なつかしの映画

京都出身で、自主映画から映画界に入った高林陽一監督が、ATGで「金閣寺」に続いて京都を舞台に

サスペンス調の心中映画が「西陣心中」である。主演は、ATG映画に度々出演している美人女優の島村

佳江である。

福島出身のOL野沢ゆみ（島村佳江）は、上司の井上と無理心中を図るが命が助かってしまう。たた井上がやさしいという

だけの理由で死を選んだが生き残り虚無感からか、ゆみはデートクラブで働くようになる。

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事件を担当した刑事（名古山章）は面倒見がよく何かとゆみの行く末を心配する。


そんなある日、西陣をぶらぶらしていたゆみは、機織屋吉嘉を覗くと若い職人が機織りをしているところをみ

てしまう。職人の美しい手と西陣織に魅せられたゆみは、吉嘉で働きたいと面接にゆくが、社長（土屋義男）

は身元が定かでない人間は雇えないと言われ断られてしまう。

しかし、あきらめきれないゆみは、刑事の西川を親族に仕立てなんとか潜り込む。


若い職人博之（光田昌弘）のあざやかな指の動き織物の美しさを傍で見ていると一層心惹かれるのだった。

だが、吉嘉の仕事仲間の宮崎（成田三樹夫）は、偶然にもデートクラブ時代のゆみを買って抱いていたのだ。

宮崎は、ゆみの弱みに付け込み脅迫するが、宮崎に意に従わず再三の同衾を拒んだ。

業を煮やした宮崎は、吉嘉を強引に訪れゆみに迫るが反撃されて大怪我をする。

そのころゆみに縁談が舞い込み相手はマスコミ関係の裕福な男だったが、自動車事故を起こしてしまう。

ゆみの周辺の人間は次次と不幸にまみれるのは、ゆみが魔性の女なのか。しかしそれはまだ始まりにすぎ

なかった・・・

高林監督の原案を「北陸代理戦争」の高田宏治が脚本化したものである。

やたらと主演女優の裸が出てくるが、最後の方はやくざ映画なみに凄惨である。このあたりは高田宏治の

趣味だろう。京都の息のつまるような人間関係や狭苦しい町並みのリアリティは京都出身の監督の経験が

生かされている。脇役がまた豪華で、土屋、成田のほか、名古山章や中尾彬、大泉滉、白川和子、三原葉子、

山田吾一まで出ている。監督の人柄であろう。

吉嘉の女房の背中に出刃が刺さっていたり、死んだとおもったゆみはむっくり起き上がったりとブラックユーモアのようにも思える映画である。

近々DVD化されて発売予定である。現在アマゾンインスタントビデオで廉価で鑑賞できます。

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