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2019年12月03日

手術されるインターセックスの子供達 トップモデルが壮絶な告白




 




 手術されるインターセックスの子供達 トップモデルが壮絶な告白


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                写真家 Qサカマキ氏

    〜Instagram フォトグラファーズ Q.サカマキ 2018年06月07日(木)16時32分〜

 昨年1月、ファッションモデルのハンネ・ギャビー・オディールが、男性と女性の生理学的性質を両方有する「インターセックス」だとカミングアウト。自らの過去を語り始めた。行動する事も又アートである。アートとは、様々なものに伴う感情や感覚を自らの創造性・能力、或は手段等を用いて表現する事だ。その意味で、行動そのものもアートに為り得る。
 
 今回取り上げるのは、そうした意味でのアーティストだ。長年世界のトップ・ファッションモデルとして活躍し、昨年1月に「インターセックス」だとカミングアウトしたハンネ・ギャビー・オディールである。
 モデルとして得た名声を活用し、インターセックスの基本的人権を訴えて居る。ベルギーの小さな街コートトライーク出身の30歳だ。

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 インターセックスとは簡単に言えば、大半の場合、男性と女性の生理学的性質を不完全ながら両方とも有して居る人達の事だ。医学的にはDSD・Disorders of Sex Development性分化疾患と呼ばれる。ハーマフロダイト或はアンドロジナス等とも呼ばれて来た。
 だが、1990年中頃からはインターセックスと云う言葉が、紆余曲折を経ながらも主に使われる様に為って来て居る。







 何故ならハーマフロダイトは、両性の生殖機能を完全に備えたギリシア神話の神から来て居る為、大半のインターセックスの者達の状態に反し、完全な半陰陽者・・・性的・生殖機能的に半分が男性で半分が女性の人や両性具有者・・・男女両方の性を兼ね備える人として誤解を与える為だ。
 又、アンドロジナスは本来のインターセックスの意味だけで無く、雰囲気的なファッション感覚でも使われて居る事が理由である。

 インターセックスの範疇(はんちゅう)には、両性の生殖器・生殖腺・染色体・ホルモンの分泌状態等の組み合わせによって、30以上、嫌60以上とも言われるパターンがある。その為、それ等全てを包括するインターセックスと云う総称が使われ易いのである。
 因みに、シンプルな状態(内外生殖器やホルモン等もヘテロとホボ変わら無い状態)迄含めれば、インターセックスで生まれて来る確率は1.7%程だと云う。他方、後述する完全型アンドロゲン不応症の場合は、10万人に2〜5人程の確率と言われて居る。

 インターセックスは又、近年本格的に市民権を得始めたトランスセクシュアル、或はトランスジェンダーと呼ばれる人達とは、基本的に全く意味が異なる。
 そうした人々は、ジェンダー・アイデンティティと生理学的外見が異なって居たとしても、通常は1つのジェンダー・アイデンティティを持つ。だがインターセックスは、多くが両方のジェンダー・アイデンティテイを曖昧に、或はその間で揺れ動きながら持って居る。
 又、男性・女性を決定する染色体分析ではそれを判定出来無い場合もある。その為第三の性を持つ人達とも認識され始めて居る。オディール自身、生まれた時の外見は女の子だった。両親もそう思って居た。だが生後2週間程して感染症に罹った事が切っ掛けで、一般社会でタブーとされて居たものが判明されて行く。

 血液検査では普通の男の子だった。身体内部に精巣を有し子宮と卵巣は彼女の身体には存在して居なかった。男性の特質を表すべきXとYの染色体を兼ね添えては居たが、精巣から作り出される男性ホルモンはオディールの身体の中で完全に拒絶され、女性ホルモンに変換されて居た。CAIS・Complete Androgen Insensitivity Syndrome完全型アンドロゲン不応症だったのである。
 そして専門医と呼ばれる者から、オディールのインターセックスに付いては世間から完全に秘密にし、手術を行う様諭される。子供と云う事でオディール本人の同意無しにだ。

 彼女の子供時代の夏休みは、何度も「適正な女性化」への手術を施される事に費やされた。10歳の時には精巣を取り去られる。無論、そうした事は彼女に肉体的にも精神的にもトラウマを残す事に為る。
 精巣摘出手術の時、嫌、正確に言えばその間際に、医療インターン達によって生体実験の如く観察され、組織的にチェックされた事をオディール自身ハッキリと覚えて居るのである。又ホルモン投与も、彼女の身体及び精神面に衝突を作り出して居た。

 しかし医師は、オディールの両親に対し、極めて特例的なケースと話すだけだった。オディール自身には、彼女のインターセックスのアイデンティティに付いて何も説明され無かったのである。最も多感な時期に、自分の中で何かが違うと分かって居ても、1人で悩むしか無かった。
 只、17歳の時に或る種の幸運が訪れる。オランダのティーン向け雑誌で、子供を産め無いインターセックスのティーンの特集を目に留め、自分自身がインターセックスである事、又、そうした人は自分1人だけでは無い事を明確に認識し出したのだ。

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 更に同時期、ファッションモデルにスカウトされ、美貌が最優先されるキャリアを通して、インターセックスに於ける女性としてのアイデンティティにも自信を持つ様に為って行く。オディール自身、男性よりも女性としてのアイデンティティが遥かに強く、18歳の時に膣を広げる女性器形成手術を行って居る。
 その後、オディールが完全にカミングアウトする迄10年以上を要したとは言え、時代はポスト・エイズの1990年代以上に凄まじい勢いで、ジェンダーとセクシュアリティのアイデンティティに付いて変わり始めて居た。







 2014年には、WHO(世界保健機関)と国連の複数の団体が、トランスジェンダーとインターセックスの人々に対する強制的な断種手術を非難する声明を出し、以後、その意味を理解出来無い子供への手術は拷問であるとも声を上げ始めたのである。又、2017年にはドイツの憲法裁判所が、大半のインターセックスの人々に当て嵌る「第三の性」の存在を認める様国に命じた。
 オディール自身、手術の必要性を完全に否定して居る訳で無い。それが本当に直ぐさま必要で無い限り、幼い子供時代には行うべきでは無いと訴えて居るだけだ。子供が理解し、本人から施術同意を得る事は実質上不可能であるからだし、手術そのものが再び元に戻す事が出来無い身体にしてしまうからである。

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 又、通常とは違うホルモン分泌の影響で、癌に為るリスクが高まるとも言われて居る。オディール自身もそれが大きな理由で手術をしたが、その根拠は未だ科学的に曖昧だ。例え癌のリスク故に手術をするのだとしても、近年は、第二次性徴期が終わってからでも遅くは無いと認識される様に為って来て居る。寧ろ手術する事で、生理機能が完全に停止し、骨粗鬆症等を誘発する事もある。
 にも関わらず、アメリカ・日本も含む世界の大半の国々の医療機構は、性別適合化の為に、インターセックスの子供達の早期手術を奨励して居るのである。それは、多様性と少数派の人権を無視した、ステレオタイプの男と女の社会概念だけで割り切ろうとする、二元論・バイナリー社会が作ったタブーの押し付けだ。


 オディールは言う「二元論ナンてクソ食らえ。そんなもの終わってる。私達をズタズタに切り裂くだけだから。本来、そんなものに関係無く、私達は皆同じなんだから」

 今回ご紹介したInstagramフォトグラファー Hanne Gaby Odiele @hannegabysees



 【管理人のひとこと】

 真に難しい問題だ・・・この様なものは当事者で無ければ、普段の生活では想像だにしない領域であり、この様に問題視され無いと人の話題にも上ら無い。しかし、自分が通常の人間だと思い意識もせずに居るものが、或る人に取っては「生きる上での大きな障害」と為ってるケースは意外に無数に存在するかも知れ無い。
 それは、この様な機会を素通りせず一旦立ち止まり、想像を働かせて考える事も必要だ。かと言って何も為せ無いが、その存在を知り・認め・思い遣る心を育てる事だけでも、何かの際には屁のツッパリには為る。単純にドチラかの性に強制的に手術するのだけは辞めて貰いたい。
 本来であれば、生まれたママの状態を尊重し、それで支障無く生活出来る環境を作る事に努力するのが望ましい。そして、男が居れば女が存在し、それと同じ様にこの様な「第三の性」が存在するのを普通に認められる社会で在るべきなのだろう。















中曽根政権の5年間で日本経済は失われた



 




 中曽根政権の5年間で日本経済は失われた


       〜ニューズウィーク日本版 冷泉彰彦 12/3(火) 17:38配信〜


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 首相在任中の1987年10月13日に、フォード元大統領を首相官邸に迎えた中曽根氏 Shunsuke Akatsuka-REUTERS


