 東京都の危機感と後手後手の政府.

 3日、小池百合子都知事は会見で、政府が〔緊急事態宣言〕を発令した場合の対応方針を公表して居る。都民に対しては外出自粛を求める一方、食料品店等の生活必需品を扱う店に付いては、引き続き営業を認めると発表した。極めて妥当な措置だ。
 更に東京都は感染爆発に備えて、7日の火曜日から軽症者向け施設としてホテルを党毎借り上げ、ソコで受け入れると云う。1000人分の部屋を確保出来るとして居り、国に対しても迅速に緊急事態宣言を出す判断を求めて来た。

 東京都が軽症者向け施設としてホテルと交渉が行える様に為ったのは、2日に厚生労働省が、軽症者等を病院以外の施設で受け入れる各自治体の動きを追認する通知を出した事に依る。これ迄の厚労省のスタンスは、3月1日の通知であった。
 それによると、軽症者・無症状者は〔自宅での安静・療養を原則とする〕として居たが、そうした体制に移行する場合には〔厚労省と相談すること〕を求めて居た。この最後の〔相談〕と云う名の元の口先介入が各自治体の動きにブレーキを掛けて居たのである。
 これを変更し〔厚労省と相談すること〕を削除したのは好いが、加藤勝信厚労相が記者会見で「軽症者の療養体制の整備に付いて具体的に検討して欲しい」と自治体に対して言った様に、厚労省はどの様に療養体制を整備するかは自治体に丸投げ状態に見える。

 生活支援・中小企業支援は調整が進んでいるが…
 
 3日に発表された政府の経済支援策は〔現金給付を1世帯に30万円〕すると云うものだった。但し、その内容は固まって居らず〔減収額が一定の基準を下回る世帯を対象〕とし、希望する人が〔市町村に自己申告〕して受け取るものだと云う。
 更に、一定の基準を下回るとは〔夫婦2人の世帯の場合25万円未満〕とする〔子育て世帯は子供の人数に応じて基準を緩める〕〔単身世帯の場合は厳しくする〕と云う案が出て居るが未だ調整中だ。対象者は全国の全5800万世帯の内1000万世帯の見通しと観られる。

 こんなに基準を複雑にしてしまえば、市町村の窓口での審査期間が長期化する。申請者は新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減って居る事を証明する書類提出が必要だ。コレでは申請者と市町村へ多大な事務負担が生じる事も簡単に予想出来る。その結果、支給される迄何カ月も掛かり、今本当に困って居る人々への支援が遅れてしまう。
 元々政府案として出て居た〔1人当たり10万円の給付案〕の方が、遥かにシンプルでスピーディーに対応出来るのではないか。高額所得者へも10万円を給付する事に反対が大きいと云うのであれば、昨年の所得で線引きをすれば好いだろう。現金給付に於いては中小企業やフリーランス含む個人事業主への支援の方が大きな進展があった。

 3日、安倍首相が「厳しい状況にある中堅、中小・小規模事業者に事業の持続を目的として史上初の給付金措置を創設する」と表明して居る。収入が大幅に減ったりした中小企業には最大200万円・フリーランス含む個人事業主に最大100万円の現金給付も検討して居ると云う。
 又都道府県の制度融資の仕組みを通じて、政府が利子分を補填する事で最大5年の返済猶予期間を設けて、無利子無担保で融資を出来る様にすると云う事である。今回のコロナ危機で甚大な影響を受けて居る観光業・宿泊業・飲食店・交通運輸業等に携わる中堅・中小企業へ一日も早い無利子無担保融資を実現する為、融資を実行する全国の金融機関は重要だ。コロナ収束後に日本経済がV字回復を出来る様に、出来るだけ多くの職場を守って貰いたい。

 原発事故時の政府対応と今の政府
 
 中小企業支援を除けば、政府対応が遅れた対応は、2011年の東日本大震災での当時の政権に於ける原発事故対応を想起させる。大津波への対応、全電源喪失時への対応を怠った政府と東京電力だ。
 門田隆将著の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所)に書かれて居た様に、原発事故を防ぐチャンスは2度あった。

 1つは、2001年9月の同時多発テロ後、アメリカの原子力規制委員会が、原発がテロに襲われた場合の全電源喪失を想定し、それに対する対応方針を示した時。それにも関わらず、日本の政府と東電はこれに対応し無かった。
 もう1つは、2004年12月の22万人もの死者を出したスマトラ沖地震に依る大津波。この時も、同じアジアの地震多発地域での大津波と云う事態にも関わらず、政府も東電も想定を超える津波への対策を講じ無かった。福島第一原発は海面から10メートルの高さに位置するから、大丈夫だと云う根拠の無い自信に陥り、想定を超える事態、最悪の事態への準備を怠ったのである。
 緊急事態だった原発事故の対応で当時の民主党政権を担って居た菅直人首相は場当たり的な行動も繰り返し、後手後手の対応・危機管理が出来て居ないと多くの批判に晒された。

