2015年11月19日
「人間の條件第1部第2部」仲代達矢小林正樹五味川純平、
戦後日本映画では、数々の大作が作られたがその中でも小林正樹監督の「人間の條件」は金字塔ともいえる
作品である。全6部構成で上映時間9時間31分に及ぶ大長編で五味川純平の1300万部
売れたという今では考えられない超大ベストセラーを映画化したものである。
主演の仲代達矢はこの作品に主演することで、世に出て以後黒沢作品などにしばしば器用されることになる。
舞台は、戦争末期の旧満州、主人公の梶(仲代達矢)は、緊迫する戦時の中恋人ととの結婚をためらっていた。
いつ赤紙がくるかわからない情勢で結婚などして戦死して恋人の美千子を悲しませたくない一心だった。
しかし美千子はそんな梶の煮え切らない態度にいらついていた。梶は南満州鉄道に勤務していたのだが、
満州奥地のレポートが上層部に評価され、徴兵猶予と引換に現地老虎嶺鉱山に赴任することになる。
これを機会に梶は美千子と結婚し現地へ一緒に赴任するのだ。
ここでの梶の仕事は、工人と呼ばれる中国人労働者の労務管理だった。
労務管理は、すでに沖島(山村恥)という荒くれの監督がしていたが、梶は人間的に工人を扱いたいという
ヒューマニストとしての信念から度々沖島と対立する。
しかし梶の情熱にうたれ沖島も梶の影響を受けていく。だが現場は岡崎というヤクザまがいの男が牛耳っていた。
岡崎は、しばしば工人に暴力を振るい中国人をいじめていた。そんなとき関東軍より特殊工人をこの現場に
払い下げる命令が降りた。
梶は引渡しのために、特殊工人を載せた貨車に向かうが、貨車から降りた工人たちはまるで亡者の群れ
だった。貨車から放たれた工人たちは一心に食料のもとに向かい貪り食いショックで、死ぬものもいた。
この特殊工人の面倒を見るのは前途多難に思えたが、梶は中国人助手の陳(石浜暁)や沖島の協力を得てなんとか
こなしてゆく。しかし・・・
この映画を反戦映画として捉える人も多いが軍隊や戦争のリアリティを追及するとそうならざるを得ないので
ある。原作者も監督も俳優もみな戦争体験者であり綺麗事ではすまない戦争の醜さをこれほど描いた作品も
ないだろう。
人間でありたいと思うことが戦時下では敵対行為とされてしまう戦争の怖さがここにある。
工人たちを収容する作業場には高圧電流を通した鉄条網が張り巡らされいて、陳が同胞が焼け死んでいくのを
見てたまりかね、自分の身を電流に投げ渡すシーンはゾッとするものがある。
渡会軍曹(安部徹)が工人の首を日本刀で斬るシーンの心理描写もすごくこの映画を初めてみる
ものは頭を殴られたような衝撃があるだろう。
梶が軍に逆らい徴兵猶予を取り消されるところで、2部が終わる。
戦争とは、人間とは何か?深く考えさせる大作である。
作品である。全6部構成で上映時間9時間31分に及ぶ大長編で五味川純平の1300万部
売れたという今では考えられない超大ベストセラーを映画化したものである。
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主演の仲代達矢はこの作品に主演することで、世に出て以後黒沢作品などにしばしば器用されることになる。
舞台は、戦争末期の旧満州、主人公の梶(仲代達矢)は、緊迫する戦時の中恋人ととの結婚をためらっていた。
いつ赤紙がくるかわからない情勢で結婚などして戦死して恋人の美千子を悲しませたくない一心だった。
しかし美千子はそんな梶の煮え切らない態度にいらついていた。梶は南満州鉄道に勤務していたのだが、
満州奥地のレポートが上層部に評価され、徴兵猶予と引換に現地老虎嶺鉱山に赴任することになる。
これを機会に梶は美千子と結婚し現地へ一緒に赴任するのだ。
ここでの梶の仕事は、工人と呼ばれる中国人労働者の労務管理だった。
労務管理は、すでに沖島(山村恥)という荒くれの監督がしていたが、梶は人間的に工人を扱いたいという
ヒューマニストとしての信念から度々沖島と対立する。
しかし梶の情熱にうたれ沖島も梶の影響を受けていく。だが現場は岡崎というヤクザまがいの男が牛耳っていた。
岡崎は、しばしば工人に暴力を振るい中国人をいじめていた。そんなとき関東軍より特殊工人をこの現場に
払い下げる命令が降りた。
梶は引渡しのために、特殊工人を載せた貨車に向かうが、貨車から降りた工人たちはまるで亡者の群れ
だった。貨車から放たれた工人たちは一心に食料のもとに向かい貪り食いショックで、死ぬものもいた。
この特殊工人の面倒を見るのは前途多難に思えたが、梶は中国人助手の陳(石浜暁)や沖島の協力を得てなんとか
こなしてゆく。しかし・・・
この映画を反戦映画として捉える人も多いが軍隊や戦争のリアリティを追及するとそうならざるを得ないので
ある。原作者も監督も俳優もみな戦争体験者であり綺麗事ではすまない戦争の醜さをこれほど描いた作品も
ないだろう。
人間でありたいと思うことが戦時下では敵対行為とされてしまう戦争の怖さがここにある。
工人たちを収容する作業場には高圧電流を通した鉄条網が張り巡らされいて、陳が同胞が焼け死んでいくのを
見てたまりかね、自分の身を電流に投げ渡すシーンはゾッとするものがある。
渡会軍曹(安部徹)が工人の首を日本刀で斬るシーンの心理描写もすごくこの映画を初めてみる
ものは頭を殴られたような衝撃があるだろう。
梶が軍に逆らい徴兵猶予を取り消されるところで、2部が終わる。
戦争とは、人間とは何か?深く考えさせる大作である。
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