2020年04月06日
「私達は耐え得る限界を超えました」コロナ対応でNYクオモ知事の支持率急上昇! 人間味溢れる言動と存在感
「私達は耐え得る限界を超えました」
コロナ対応でNYクオモ知事の支持率急上昇!
人間味溢れる言動と存在感
〜FNN.jpプライムオンライン 4/6(月) 18:30配信〜
FNN プライムオンライン
「クオモ2020担ぎ出し」新型コロナ対応で支持率上昇
「正直に言うと、アンドリュー・クオモ(ニューヨーク州知事)は、ジョー・バイデン前副大統領よりも優れた大統領候補に為ると思うよ」
これは、他為らぬトランプ大統領の言葉だ。3月27日にフォックス・ニュースのインタビューで、大統領選に向けての見通しを聞かれるとこう言った。これに対して、クオモ知事は報道陣にこう答えた。
「私は大統領選に出て居ないし将来出る積りも無い。この危機に当たって政治的に行動する事も無い。大統領はパートナーなのだから、ニューヨーク州に良い事をして呉れれば誰よりも先にサンキューと言うよ」
クオモ知事は、クリントン政権で住宅都市開発長官に任命された後、2011年からニューヨーク州知事を務めて居るが、矢張り同州知事を3期務めた父マリオ・クオモ氏の血を引いて、政界で存在感を発揮して居る。根っからの民主党員で、弟のクリス・クオモ氏はCNN放送のキャスターで、同局でもトランプ大統領には一際手厳しい事で知られる。
2020年の大統領選でも立候補が噂されて居たが、クオモ知事は親しいバイデン前副大統領への支持を表明して出馬を否定して来た。
しかし、その後巻き起こった新型コロナウイルス危機の被害が最も集中したニューヨーク州で、同知事の対応に称賛の声が高まり、シエナ大学が行った世論調査では支持率が87%に上って居る。こうした中、民主党の候補選びで残って居るバイデン前副大統領やバーニー・サンダース上院議員は、イベントの自粛から選挙運動も出来無い状況で半ば忘れ去られた存在に為って居る。
そこで、民主党支持者の注目はクオモ知事に注がれる事に為り、大統領候補に推す声が高まって〔クオモ2020担ぎ出し〕と名付けたツイッター上の勝手連も出現し、賑やかな事に為って居る。
NYの状況を積極的に訴え勝ち取った信頼
その人気の理由だが、先ず、ニューヨーク州民の為なら政治的には正反対のトランプ大統領には頭を下げても援助を乞い、果たして貰えば最大限謝意を述べる事も忘れ無い、現実的な対応が有るだろう。その結果、連邦政府軍の工兵隊に依って数千床の野戦病院を建設させたり、人工呼吸器を他州に優先して配布して貰ったり、米国に2隻しか無い病院船の1隻をニューヨーク港に回航して貰うなど、目に見えた成果がある。
さらに同知事は、毎日午前11時(現地時間)から記者会見を行い、ニューヨーク州内の状況に付いて詳しく説明すると共に、時にはこう訴える場面もある。
「ニューヨークを助けに来てください。私達はもう耐え得る限界を越えました。ボランティアの医療関係者が必要です。どうかお願いします」
同知事は言ってみれば、政治家らしからぬ振る舞いと結果を伴う決断、それに人間味溢れる言動で指導性を発揮して、新型ウイルスの脅威に怯える毎日を送るニューヨーク州民の信頼を勝ち取った様だ。
米民主党の候補者選びは、既に2人の候補の支持票の多くが確定して居るので、今からクオモ知事が候補者に選ばれる可能性は低いと見られるが、その先、2024年に向けて大きな布石を打ったのではないか。
執筆 ジャーナリスト 木村太郎 以上
トランプ大統領に比べ際立つ NY州知事の危機管理能力
〜Wedge 海野素央 4/1(水) 12:15配信〜
クオモNY州知事(REUTERS/AFLO)
〜今回のテーマは〔脚光を浴びるクオモニューヨーク州知事〕です。新型コロナウイルス感染拡大と戦う東部ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(62)の評価が高まって居ます。その理由は一体何処に有るのでしょうか。
本稿では、ニューヨーク市クイーンズ区出身のクオモ知事とドナルド・トランプ大統領(73)の記者会見を比較分析します。海野素央 明治大学教授 心理学博士〜
データと緊迫感
トランプ大統領とは異なり、クオモ知事はスクリーンにデータを映し出し、緊迫感溢れる記者会見を行って居ます。例えば、クオモ氏は3月24日の記者会見で、86万1700のサージカルマスク・35万3500の手袋・14万5122の防護服及び7万8528の医療用フェイスシールドを米連邦政府に要求しました。
その際、これ等の数字を全てスクリーンに出して、ニューヨーク州では緊急を要する事態が発生して居ると云うメッセージを効果的に発信しました。