       12-4-6.jpg 冷泉彰彦氏

 製造業中心の日本が 産業構造を転換するべきタイミングだった それに失敗した「失われた5年間」

 中曽根康弘氏の訃報に接して、同氏への評価、そして1982〜87年に掛けて続いた中曽根政権への評価が出て来て居ます。多いのは「自主防衛・改憲・核武装」を本音として望みながら実際には軽武装を貫きながら西側同盟にコミットしたと云う二重性を抱えた「親米保守」の典型と云うものです。

 トランプ大統領の中曽根氏へのお悔やみ動画 

 その一方で、この1980年代と云うのは、1980年の第二次石油危機を乗り越えた日本経済が急速に成長した時期で、同時にバブルの膨張から崩壊に至る激動の少し前だった事から、日本経済に取っては「良き時代」だとか、平成以降の小粒な政治家と比べると中曽根氏は「大物」だったと云う様な「懐古趣味」の印象論も多い様です。
 ですが、私はこの中曽根政権の5年間は、日本が「モノ作りから脱製造業、ポスト製造業へ」「ナショナルからグローバルへ」と産業構造を転換すべきタイミングでありながら、その転換に失敗した「失われた5年間」だったと見て居ます。

 象徴的な事例を2つ挙げたいと思います。1つは、1982年に起きたIBMスパイ事件です。
 当時の日本のコンピューター産業は、半導体の設計製造技術等ハードウエアの面では、可なりの競争力を誇って居ました。只、ソフトに関しては、アメリカに追い付く事が出来ず、日立や東芝等も「IBM互換機」を戦略の中心に据えて居ました。因みに、これは個人用の後のパソコンでは無く、法人用のメインフレームに関する話です。

 詰まり米IBMの作るOSが走る様に、又IBMで走るプログラムが動く様に設計しツツ、IBMよりも廉価で高性能なマシンを販売する・・・これが日本勢の戦略でした。そこで、米IBMは日本勢に互換機が作れ無い様に、今で言うOS機能をファームウエアに取り込む様な事をして互換機が作れ無い様にしたのです。日本勢は、当然これに対抗して情報収集をして居たのですが、その活動がFBIによるタチの悪い「囮捜査」に引っ掛かって被害に遭ったと云う事件です。

 この事件がどうして象徴的なのかと云うと、この後、日本勢はメインフレームに関する独自OSの開発に向かえば良かったのですが、アメリカに汚い手を使われても互換機に拘ったばかりか、ソフト軽視の風潮を続けたのでした。
 又この時期は、個人のホビー用コンピューターしてのパソコンの黎明期で、MSXとか日電の6000、後に8000等成功して居たマシンもあるのですが、結局は大戦略として「ソフトしか遣ら無い」と云うビル・ゲイツ「独自OSと独自マシンに拘る」と云うスティーブ・ジョブズ、そして日本から順次CPUのノウハウを奪って行ったインテルが覇権を拡大して行く事に為るのです。







 「プラザ合意」の機会は活かせず

 詰まりアメリカと競争して試行錯誤しツツ順調に進化して居た日本のITが、総合的に負け始めて行く端緒がこのスパイ事件であり、そして中曽根政権の5年間にジワジワと方向性の誤り・時間の空費が進行し、1990年代の大敗北に繋がって行くのだと思います。

 もう1つは、1985年のプラザ合意です。先進5カ国の蔵相会議がニューヨーク五番街の「プラザホテル」で行われ、各国が協調する形でドル安誘導が為された結果、急速な円高が進んだ事件です。
 日本の経済史的には、輸出に不利な円高を強制されたとか、円高不況対策がバブルを招いたと言われる事が多いのですが違うと思います。円高は、当時の日本経済の短期的な実力からすれば不可避でした。又、バブル崩壊と1990年代以降の低迷は、バブル膨張に原因があるのではナく、深層において日本が競争力を喪失して行った「結果」と見るのが正当です。

 その上で、このプラザ合意を振り返って見ると、先ず折角の円高を日本経済は活用する事に失敗しました。先進国の企業を買収しても、当時の欧米世論に嫌われてヤル気が無く為ったり、買った会社の精査や徹底した経営改革が出来ずに損をしたり、惨めな結果も多くありました。
 又、円高パワーを使って、中長期を目指した投資を行う事も足りませんでした。もっと言えば、円高は日本経済が世界へ打って出て自らも国際化する貴重なチャンスであった筈ですが、それを生かす事は出来ませんでした。

 スパイ事件から迷走するITの戦略を立て直すのでも無く、NTT等の民営化で売り出した金で、情報通信産業の先端へと躍り出る為の投資が十分にされる訳でも無く、貴重なチャンスを空費して行ったのです。

 この2つの事件を考えて見るだけで、この1980年代中期に日本経済がいかに迷走して居たかが良く判ります。生前の中曽根康弘氏は、哲学とか大局観と云う事を良く口にして居ました。ですが、この1982〜87年の日本経済において、哲学や大局観が少しでも在ったなら、その後の酷い経済の低迷と云うのは起き無かったか、少なくとももう少し衰退をスローダウンする事は出来たのでは無いかと考えます。


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         冷泉彰彦 在米作家・ジャーナリスト  以上



















日本の奇妙な右傾化 何故ポピュリズムが台頭しないか




 




 日本の奇妙な右傾化 何故ポピュリズムが台頭しないか


           〜NIKKEI STYLE 12/3(火) 17:40配信〜


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   ポピュリストは内外に敵を作りナショナリズムを鼓舞する イラスト よしおか じゅんいち


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              北海道大学教授 吉田徹

 ポピュリズムとは、一般市民の意志を無視する政治・経済・文化エリートを道徳的に批判する、カリスマ的リーダーによる政治の事だ。だからポピュリズムは、民主的な側面を持つ一方、特定の価値体系を持た無い「薄いイデオロギー」だともされる。
 他方、2世紀以上に渉って人類を突き動かして来たのは「厚いイデオロギー」たるナショナリズムだ。フランス革命に続く国民国家形成と民主化運動・様々な帝国の崩壊・戦後の脱植民地化・東西ドイツ統一等、ナショナリズムは世界史の原動力と為って来た。

 自国民を鼓舞

 為らば、何故ポピュリズムとナショナリズムは相性が良いのか。トランプやプーチンから新興国の強権主義的な指導者迄、ポピュリストと称される指導者達は、内外に敵を作り自国のナショナリズムを鼓舞して来た。
 ナショナリズムとは「ネイションを関心事項の中心に位置付け、その繁栄を追求しようとするイデオロギー」と定義するのは、アントニー・D・スミスによる『ナショナリズムとは何か』(庄司信訳2018年・ちくま学芸文庫)だ。
 即ち、ナショナリズムとは、宗教・言語・習慣・エスニシティ・領土・国家に基づくアイデンティティー・それに基づく自治や統一を希求する運動でもある。

 それ故、経済・社会的グローバル化が進む世界で、ポピュリズムがナショナリズムと結託するのは自然である。経済的相互依存と移民による人口動態の変化は、2度の世界大戦と福祉国家によって完成したネイションに基づく人々のアイデンティティーを脅威に晒(さら)す。
 だから、現在のポピュリズムは「戦後」と云う、過つて無く豊かで平等だった時代への後ズサリを試みる政治でもある。

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 『愛国の構造』

 ナショナリズムを「愛国」と読み替えた将基面貴巳『愛国の構造』(19年・岩波書店)が跡付ける様に、国民に基づくナショナリズムが所与のものとして捉えられる様に為ったのは19世紀後半以降の事だ。それ以前、人々のアイデンティティーの源泉は常に流動的であり、愛国の対象も、市民の集合体・君主や藩主に対する忠誠等に向けられ、その主体も教会や原住民等だったりした。

 日本のナショナリズムも、愛国と切り離されて誕生したとするのは、異才・橋川文三『ナショナリズム』(15年・ちくま学芸文庫)だ。彼は、近代日本のナショナリズムが、吉田松陰等を感化した水戸学と、本居宣長に端を発する国学が天皇制を頂点とした政体の基、社会の平等を達成する手段として用いられ、市民間の平等意識に基盤を置くものでは無かったと論じる。

 「奇妙」な現代日本

 思想家ルナンによる1882年の演説は、国民とは「犠牲の感情によって構成された大いなる連帯心」でもあると、その作為の正の側面を強調して居た。
 山崎望編『奇妙なナショナリズムの時代』(15年・岩波書店)が指摘する様に、こうしたナショナリズムによる包摂と平等の論理を持たずに、内部の敵を排除する事だけを目的に、没落に怯(おび)えるマジョリティーに支えられる現代日本のナショナリズムは確かに「奇妙」に映る。