 現在の政府の対応策には、最悪の事態を想定した上での先手の策は未だ為されて居ない。コロナ問題を過小評価して居るのではないか。もしも、医療崩壊が起きている諸外国の様な事態には為ら無いと、考えて居るのであれば、医療崩壊が起き・オーバーシュート(感染爆発)が起き、緊急事態に突入した時に、政府はどの様に対応するのか。
 安倍首相は就任後に「悪夢の様な民主党政権」と繰り返し述べて来た。この国難とも言える事態に今の自民党政権に何が出来るのか、真価が問われている。


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    植田 統 弁護士 名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授   以上











 緊急事態宣言 7日発令 5月6日迄 

 7都府県対象 私権制限可能に 新型コロナ


              〜時事通信 4/6(月) 17:51配信〜


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 東京都内等での新型コロナウイルスの感染者急増を受け安倍晋三首相は6日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日に発令する方針を表明した。実施期間は5月6日迄の1カ月間。東京等状況が深刻な7都府県が対象と為り、一定の私権制限が可能と為る。

 感染症専門家や弁護士で作る〔基本的対処方針等諮問委員会〕の議論等を経て正式に発令する。同法に基づく緊急事態宣言は初めて。
 首相は当初、経済的な打撃への懸念から宣言に慎重だったが、東京都等の医療体制が逼迫(ひっぱく)して来た事から発令は不可避と判断した。首相は6日の自民党役員会で宣言に踏み切る意向を明らかにし、対象地域として東京の他、埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡を挙げた。


                   以上 




 



 










このママでは多くの人に壊滅的影響 「現金30万円を非課税世帯中心に」では明らかに足り無い理由





 





  このママでは多くの人に壊滅的影響 

 「現金30万円を非課税世帯中心に」では明らかに足り無い理由


    〜伊藤和子 弁護士 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長 4/6(月) 9:54 〜


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       伊藤和子 弁護士 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

 現金給付30万円と云うぬか喜び

 日本政府の、新型コロナへの支援に失望と懸念が広がって居ます。満を持した表明がマスク2枚だけ?多くの人を放心状態にさせた支援表明が批判され、先週金曜日、現金給付30万円の案が出て来ました。

 安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は3日、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で所得が減少した世帯などを対象にする現金給付に付いて、1世帯当たり30万円とする事で合意した。出典:産経新聞
 しかし、直ちに失望に変わりました。支給の対象は住民税非課税世帯。加えて、一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がる等急減した世帯に付いても対象とする方向だ。出典:産経新聞
 今週調整、最終決定されると云うので、期待を以て、この施策では何が足り無いのか、見て行きたいと思います。

 住民税非課税世帯に限定するのは何故か

 先ず、住民税非課税世帯とは、単身者で言えば給与収入が年間100万円以下の世帯ですが、ソモソモこうした世帯は生活保護等別の支援の対象で有るべきです。そもそもそうした支援制度で補償すべきでしょう。こうした世帯に限定して支援すると云うのは国の政策として根本的に間違って居り、抜本的に拡充すべきです。
 加えて、一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がる等急減した世帯も対象と云う事ですが、所得制限がどの程度か、と云う事が非常に大事です。困って居ない人等ホンの一握りであり、国民を分断し無い為にも、原則一律支給とすべきでしょう。
 又〔収入が5割程度下がるなど急減した世帯〕と有りますが、安心して休業出来る為には、50%程度の収入減等の要件を課さずに一律に給付対象とすべきです。

 収入が下がった事を年額で無く月額で証明するのも大変です。過去の給与明細を律儀に取って居ない人は多いでしょうし、既に離職したバイト先だったりすると、収入資料を集める事そのものが大変です。立場の弱い人程、困難を来すでしょう。
 そうした事務に対応する為に、各社の経理業務が多忙を極める事に為れば、リモートワーク推奨と云う方向性にも反するでしょう。ソモソモ、ギリギリで生活して居る世帯が多く、2~3万円収入が減っただけでも、家賃や学費、光熱費が払え無い、そう云う庶民の生活を国は判って居るのでしょうか?50%程度と云うのは余りに酷です。
 「どうせ国は保証して呉れない」と云う不信感が募る様では、皆さん無理して働くでしょう。それに依って命を犠牲にしたり感染を拡大すると云う事は何としても避けるべきでしょう。

 何故世帯単位なのか?

