2019年05月22日
スメルハラスメントの認知も影響?「自己臭恐怖症」が増加中
近年、口臭などの体臭が他人に不快感を与えるという「スメルハラスメント」への認識が広まっている。自分の体のにおいは、なかなか気づきにくいものだが、その一方で、必要以上に自分の体臭を気にする「自己臭恐怖症」も増えているという。
□自己臭恐怖症とはなんだ?
自己臭恐怖症とは、実際はそこまで体臭が強くないのに「自分の臭いが他人に不快感を与えているのではないか」と不安を感じてしまう対人恐怖症のひとつである。
ワキガや多汗症の治療を中心に行う五味クリニック(新宿区)では、来院する患者の7割が自己臭恐怖症と診断されているという。クリニックの院長である五味常明医師は、スメルハラスメントの認知が広くなったここ数年、自己臭恐怖症の患者が増えていると指摘している。
□自己臭恐怖症のきっかけは他人の一言から
自己臭恐怖症は、他人からにおいを指摘されたことをきっかけに発症することが多いとされている。体臭は時間帯やタイミングによっては強くなるものだ。
たとえば、だ液の分泌が少ない朝は口臭が強くなるし、気温が高い夏はワキガでない人でも汗のにおいは増すだろう。確かに体臭が強めの人も存在するが、一般的に体臭の強さを本人に指摘することは難しいものだが、指摘するときは相手の気持ちにも配慮するようにしたい。
□自己臭恐怖症になりやすいタイプ
自己臭恐怖症になりやすい人には、几帳面や完璧主義といった特徴があるという。ひとたびこの病気を発症すれば、鼻を手で覆うなど他人のちょっとした動作が、自分の体臭によるものと思ってしまう。
また病状がさらにエスカレートすれば、職場や人間関係のトラブルが生じたときに、原因が自分の体臭であると思い込んでしまうこともあるそうだ。もう一度確認しておくと、自己臭恐怖症の人はそこまで臭ってはいない。
□自己臭恐怖症の克服法
自己臭恐怖症になると、周囲の人が「臭っていない」と言っても信じられなくなってしまう人が多い。家に引きこもりがちになり、一人で悩みを抱えてしまうため状況は深刻だ。
自己臭恐怖症は心の病気であり、精神科で認知行動療法や薬物療法が行われている。もしもあなたが、自分の臭いが異常に気になっているようであれば、自己臭恐怖症の可能性も一度考えた方がよいだろう。それが原因で生きづらいと感じているならば、専門医を尋ねてみてもいいかもしれない。