2014年11月20日
銀河を泳げ高倉健よ永遠に「野性の証明」
高倉健が亡くなった。11月10日に悪性リンパ腫で旅立ったと言う。このブログで健さん主演の「君よ憤怒の河を渉れ」を取り上げたのが
11月6日のことでその直後のことで驚いている。
今日は追悼の意味も含めて1978年製作の角川映画「野性の証明」を取り上げてみたい。原作は森村誠一で当時
角川がタイアップで小説を売り出したあとに映画化する企画のひとつで、薬師丸ひろ子のスポットCMがテレビで流されて
いたことを40代、50代以上の方なら覚えておられるだろう。
主人公の味沢岳史は、自衛隊に秘密裡に作られた工作部隊の一等陸曹であり、映画の最初は、障害物等を使った
レンジャー訓練から始まる。このシーンは本格的で自衛隊の協力を得られなかっためアメリカで撮影された。
ちょうどそのころ。米帝打倒を叫ぶ過激派によって米国大使が人質にとられ優秀な工作隊員であった味沢は上司の
皆川二等陸佐(松方弘樹)とともにグライダーを使用して山荘に立てこもる大使を見事に救出した。
作戦のあと休む間もなく味沢は、北上山地で、わずかな食糧を持ってサバイバル訓練に入った。
精神と肉体の限界に挑むこの訓練でさすがの味沢も精根尽きて、山中の路上で倒れこむ。
このとき偶々登山中だった若い女性(中野良子)が見るに見かねて人を呼びに行った。しかしこの山岳訓練は一切
口外することを禁止されていたため、味沢は女性のあとを追ったがそこで見たものは凄惨な光景だった。
発狂した村人の一人が家族もろともかたっぱしから殺害していたのだ。最後の生き残った少女長井頼子(薬師丸ひろ子)がまさに殺されようとしたとき、味沢が手斧で狂人の頭をたたき割って殺害したのである。
しかし、頼子はショックのあまり記憶を失いなおかつ一種の予知能力を身に着けたのだった。
ひとり残された頼子を哀れに思った味沢は頼子を養女にし、自衛隊を退職して生命保険のセールスをしてつつましく
生活していたのだが。そのころ、羽代新聞の記者をしていた越智朋子(中野良子の二役)は同僚の謎の事故死を
追っていた。同僚の記者はホステスと同乗していてこの事故?にあっていたのだ。
警察は単なる酔っ払い運転で処理していたが、朋子は羽代市を影から支配する黒幕の大場総業会長大場一成
(三国連太郎)の影を感じ取っていた。
味沢は死んだホステスの夫井崎(梅宮辰夫)と6000万の保険契約を結んでいたことから否応なく一連の事件に巻き込まれてゆく。
社会派推理小説の鬼才森村誠一の原作だけあって単なるアクションものではなくひとひねりもふたひねりもされていて
見ごたえのある映画である。寡黙だが過酷な任務も鉄の意思で貫き身を犠牲にしても愛するものを守ろうとする味沢
は健さんそのものだ。
たしかに一人の元隊員を戦車軍団で追い回したり、健さんの小銃がいくら撃っても弾がきれなかったりとおかしなところ
もあるが、それを忘れるほど強引な力技で最後まで楽しませてくれる。そういう意味で角川春樹しかこの映画は作れなかったと思う。
健さんの使用したアサルトライフルはアーマライトAR18、戦車はパットンM48でいずれも自衛隊で採用されたものでないが効果的に使われている。
脇役陣も豪華で、味沢を追う刑事に夏木勲、大場総業のドラ息子に舘ひろし、やくざに梅宮辰夫、他にも中丸忠雄、
田宮高広、ハナ肇、成田三樹夫、渡辺文雄、大滝秀治等、名優や主役級の俳優が大勢出演している。
長井頼子役の薬師丸ひろ子はこの映画がデビュー作にあたり後のスターになる片りんがあらわれている。
脚本は、「北陸代理戦争」の高田 宏治、撮影は「トラトラトラ」の姫田真佐久、町田義人の主題歌「戦士の休息」は後世に
残る名曲だ。サブテーマ曲の「銀河を泳げ」のほうが個人的には好きなのだが。監督はこれまで何度も健さんと組んだ佐藤純彌でおおいに息のあったところを見せてくれる。
中野良子とも「憤怒」で共演しているのでやりやすかったのでは。
公開当時はいろいろ言われたが高倉健ファン必見の映画である。
高倉健とは単なる役者ではなく多くの日本人にとって特別の存在だった。二度と現れることのない人物だった。
最後に一言、高倉健さんありがとう。ご冥福をお祈りします。
11月6日のことでその直後のことで驚いている。
