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ビタミンB1欠如で記憶力が低下 アルツハイマー病に似た萎縮脳に!

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記憶力は生まれつきだと考える人も多いが、実は食べ物も記憶力に影響する。記憶力をアップするといわれる食べ物もあるが、食べないと記憶力が悪くなる食べ物もある。

食べないと記憶力が悪くなる食べ物、それはビタミンB1が含まれる食品だ。ビタミンB1は記憶のメカニズムに深く関わっている。ビタミンB1の欠如は、時には脳の変形まで招き、アルツハイマー病に似た脳になってしまう可能性もあることが明らかになった。

□ビタミンB1の欠如による記憶障害のメカニズムを解明
ビタミンB1は、人間に必須の栄養素の一つだ。ビタミンB1が不足すると脚気(かっけ)になることが知られている。さらに、ビタミンB1の欠如は、ウェルニッケ・コルサコフ症候群などの重篤な記憶力の減退を招くことも分かっていたが、その発症メカニズムは謎のままだった。

東京農業大学応用生物科学部の喜田聡教授らの研究グループは、マウスを使った研究で障害のメカニズムが、海馬の変性により起こることを世界で初めて解明した。

□ビタミンB1欠乏状態からの回復は?
研究チームは、マウスにビタミンB1の欠如した餌を10日間与えた。この10日間の間、ビタミンB1拮抗(きっこう)物質であるピリチアミンも連日投与して、わざと重篤なビタミンB1欠乏状態を作りだした。

ビタミンB1欠乏状態は、体重減少と運動能力の低下をもたらしたが、3週間の回復期間を設けると、体重も運動能力も回復した。しかし、空間記憶、社会的認知記憶、恐怖条件付け文脈記憶など海馬依存的な記憶能力の障害は、3週間の回復期間後も回復することがなかった。

□記憶障害は永続的な障害
体重や運動能力はビタミンB1を満たせば回復したが、記憶はビタミンB1を満たしても記憶に障害が出たままになってしまった。

一時期のビタミンB1の欠如は、記憶力の永続的な障害を引き起こすことにもなりかねないという危険があるのだ。
□海馬がアルツハイマー脳のように変形してしまう
ビタミンB1の欠乏したマウスにおける、海馬の神経細胞の一部を視覚化した結果、ビタミンB1欠乏マウスは、海馬の歯状回領域において神経細胞の数や密度が大幅に減少していた。

このことから、ビタミンB1の欠乏で起こる記憶障害は、細胞レベルでの海馬の変形、特に海馬内の神経細胞の変形が原因であることが明らかになった。
 
アルツハイマー病では脳の萎縮が起こることが知られているが、似たような萎縮や変形がビタミンB1の欠乏でも起こり、ウェルニッケ・コルサコフ症候群の原因になる。

細胞の変形まで起こるために、記憶障害からの回復が難しくなってしまうのだろう。
□1日にどれくらいのビタミンB1 を摂取すればいい?
では、ビタミンB1を不足することなく摂取するには、何をどれくらい食べたらいいのだろうか。

ビタミンB1の含有量が多い食品は、なんといっても豚肉だ。特にヒレやモモに多く含まれている。他には大豆や昆布、きなこ、うなぎ、焼きのりなどがある。

必要な摂取量は年齢や性別にもよるが、豚肉のヒレならば約150グラムで1日の摂取量に近くなる。最近は不足気味の人が多いようなので、ビタミンB1を含む食品を積極的に食べるようにした方がいい。

□日々の食事にビタミンB1を
ビタミンB1は、水に溶け出してしまう水溶性ビタミンなので、豚汁などにして汁も飲める調理法にする方が、効率的に摂取できる。

ビタミンB1の欠如は、記憶力の低下だけではなく、記憶障害まで引き起こすことがある。日々の食事の大切さを思い出させてくれるような研究だ。





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