 又、ソモソモ何故世帯単位の支給なのでしょう。1人世帯も居れば10人世帯も居る。明らかに不平等でしょう。世帯支給で特に問題に為るのはDV等で妻が避難・別居しているケースです。震災関連の給付金でも問題と為って来ましたが、世帯単位の支給は通常〔世帯主〕宛に支給されます。
 多くの場合、世帯主は夫・父とされて居て、DVや虐待の加害者が支給額を独り占めし、最も弱い人に支援が届か無いと云う問題が発生します。DVを恐れて住民票を置いたママに母子で別居して居る家庭には支援が届か無い事が懸念されます。そうした最も困って居る人達に届く極め細かく支援が求められます。 そして世帯では無く、個人単位で支給すべきです。元都知事も強く主張して居ます。

 申請の手間と時間やリスク

 一律現金支給で無いとすると、申請手続が必要に為る事も懸念されます。 兎角行政の申請書類は難解で、手間が罹る。それでは申請を抑制する人も増え弱者程取り残されます。申請に対して審査をすると時間は罹るし、審査をする公務員の人件費も莫大に罹るでしょう。そんな時間と金が有れば、即時支援に回すべきです。
 また、申請をすると為ると、申請窓口に人が溢れて長期間待たされる等して、クラスター化するリスクがあります。 どうしても申請ベースにする場合でもオンライン申請等の方法を考え、簡素化を徹底すべきです。

 自営業にはこの様な朗報もありますが、政府が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策で、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円の現金給付を検討していることが3日、分かった。 出典:共同通信
 
 矢張り「申請に時間が罹るのでは?」「どうせハードル高いでしょ?」と云う不信感もあります。ドイツでは、フリーランサーへの助成金が2日で支給されたそうです。

 《フリーランサーの為の助成金、受け取りました。5000ユーロ、現金でポン。本格ロックダウンに為って1週間でセットアップ、申し込んで2日で送金。アナタ達の機動力に感謝します》 
 ・・・日本にだって出来る筈です。是非迅速なオンライン申請を導入すべきです。

 雇用調整助成金について

 雇用調整助成金の特例措置は、従業員一人当たり8330円迄と限界が有るものの、良い施策なので、是非広く周知して欲しいです。しかし、風俗営業等が対象外とされるとの事、夜の仕事で働く、経済的、社会的困難を抱えた女性達やシングルマザーには何処からも補償を得られ無い可能性があり、追い詰められる事が懸念されます。東京都は異なる扱いをして居り、他県も見習って頂きたいと思います。

 緊急事態の前に

 今週、緊急事態宣言が出されるのでは?と報道され、今週には政府の支援策も取りマトメられるとして居ます。東京新聞報道によれば、緊急事態宣言が出されると、都道府県知事は学校など公共施設に加えライブハウス、野球場、映画館、寄席、劇場など多数の人が集まる営業施設には営業停止を要請・指示出来る。労働基準法を所管する厚労省によると、施設・企業での休業は「企業の自己都合」とはいえなくなり、「休業手当を払わなくても違法ではなくなる」(同省監督課)として居る。 出典:東京新聞

 と云う事で、多くの人が困窮するでしょう。誰もが取り残され無い様な支援策を発表し、迅速に対応することが急務です。新型コロナの影響が深刻な諸外国は、歴史的に類を見ない経済的人的ダメージを乗り越える為に、過つて無い予算を組み、積極的な支援策を実施しています。
 イギリス政府は、労働者の給料の最大80%、ひと月当たり最大2500ポンド・約33万円をカバーする新たな計画を発表したとされて居ます。IMFや、OECDの公表文書で他国と比較しても、日本の施策は十分とは言えず、諸外国並みの積極的な対策が求められて居ます。

 IMF Policy-Responses-to-COVID-19 OECD Tackling coronavirus (COVID−19)

 困っている人達や産業への支援を出し惜しめば、どれだけの人が追い詰められるか想像を絶します。問い返しのつか無い壊滅的なダメージを人も経済も被る事に為るでしょう。 今なら未だ遅く無い筈であり、政策の見直しを求めます。(了)


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 伊藤和子 弁護士 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長 1994年に弁護士登録 女性、子どもの権利、えん罪事件など人権問題に関わって活動 米国留学後の2006年 国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中 同時に、弁護士として、女性を初め、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動して居る ミモザの森法律事務所(東京)代表 KazukoIto_Law ito.kazuko  official site人権は国境を越えて 弁護士 伊藤和子のダイアリー


 



 



 「プリント革命




 




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