加えて、クオモ知事は「3万の人工呼吸器が必要だ」と語気を強めて語り、14日以内の支給を連邦政府に迫りました。クオモ氏に依れば、米連邦緊急事態管理庁・略称FEMAフィーマFederal Emergency Management Agencyが、人工呼吸器を4000台支給しました。
しかし、その数字は不十分であると主張して「死亡する人を2万6000人も選ば無ければ為ら無い」と述べて、州民の生死を分かつ究極の選択判断に遭遇して居る事を打ち明けました。続けて、1台の人工呼吸器を2人のコロナ患者に装着して対応して居る事も明かしました。
クオモ知事は数字を効果的に使い、米国民に自然な口調で語り掛け、しかも緊急性に訴える事が出来る点が優れて居ます。実際、クオモ氏は記者団に対して「事実・データ・数字・見通しに基づいてコロナ対策に取り組んで居る」と率直に語って居ます。
優先順位と警告
言う迄もありませんが、危機的状況下のリーダーは政策に優先順位を着ける事が不可欠です。国民の生命が危険に直面して居る場合は警告を発します。
クオモ知事はトランプ大統領に対して、政策に優先順位を着ける様に強く求めました。感染増加の州をスクリーンに映し出して「ニューヨーク州の感染者数はカリフォルニア州の10倍だ」と強調し、先ずニューヨーク州に人工呼吸器を優先して支給する様にトランプ氏に迫りました。
更にクオモ知事は、ニューヨーク州は他州のテストケース(先例となる事例)で有ると指摘し「3週間後・4週間後・或いは6週間後に、ニューヨーク州の様に為る可能性が有る。ニューヨーク州は他州の未来で有る」と、米国民に警鐘を鳴らしました。
クオモ氏は、ホワイトハウスの記者会見で楽観的な発言を連発するトランプ大統領とは全く異なったリーダーシップを発揮して居ます。
「感情移入」の重要性
オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデイビット・アクセルロッド氏は、トランプ大統領のリーダーシップに関して〔他者に対する感情移入及び配慮に欠ける〕と指摘して居ます。自然災害やテロ等に依る危機的状況では、被災者に対する感情移入は極めて重要な要素です。
クオモ知事は「看護師は子供にキスをして出勤する。彼等は病院で感染した患者と戦って居る。家庭に感染症を持ち込ま無い様に祈りながら働いて居る」と語った上で「私は貴女がして居る事を認識して居る」と述べました。
毎朝、出勤前に病院で新型コロナに感染するかも知れ無いと云う不安に駆られる看護師は、子供に普段とは違った特別な感情の籠ったキスをするのでしょう。帰宅後は、自分が家族に感染させ無いのか危惧の念を抱きながら生活を送って居るのです。
クオモ知事はこの様な最前線で新型コロナと戦う看護師に感情移入をして、彼等の気持ちに沿った発言を行いました。そうする事で、看護師に対する承認と感謝の意を表した訳です。
トランプの矛盾を突くクオモ
経済再開の考えを表明したトランプ大統領ですが、ニューヨーク州及び隣接するニュージャージー州とコネチカット州に於ける隔離政策の可能性に言及しました。クオモ知事は即座に、経済再開と金融の中心地であるニューヨークに於ける隔離政策は矛盾して居ると指摘しました。その上で、トランプ大統領は、経済再開と正反対の政策を選択しようとして居ると激しく非難しました。
米メディアによれば、トランプ大統領は感染症対策よりも経済政策を重視する方向へ踏み切ろうとして居ます。一方、クオモ知事は「公衆衛生戦略と経済戦略は二者択一では無く両立出来る」と議論し、後者の戦略に傾くトランプ大統領を批判しました。
「トランプ対クオモ」の対立構図
米連邦政府の新型コロナウイルス感染拡大の対応を巡って〔トランプ対クオモ〕の対立構図が鮮明に為って来ました。本来であれば〔トランプ対バイデン〕と為る処です。処が、民主党大統領候補が濃厚と為ったバイデン前副大統領ですが存在感は無く、代わりにクオモ知事がトランプ大統領の対戦相手に為って居ます。
トランプ大統領は「ニューヨーク州はパンデミック・感染症の世界的な大流行に対して何年も前から備えて置くべきであった」「彼等(知事)が求めて居るほど多くの医療機器は必要では無いと思う」「ニューヨーク州では連邦政府が支給した人工呼吸器が倉庫に積んで在った」と語り、特にクオモ知事を標的にして居ます。
ホワイトハウスでのバーチャル・タウンホールミーティング・遠隔対話集会に於いて、司会者がニューヨーク州に於ける新型コロナウイルス感染急増の理由に付いて質問をすると、感染対応に当たって居るタスクフォースのデボラ・バークス博士は、人口密集度とアジアからの旅行者に付いて説明しました。
すると、トランプ大統領が「クオモ知事の所為か」と不意に口を差し挟む場面がありました。新型コロナウイルス感染対応で、クオモ知事に主導権を握られたく無いと云うトランプ大統領の強い思いが滲み出ていました。一部の有権者から「クオモ知事を大統領に」と云う声が上がる中で、トランプ大統領はコロナ対応でクオモ知事にクレジットを奪われ無い様に必死に為って居ます。