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 田辺俊介編著『日本人は右傾化したのか』(19年・勁草書房)による社会調査では、権威主義や愛国主義と云った「右傾化」現象は、過去10年間に観察されて居ない。嫌韓・反中意識の広がりや若年層の保守的志向に過ぎ無い。
 ナショナリズムが国民アイデンティティーや自治を求めるのであれば、政治参加の向上を齎す筈だが、それも見られ無い。

 画して、作為無きナショナリズムに覆われる日本には、他国と比べて本格的なポピュリズムも台頭し無い。自分達の共同体はカクあるべしと云う欲求無くしてナショナリズムもポピュリズムも生まれ様が無い。その事実に私達は、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか。その事を自省する時間は、未だ幾ばくか残されて居るのかも知れ無い。


   日本経済新聞朝刊 2019年11月23日付 NIKKEI STYLE  以上


 




 【関連報道1】世界のポピュリズム 勢い続く? 庶民の不満根深く

             〜ニッキィの大疑問 2019/8/5〜

 〜米国や欧州を中心に、ポピュリズム(大衆迎合主義)が広がって居るわ。経済格差の拡大や移民・難民の増加が影響して居るみたいだけど、未だ勢いは衰えて居ない様ね。世界の混乱は続くのかな。世界中を揺さぶって居るポピュリズムの現状と行方に付いて、西山夏さん(53)と熊沢靖子さん(47)が小竹洋之編集委員に聞いた〜


 ・・・何故ポピュリズムが広がって居るのですか。

       12-3-24.jpg 小竹洋之編集委員

 千葉大学の水島治郎教授は、ポピュリズムを「人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」と捉えて居ます。歴史的に繰り返されて来た潮流ですが、2016年を境に再び勢いを増して来ました。英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決め、米国の大統領選でトランプ氏が当選した年です。

 米欧では経済格差の拡大や移民・難民の増加に悩む庶民が少なくありません。処が既存の政治家は富裕層や大企業の意向に左右され、グローバル化の痛みに喘ぐ人々に寄り添って来ませんでした。長く置き去りにされて来た庶民の不満や怒りが遂に爆発し、そこに着け込む扇動家の躍進を許したのです。
 ポピュリズムは米欧だけで無く、フィリピンやメキシコ・ブラジル等も侵食して居ます。排他的な通商・移民政策や強権的な政権運営に傾く右派のポピュリズムが優勢ですが、バラマキ色の濃い公約を掲げる左派のポピュリズムの伸長も目立ちます。

 ・・・世界を主導する米国の変質は特に深刻な様です。

 米国では、上位1%の高所得層が富の4割を握り、全人口の0.01%に過ぎ無いエリートが大口献金で政治を支配して居ます。白人の人口比率は今後30年以内に5割を割り込み、ヒスパニック(中南米系)やアジア系の存在感が一段と高まります。そんな国の形に苛立つ庶民が既存の政治家に「NO」を突き着け、異端児のトランプ氏に変革を託したと言えます。

 米投資会社社長のJ・D・ヴァンス氏は16年の著書「ヒルビリー・エレジー」で、中西部や南部の取り残された白人労働者階級の窮状を描きました。トランプ氏はこうした庶民の為の政治を訴え「米国第一」の看板を掲げて民意を掴んだのです。
 例え民意の反映であっても、内向きの経済・外交政策が米国の為に為るとは思えません。主要国との貿易戦争や中南米・アジアの移民制限は、経済成長の基盤を損ないます。環太平洋経済連携協定(TPP)や温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱で、国際的な地位の低下にも拍車が掛かるでしょう。国内がトランプ派と反トランプ派に割れ、社会の分断が深まって居るのも心配です。

 ・・・トランプ氏は再選されるのでしょうか。

 各種世論調査の平均支持率は40%台前半で、2017年1月の政権発足時とホボ同じ水準です。共和党の支持者に限れば80〜90%を維持して居り、2020年の大統領選で再選を果たす可能性は十分にあります。
 民主党の大統領候補争いでは、中道派のジョー・バイデン前副大統領が優勢です。只存在感を増して居るのは左派の候補者で、庶民受けする国民皆保険の導入や公立大学の無償化を訴えて居ます。巨額の国費が必要なのに、責任ある財源を示しては居ません。次の大統領選は、右派と左派のポピュリズムの戦いに為るかも知れません。

 ・・・世界のポピュリズムを抑え込めますか。

 5月の欧州議会選では、EU懐疑派の極右勢力等が躍進しました。英国では強硬なEU離脱派のジョンソン新首相が、問題を拗(こじ)らせる可能性があります。グローバル化や既存の政治、エリート支配への反感を原動力とするポピュリズムの根は深いと言わざるを得ません。
 ポピュリズムの封じ込めは簡単ではありません。経済成長や技術革新の促進、所得再分配や安全網の強化、教育や職業訓練の充実と云った包括的な対応が必要です。政治資金や選挙制度の改革等も組み合わせ、庶民の不満や怒りを和らげるべきでしょう。


 ちょっとウンチク 異端への渇望、断てるか

 米著名投資家のレイ・ダリオ氏等が2017年に試算したポピュリズム指数。先進国の値は1930年代の水準まで上昇して居たと云う。偏狭なナショナリズムの所為で悲惨な世界大戦に至った歴史を繰り返すのか。
 マクロン仏大統領が右派のポピュリズムの台頭を憂い「古い悪魔が蘇りつつある」と警告するのも無理は無い。トランプ米大統領の様な扇動家の罪は重い。だがポピュリズムの病根は、現状の打破を望む民意にある。経済・人種・政治等を巡る庶民の不満や怒りを解き解さない限り、トランプ氏的な異端への渇望を断ち切れ無いのでは無いか。(編集委員 小竹洋之) 

          日本経済新聞夕刊 2019年7月29日付    以上







 【関連報道2】安倍政権は何故長続き? 景気が追い風、選挙強く

             〜ニッキィの大疑問 2019/5/27〜

 
 〜安倍晋三首相の在職期間が歴代最長に近づいて居ると聞いたわ。最近は短命政権が多く続いて、安倍内閣でも色々と問題が起きて居る様だけど、長続きして居る理由は何かしら。安倍政権が7年目に入っても安定して居る理由に付いて、鈴木正美さん(54)と小川めいこさん(47)が坂本英二編集委員に聞いた〜


 ・・・・安倍首相の在職期間が歴代最長に近づいて居ると聞きました。上位にはどんな人が居ますか。

       12-3-25.jpg 坂本英二編集委員

 安倍晋三氏の第1次政権は1年で終わりました。その後首相に返り咲き、現在は第4次政権で通算の在職は2703日(2019年5月20日時点)と為って居ます。戦前を含め最長は明治から大正時代の桂太郎(通算2886日)です。2位は沖縄返還を実現した佐藤栄作(同2798日)3位は初代首相の伊藤博文(同2720日)安倍首相は今4位で、11月19日にトップの桂太郎と並びます。

 ・・・最近は短命政権が続きましたが、長続きして居る理由は何でしょうか。

 先ず選挙に強い事が挙げられます。安倍氏は12年9月に自民党総裁に返り咲き、同年12月の衆院選で民主党から政権を奪還しました。ここ迄衆院選で3勝参院選で2勝です。「国政選挙で5連勝中のトップを代える必要は無い」と云うのが自民党の多くの議員の空気です。
 そして政権安定を下支えして来たのが、景気だと思います。首相は「アベノミクス」で大胆な金融緩和と積極的な財政政策を打ち出しました。日経平均株価が上昇し為替は円安に振れました。
 財政規律を歪めて将来に禍根を残す懸念が指摘されて居ますが「日本経済の雰囲気が明るく為った」との評価があるのは事実でしょう。政権は今「一億総活躍」「働き方改革」に取り組んで居ます。

 日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査では、安倍内閣の支持率は今年に入っても50%前後です。発足7年目としては可なり高く、若年層の支持率が高いのが特徴です。雇用が回復し就職活動にプラスに働いて居る要素も影響して居ると思います。

 ・・・「森友・加計問題」等は野党が厳しく追及して居ますね。景気回復も余り実感出来ません。

 長期政権の驕(おご)りや緩(ゆる)みの象徴の様な不祥事が確かに相次いで居ます。財務省の決裁文書の改ざんや自衛隊の日報隠蔽、最近では統計不正問題もありました。行政への信頼を損ない兼ねない問題ですが、政治家が司法の裁きを受ける様な事件には発展して居ません。野党の国会審議での追及も政権を追い込む迄には至って居ません。
 与野党の議員からも「景気回復が実感出来無い」との声は好く聞きます。アベノミクスで大企業の収益や株価は回復しましたが、それが経済成長に迄は結び付いて居ません。米中の貿易戦争や日米の通商交渉の行方と云った不安な要素も増えて居ます。安倍政権に取ってこれ迄追い風だった経済がマイナス要素に転じる恐れもあります。

