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「夢遊病患者を起こすべからず」は嘘だった 起こさないと危険なことも

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夢遊病。比較的よく聞く言葉であり、どんなものか何となく知っている人も多いだろう。ただ、それがどのようなメカニズムで起きているのか知っている人は少ないのではないかと思う。

さらに、都市伝説のように語られる「夢遊病の人を起こしてはいけない」ということ。果たしてそれは正解なのだろうか。

□夢遊病患者に関する都市伝説は間違い
日常の生活術や仕事術などを紹介するウェブサイトのlife hackerに「昔から語られる体にまつわる10の神話、その嘘を科学が証明する」という記事がある。この記事の中に夢遊病についての神話に対する、ニューヨーク大学睡眠障害センター局長のクリーガー博士の反論が載っている。

夢遊病患者を絶対に起こしてはならないというのは間違いであると言う(※1)。

□夢遊病患者のほとんどは思春期前の子ども
そもそも夢遊病とは何なのだろうか。夢遊病は専門用語で「睡眠時遊行症」と呼ばれ、思春期前の子どもに非常に多いと言われている。10%以上の小児に見られるという報告もあるくらいだ。この睡眠時遊行症の特徴は

1. ノンレム睡眠時に起こる
2. 本人は全く記憶がない
3. 睡眠に入ってから1時間程度で起こることが多い
ということだ。

□夢遊病患者はそっと布団に誘導する
睡眠時遊行症では、深い睡眠であるノンレム睡眠で起こるため、起こそうとしてもなかなか起きず、起きたときには自分の状況がつかめないためパニックになってしまう。なので、無理やり起こすのはいい方法ではなく、最も有効な手段はうまく布団まで誘導して寝かせてしまうことだ。

それがうまくいかない場合で、もし何かしら転落や転倒などの危険がある場合は、起こしてあげてもいいと言う。特に階段やベランダ、あるいはキャンプ中などは注意が必要だ。

□大人に多いレム睡眠行動障害とは
一方、夢遊病と同じような症状を起こす病気として、レム睡眠行動障害(RBD)という病気がある。睡眠時遊行症が子どもに多い病気である一方、RBDは50代以降の男性に多い病気である。

レム睡眠時は体が寝ていて頭はある程度覚醒し、夢を見ている時間である。ただし、骨格筋が弛緩し、体の力が抜けているため、通常であれば夢を見ていてもそれを行動に移すことはない。しかしRBDを発症すると、レム睡眠時でも骨格筋弛緩のメカニズムが破綻して、夢の中の行動がそのまま表れてしまうことがある (※4)。

大人の夢遊病とも言えるRBDは、覚醒させると異常行動が止まるので、暴力などの危険な行動がある場合は起こしてしまった方がいいようである。

□大人の夢遊病、起こし方に注意が必要
その時に、できるだけ無理やり起こさず、「電気をつける」「ライトを目に当てる」「アラーム音を鳴らす」ということが有効な手段だと言う(※5)。無理やり起こそうとすると、夢の中の恐怖心と相まって危険なことがあるので注意してほしい。

夢遊病には2つのタイプがあり、年齢である程度の推測は可能である。

2つのタイプで対処法は多少異なるので、家族に夢遊病の患者がいる場合は頭に入れておいてほしい。夢遊病患者を絶対に起こしてはいけないということはない。

また、レム睡眠行動障害の場合は、睡眠の質に問題があるか、パーキンソン病などの初期症状である可能性もあるので、病院で早めに見てもらうことも大切だろう。






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