海野素央 明治大学教授 心理学博士 以上
片田珠美「精神科女医の戯言」
コロナ 安倍首相 マスク2枚配布の思考回路
国民が望むものを察知する能力が欠如
文 片田珠美 精神科医
安倍首相が4月1日、新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部会議で、全世帯に2枚の布マスクを郵送で配布する方針を表明した。このニュースを見て、私は思わず吹き出し、一体何を考えて居るのかと首を傾げずには居られ無かった。
私自身、外来診察の際に着けるマスクを、勤務先の病院や診療所がチャンと支給して呉れる訳では無いので、自分で調達するのに苦労して来たのだが、3月初旬に某通販サイトで注文して居た中国製のマスクが最近に為ってヤッと届き一息付いた。周囲の医療関係者からも、最近マスク不足が一時期に比べると少々改善したと云う声を聞く。勿論、現在も尚マスクを手に入れるのに苦労して居る方は少無く無いだろうから、そう云う方に取っては、マスク2枚の配布は朗報に違い無い。只、その前に休業補償を初めとして、遣るべき事は他に幾らでも在る筈と云うのが私の正直な気持ちである。
マスク2枚配布と云う方針を安倍首相が打ち出したのは何故なのかと私為りに頭を悩ませて居る内に、ルネサンス期のイタリアの政治思想家・マキアヴェッリの〔恩賞は小出しに与えるべし〕と云う戒めを思い出した。安倍首相はこの戒めに忠実に従っただけなのかも知れない。
だが、この戒めの理由を説明する「それを人により好く味わって貰う為に」と云う言葉も忘れては為ら無い。マスク2枚では、国民により好く味わって貰う処か、寧ろ反感と怒りを掻き立てるのではないか。
最も、こう云う反応を引き起こす恐れが有る事を想像出来無いからコソ、安倍首相はマスク2枚配布と云う方針を表明したのだろう。従って、この連載で以前取り上げた妻の昭恵夫人と同様に想像力が欠如して居る可能性が高い。安倍首相は、母方の祖父(岸伸介)が首相で、父方の祖父も父も代議士と云う名家のお坊ちゃまなので、想像力を働かせる必要が無かったとしても不思議では無い。
「他者の欲望」を察知する能力の欠如
それよりも私が深刻だと思うのは、国民が何を望んで居るのかを敏感に察知する能力・・・詰り〔他者の欲望〕を察知する能力が安倍首相に欠如して居る様に見える事だ。と云うのも〔他者の欲望〕を察知し、政策に反映させて行く能力は政治家に不可欠だからである。
勿論〔他者の欲望〕を察知して実行する事を遣り過ぎると、ポピュリズムに堕する危険性がある。だから、幾ら国民の反発を招こうと必要な政策を実行して行くべきだが、逆に〔他者の欲望」を察知する能力が欠けて居ると政治家として失格と云わざるを得ない。
安倍首相は、現在国民が求めて居るのは何なのかを敏感に察知して、政策に反映させて行くべきだ。例えば、私が定期的にメンタルヘルスの相談に乗って居る金融機関では、運転資金の融資の相談に5時間待ちと聞く。又、私の外来に通院中の〔保険のおばちゃん〕の話では、保険を解約する人が増えて居ると云う。それだけ、逼迫(ひっぱく)して居る方が多いのだろう。
そう云う現状を安倍首相は全然判って居らず、只〔自分は国民の為にチャンと遣って居る〕事をアピールしたいだけの様に見える。
コロナ禍への安倍首相の一連の対応を見て居ると、マキアヴェッリの〔力量に欠ける人の場合、運命は、より強くその力を発揮する。何故なら運命は変転する。国家と云えども、運命の気紛れから自由で有る事は難しい〕と云う言葉を思い出す。
新型コロナウイルスの感染拡大は「運命の気紛れ」と呼ぶしか無い国難だが、こう云う時コソ政治家の真の力量が試されるのである。
文 片田珠美 精神科医 1961年広島県生まれ 精神科医 京都大学非常勤講師 大阪大学医学部卒業 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了 京都大学博士(人間・環境学) フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学ぶ 臨床経験に基づき、精神分析的視点から犯罪心理や心の病を研究
著書に『無差別殺人の精神分析』(新潮社)『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)『他人の意見を聞かない人』(角川新書)『他人の支配から逃げられない人』(ベスト新書)『賢く「言い返す」技術:人に強くなるコミュニケーション』(三笠書房)他 参考文献 会田雄次『決断の条件』新潮選書 塩野七生『マキアヴェッリ語録』新潮文庫
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