 ・・・今年は夏に参院選があります。選挙結果はどんな影響がありますか。

 4月の統一地方選は保守分裂と為った一部の知事選を除けば、全体として与党の堅調振りが目立ちました。一方で4月下旬の2つの衆院補欠選挙で、自民候補は何れも敗れました。選挙区毎の争点があったとは言え、直前に安倍内閣の閣僚や副大臣が失言で相次ぎ辞任した影響も出たと思われます。
 夏の参院選に臨む首相に取って、最大の敵は「長期政権の驕りや緩み」では無いでしょうか。2017年7月の東京都議選では、その前に閣僚や所属議員の失態が相次いだ為、自民党は歴史的惨敗を喫しました。

 自民党幹部は今年夏の参院選に付いて「大勝した2013年選挙の改選と為る、10程度の議席減は覚悟の上だ」と語って居ます。政権が直ぐに追い込まれる様な大きな苦戦は想定外ですが、油断すると情勢が一気に変わるのが選挙の怖さでもあります。歴代1位の長期政権に辿り着くには、堅実な政権運営を続け、景気動向に細心の注意を払う事が最後の関門と為りそうです。

 ちょっとウンチク 長期政権、外交で存在感

 長期政権の一つのメリットは、外交舞台での存在感だろう。安倍首相はトランプ米大統領やプーチン・ロシア大統領と太いパイプを築き、国際会議の場で意見交換を求める外国首脳も増えた。首相の党総裁任期は2021年9月末まで。党則改正で4選を目指すなら次期衆院選の時期とも絡む。
 安倍政権がもし短期に行き詰まるとすれば、過つての橋本政権のパターンではないか。橋本龍太郎首相は日米同盟の強化や北方領土の対ロ交渉に取り組んだが、1998年の参院選で大敗して退陣した。国内景気の変調が主因とされ、自民党に取っては思い出したく無い過去だ。
(編集委員 坂本英二)

       日本経済新聞夕刊 2019年5月20日付     以上










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日銀が破綻しお金が紙クズに為る日が来る?生き延びる方法は?





 日銀が破綻しお金が紙クズに為る日が来る? 生き延びる方法は? 

 藤巻健史&原真人 緊急対談








         〜〈週刊朝日〉AERA dot. 12/3(火) 10:14配信〜



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 藤巻健史氏(ふじまき・たけし)1950年東京都生まれ モルガン銀行東京支店長兼在日代表などを務めた 2013年から19年まで参議院議員 主な著書に『吹けば飛ぶよな日本経済』(朝日新聞出版)や『日銀破綻』(幻冬舎)

 〜外資系銀行で活躍し「金融界のレジェンド」とも評された藤巻健史さん。週刊朝日で8年間連載したコラム「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」がこの程完結した。参院議員としても活躍し、日本の財政や競争を阻害する仕組みに付いて警鐘を鳴らして来た。
 今回は特別編として「アベノミクス」の問題点を一貫して訴えて来た朝日新聞の原真人編集委員との対談を紹介する。藤巻さんも原さんも、日本銀行が国債を大量に買って政府の借金を助けて居る現状は、事実上の「財政ファイナンス」に当たると指摘。本来遣ってはいけ無いこの政策を続ければ、経済危機は避けられ無いと批判する。危機が現実化する「Xデー」が遣って来れば、私達の大事なお金が紙くずに為りかね無い。どう備えるべきかに付いて語って貰った〜



 日銀への不信 

 藤巻 日銀が国債をホボ買い占める状況が続いて居る。政府が発行した国債を日銀が直接引き受ける「財政ファイナンス」が、事実上行われて居るのだ。これは財政の規律を緩め通貨の価値を危うくさせる為、世界中で禁止されて居るし、日本でも法律で禁止されて居る事だ。
 私は参院議員の時に、財政ファイナンスの問題に付いて、日銀の黒田東彦総裁に質問したがキチンと答えて呉れ無かった。国債市場を通じて買って居るので直接引き受けでは無いとか、デフレ脱却が目的だから財政ファイナンスじゃ無いとか、言い逃れの様な答弁を繰り返した。私は「放火だろうと失火だろうと火事は火事だ」と何度も反論したが、議論が深まら無いママ終わってしまった。

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                原真人編集委員

  黒田総裁は何時も真面に答えようとして居ませんね。記者会見でも、木で鼻を括った様な回答を繰り返して居る。私もこれ迄7年間に渉って質問して来たが「財政ファイナンスとして遣って居ないから財政ファイナンスじゃ無い」と言ったトートロジー(同義反復)で交わそうとして居る。

 藤巻 国会で「日銀は債務超過に為ら無いのか」と云う質問をしたが、キチンと答えられ無い。金利の上昇で日銀の健全性がどう影響を受けるのか、シミュレーション結果を出す様に求めて来たが最終的に逃げられた。
 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会・FRBは、スタッフペーパー(組織の正式文章では無いが所属職員の研究発表)と云う形でシミュレーション結果を公表して居る。私は金利が上昇すれば日銀は債務超過に為ると思って居るが、日銀は色んなケースが想定される等として結果を出さ無い。
 色んなケースがあるのは分かるが、債務超過に為ら無いケースが有るなら示して欲しかった。実は、私も日銀は結果を出せ無いと思って居る。出したら市場がパニックに為り兼ねないからだ。

 原 本来は市場の信頼を得る為にも、日銀はシミュレーション結果を出すべきだ。財政ファイナンスや日銀の健全性の問題を深刻に受け止めて居る政治家は、数える程しか居ない。安倍政権のメンバーを含め、政治家がこの問題を正確に理解して居るのか疑わしい。その雰囲気が国会全体を覆い、国民にも伝播(でんぱ)して、何と無く「このママで大丈夫」と云う感覚が蔓延して居る。

 藤巻 数年前は「このママでは危無い」との指摘もあった。今や危ない水準を超え様として居るのに、悲壮感は無く為って居る。

 原 アベノミクスの異次元の金融緩和や財政ファイナンスは、私が予想して居たより長持ちして居る。株式市場や債券市場の投資家達は「猫にマタタビ」状態で、大量の日銀マネーと永久緩和と云う麻薬に酔い痴(し)れてしまって居る。
 アベノミクス開始から既に7年経ってしまったが、これから更に10年・20年位持つかも知れない。そう云う状況で警鐘を鳴らしても「オオカミ少年」と見做されてしまって居る。何だオオカミナンて来無いじゃないかと。最近では、幾ら財政赤字を積み上げても大丈夫だと云うMMT・現代貨幣理論の支持者迄増えつつある。








 藤巻 日本は計画経済に為ってしまった。政府は大きいし結果平等だし、規制が多い社会主義的な国。国債市場では日銀が圧倒的な存在を占める。株式市場も来年には日銀が最大の株主に為るかも知れない。世界で金融政策として株を買って居る中央銀行は無い。不動産投資信託(リート)を購入する事で、不動産価格もコントロールして居る。
 金融マンだった2000年代迄はこんな事は無かった。自由市場であるべきなのに中央銀行がコントロールするのは計画経済。旧ソ連と同じ様に暫くは上手く行っても、何時か無理が来て崩壊する。

 原 中国人民銀行だって株迄は買って居ない。中国の経済学者の中には「日銀は余りにも社会主義的過ぎる」と指摘する声さえあると云う。反論出来ませんね。

 藤巻 こんな計画経済の国は無い。ソコが一番の問題。世界でダントツのビリ成長で、30年前に比べ日本のGDPは1・4倍にしか為って居ない。中国は57倍にも為って居る。スイスやドイツみたいに財政赤字に歯止めを掛ける「財政均衡法」があれば、こんな事には為ら無かった。経済が伸び無ければ税収は増える訳が無い。経済が2倍に為れば税収も2倍に為って国民も豊かに為る。
 バブル経済の1990年と比べるとGDPは殆ど伸びて居ない。2018年度の一般会計の税収は約60兆円で過去最高に為ったと云うが、90年度と殆ど同じ。GDPが膨らま無いので税収は増え無い。経済の実りを消費増税で国がより多く取って行くので、国民には不満が溜まる。一方で、歳出は90年度は約69兆円なのに今は100兆円。税収が同じなのに歳出を増やすので借金が溜まる。
 これを解決するには二つしか無い。税収が伸び無いなら我慢して歳出を抑える。それが出来ないなら、歳出に見合った経済成長をする。日本は世界でもダントツのビリなので、工夫すればもっと成長出来ると思って居る。政治家の役目はビリの理由を考えて如何に成長させるかなのに、票に繋がり難い長期の成長戦略には積極的で無い。

