なつかしの映画

１９７０年１１月２５日の三島由紀夫と楯の会の自衛隊での自決は今なお強い影響を世間に与えている。

「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」は三島とは正反対の左翼映画を撮っていた若松孝二が三島に

ささげたオマージュがこの作品である。三島由紀夫（井浦新）はノーベル賞候補になるほどの大作家になって

いたが２２６事件をテーマにした「英霊の声」を脱稿したときから現代日本に強い危機感を抱き、単独で自衛

隊に体験入隊しそこに日本古来の武士道を見出してた。同じころ日本全国の大学で体制に不満を持つ学生たち

が運動をおこし、暴力をも使用して機動隊と衝突を繰り返していた。

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またそのころ早稲田大学でが学費値上げに反対する学生が大学を占拠し保守派の学生たちの一部は憤激

していた。日本学生同盟に所属する持丸博は現状に危機感を覚えて「論争ジャーナル」という機関紙を

発行して活動していたが、シンパシーを抱く三島に原稿を依頼する。三島は無料でこれを心よく受ける。

これをきっかけに三島と民族派の学生たちとつながりができて、三島は学生たちを自衛隊に体験入隊


させてゆく。そして体験入隊させた学生たちと一緒に民間防衛部隊楯の会を結成する。やがて三島たちは

陸自調査学校から山本一佐を迎え本格的な訓練を開始する。しかし持丸は結婚と就職のために会を離れ

三島を失望させる。だが新たにに三島の前に一本気な森田必勝（満島真之介）という若者が出現する。

まさに運命の出会いだった。

三島が民族運動を始めてから自衛隊で楯の会の会員ともに割腹自決する日までの行動を忠実に描いた作品

である。やや低予算のため物足りない面もあるが相対的にはよくできた作品である。

主演の井浦新も森田役の満島真之介もいい雰囲気を出していてリアリティがある。苦言を言えば井浦は

もう少し筋肉をつけたほうがよかったと思う。この映画を見ることで三島事件の概ね全貌を知ることが

できるだろう。

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