今日は追悼の意味も含めて1978年製作の角川映画「野性の証明」を取り上げてみたい。原作は森村誠一で当時
角川がタイアップで小説を売り出したあとに映画化する企画のひとつで、薬師丸ひろ子のスポットCMがテレビで流されて
いたことを40代、50代以上の方なら覚えておられるだろう。
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主人公の味沢岳史は、自衛隊に秘密裡に作られた工作部隊の一等陸曹であり、映画の最初は、障害物等を使った
レンジャー訓練から始まる。このシーンは本格的で自衛隊の協力を得られなかっためアメリカで撮影された。
ちょうどそのころ。米帝打倒を叫ぶ過激派によって米国大使が人質にとられ優秀な工作隊員であった味沢は上司の
皆川二等陸佐(松方弘樹)とともにグライダーを使用して山荘に立てこもる大使を見事に救出した。
作戦のあと休む間もなく味沢は、北上山地で、わずかな食糧を持ってサバイバル訓練に入った。
精神と肉体の限界に挑むこの訓練でさすがの味沢も精根尽きて、山中の路上で倒れこむ。
このとき偶々登山中だった若い女性(中野良子)が見るに見かねて人を呼びに行った。しかしこの山岳訓練は一切
口外することを禁止されていたため、味沢は女性のあとを追ったがそこで見たものは凄惨な光景だった。
発狂した村人の一人が家族もろともかたっぱしから殺害していたのだ。最後の生き残った少女長井頼子(薬師丸ひろ子)がまさに殺されようとしたとき、味沢が手斧で狂人の頭をたたき割って殺害したのである。
しかし、頼子はショックのあまり記憶を失いなおかつ一種の予知能力を身に着けたのだった。
ひとり残された頼子を哀れに思った味沢は頼子を養女にし、自衛隊を退職して生命保険のセールスをしてつつましく
生活していたのだが。そのころ、羽代新聞の記者をしていた越智朋子(中野良子の二役)は同僚の謎の事故死を
追っていた。同僚の記者はホステスと同乗していてこの事故?にあっていたのだ。
警察は単なる酔っ払い運転で処理していたが、朋子は羽代市を影から支配する黒幕の大場総業会長大場一成
(三国連太郎)の影を感じ取っていた。
味沢は死んだホステスの夫井崎(梅宮辰夫)と6000万の保険契約を結んでいたことから否応なく一連の事件に巻き込まれてゆく。
社会派推理小説の鬼才森村誠一の原作だけあって単なるアクションものではなくひとひねりもふたひねりもされていて
見ごたえのある映画である。寡黙だが過酷な任務も鉄の意思で貫き身を犠牲にしても愛するものを守ろうとする味沢
は健さんそのものだ。
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たしかに一人の元隊員を戦車軍団で追い回したり、健さんの小銃がいくら撃っても弾がきれなかったりとおかしなところ
もあるが、それを忘れるほど強引な力技で最後まで楽しませてくれる。そういう意味で角川春樹しかこの映画は作れなかったと思う。
健さんの使用したアサルトライフルはアーマライトAR18、戦車はパットンM48でいずれも自衛隊で採用されたものでないが効果的に使われている。
脇役陣も豪華で、味沢を追う刑事に夏木勲、大場総業のドラ息子に舘ひろし、やくざに梅宮辰夫、他にも中丸忠雄、
田宮高広、ハナ肇、成田三樹夫、渡辺文雄、大滝秀治等、名優や主役級の俳優が大勢出演している。
長井頼子役の薬師丸ひろ子はこの映画がデビュー作にあたり後のスターになる片りんがあらわれている。
脚本は、「北陸代理戦争」の高田 宏治、撮影は「トラトラトラ」の姫田真佐久、町田義人の主題歌「戦士の休息」は後世に
残る名曲だ。サブテーマ曲の「銀河を泳げ」のほうが個人的には好きなのだが。監督はこれまで何度も健さんと組んだ佐藤純彌でおおいに息のあったところを見せてくれる。
中野良子とも「憤怒」で共演しているのでやりやすかったのでは。
公開当時はいろいろ言われたが高倉健ファン必見の映画である。
高倉健とは単なる役者ではなく多くの日本人にとって特別の存在だった。二度と現れることのない人物だった。
最後に一言、高倉健さんありがとう。ご冥福をお祈りします。
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