 原 20年前と比べても、政府の歳出の中の防衛費や公共事業費・地方交付税交付金等は殆ど増えて居ない。増えて居るのは社会保障費と国債費。高齢化が進めば社会保障費が増えるのは止むを得無い。この状況では、私は歳入増の為には増税するしか無いと思う。成長させる事も必要だろうが、それに頼み過ぎた極端な例がアベノミクス。成長で歳入と歳出の辻褄を合わせ様としたが結局実現出来て居ない。
 異次元の金融緩和や成長戦略を打ち出しても成長出来無いのなら、これが日本経済の定常状態だと思う方が自然だろう。それに欧州や米国の成長も日本の状況に近づいて来て居る。過去200年で見ると、先進国の1人辺りGDPの実質成長率は、何処も2〜3%程だそうだ。日本はバブル経済の頃まで4%を超える様な高成長をして居た。バブル崩壊以降の成長率が低いのは、それ迄成長を前倒しした分の帳尻合わせをして居る可能性がある。


 藤巻 私は日本はモッと成長出来ると思って居る。財政出動をしたのに成長出来無かったと云う指摘もあるが、財政出動をしたからダメなのではないか。政府がシャシャリ出て来ると、税金を沢山獲ら無いといけ無く為る。小さな政府で何もし無ければ、税金は少なくて好い。政府が金儲けをして経済成長するのは難しい。本来は規制を無くし、民間活力を使うべきだ。
 財政出動を増やせと云う議論は今もあるが、政府が出過ぎた結果がビリ成長で世界最大の財政赤字。国会議員を遣って居ると判るが、財政が苦しい時期なのに必要性の低い政策が実行され、政府がドンドン大きく為って居る。米国と日本の大企業を比べると、収益力が大幅に負けて居る。民間活力を生かして、企業が儲けられる様にすべきだ。

 原 最近の民間企業の設備投資は、人員を減らし効率化する為の投資が中心。新しい需要を生み出す為の積極的な設備投資は極めて少ない。介護や医療、再生エネルギー等の分野では消費ニーズは有るのに、思い切った投資をする民間企業がナカナカ出て来ない。そう為ると、ヤッパリ政府の出番が必要な部分もあるし、インフラの更新の様に政府が遣ら無ければいけ無い投資もある。

 藤巻 日本は成長分野が少ないと思われて居るが、海外の需要を取り込めば好い。中国が強く為ったのは通貨の人民元が安く為ったお蔭。人民元は10分の1位に価値が下がったので、世界の工場に為った。
 為替は値段そのものだ。円高はモノに限らずサービス・賃金が値上がりすると云う事。日本は円高故に全ての分野で競争力を失った。先進国が成長し無く為ったのは、通貨の安い新興国に経済がシフトした所為。特に日本は先進国の中でも円を強くし過ぎた。







 アベノミクス? 為替管理の不手際

 原 足元の為替相場は円安ドル高に振れ過ぎて居るのではないか。沢山外国人観光客が入って来て爆買いして居る。中国人観光客等はドラッグストアで買い捲くって居る。日本人も円が可なり高かった時期には、海外旅行先でブランドもの等を爆買いして居た。

 藤巻 為替の所為で外国人観光客が増えた訳では無いだろう。スイスでも、中国や韓国の観光客が増えて居る。スイスフランが安いから訪れて居るのでは無く、中国が40年間でGDPが220倍に為って居るから。人口が変わら無ければ1人当たりの所得も220倍に為ったと云う事。
 経済成長すれば、通貨の人民元が安く為ったとしても海外旅行を楽しめる。今日本に外国人観光客が来て居るのは、国力が落ちて、世界経済におけるプレゼンスが低下して居る為だ。

 原 日本人としては日本が強い国であって欲しいが、先入観無く考えれば、日本の国力はこんなものかなと思う。日本は30年間位世界第2位の経済大国でビッグパワーを持った国として存在した。そのお蔭で勘違いしてしまった。経済的に見ると、この50年位は日本の長い歴史の中で稀に見る恵まれた時期だったんだろう。

 藤巻 私は日本は潜在成長力は高くて、これからも成長出来ると信じて居る。政策ミスをしたので、もう一度ヤリ直さ無ければいけ無い。何を間違えたのかと云うと、一つは為替政策。根本的なミスは円が強過ぎた事。日本はその重要性に気が付か無かったが、中国は気付いて居る。もう一つは平等論が強くて競争を否定した事。結果平等では成長し難い。

 原 この10年の国家全体としての日本の成長率は先進国でビリかも知れないが、国民1人辺り成長率をドルベースで見ると米国並みだった。生産年齢人口1人辺りGDPで見ると、日本は寧ろ欧米より好い。統計をキチンと分析すると、日本経済はそれ程酷く無かった。

 藤巻 通常の国は景気が悪い時は通貨安を求める。米国だけはドルが基軸通貨なので例外。その地位を保つ為ドルが強く無くてはいけ無い。基軸通貨だからコソ、ドル紙幣を刷るだけで世界中から何でも買えると云うメリットがある。
 「通貨戦争」と云う言葉がある様に米国以外は、景気対策として通貨安が極めて有効。なのに、日本の政治家は、円高の方が好いと思って居る人が多かった。本来、景気が良ければ通貨は強く為る。日本は景気が悪いのに円が強く為ったから困った事に為った。通信簿で実力が1なのに最上級の評価5が付く様なもので、ロクな事は無い。円高で日本の人件費は高く為り、産業が空洞化した。日本人は外国人に仕事を奪われた。

 原 円高に為れば、仕事は海外に奪われるかも知れないが、日本人の購買力は上がる。より多くのものを海外から買える様に為り豊かに為る。それに比べ、円安は相対的に日本人が貧しく為る様に思える。

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 藤巻 為替は経済の「自動安定装置」で、経済力に応じて変動するべきだった。ジャパンアズNO1と云う本が出た位に日本経済が強かった1979年、当時の米国経済は落ちブレて居た。あの時は1ドルが約240円。その後日本は落ち込み米国が復活したのに、円が強く為りドルが弱く為った。ソコが問題。為替の変動による自動安定装置が働かず、日本経済が上昇する訳が無かった。
 国内経済力が下がるとより好い投資先を求めて国内から海外にお金が向かい、通貨安に為るのが通常のパターン。処が日本は海外に投資せず、国内でお金が溜まる仕組みに為って居た。本来は円安に為るべきなのに、構造問題で為替変動が出来無かった。

 原 確かに日本は低成長で、米国の方が経済成長率が高いが、詳しく見ると違った風景も見える。米国が成長出来て来たのは、インターネット産業等の興隆もあるが、ヒスパニックを中心に移民人口が増えて来た事が大きい。それに同じ米国でも業種や地域によっては、殆ど成長出来て居無い処もある。
 例えば製造業では、ここ40年で見ると、物価換算した実質賃金の伸びはホボゼロだ。米国は全体として成長して居る様に見えるが、賃金が伸びず苦しい生活をして居る人も沢山居る。「ラストベルト」(錆び付いた工業地帯)と呼ばれる地域には、厳しい生活環境の白人労働者が多く、その不満がトランプ大統領が当選する原動力にも為った。
 では、日本も米国と同じ様に、大量の移民を受け入れて人口を増やす事によって経済成長を目指すのか。私は違う意見だ。何時までも高成長を追い求めるのでは無く、成長はソコソコでも安定した社会を築く方が好いのではないかと思う。


 藤巻 私は米国社会は好きでは無い処もあるが、経済的に強いのは認めざるを得無い。米国の金持ちは「何処に投資すれば儲かるのか」と言った話ばかりして居る。日本人の金持ちは「どうやれば相続税を節約出来るのか」と云う後ろ向きの話ばかり。リスクを取って投資しようとしない。
 日本が弱いのは終身雇用制度も関係して居る。賃金が上がり難くブラック企業は無く為ら無い。劣悪な環境なら社員が会社を見限って辞める筈だが、終身雇用の元で耐えて居る。雇用が流動化すれば、企業は待遇を改善せざるを得無い。
 外資系金融機関で在日代表兼東京支店長を務めて居た時に一番怖かったのは、従業員が或る日突然、ゴソッと他社に移ってしまう事だった。存立の危機に為ってしまう。だから待遇改善を図った。政府の仕事は経団連に賃上げを要求する事では無く、完全雇用の維持と転職市場の整備だ。日本は雇用の分野でも競争が無さ過ぎる。







