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2020年09月06日

厚生大臣隔離(九月三日)



 最近、前日のことを取り上げることが増えているのだけど、これはちゃんとその日のうちに書き始めている証拠である。それはともかく、昨日うちに帰ったら、うちのが、厚生省で今回の武漢風邪対策の指揮を執っている衛生局長が検査で陽性になったというニュースを教えてくれた。さすがはチェコという感想を持ってしまうのは仕方あるまい。まあ、フランスでもツール・ド・フランスの開幕地になった、感染状況ではレッドゾーンに入っているという市の市長が、感染してトランプ大統領に倣ってマラリアの薬で治療してそれを声高に自慢しているなんて話もあるから、こういう笑えない笑い話は、どこの国にも一つや二つはあるものだろう。

 ニュースによれば、この衛生局長は、火曜日の夕方まで普通に仕事をこなして自宅に帰ったあと、夜になって感染が疑われる症状が出たため、水曜日の朝一番に検査を受けたところ、陽性という結果が出たということらしい。直前まで、厚生省内だけではなく、政府関係者との会議に参加し、マスコミに対しても記者会見を行っていただけに、誰が感染が疑われる人として隔離状態に置かれるかが問題になる。
 症状が出る二、三日前から、より厳密には48時間らしいけど、他人に感染させる可能性があるということで、日曜日ぐらいから一緒に仕事をした人たちを対象に、集中的な検査が行われることになった。さすがは責任者で、義務化はされていない場面でも、ほぼ常にマスクを着用していたようだが、テレビ出演や、一対一のインタビューなど、マスクなしだったこともあるようだ。

 それはともかく、上司にあたる厚生大臣が検査の対象になったのは当然で、厚生省の建物全体で消毒が行われ、同じ部署で仕事をしている人たちなど、十人単位で検査が行われることになった。厚生省の建物の出入りも規制が厳しくなり、感染の疑いのない職員も可能な人は自宅で仕事をすることが求められているようだ。ここはそれでいい。
 問題は、政府関係者の方で、月曜日に衛生局長を交えた会議にはバビシュ首相も参加していたらしいのだ。しかし、バビシュ首相は自分が感染している可能性はないとして、検査とそれに続く自宅待機を拒否している。理由は、確かに会議に出て同じ部屋にはいたが、衛生局長からは3メートル以上離れて座っていたし、常に医療用の高性能マスクのレベル2を着用しているから大丈夫というものだった。実はレベル3じゃないと感染は完全には防げないという話もあるのだけど。

 新学期が始まって、武漢風邪の流行の拡大が確実視される中、上院議長の台湾訪問で、怒り狂う(ふりをする)中国へも対応しないといけないし、首相が隔離されるのは避けたいところなのだろうけど、念のために検査ぐらいは受けておいた方が、周囲の人々にとっても安心ではなかろうか。サッカー選手に倣って陰性だったら隔離はなしってことにすればいいんだからさ。
 チェコでは、イタリアで流行が爆発した後、最初に患者が出たころの、感染者を出してはいけない恐ろしい病気という認識から、リスクの高いグループを除けば感染しても大きな問題はないという認識に変わりつつあり、それをもとに対策のなされるようになっているので、バビシュ首相が検査を受けないというのもその流れの一つなのだろう。

 厚生大臣は、水曜日の朝、カルロビバリ地方の病院視察に向かう途中の車の中で、衛生局長の陽性を知らされ、病院の構内には入ったものの、車の中から病院関係者に挨拶と事情の説明をして、そのままプラハに戻り、検査を受けたという。検査の結果は陰性だったが、ルールに従って、これから十日間の自宅隔離に入るという。九月に入って隔離期間も短縮されたのだった。
 大臣は陰性だったが、厚生省の役人の中には陽性が確認された人もいるようで、今後、対策の総本山である厚生省で集団感染が発生したという笑えない事態になることもあり得なくはない。それで、職員が軒並み自宅待機ということになったら、これまで毎日行われてきた記者会見や、感染状況、感染対策の発表などは誰が担当するのだろうか。

 今日の夜のニュースによれば、衛生局長の陽性判定のせいで、20人ほどのマスコミ関係者が自宅監禁を余儀なくされ、チェコテレビの人気討論番組「バーツラフ・モラベツが問う」の司会者モラベツもその対象となるため、次の日曜日の放送は中止になったらしい。バビシュ首相とは逆に、外務大臣と労働大臣が自主的に自宅隔離に入ったという。二人とも社会民主党の人だから、ANOへのあてつけかな。
2020年8月3日22時。












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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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