 経済成長在っての税収増

 原 競争は有っても好いが、セーフティーネットも必要だ。個人が幾ら頑張っても、上手く行か無い事もある。それコソ、このママ政府が財政ファイナンスを続け、何時かその反動で経済危機が来た時に個人ではどうしようも無い。

 藤巻 私はXデーに備えよと言い続け「オオカミ少年」為らぬ「オオカミお爺さん」と言われて居る。確かにXデーは来て居ないので、警告は外れたと思われるかも知れない。だが、これ迄危機が来なかったからと云って、これからも安全だと云う証明には為ら無い。
 私は危機が先延ばしされて居るだけだと思う。過つて山一証券が破綻した様に、損失を飛ばして一時的に見え無くして居る。財政ファイナンスは禁じ手中の禁じ手で、まさか政府や日銀が遣るとは思って居なかった。常識外のことを遣って居るから今は平穏に見えるが、歪は溜まって居る。
 長男ケンタに「政府や日銀の担当者は、自分が居る時にXデーを迎えたく無いと追い詰められた。『窮鼠、猫を噛む』では無いが、後先考えずに常識外の事も遣る。それを読め無かったお父さんは、もうディーラーとしては失格だね」と言われた。

 財政赤字が急速に膨らんで居た時「政府の赤字と家計の赤字とは意味が違う。政府には徴税権があるからだ」と主張する論者が居た。借金が膨らめば何時かは増税をし無ければ為ら無いと云う事だ。しかし、国民は消費増税等には猛反対するので大増税はし難い。
 政府に残る手段はインフレ税。インフレに為ってお金の価値が下がれば、政府の借金は実質目減りする。債権者の国民から債務者の国に所得移転が生じるので、増税の別形態と言える、これだけの借金をインフレ税で対応しようとすれば、ハイパーインフレにするしか無い。政府には好都合だが、国民に取っては地獄の様な生活が待って居る。

 ハイパーインフレに一旦為ってから、それを鎮静させる為政府が取る手段は三つ考えられる。

 一つ目は法定通貨を円からドルに代える事。これは独立国家としての日本の尊厳を傷着けるから出来無い。
 二つ目は預金を自由に引き出せ無くする預金封鎖と新券発行。終戦直後のハイパーインフレの時は、新券発行が間に合わず、当初は旧券に証紙を貼って対応した。国が密(ひそ)かに新券や証紙を用意しようとしても、バレたらパニックに為って取り付け騒ぎが起きる。
 皆自分のお金を守ろうと預金を引き出したり、円を外貨や貴金属等に換えたりする為だ。どうヤッテ国は備えて置くのかなと思って居たら、1万円札のデザインを福沢諭吉から渋沢栄一に2024年度から切り替えると云う。

 新しい1万円札を準備して置けば、万が一Xデーが直ぐ来ても対応出来る。今の福沢諭吉の1万円札を使用中止にして、渋沢栄一の1万円札だけ使える様にすれば好い。引き出せる枚数を制限したり、今の1万円札と新しい1万円札の交換レートを設定したりする事も出来る。勿論可能性は今の時点では低いし、イザ遣ろうとすると国民の反発を招くが、全くの想定外の話と云う訳では無い。
 三つ目は日銀を実質的に破綻させる事。これはドイツでも在った事だ。終戦後に中央銀行のドイツ帝国銀行(ライヒスバンク)が無く為り、ライヒス・マルクは使え無く為った。そして新しくドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)が設立され、ドイツ・マルクを使う様に為った。
 中央銀行を破綻させる事で、それ迄発行してた紙幣の価値を大幅に目減りさせる手法だ。私は日本の鎮静策は、三つ目のケースに為るのではないかと思って居る。今は憲法で私有財産権が保障され、預金封鎖をするのは極めて難しい。でも、日銀を実質的に破綻させる手法なら出来るかも知れない。円は日銀の負債に過ぎ無いからだ。企業が倒産してしまうと「借金を返済しないのは私有財産権の侵害だ」とは貸し手は主張出来無い。それと同じだ。
 日銀が債務超過に為り信用が失われれば、日銀が発行する紙幣の価値が低下するのは避けられ無い。皆が持って居るお金が紙クズに為っても、憲法違反と迄は言い難いのだ。

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 原 そう考えると、個人として身を守るのは、外貨資産を持つ事位しかないのか。メガバンクはドル資産を沢山持って居るから、国内がハイパーインフレに為っても大丈夫かも知れない。すると結局、深刻な被害を受けるのは大多数の国民と云う事に為ってしまう。

 藤巻 日銀が破綻しても、メガバンクは外貨資産が有るので生き残る。個人も外貨に資産を分散させるべきだ。私は外貨資産は保険だと言って居る。日本人は給料も預金も年金も全て円なので、リスクが集中して居る。
 円高に為れば外貨資産は目減りして損をすると心配する人も多いが、イザと云う時に備える火災保険料だと思えば好い。




 原 興味深い冊子を紹介しましょう。戦前の1941年に、大政翼賛会が戦費調達の為150万部刷って全国に配った「戦費と国債」だ。此処に書かれて居る事は、今「借金をしてでも財政を拡大せよ」と主張して居る人達と似通って居る。例えば財政破綻の懸念に付いて「国債は国家の借金ですが同時に国民がその貸し手なので、経済の基礎が揺らぐ様な心配は全然ありません」等と説明して居る。
 膨れ上がる国債は大問題なのに、国民全体の危機意識は高まって居ない。一旦財政ファイナンスを始めると、辞める事が出来無く為る。政府の主張通りなら景気拡大は約7年続いて居るが、この間、日銀は一度も金融政策を引き締める事が出来無かった。
 これからは米中貿易戦争や国内景気の減速等悪く為る要因が多いのに、異次元の金融緩和の出口に向かえる訳が無い。日銀は永久に国債を買い続けるしか無く為って居る。米FRBや欧州中央銀行は、一旦は出口に向かおうとした。日銀は出ようと云う意思さえ示した事が無い。


 藤巻 多くの人達は異次元の金融緩和と云っても、基本的には以前と同じ様なものだと思って居る。実際は「非伝統的金融政策」と言う様に、可なり危険な禁じ手を遣って居る。
 日銀は金利の着か無い国債をドンドン買って居るので収益力が弱まって居る。余力が無いので、市場で金利が上昇すれば赤字決算に為り、債務超過に為る恐れもある。

 原 日銀の信用が失われると、資金が一気に海外に流出するキャピタルフライトが起こり得る。そう為ると国家そのものが潰れかね無い。一部の危機感が有る人達の間では、資産を海外に移す動きが出て居る。そうは言っても、大多数の国民は、政府や日銀を信じて資産を円で持って居る。
 私は国民を守る為にも、財政ファイナンスの危険性を地道に訴えて、政府や中央銀行の姿勢を変えさせるべきだと思って居る。甘言を疑い、危機感を取り戻さ無いといけ無い。


 藤巻 強調して置きたいのは、残念ながらXデーが現実に為ったとしても、日本経済は復活出来ると云う事。日本の財政と日銀は破綻しても、日本そのものがお仕舞に為る訳では無い。
 ハイパーインフレに為り円安に為れば、マーケットメカニズムを通じて経済は回復する。自暴自棄に為らず落ち着いて対応すれば、危機が来ても生き延びられる。政府や日銀の言う事を信じて現状から目を背けるのでは無く、一人ひとりが自分で考え準備して置く事が大切だ。
 (構成 本誌・多田敏男)

  ※週刊朝日オンライン限定記事      以上


 【管理人のひとこと】 

 どうも話が暗いものに為ってしまった。此処まで先を考えると、特に悪い話を先に持って来るのが或る意味賢明なのだろうが、次の世代が大変に心細く為ってしまう。明日にでも安倍政権にダメ出しし、健全な政権を打ち立て日本の再建に早急に励まねば為るまい。
 芸能人や反社会の人達を呼んで桜なぞを観て燥(はしゃ)いで居る場合では無い。大型補正予算(10兆プラス総事業費20兆)を組んで直ちに解散するしか無い。公明・維新を除外したその他の野党連立政権と為るだろうが、山本太郎総理に小沢一郎幹事長で内閣と連合野党の骨格を作るべきでは無かろうか・・・副総理に枝野氏や自民の改革派の重鎮?反安倍の石破氏でも好い。時には真面目な愛国者も必要だから、彼を防衛相に迎えればどうか。恐らく多くの優秀な自民の議員も骨惜しみせず協力する筈だ・・・と思うのだが。








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ジェフ・ベゾスはなぜ「アマゾンも必ずいつかは崩壊する」と言い切るのか




 
 ジェフ・ベゾスは何故 「アマゾンも必ず何時かは崩壊する」と言い切るのか


            〜ビジネス+IT 12/3(火) 7:10配信〜


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     元アマゾン幹部の証言によって、ベゾスの思考法を紐解く(写真:AP/アフロ)

 〜大成功を収めた企業に付いて、人々は「どうしたらアノ様に凄い結果を出せるのだろうか?」と思い、何とかして成功の秘訣を解き明かそうとする。
 元アマゾン幹部ジョン・ロスマン氏は、自身に何度も投げ掛けられて来たその問いに対するアンサーとして、著書『アマゾンの様に考える』を上梓したと云う。「アマゾンには、結果を出す為の一貫した戦略・信念体系・遣り方がある。それ等を理解出来れば、貴方もベゾスの様に考えられる様に為る筈だ」とロスマン氏。過つてベゾスの右腕を務めて居た彼だからコソ知る、アマゾン流の成功のヒントを紹介しよう〜



 過去の成功例にしがみ付いて居ては、イノベーションは起こせ無い

 ジェフなら如何(どう)するだろう?

 1990年代「イエス・キリストなら如何するだろう?」を意味するWWJD・What would Jesus do?と云う略語が書かれたバンパーステッカーやTシャツが、米国中で見られる様に為った。
 その後、様々なバリエーションが現れた。科学者は「ダーウィンなら如何するだろう?」デッドヘッド(グレイトフル・デッドの熱狂的ファン)達は「ジェリーなら如何するだろう?」と問い掛けた。「アティカス・フィンチ(『アラバマ物語』に登場する弁護士)なら如何するだろう?」と書かれたステッカー迄見た事がある。どれも元来の意味から大きく掛け離れて居るが、当時はその位流行って居た表現なのだ。

 過去5年間、私はクライアントや著書の読者達から、同様の質問を何度もされた。「ジェフ・ベゾスなら如何するだろう?」と。勿論彼等が「WWJD?」と問う時、本当に聞きたいのは恐らくこう云う事だ。

 「ビーイング・デジタルって如何云う意味なんですか?」「ディスラプション(破壊的イノベーション)を如何したら避けられるんでしょう?」「アマゾンはこの分野、或は地域に進出するでしょうか?」「アマゾンは如何やってコンな結果を出せるのだろうか?」「アマゾンは私との提携に興味を持って呉れるでしょうか?」「アマゾンはこの会社を買収しようと思うだろうか?」「如何すればアマゾンの様に買い物し易いWebサイトが出来るのですか?」
 
 これ等全てを一言でマトメルと「ジェフなら如何するだろう?」と云う事に為る。何故彼等は、私がそれ等の質問に答えられると思ったのか。延いては、何故この本を書いて、デジタル時代に競い合って居る人々を助けられると思ったのか。2005年にアマゾンを辞めて以降、私は様々な業界の、違う目的を持つクライアント達に、沢山のシナリオを示して、これ等の質問に答えて来た。
 しかし「ジェフなら如何するだろう?」と云う問いに答える為に本当に必要なのは、ジェフ・ベゾスとアマゾンの問題対処法・事業やテクノロジーの展開のヤリ方・新しいアイデア・市場・成長に付いての考えが、全くブレて居ないと認識する事なのだ。

 言い換えると、アマゾンには結果を出す為の一貫した戦略・信念体系・やり方がある。それ等を理解出来れば、貴方もアマゾンの様に考えられる様に為る筈だ。本書に書かれた幅広いシナリオや実例は、貴方の質問に直接答えるものでは無いかも知れないが、ジェフの全般的な考え方を理解出来れば、彼の見識や信念を、貴方の環境に合わせて上手に使う事が出来る。







 最良の攻撃は、更に強力な攻撃

 現在のフォーチュン1000社の80パーセントが、これからの10年で入れ替わると考えられるのは何故だろう?ディスラプション(破壊的イノベーション)は、何故脅威なのだろう?複雑な質問に簡潔過ぎる答えを出す事にリスクはあるが、私はこう答えるだろう。

 第一に、会社は以前の考え方やモデル・アプローチが絶対と考えてしまう。
 第二に、変化を起こすのは本当に難しい。トランスフォーメーション(変換)と云う概念は、とても素晴らしく思えるが、実は途轍も無く判り難い。この組織やビジネス活性化の為の大い為る理想は、持続的な変化や長期的な価値創造では無く、短期的なプロジェクトやエネルギーとして現れる事が多い。

 「企業の命は短いので、アマゾンだって何時かは崩壊する」と、ベゾスは2013年のインタビューで話して居る。「そんな事は心配して居ない。それは避けられ無いと判って居るからだ。会社は生まれては消える。或る時代、最も輝き最も重要と考えられて居た企業も、20年もすれば無く為って居る」(Charlie Rose 2013)

 古いモデルや過去の成功に囚われ無い企業はリーダーで有り続け、次の時代を作る力を維持する。そして、この変動の激しい時代に変化し成長する事が出来る。その様な力を育くみ維持するには、世界レベルの思考の敏捷性が求められる。
 その為アマゾンは、既存のビジネスの勢いに安住するのでは無く、現在も元手を取るのに何年も掛かる(取れずに終わるかも知れない)ものに投資を続けて居る。2018年6月に行われた、オンライン薬局ピルパックの買収は更なる攻撃例の一つである。

 ピルバックは、顧客に処方された薬を、1回分ズツ個別包装をして家迄届けて呉れる。顧客の都合に合わせた包装と配送を採用したのだ。もし貴方が沢山の薬を飲ま無ければ為らず、薬局迄行きたく無い、或は物理的に行け無い事情がある人に取って、ピルパックは他の普通の薬局よりも遥かに利便性が高い。
 アマゾンは今、ヘルスケア市場に参入する必要は無いが、既に小さな一歩を踏み出して居る。今後、同社はこの事業の内容、ピルパックの機能と医薬品を販売する州の免許を活用する(何れホールフーズを薬局に?)事を、全体的な戦略の一部として、多くの角度からの視点を持ち、様々なビジネスモデルを検討して行くだろう。

 AWSが何故アマゾンから生まれたのか

 アマゾン・ウェブ・サービス・AWSは、最大のオンデマンド・クラウドコンピューター会社であり、業界最初の会社でもある。
 しかしこの事業は、従来のハードウェアとソフトウェア業界の資材調達・ライセンシング・マネジメントのモデルをヒックリ返すと云う破壊的戦略から生まれたものでは無い。戦略の方が後から生まれたのだ。この事業は小売店であるアマゾンが、コンピューターのインフラを拡大する必要性から生まれた。此処でその経緯を説明してみよう。

 2003年のホリデーシーズン、年間を通じて最も忙しく重要な時期に、アマゾンのWebサイトの信頼性に問題が生じた。休暇中は十分な作業が出来ず、休暇が明けて直ぐWebサイトの規模拡大と信頼性向上に取り組む特別部隊が作られた。このチームがコンピューター・インフラとマネジメントを集中化する事を決定した。
 これは同じ社内の他部署のスタッフ・・・所謂内部顧客の為に働くと云う事だ。すると内部顧客は手が掛かる客では無い事が判った。本当に手が掛かるのは一般の外部顧客だけなのだ。そこでこのインフラを、外部の開発者にも提供すると発表された。開発者は直ぐに、そのオンデマンドの性能を気に入った。こうしてAWSの戦略が発展したのだ。







 何故アマゾンの様に考えるべきなのか

 現在のアマゾンの事業に付いて考えてみよう。あらゆるカテゴリーに展開する小売業・マーケットプレイス付いて・クラウドコンピューティング・映画とテレビ番組制作・書籍出版・ロジスティックス・スマートスピーカー・エコー・キンドル・リングドアベル等のデバイス・輸送とサプライチェーン・食料品・80を超えるプライベートブランド・ヘルスケア・・・
 アマゾンは進取の気性を持ち、顧客中心主義で、アンチ官僚主義を誇るコングロマリットである。夫々の事業が外部顧客を持ち、概念的にはクラウドが独立した企業として他のアマゾンの部署と他の企業とその顧客の為に仕事をする。アマゾンがそれを、数え切れ無い何層ものお役所的手続きに押し潰される事無く遣って退けて居るのは、主にリーダーシップの原則、そして幾つものアイデアのお蔭だ。

 勿論アマゾンの様に考える事は、イノベーションに限った事では無い。その全てを支えて居るのは、常識では考えられ無い様な世界的なオペレーションだ。Relentless.com はベゾスが立ち上げたベンチャー企業の名前で、このアドレスは今でもAmazon.comに繋がる。Relentless(容赦ない)と云うのは、アマゾンの事業に対する姿勢を好く表して居る。

 アマゾンは、ガートナー社(格付け会社)がマスター企業とランクする僅か5つの企業の1つである。ガートナーはアマゾンを、2つのモード(安全・安定/スピード・柔軟性)を持つサプライチェーン組織であり、大規模経営とイノベーションの両方で他に類のない企業として居る。
 2016年当時、アマゾンはサプライチェーンのテクノロジーだけで、何と80もの特許を持って居た。 (CB Information Services 2017)世界的大企業として経営を行うと同時に、顧客重視の組織的イノベーターに為る事。これは全てのCEOが望む事ではないだろうか? それコソがアマゾンの様に考える重要な理由である。


          12-3-2.jpg ジョン・ロスマン氏

 ※本記事は『アマゾンのように考える』を再構成したものです 〔参考文献〕ジョン・ロスマン

                 以上







 【関連報道】【階層別解説】エグゼクティブ・リーダー・スタッフ・・・夫々が持つべきマインドセット

            〜文 フリーランスライター 吉田育代〜


 〜テクノロジーは、生み出すのも「人」なら利用するのも「人」だ。本格的なデジタル時代への転換期にある今日、IT部門やITベンダーは勿論、経営層も含めた全ての企業人にマインドセットの大転換が求められて居る。
 ITR 取締役 シニア・アナリスト 舘野 真人氏が、来たるべき時代に向けて、エグゼクティブやリーダーに求められる姿勢・人材像に付いて提言した〜


        
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             ITR 取締役 シニア・アナリスト 舘野 真人氏


 新時代のリーダーに求められる3つの姿勢 

 「デジタル化」と云う言葉には、2つの意味合いがあると云う。1つは既存のアナログデータをデジタルデータに変換するだけのデジタル化で、もう1つはデジタル技術によって、社会・産業・企業活動に変革をもたらすデジタル化だ。今日求められて居るのは勿論後者であり、真のデジタル化を実現する為には、テクノロジーもさる事ながら「その価値を引き出す人が重要だ」と舘野氏は語る。
 AIを見れば明らかな様に、テクノロジーは今や指数関数的な進化を遂げつつある。しかし、人の意識は緩やか、且つ線形にしか変化し無い。だからコソ猶更、今後はテクノロジーの進化に人がどの様に対応するかが問われると云うのだ。

 人とテクノロジーの進化の違い

 新時代をリードするエグゼクティブやリーダーには3つの姿勢が必要です。先ずは、前例が無い・答の無い世界に自ら飛び込み、進むべき道を探索する事。 次に、変化を当然のものとして、問題が発生しても小さな段階で素早く対処出来る事。そして、仮にこの2つの資質が無くても、記の様な姿勢を備えた人を積極的に支援し、少なくとも邪魔はし無い事です。(舘野氏)

 新時代に求められるリーダーの新たな姿勢
 エグゼクティブに必要なマインドセットとは? 
 
 新しい時代には新しいマインドセットの醸成も必要だ。それ等は、大きく3つの要素から成ると云う。幾つに為っても新しい学びに挑戦出来る「知的資本」異なる文化や価値観・環境の変化を寛容に受け入れる事の出来る「心理的資本」組織やステークホルダーに影響力を行使出来る「社会的資本」だ。
 舘野氏は又、エグゼクティブ・リーダー・オペレーションスタッフ夫々に求められる新しいマインドセットがあると主張する。







 夫々の階層で求められる新しいマインドセット

 例えば、エグゼクティブに必要なのは「社会課題へのコミットメント」の姿勢だ。今日、これは企業経営に取って大きなテーマと為って居る。
 2017年、経団連は企業行動憲章を改定し、国連のSDGs・持続可能な開発目標を中核に据えた。又、中国のアリババグループも、科学技術で未来の問題を解決する事を目指し「達摩院(DAMO)」と云う先端技術研究機関の設立を発表した。

 エグゼクティブがこうした姿勢を持つべきなのは、それが採用活動にも影響するからだ。デジタルネイティブと呼ばれる若い世代は、社会課題解決への関心が他の世代より高く、企業選びの指針の1つと為って居る。「風通しの好い組織文化の醸成」は情報の透明性を意味する。舘野氏は「これは極端な例だが」と断りながら、3つの事例を紹介した。

 先ず、Everlaneと云う米国アパレル企業は、自社が扱う商品の原価や輸送コストを明らかにした上で、価格をWebサイト上に掲載して居る。委託先生産工場の作業風景画像等も公開して居り、それは「納得してご購入ください」と云うメッセージだ。
 Bufferと云う米国のクラウドサービス企業は、社員が世界中に点在し、全員がリモートワークをして居る事から、全社員のステータス情報と共に、何と全社員の給与リストや株式保有率・月間売り上げ等のデータ迄も社内共有した。
 キャスターと云う日本のクラウドサービス企業は、会社の収支や全社員の給与を社員に共有し、希望すれば会社のミーティング全てにリモート参加出来ると云う。通常は明らかにされ無い情報を従業員や顧客に開示する事によって、信頼を高めようとして居るケースだ。

 舘野氏は、エグゼクティブに求められるマインドセットとして、更に「自ら先進のテクノロジーを体感する」事を挙げた。「年代が上がるに連れて、LINE・インスタグラム等の利用率は低く為る傾向があります。使い込む必要はありませんが、少なくともドンなサービスかはご覧に為って下さい。全く知ら無い様では、新しい時代に正しい意思決定を下せません」(舘野氏)

 アナログ時代とデジタル時代の違いを認識しよう
 
 リーダー層に為ると、求められるマインドセットは又違う。舘野氏が例に挙げたのは「データを重視した意思決定」だ。

 米MLBでは、セイバーメトリクスで野球のチーム編成が大きく変わった。最強打者は4番では無く2番を任せるのが好く、得点に貢献するのは打者の打率よりも出塁率であり、ゴロを狙うよりも26〜30度の角度に飛ばしたフライが最もヒットに為り易い。こうした事実がデータ分析によって明らかに為った。
 ビジネスにおいても、こうした考え方は既に人材採用や組織作り等で一部取り入れられつつある様だ。それでは、現場のスタッフに求められるものは何か。それは、例えばアナログとデジタルの文化の違いを理解する事だ。アナログの世界では、製品開発は1年・2年掛かっても当然だったが、Webサイトは足った1日で構築される事もある。

 一旦納品したら機能・性能の変更は困難と思い込むのでは無く、ライセンスやフリーミアム戦略の中で柔軟に対応する事を考える事も必要だ。デジタル化を推進するなら、デジタル世界ならではの文化に戸惑わ無い様「デジタルリテラシーの醸成」が必要なのだ。
 そして「積極的な情報発信」も重要だ。舘野氏は「Working Out Loud」と云う表現を使った。文字通り訳せば大声で働くだ。

 「デジタル世界でのコミュニケーションにおいては、情報を発信し無い事は存在し無い事と同じです。ビジネスチャットやSNS等手軽に情報発信出来る環境が整備された今日、1人で黙々と働いたり抱え込んだりするのでは無く『作成途中の成果物でも開示してフィードバックを募る』『行き詰まったら直ぐに他者に相談する』『作業の成果だけで無くプロセスも含めて共有する』と云った姿勢が必要です」(舘野氏)

 デジタル変革を「自分事」と自覚せよ
 
 デジタル時代に求められる人材像をマトメ様。エグゼクティブが志向すべきは規律型の経営では無く、参画型・包摂型の経営だ。リーダーは組織構造と権限に基づくリーダーシップでは無く、影響力と説得力に基づくリーダーシップを目指す。そしてスタッフは、テクノロジー活用を他人任せにするのでは無く、自らイニシアチブを握って実践する。最後に舘野氏は、次の様に力説してセッションを締め括った。


 「デジタル変革のゴールは、人とテクノロジーの融合です。テクノロジーから価値を引き出す『人』の存在が不可欠であり、今日の様な時代の転換期においては、日々の思考や行動を支えるマインドセットの転換が必要です。
 デジタル人材は、最初からソコに居るのではありません。エグゼクティブ・リーダー・スタッフ夫々が役割の変化を自覚し、全てのビジネスパーソンはデジタル変革を自分事と捉えて積極的に参画すべきです」(舘野氏)


(※本記事は、2019年10月3日に開催されたITR IT Trend 2019での講演内容を元に再構成したものです)

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